No name

Open App
10/25/2022, 10:06:12 AM

友達と喧嘩をした。些細なことだった。その喧嘩した友達は今、雨で濡れ、救急車の音が鳴り響く夜の十字路で私を抱え、泣いている。あぁ、死ぬんだ。私は友達の目を見つめ、小指を差し出して一言言葉を残した。「仲直りしよ」友達は泣きながら私と小指を交えて私の力が抜けるまでずっと、ずっと力強く私を支えていた。

10/18/2022, 2:36:55 PM

今日はなにかいつもと違う日な気がする。あなたと二人で話しながら歩く夕方。なんでだろう。なんであなたはそんなに暗い顔をしてるの?私と話してるんだから笑ってよ!なんて言っても君は反応してくれない。「あぁ、君が最後に笑ってくれたのは今日みたいな綺麗な空の日だったね。」あなたが呟いたその一言で私は全てを理解し、頬に涙を流した。

解説
女の子は自分が亡くなっていることに気づかず、女の子の死を目の前で体感した男の子はその女の子が見えるようになってしまった。男の子はそんな女の子と何日も話していた。でも、なくなってから1年経った日。空が綺麗で。少し呟いただけだったけど振り返ればもう女の子は(成仏して)居なくなっていた

10/12/2022, 3:52:19 AM

朝起きて私はカーテンを開けない。だって光を見たくないから。ずっとずっと夜のままでいたい。夜のままなら人と会わなくていいし1人でいいから。なのに朝は君がやってきてカーテンを開けるんだ。ちょっと!って私が怒っても君には届かない。それから君は朝ごはんを食べて仕事に行く。あぁそんなに大きくなったんだね。私の中の君は高校1年で止まっているよ。私は家から出られないけどずっと帰りを待っているよ。君に触れたくて、話したいけど。ずっとずっと我慢するよ。だから幸せになってね。

解説
これを話している女の人は高校1年の時に亡くなっていて、男の人が住んでいるのは女の人が死んだ家。

9/24/2022, 3:16:35 PM

あなたは今どんなことを考えているかな?幸せ?辛い?それとも自分の感情が分からない?何を考えているかなんて自分にしか分からないし、自分にだって分からないことがある。そもそもなんで感情なんてあるのだろう。目に見えないものなら価値がない。あっても辛いだけ。私だってそう思ってた。あなたと出会うまで。あなたに幸せという感情を教えてもらわなければ私はどんなにくらい人生を歩んだのだろう。もちろん辛いこともあったけど。知れてよかった。最初で最後が君でよかった。そう思いながら棺桶の中で眠るあなたの手を撫で続けた。

9/23/2022, 3:49:28 PM

10年前の夏のジャングルジム。1番てっぺんに昇ってあそこで手を繋いで、ずっと笑っていたよね。あの時はセミは忙しなく鳴いているし子供たちで溢れていて、そんなに長くはいられなかったけれど。私は、木のこもれびやセミの鳴き声。ましてや君の顔に付いていた泥の匂いまで。全部全部覚えているよ。あの時。君の笑顔が見たくて。ただそれだけだったの。だから私は崖に1本だけ生えていた。大きい木の枝を取りに行ったね。覚えてる?入っちゃダメって。かいてあったけどそんなの見えなかったよ。君に木の枝渡せたっけ?渡せてないね。あの後落ちてボロボロになってしまったから。君が差し出してくれた手は今も掴めそうだね。最後に見た景色が君の顔で。とても。とても。嬉しかったです。10年もたったら逞しくなったね。また、手を繋げるようになるまで。ずっと、ずっとおじいちゃんになるまで待つから。次に会ったらまた、手を繋いでくれますか?

Next