No name

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10年前の夏のジャングルジム。1番てっぺんに昇ってあそこで手を繋いで、ずっと笑っていたよね。あの時はセミは忙しなく鳴いているし子供たちで溢れていて、そんなに長くはいられなかったけれど。私は、木のこもれびやセミの鳴き声。ましてや君の顔に付いていた泥の匂いまで。全部全部覚えているよ。あの時。君の笑顔が見たくて。ただそれだけだったの。だから私は崖に1本だけ生えていた。大きい木の枝を取りに行ったね。覚えてる?入っちゃダメって。かいてあったけどそんなの見えなかったよ。君に木の枝渡せたっけ?渡せてないね。あの後落ちてボロボロになってしまったから。君が差し出してくれた手は今も掴めそうだね。最後に見た景色が君の顔で。とても。とても。嬉しかったです。10年もたったら逞しくなったね。また、手を繋げるようになるまで。ずっと、ずっとおじいちゃんになるまで待つから。次に会ったらまた、手を繋いでくれますか?

9/23/2022, 3:49:28 PM