はじめ

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4/29/2024, 12:39:28 PM

【風に乗って】

「……朝?」
昨夜、というか日付はもう今日だった時間に帰宅してから、ほぼほぼ寝落ちのように寝続け、気付いたら窓の外の太陽は高い。もしかしたら、おはようよりこんにちはのほうがふさわしい時間かもしれない。
(休日前だからって、仕事ありすぎだろ全く)
データ修正とか連絡とか、追われた結果がこれだ。体が、寝ただけでは疲れを癒せずにバキバキしている。ゆっくり、体を起こして、窓を開けると、風が吹き込んできた。涼しい。
「眠……」
目をこする。横になり、二度寝してしまおうか、と思った時。
『フレー、フレー、赤組!』
風と共に、そんな声が聞こえてきた。運動会か。歩いて行ける距離に、小学校があるから、そこかもしれない。
(フレーフレー、か)
思って、ちょっと口の中で呟いて。ゆっくり、立ち上がる。体力は完全には回復してないけど、何だか気力は回復傾向だ。
このまま買い出しにでも行こう。そして、小学校の近くを通って、応援でもするか。そんな事を思いながら、着替えようとクローゼットに手をかけた。

4/29/2024, 2:45:36 AM

【刹那】

一瞬目が合って、そして視線が離れた。
ほんの僅かな、瞬きにも近いその時間。
刹那な時は、永遠に近い。

4/27/2024, 1:14:26 PM

【生きる意味】

「生きてたって仕方ないよ」
そう、私が口にすると、彼は紙パックの苺オレのストローから口を離した。なんで?と言いたげに首を傾げるので、
「学校も家も、私がいなくてもいいみたいだし」
そうまるで、空気のように、いないものとして、目があっても誤ってぶつかっても、誰も何も言わない。学校内でだけならまだしも、家でも似たようなもの。食事は最低限、部屋も物置と同じだし。
「ごめんね、久しぶりにあったのに、こんなこと言って」
家にいたくないから、ふらっと外に出たら、昔ちょっとだけ付き合ってた彼がいたのだ。コンビニの菓子パンをおごってもらって、公園にいる。メロンパンを食べきって、立ち上がる。
「パンありがと。もう行く」
「俺は」
歩こうとした私の横で、突然彼が口を開く。
「お前が生きてて、嬉しいけど」
振り返る。真面目な目で彼は、こっちを真っ直ぐに見ている。
(まだ)
涙が出てきた。
(生きてる意味、あった)
辛いけど、まだ光はあるのかもしれない。

4/26/2024, 6:23:40 AM

【流れ星に願いを】

「あ、流れ星」
「なんか願い事とかする?でも早くて無理そうじゃない?」
「分かるーなんで三回言えとかなんだろうねー」
なんて、暗くなってきた道を歩く学生が話しているのを聞きながら、その横を通りすぎる。
学生時代なんて何年前だろう。もう、かなり昔のような、なのに去年ぐらいのような。
きらきらした、嫌なことも楽しいことも辛いことも笑えることも、全部あの頃が一番多かったと思う。
(戻りたい?)
願いを掛けるなら、あの輝く時に。

空を見上げる。田舎だからか、良く見える星空。
星が、尾をひきながら空を駆けた。

4/24/2024, 1:35:59 PM

【ルール】

手を繋ぎながら、二人で帰る道。
出来るだけ楽しいことだけ、話す。
嫌なこと、悩んでることは、限界になる前に相談する。
おやつを持っていたら、一人で食べず分け合う。
そして、別れる時には、笑顔で手を降る。見えなくなるまで見送るとかはなし。きりがない。
「帰る時のルール。そうしよ?」
彼女がそう言うから、あの可愛い顔で言われたら、頷くしかないから。
今日もまた、二人で手を繋いで帰る。

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