はじめ

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【生きる意味】

「生きてたって仕方ないよ」
そう、私が口にすると、彼は紙パックの苺オレのストローから口を離した。なんで?と言いたげに首を傾げるので、
「学校も家も、私がいなくてもいいみたいだし」
そうまるで、空気のように、いないものとして、目があっても誤ってぶつかっても、誰も何も言わない。学校内でだけならまだしも、家でも似たようなもの。食事は最低限、部屋も物置と同じだし。
「ごめんね、久しぶりにあったのに、こんなこと言って」
家にいたくないから、ふらっと外に出たら、昔ちょっとだけ付き合ってた彼がいたのだ。コンビニの菓子パンをおごってもらって、公園にいる。メロンパンを食べきって、立ち上がる。
「パンありがと。もう行く」
「俺は」
歩こうとした私の横で、突然彼が口を開く。
「お前が生きてて、嬉しいけど」
振り返る。真面目な目で彼は、こっちを真っ直ぐに見ている。
(まだ)
涙が出てきた。
(生きてる意味、あった)
辛いけど、まだ光はあるのかもしれない。

4/27/2024, 1:14:26 PM