はじめ

Open App
4/23/2024, 8:19:00 AM

【たとえ間違いだったとしても】

「あー、学校だるー」
「分かる」
「進学先間違えたかもなーこんなに校則やら課題やらきっついとは思わんかったわ」
「それな」
「学校辞めて、他んとこ行こうかなあ」
「……それは、ちょっと」
「え?何か不満?」
「俺とお前の繋がりがなくなるから」
「……だな」
「うん」
「あー!!なんか青春っぽくねこれ?」
「恥ずかしい大声出すな」
「照れてる?」
「うるさっ」

選んだ道が、たとえ間違いだったとしても。
決してそれは、失敗ではないから。

4/22/2024, 1:52:31 AM

【雫】

大きな湖や海に、一滴の雫。
波紋は広がるけど、それも一瞬。
どうせ、自分のような雫は、大海を騒がせることなどないのだろう。

4/21/2024, 5:36:15 AM

【何もいらない】

仕事を辞めた。幸いにして、贅沢しなければ一年位は好きにしていても大丈夫な程、蓄えはある。
暗黙の了解の時間外労働(しかも無給!)、出だしから不機嫌な声の電話、ミスを許さないばかりか何日経ってもその事でネチネチ言ってくる上司、もっと些細な事で仲間外れにしてくる同僚。
(もう、何もかも自分とは無関係になるー)
朝、目覚めて二度寝出来る。それだけで、布団にくるまりながら笑いが出る。
さて、これから買い出しに行かねば。食べるものが無いし。何を食べるか、悩む幸せ。
「楽しいなあ……」
口から、不意に出る。
色々不安はあれど、今は今のこの状態だけで、後は何もいらないのだ。
ゆっくり立ち上がる。
まだまだ、ここから。

4/19/2024, 9:21:07 PM

【もしも未来を見れるなら】

ゆっくり、心を決めて、深呼吸して。
『未来が見える穴』を覗いてみる。
中は真っ暗で、何も見えない。
それでいい、そう思って目を離す。
もしも、と思って覗いて見たけれど、見えるわけないのだ未来なんて。
「見えた?」
隣で友人が、妙にわくわくした顔で聞きながら、その穴を覗き込んだ。途端、わあっと声がした。
「純白のドレス着た私見えた!結婚かな?相手見えなくて悔しいっ」
(え?)
見返す自分に、笑顔を向けて、
「ねぇ、そっちは何が見えた?」
(見えるのか)
未来を、信じる人には。
隣に、曖昧な笑顔を向けるしかできない自分には、未来を見ることすら無理なのかもしれない。

4/18/2024, 1:02:51 PM

【無色の世界】

いつもつまらなかった。学校も家も、みんなみんな同じように見えていた。みんなで同じことを学び、同じことをして、正しければ褒められて駄目ならけなされる。ただ、それだけのルールに乗っ取った世界。
全部が、同じ色に染まって見えた。
何色でもない、つまらない色。

彼女だけは、違って見えた。
校門を校舎へと歩く姿。それだけなのに、艶めく黒髪、真っ白なシャツに紺のスカートの制服、きらきらと光るチャームをつけた鞄まで。
無色の世界に、唯一の鮮やかさ。
毎朝見ているのに、今朝も見とれていると、こちらを向いて微笑む。その、柔らかなピンク。
「おっはよ」
声まで青や赤に彩られ、輝く。
(羨ましい)
挨拶を返しながら、そう思う。
(自分も、色の世界にいたかった)
彼女の隣にいても、叶わないその願い。
今日もまた、鮮やかな彼女を見つめる。

Next