はじめ

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4/18/2024, 2:50:09 AM

【桜散る】

「散っちゃったねー桜」
「気づいた時に咲いてて、いつの間にか散るのが桜」
「言えてる」
「花見とかしたかった?」
「また、来年でもいいでしょ」
「また散った頃に、こんな会話して忘れてるかもよ?」
「それは良い」
「何が?」
「来年も、この先ずっと、俺ら一緒ってこと」
「……確かに、良いな」

4/16/2024, 6:52:54 AM

【届かぬ想い】

「ふう」
ため息をつくと、隣で弁当を食べていた奴がこちらを見る。
「どうした、まるで青少年の悩みのようなため息をついて」
「まあ、俺ら10代後半は青少年と言って良い年頃だけど」
言って、自分もお握りを口にする。梅干し。酸っぱい。奴はいっぱいにした口の中身を咀嚼して、飲み込んで、またこちらに向いて、
「聞いてやってもいいぞ、悩み」
「いらねー」
「即答なんてひどい!泣いちゃう俺様ぐすぐす」
わざとらしい泣き真似。阿保な言動をしながらも、失われない美貌。さらさらの髪は、光のように輝く。
(綺麗)
見ていると、奴は視線に気付いたか顔を上げて、ニヤリと笑う。
「俺に惚れた?」
「……な訳ないだろ馬鹿」
(好きすぎて)
お握りの梅干しのせいにして、顔をしかめる。
(伝えてはならない想い)
「……酸っぱい」


4/15/2024, 8:10:08 AM

【神様へ】

どうか。
どうか。
自分以外の全ての人が、悩まず病まず、いつも幸せに過ごせます様に。
その対価に、自分を捧げるから、どうか。

4/13/2024, 12:47:24 PM

【快晴】

ドアを開けて、太陽の光が差し込んでくる。目を細める。
見上げると、雲ひとつない空が広がっていて、つい口角が上がってしまうのを押さえきれない。
こんなわくわくするような天気の日に、出発できるなんてなんてラッキーだろう、思うだけで嬉しくてたまらない。
靴紐を閉め直し、脇に置いた、びっくりする程おおきくなってしまった荷物を持ち上げる。重いのは仕方ない。寧ろその重さが嬉しい。
「さて」
呟いて、開けたままのドアから、部屋を振り返って、
「いってきます」
誰もいないけど、一応言ってみる。ゆっくり、ドアを閉める。
ドアの中の惨状を永遠に閉じ込めて、爽やかな青空の下に一歩踏み出す。



部屋の中は散らかっていて、赤く赤く染まっていた。

4/12/2024, 8:14:36 AM

【言葉にできない】

思いが募りすぎると。
何を言えば良いかなんて全然分からなくて、ただそばにいるだけで幸せになって、胸が苦しくて、泣きたくなる。言葉にできない。
ああ、生まれてきてよかったな、なんて思える程の、あの苦しさの快感。

「って感じ?」
「食べたくて食べたくて堪らなかったスイーツに対しての感想がそれ?」
「うん」
口の周り、粉糖とカスタードクリームだらけにしながら、彼女が頷く。
(ああ)
口拭きなよ、と紙を出しながら、胸にこみ上げるこの気持ち。
(なんと言うのかは知らないけど)

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