【もしも未来を見れるなら】
ゆっくり、心を決めて、深呼吸して。
『未来が見える穴』を覗いてみる。
中は真っ暗で、何も見えない。
それでいい、そう思って目を離す。
もしも、と思って覗いて見たけれど、見えるわけないのだ未来なんて。
「見えた?」
隣で友人が、妙にわくわくした顔で聞きながら、その穴を覗き込んだ。途端、わあっと声がした。
「純白のドレス着た私見えた!結婚かな?相手見えなくて悔しいっ」
(え?)
見返す自分に、笑顔を向けて、
「ねぇ、そっちは何が見えた?」
(見えるのか)
未来を、信じる人には。
隣に、曖昧な笑顔を向けるしかできない自分には、未来を見ることすら無理なのかもしれない。
4/19/2024, 9:21:07 PM