幼少期
「僕らの友情はずっと続くよね!」と彼は屈託のない笑顔で聞いてきた。
その言葉に自分は笑顔で肯定する。
友情とは
共感や信頼の情を抱き合って互いを肯定し合う感情のこと。
だけれど、それは恋情に変わることがある。ほんの小さな出来事で…
青年期
「ずっと、側にいて欲しいんだ!ぼ、僕は、君が好きなんだ!」と彼は赤らめた顔で告白をしてきた。
その言葉を聞いた自分は…?
手を繋いで
君と手を繋いだあの場所にも行くのが億劫だ。
手を繋いだら、驚いた表情で、それでいて恥ずかしそうな嬉しそうな笑顔が素敵だった。
もう、あの頃には戻れない。
イルミネーションの季節となった。
僕は一人。周りをあまり見ないように通り過ぎる。
手が冷たいね。
手を繋いで?
部屋の片隅で
家に帰るといつでも君はそこに居た。
僕が帰ってきたことがとても嬉しそうで、尻尾が千切れてしまうほど振っている。
家の中にひとりでうろうろして何かあっては危ないと思い、隅っこの方に柵で広めに囲んでその中で過ごしてもらっていた。
だけど、君は逝ってしまった。
身体を寄せてくる体温も撫でて嬉しそうな顔も僕を見つめる瞳も、もういない。
喪われてしまった。
僕は今日も二度とは帰らぬ、君を思う。
部屋の片隅で。
逆さま
不思議な夢を見た。
そこはお祭りが行われていた。
道行く人の多くが浴衣や甚平を着ている。勿論、洋服を着ている人もいる。
とても、楽しそうな雰囲気だ。
だが、どうもおかしい。
空気が少し肌寒い。
周囲の木々は枯れかかっている。
誰も彼も皆、お面を被っている。屋台で良く見かけるようなキャラクターものだっだり、ひょっとこやおかめのようなお面も。
しかも、歩いている人達はなぜか後ろ歩きしている。
そして、良く見ると浴衣や甚平はあわせが逆で死装束となっている。洋服も前後ろ逆だ。
だけれど、何事も無さそうにお祭りを楽しんでいる。
私は違和感を覚えてしまっていた。
そして、自分の姿を確認しようとして目が覚めた。
逆さまな世界だった。
一体、あの夢は…???
夫婦
『愛している!こんなにも伝えているのに!身に染みないのか!?俺は、本気だぞ。』
「貴方からの愛はちゃんと伝わっているわ。」
『なら、どうして…』
私には長い長い寿命がある。彼と違って。
彼は普通の人間。私は人工的に作られた化物。
恋をする事も愛を知る事も無かった筈なのに。
触れてしまった。もう、戻れない。
「永遠の愛を誓うのは、本当に、こんな 私 で良いの?」
『勿論だ。愛してる。』
貴方は真っ直ぐな瞳で私を見たまま即答した。
「…もぅ。私もよ。誰よりも愛してる。」
そのまま、静かな口づけを交わした。
『もしも、来世があるのなら次もお主が良い。』
「あら、まだ今世が残ってるわよ?」
『足りる訳無いだろう!こんなにも愛おしいと感じているのに、はじめから一緒ではないのだぞ!』
「うふふっ!なんだか、貴方にしてはロマンチックね。」
『そんなことはない。』
「拗ねた?」
ふいっ!と顔を背ける彼。
何処か子供らしくって可愛らしい。
---- 懐かしい夢を見た。
今日は確か夫婦の日だっけ。
私にとっては何十年と昔々の大事な結婚記念日だ。
彼はもう逝ってしまった。
私を残して。
けれど、私は彼を待っている。
ある人は ''そんな約束に縛られることないよ!''
なんて言ってくる。
「私は信じているよ。貴方はそういう人だから。」
今日も私は、貴方を思い浮かべている。
遺品と指輪を胸に感じて。
何度でも夫婦になろうね!ダーリン♡