霖冴(りんご)

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部屋の片隅で

家に帰るといつでも君はそこに居た。
僕が帰ってきたことがとても嬉しそうで、尻尾が千切れてしまうほど振っている。
家の中にひとりでうろうろして何かあっては危ないと思い、隅っこの方に柵で広めに囲んでその中で過ごしてもらっていた。

だけど、君は逝ってしまった。
身体を寄せてくる体温も撫でて嬉しそうな顔も僕を見つめる瞳も、もういない。
喪われてしまった。

僕は今日も二度とは帰らぬ、君を思う。
部屋の片隅で。

12/7/2022, 10:36:17 AM