霖冴(りんご)

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夫婦

『愛している!こんなにも伝えているのに!身に染みないのか!?俺は、本気だぞ。』
「貴方からの愛はちゃんと伝わっているわ。」
『なら、どうして…』

私には長い長い寿命がある。彼と違って。
彼は普通の人間。私は人工的に作られた化物。

恋をする事も愛を知る事も無かった筈なのに。
触れてしまった。もう、戻れない。

「永遠の愛を誓うのは、本当に、こんな 私 で良いの?」
『勿論だ。愛してる。』
貴方は真っ直ぐな瞳で私を見たまま即答した。
「…もぅ。私もよ。誰よりも愛してる。」
そのまま、静かな口づけを交わした。

『もしも、来世があるのなら次もお主が良い。』
「あら、まだ今世が残ってるわよ?」
『足りる訳無いだろう!こんなにも愛おしいと感じているのに、はじめから一緒ではないのだぞ!』
「うふふっ!なんだか、貴方にしてはロマンチックね。」
『そんなことはない。』
「拗ねた?」
ふいっ!と顔を背ける彼。
何処か子供らしくって可愛らしい。


---- 懐かしい夢を見た。
今日は確か夫婦の日だっけ。
私にとっては何十年と昔々の大事な結婚記念日だ。

彼はもう逝ってしまった。
私を残して。
けれど、私は彼を待っている。
ある人は ''そんな約束に縛られることないよ!''
なんて言ってくる。

「私は信じているよ。貴方はそういう人だから。」
今日も私は、貴方を思い浮かべている。
遺品と指輪を胸に感じて。


何度でも夫婦になろうね!ダーリン♡

11/22/2022, 11:20:12 AM