夜空の音

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1/27/2026, 10:12:44 AM

優しさ

1人の男がピアノを弾いていた。
夕方の音楽室は影が伸び、赤く染まり、現実離れした美しさだった。
そんな中、男の弾くピアノは子守唄を奏でていた。
ピアノの向かいの席にある机には、女が突っ伏していた。

男のピアノを伴奏に、むにゃむにゃと何かを言いながら笑う女は夢の中にいる。
ポロンと曲を弾ききった男は、静かに立ち上がり、自分のブレザーを女に被せた。
そして、また。
ショパン、モーツァルト、チャイコフスキー。
優しい音色で奏でられるそれらの曲は、女が目覚めるまで鳴り止むことはなかった。

1/26/2026, 10:43:21 AM

ミッドナイト

『そういえばこの前のアニメ見た?』
友人はふと思い出したように手を止め、声をかけてくる。
「どれ?」
『ヒロアカのやつ。』
「見たよ。」
凄かったよね、と言いながら、友人は作業の続きを始める。
私の右手もずっとキーボードを叩いている。

「最後の方さ、メガネと帽子がボロボロになって落ちてる描写あったやん、あれって、そゆことなんかな。」
『あぁ、あれ?うん。』
先に漫画で全てを知ってる友人は、あの描写凄くいいと笑う。
絵を描く彼女は、アニメなども絵に気を取られるらしい。
それを言えば私もだ。音楽に気を取られて、肝心のセリフを聞き漏らすことが多々ある。
「そっかぁ....あのメガネ、ミッドナイト先生のだよね。好きやったから、結構残念かも。」

私達は、夜中になると時折電話を繋いで作業をする。
私は作曲を。
友人はイラストを。
いつか、私の音楽に友人のイラストのMVでYouTuberになりたいね。VTuberでもいいね。
そんな、絵空事を並べながら、私たちの深夜は過ぎていく。

1/23/2026, 10:18:34 AM

こんな夢を見た

彼が、笑っている。
幸せそうに、笑っている。
私をぎゅっと抱きしめて、こう言った。
「二人で幸せにしてあげよ。」
私はお腹に手を当てて、まだ感じない胎動を感じようとする。
彼は私の手に上から添えて、嬉しそうに笑う。
まだ現実味を感じない私は、不思議な気分だった。私の中に、新しい命がいる。それが、まだ実感がない。
でも、彼が嬉しそうで、それが全てだった。
「幸せに、しようね。」
お金のことや、結婚。考えないといけないことは沢山ある。
でも、今は。
この新しい命の誕生を、素直に祝ってあげたい。

アラームで目を覚ます。
私の目からは、涙が出てくる。
間違いがないように、釘を指していた。だから、こんなことは起きるはずもなかった。
でも、間違いがあれば、今もまだ彼の隣にいられたのだろうか。

1/22/2026, 10:06:22 AM

タイムマシーン

小学生に上がる前の冬、私は机を買ってもらった。
白い机。
気に入った。

机の下に入るタイヤ付きの引き出しもある。
下段には教科書を。
中段には予備の文房具を。
上段にはよく使う文房具を。
母と引き出しの中に整理して入れた。

そして、母が部屋から居なくなると、私は上段の中身を全て出した。
空っぽになった上段を引き出しに戻して、私はニヤニヤした。

ある日突然、ネコ型ロボットが現れるのを信じてた。
そんな頃が、私にもあった。

1/20/2026, 11:52:37 AM

海の底

「あたし、クラゲになりたいの。」
そう、彼女は言った。
クラゲが好きな彼女が、そう言った。
「クラゲって、脳みそがないの。ただ、海の中をぷかぷか浮いてるだけ。」
それが好きなのだと、彼女は言った。

脳みそが無ければ何も考えられない。
何も、考えずにいられる。
だからクラゲになりたい。

その言葉は、彼女のSOSに感じた。
もう、何も考えたくないという、心の叫びに聞こえた。
海の底で、何も見たくないのかもしれない。

「私は、カラスになりたい。」
海にも、山にも、都会にも。どこにでもいるカラス。
カラスになれば、どこへだって飛んで行けると思うからだ。

どこかへ消えてしまいたい私と、考えることに疲れた彼女。
似ているけど、似ていない。そんな私たちの、たわいない会話だった。

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