『My Heart』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『My Heart』
最近心がぎゅーって
なって苦しい、、
息もできないぐらい
苦しくて
しんどくて
過呼吸まで起こす、、
今日は桜を見に行った
でも、下ばかり向いて歩いてた
そしたら、そしたらね
道の端っこに
まだ形を残した
一輪の桜の花が落ちていた
きっと風に吹かれて落ちたんだろうね
下ばかり見てても
小さないいことがあった
下ばかり見てても
お花は見つけられる
きっと今日
道の端っこで見つけた
一輪の桜の花のように
足元に落ちていたり
足元に咲いていたりする
お花は
上ばかり向いていては
見つけられない
下ばかり向いているから
見つけることができるんだよ
下ばかり向いて歩くと
顔を上げなさいって
言われるけど
下ばかり向いているからこそ
見つけられる幸せもある
逆に上ばかり向いていると
いいことも悪いことも
全部、全部
視界に入ってくる
下を向いてもいいんだよ
上ばかり向いて
歩こうとしなくていい
きっと
上を向いて歩こう
とばっかり思っていたら
見たくないものまで
見えて疲れちゃうから
下を向くのも大事
My Heart_
私は学校で超人気者よ!
家でも家族にチヤホヤされるの!
どこに行ったって周りが私に視線を向ける!
とっても幸せ!
私は誰よりも可愛くて魅力的な子なのよ!
私より可愛い子なんていないわ!
毎日友達と遊んで
大好きなお菓子作りをして
たーっくさん寝て
楽しい毎日を送るの!
こんなに楽しいなんて最高よ!
私ってどうしてこんなに優秀なのかしら!
「私が世界で1番楽しんでるわ!」
そう毎日自分に言いかけてたのよ
でも、もう限界みたいですの
…笑える
しとしとと雨が降り続く中
君は約束通り花見の名所へ連れて行ってくれた
桜色の傘を半分に分け合って歩き
君は時々立ち止まっては
綺麗、と桜を愛でていたけれど
僕の胸の高鳴りは違う方向へ向いていた
ああこの時の何と儚く美しいものか
これほどまでに離れ難いものかと
一人こっそり永遠を願ったものだ
泣きそうなくらいに幸せだったのだ
願わくば
僕の心がいつか灰になった時
何も知らぬままに泣いてください
そのために今の僕の胸の痛みがあるのです
My Heart
「人の心はどこに宿るのだろうか。なんていう使い古された問いに対して今更ボクなんかが言葉を重ねる必要などないくらいには、様々な立場や考えの学者の皆様が散々議論を重ねて来たのだろうけどさ。やはりボクとしてもそれは折に触れて考えたくなる話題なわけだよ。キミも一度くらいは考えたことくらいあるだろう?やぁ、いい朝だねダーリン」
出会い頭、挨拶の枕詞にしては長すぎる台詞を1度も噛まずにすらすら述べる目の前の女に、僕は目を見開き、固まる。…そして数秒を使って何とか脳を動かして状況を理解。嘆息を返した。
「なんだいなんだい、景気悪いね。やなことでもあった?」
「目覚めたら自室に招いた覚えのない女が布団に潜り込んでいて、しかも寝起きの頭に訳の分からない前置きを長文でつらつらぶち込んでくるんだ」
「それは災難だったね」
「お前のことだよ」
そいつは失敬!なんて言って布団からするりと抜け出した彼女はへらへら楽しそうに笑っている。
「話の続きは朝食の席でしようか。ボクはジャパニーズブレックファスト定番の納豆ご飯でいいよ。お腹ぺこぺこだからなるはやでよろしく」
「飯までたかる気か…?てか作るの僕かよ」
僕が用意した朝食にありつきながら、彼女は「さっきの話の続きだけどね」と僕の注意を集めようと箸を向けてカチカチ鳴らしてくる。
「箸でこっち指すな行儀悪い」
それを軽く手で押さえながら、仕方なしに聞く姿勢を取る。基本的にこの女は自分のやりたいことはやりきる性分だ。しっかり話を聞かない限りずっと隣で何かを言い続けるだろうからトータルで見てしっかり話を聞いてやる方が効率が良い。
「他の派閥もいるだろうけどね。心の在処については脳、心臓、体という器の中、魂と呼ばれる部位の中…基本的にこの4つが有力候補だろう。その中の魂派は、その21gを証明する手立てがほぼなく、そのことから魂派の者の主張は精神論にならざるを得ずに、悔しいが一番論拠が薄かった。でもね、それは昨日までの話さ。ボクはついに真実に辿りついてしまったんだ。そう、魂はある」
「何でもいいから食べながら喋るな。米粒飛ぶから」
そいつは失敬!なんて言って飛んだ米粒を拾い集めてひょいぱくと口に突っ込む彼女。先程も含めて、多分失敬なんて思っていないだろう。
「ふう、ところでダーリン。僕の理論を完璧にするには1つ前提が必要なんだけども」
そして彼女は
「なんでキミは朝からボクに聞いてこないんだい?「キミって昨日死んだよね?なんでここにいるの?」ってさ」
天気の話くらい気軽に、易々と僕の地雷を踏み抜いた。
「…何言ってるんだよ現にお前は、目の前に」
「分かってるくせに。まあ説明して欲しいんだね?いいとも。ボクのこれは死体だよ。魔力でコーティングして腐らないように。魔力を流して動いているように見せているだけの機能停止した廃棄物さ。いやぁ死んでから魔女になるとは思ってなかったけど、昨日まで自分になかったはずの魔力でも案外使ってみれば出来るもんだね?」
まあ動かすのに1晩かかっちゃったけども。と、彼女…僕の目の前で昨日脳漿を撒き散らして死んだはずの恋人は、昨日までと何ら変わらない笑顔をへらりと浮かべた。
「で、さっきの話に戻るとね。今って動いて見せてるけど言わば糸で操る人形みたいなものでさ。脳も動いてなければ、心臓の鼓動もなくて、外殻だって生命活動が何もないただの肉塊と何ら変わらないものになってしまった。多分今ボクと言えるものはこの魂のみ。だけど今ボクは魔法を操れるし、考えることもできるし、昨日と同じようにキミを愛していると確信できる。ということはやはり心と言えるものは魂に紐ついていたのだと、まあそう結論付けたというわけさ」
正直、昨日から僕の頭はそれほど働いていない。脳が処理を拒んでいたからだ。でも、これだけは言える、いや言っていいんだよな、と僕は緊張で乾ききった唇を舐めて湿らせながら恐る恐る声を出した。
「…でも、だったら。お前は死んだ、けど、これからも今までと変わらず僕のそばにいるってことだ、そうだろ?」
うんそうだよ。となんてこともないように気軽に返事をしてくれる、そう信じて疑わない僕を
「うーん、そうだと言いたいところなんだけど。それに答えるためにまずボクが聞きたいんだよね。ねぇダーリン」
またも彼女はどん底へと突き落とすのだ。
「キミさ、キミの魔法でボクのこと作ったりしてないかい?ダーリン…じゃなくて鬼灯と虚構の魔女」
僕の通り名を久々に口にした彼女は、朝目覚めて一番に考えた可能性を僕に再度突きつけていた。いなくなったはずの恋人がいる、そんな奇跡あるはずない。
虚構の魔女。固有魔法は「在るはずのないものを在ると偽る」能力である。
「もちろん、キミが何もしていないというのなら正真正銘ここにいるのはボクさ。タッチの差で魔女になれたから上手いことこの世にしがみつけた超絶ラッキーなボク。だから先程の問いにもいくらでも頷くよ、今日を過ぎてもずっとキミと一緒にいよう。魂とやらが摩耗して消えるその時まで。約束だ」
「でもね、これでキミがボク恋しさに無意識で「ゾンビ風になって蘇ったボク」を作り出してしまったならそもそも先程の理論は何一つ意味がなくなる。だって魂も何もないこういう風に話して笑って過ごすだろうなってキミが思うボクの幻影なんだもの。約束だってできないさ、だってそれならもう本当のボクはいないってことになるんだもの」
「だからキミに聞きたいんだよ虚構の魔女。キミはボクに魔法を使ったかい?」
そう言い連ねる彼女に僕は喘ぐようにして小さな反論をする。そうだ、この子も魔女になったのだから。
「お前も魔女になった…そう言ったじゃないか。そうしたらセフィロトに登録されて今頃大図書館にお前の名前の本があるはず…流石に僕の能力だって不可侵の大図書館までは変質させることはできないはずだ。だったら、お前が魔女になった、その事実でお前の存在を証明出来る」
そんな僕に
「うん、まあ見に行ってもいいんだけどね。ボクの魔女名言ったっけ?言ってなかったかな?…では改めてボクの名前は「虚像の魔女」。キミたち魔女の通り名は必ず2つの要素で構成させてると前に言っていたじゃないか。じゃあボクは何故不完全にも1つの…しかも虚像なんて名前なんだろうね」
彼女…虚像の魔女は少し寂しそうに微笑んだ。
*
後にセフィロトに向かうも、やはり本には虚像の魔女としか書いておらず、司書をしている魔女たちも全員首をかしげた。
そして僕は、彼女…虚像の魔女の存在が僕の魔法によるものかを疑いながらも、それでもどうしたって本人としか思えない彼女を愛さずにはいられずに。
ここから、虚像の魔女の心の実在を証明するための長い長い日々が始まったのだ。
『あの詩人』
逆さの蝙蝠傘のような心持ち 生春巻を食べながら
あの詩人の詩を思い浮かべる 誰もが詩人であるけれど あの詩人はやはり良い なんか良い 私の心に挨拶もなしに上がりこんできたのに 嫌な感じがしない
許してしまって良いのだろうか ひと言忠告すべきだろうか 私の道徳心が天秤でシーソーを始めたようだ
私の心臓から出る黒い霧の化け物
もうとっくに、幼い頃に、みんなは同じ化け物を倒してしまったから気が付かないのね
あるいは、無視できるほどに押さえ込んでるか
私は違った
見てよこいつ
あまりに変わりすぎて、よく見てもそれと気が付かないでしょう
いや、もうみんなには見えてないんだ
黒くて大きい化け物が
私の全身を締め付けているのが
これのせいで動けないんだよね
これがみんなと同じ高さのハードルを飛べない理由
ああ、信じないぞ、って顔してるね
そうだ、そうだよね
見えないんだもんね
私だけか
私だけか
いや、みんなにもいるのかも
みんなが強くて抑え込めてるだけで
こいつ、生殺しが好きみたい
全然私の息の根を止めてくれないの
私が死ぬまで、私の心臓の鼓動を触媒に
存在し続ける化け物
「マイ・ハート」って、名付けたの
そろそろ、他人すら傷つけるようになるわ
だから、私、お別れを言いに来たの
ごっ、とぶつかる音がして刃先が止まった。
体の芯まで衝撃がひびく。目の前が真っ白になる。息は荒く、汗がどっと噴きでて手がぬめった。
一瞬何もかも忘れてしまいそうになる。慌てて自分をひきもどす。
思考がぱちりと止まってしまったのは痛みだけのせいじゃない。いいや、痛みなんてほとんど感じていない。脳の中で物質が飛び交っていて、わたしの感情はほとんどよろこびに傾いている。
あなたの頬に血が飛ぶ。青ざめた頬に赤色が映えて、その赤がわたしのものだと思えば嬉しくて、けれどやっぱりそんなもの付いていないほうがあなたは綺麗だ。
包丁を放り投げて、こちらを見つめて固まってしまったあなたの手を取った。血の気がひいて冷たい指先を、わたしの胸の中へ導く。肋の隙間を通して、やわいところへ。
早鐘を打つ、という言葉通りにわたしの心臓はすさまじいスピードで脈打っていた。あなたに触れられているから。まだ冷たい気がするけれど、きっとすぐにあたたかくなる。
ねえ、これでわたしの想いは分かってくれるよね。
しっかり
こねこね こねこね
まーるく
くるくる くるくる
お手玉
ペッタン ペッタン
仕上げの形は
ハート型
召しませ特製ハンバーグ
My Heart
重い
重い
重い
朝起きて日が鬱陶しいから 瞬きもする気が起きない
鼻が詰まってる
目覚めない
部屋を回る風も詰まる
蟠りがある 泡沫みたいに消えればいいのに
猫が擦り寄ってきて私の膝に座った
かわいい
少し軽くなる
絵を描く
木炭が削られる音を聞きながら木炭紙の摩擦を感じて また少し軽くなる
母の嘔吐の嘔吐く声が聞こえる
あの憎い母の。 滝が降ってきたみたいに重くなる
正直母が苦しんでいるのは愉快だ もっと苦しめばいい
でも軽くならない
父と2人の夕飯、明るい話は無い 酸化した空気を感じるだけ
重くなる
重すぎてきっともう何周もしている
何も感じない
それは嘘 そうであって欲しいだけだ そうなら、楽だから。 不安定ななくていいものだ
お題 「My Hart」
僅かに毛が生えてる?ってこともあれば
やっぱりツルッツルかも…
てこともあるよ。
まぁ基本ガードは固いね。
なかなか心から打ち解けることはないな。
きっかけは些細なこと。
出会った次の日に遠くから車飛ばして
大きなバラの花束貰ってみ?
マッハのごとく雪解けよ。
其れが始まり。
そして今がある。
My Heart
My Heartを揺さぶるもの
探し続けたい
私の心は、もうとっくに決まっている。
多分これは、運命の恋だ!
そうと決まれば私は告白するしかない!!
大好きなあの人へ!!!
――きっとこれは、産まれる前から決まっていたこと。
運命の導きが、私とあなたを結び付けてくれたの。
私はそう信じる。
まぁそれでも、あなたの心を聞くのは、ちょっと怖いけどね……
〜My Heart〜
形を失った肉塊が、バッテリーに繋がれて自動的に脈打っているだけのような
培養液に封じられ脆いガラスに守られたような
使い勝手の悪い可動式の入れ物の中で、ただ生きることだけを望んでいる、不安定で行き場のない物質
温度の変わるガスのようなもの
#My Heart
僕は僕の人生を受け入れるしかなくて
君の人生にも踏み込むこともできなくて
結局僕らは
ずっと孤独なまま
この世に生まれ落ち
生きていくしかないのだと
生まれた瞬間に
声をあげて泣くのは
この世界の
絶望も希望も
全て纏って生きていく覚悟を
決めるためなのだ
心は
たぶん、ずっと、ギリギリ…
今の仕事は、あと1年頑張る。
今の楽しみは、8月で終える。
期限を決めることで
心にハンドルの遊びをつくる
心のコントロールは大切。
自分の舵は自分で取る。
テーマ「My Heart」
My Heart
It is very important
If it breaks, the daily life will perish
But、
My heart is strong!
I won't lose!
自分の気持ちも人の気持ちも分からない。何故だろう?頑張って考えたり、理解しようとするのに、理解できない。分からない。どうすれば良いだろう?誰かに聞けば教えて貰えるだろうか?でも、聞いたら嫌われるかもしれない。1度だけ家族に聞いてみた。気味悪がられた。拒絶された。人に嫌われたくない。拒絶されたくない。だけど、このままじゃいけない。心理学の本を読もうか?演劇の本を読もうか?それとも、普通の文学書の方が良いだろうか?
だが、それを考えながらこんな考えも浮かんだ。「どうすれば良いのか?」、これも感情というものじゃないか?いや、小説などを読んだだけの知識だが、そこでは、人は「どうすれば良いのか」これを『思考』と呼び、「楽しい」などのものを『感情』と呼ぶ。故にこれは恐らく思考である。
教師ができた。自分と同い年と言うから高校1年生だろうと推測する。この人は男とも女とも分からない。中性的と言うやつだ。だが、この人は人間の感情とやらを教えてくれるらしい。「自分も人間なのに感情が分からない」こう言うと、「だから私が教えるのです。」と言われた。「不思議な感覚だ」こう伝えると、「それも感情ですよ。これからそれがどんな感情か考えてみましょう。」これが教師との最初の会話だった。そして、半年ほど感情について学び、理解することができた。嬉しかった。
#My.Heart
My Heart
「本当に入れんのか? まあ、胸ならなかなか見えることはねえと思うが」
刺青師にそう聞かれた。
「はい、大丈夫です。早くお願いいします」
「そうか。…始めるぞ」
ああ、これでやっと僕の体にも心がある。僕にも心があることになるんだ。
「終わったぞ」
「ありがとうごさいました」
「本当に後悔はないのか」
「そんなもの、あるわけないじゃないですか」
胸から少しの痛みはあるものの今の僕の興奮からか、大した痛みは感じなかった。
僕はついにこれが僕の体に刻まれた満足感で満たせれ、今までの苦痛を思い出していた。今ではあの頃もどうでも良くなってくる。乗り越えた気がする。
僕は昔から感情の起伏が限りなくゼロだった。小さい頃から泣くことはほとんど無く、笑うことも、怒ることも、悲しむことも、苛立つことも、恋による感情の昂ぶりも、何もなかった。
そのせいで幼稚園・小中学校は気味が悪いと言われ、「すまし顔が腹立つ」と言われいじめを受けた。こいつは何も感じないから何をやってもいい。あいつらはいつもそう言っていた。あいつらもバカではなかったから、後が残るものは服で見えない部分だけにされた。それ以外のいじめは正直あからさまで普通に生きていた人間ならわかるはずだ。それなのに学校の先生は絶対に注意することはなかった。
それに、両親も僕に冷たかった。まあそれはそうか、小さい頃から全く泣かず、喜んではしゃぐことはない。かつ、それを不審に思って病院に行ってもどこの医者も「異常なし」だった。僕の家はお金だけはあったから、本当に色々な病院施設をまわった。それでも、結果は出なかった。
何かしら僕に異常があった方がまだ僕の人生はマシだったかもしれないと思っている。両親もそう思っていたことだろう。この僕の異常が病気である方が安心しただろうと思っている。人間は不確定なものを怖がるから。
僕が病気でも何でもないとわかった頃、両親の仲がさらに悪くなった。原因は十中八九僕だった。「お前の教育が悪い」だの、「貴方が私達をほったらかしにするのが悪い」だの、
そんな喧嘩をご丁寧に僕の前に毎日のようにやっていた。そんな最悪な状況の中、妹が生まれた。
そこから家族の状況は一気に良くなった。僕を除いた僕の家族が、だ。
僕の妹はよく泣き、よく笑い、よく悲しみ、よく喜ぶ、そんな子だった。まるで僕の分の感情を持って生まれた、僕の落とした感情を全て拾って生まれてきたといってもおかしくない程、感情が大きく動く子だった。
そんな妹は両親にすごくすごく、それはそれは可愛がられた。僕の分の愛を注げられているようにも見えた。
そして、僕の両親からの愛と関心が完全になくなった。愛はもはや最初からなかったかもしれない。
だから、僕がいじめられて傷だらけになっても気が付かなかったんだろうね。
「あはは、本当に悲惨な人生。うけんね」
誰も居ない部屋で一人何もせず、ただただ惰性を謳歌する。僕は高校進学と同時に家を追い出された。追い出されたと言っても、お金は毎日振り込まれるし、家賃も払ってもらっている。きっと、あの家族の中で僕は邪魔者だったんだろう。
自分の胸に手をあてる。…うん、僕の心は動いている。
あの刺青師の顔、あの顔はなんだったのだろう。今まで僕はあんな顔見たことはなかった。
これまで僕に向けられた顔にあんな表情を向けられたことはなかった。いつも僕に向けられる表情は、侮蔑や軽蔑、同情、苛立ち、恐怖、嫌悪、罪悪感、…悲しみ。
そうだ、彼の表情は悲しみの顔に似ていた。あの時の母親と、同じ顔。そうか、悲しかったのか。彼は悲しかったのか。でもどうして? …わからない。それに彼の顔には悲しさ以外の何かがあった、気がした。まあどういいか、別に。僕には関係ないし。
「はあ、明日学校に行かなくちゃ…。嫌だなぁ」
高校は今までとは違って僕をいじめる人間は居なかった。だれも僕を見てはいなかった。
僕のもともとない心が凍った感じがした。
そんな僕のターニングポイントになったのは一人の女の子だった。運命だと思った。
彼女を見た瞬間、僕の心が、その時をもって誕生したんだ。その瞬間から僕の人生は始まるんだ、そんな気分にすらなった。
このときから僕の心はここに存在したんだ。この、入れ墨をいれたここに。確かに存在しているんだ。
彼女に振られるまでは。
僕は彼女にすぐにコンタクトを取りに行った。僕は人と話した経験がまともになかったから、本当にひどい有様だったと思う。普段話さないから声もガサガサ、目をまともにあわすことは出来ない、すぐにどもってモジモジしてしまったり、見た目に気を使うなんてことはしたことはなかったから髪はボサボサで、本当に酷かったと思う。
実際に、彼女のすぐ横に居た女の子は僕を見てギョッとしていた。
でも、彼女は違った。彼女はこんな僕に対して優しく接してくれた。しかも名前も覚えていてくれたんだ。そして彼女は「ずっと話してみたかった」って僕に言ったんだ。
僕はとても嬉しかった。こんな僕にこんな風に接してくれる人間は初めてだったんだ。
そこから僕は変わった。まずは髪を切りに行ったんだ。本当は人に髪を切ってもらうなんてことは怖かったけど、彼女のために勇気を出して行ったんだ。
でも思っていたより怖くはなくて、僕は少し自信がついたんだ。そして会話をもっとちゃんと出来るようにするために会話の練習を始めたんだ。一人で会話をすることが出来ないから、ぬいぐるみを買って。彼女の名前をつけて毎日会話をしたんだ。おかげでそれなりに会話が出来るようになった気がした。
その他にの色々、自分磨き?をした。僕がそうやって色々やっている間も、彼女は僕とお話をしてくれたんだ。髪を切った後に会いに行けば、かっこいいと褒めてくれた。
僕が新しいことに挑戦すれば応援し、出来るようになれば褒めてくれた。それだけでも嬉しかったのに、彼女は僕に色々なことを教えてくれたんだ。
勉強や言葉使いや、寄り道なんかも教えてくれた。僕は今まで学校と病院以外に外に出ることはなかったから、毎日が新しいの連続だった。周りの目が少し鋭くなった気がしたけれど、そんなことが気にならないくらいには毎日充実していたんだ。それに、周りの目が鋭い気がするといっても、彼女のクラスの人達は僕に優しくするようになったんだ。
でも、そんな日々は長くは続かなかった。
僕はしばらく経った後、彼女に告白をしようとしたんだ。彼女が教えてくれた本を読んだんだ。彼女の教えてくれた本は、好きになった相手に告白をして付き合うというという本だった。恋愛小説? というジャンルの本らしい。
好きという感情はよくわからなかった。だけど僕はきっと彼女が好きなんだと思った。だから、告白しようと思った。
だから彼女との約束を破って、彼女に会いに行ったんだ。
「私から君に会いにいくから、君は私を待ってて。君は私を呼びに来ないでね」
これが僕と彼女の約束だった。この彼女の会いに行く時間とは放課後のことだった。でも、僕はお昼休みに彼女に会いに行ったんだ。
僕は彼女と「放課後デート」をしてみたかったんだ。告白は大事な、一大事なことだって学んだから、髪の毛もセットした。
彼女のいる教室に近づくにつれ、彼女と彼女の友達のよく通る声が少しづつ聞こえてきた。
僕の心は抑えきれないくらい、飛び出しそうなくらい動いていた。
彼女たちが何を話しているか聞こえるくらいの距離になった。
そこで聞こえてきたのは信じれられない言葉たちだった。
「てかさ、あんたまだあいつのこと連れ回してんの?」
「当たり前じゃーん。てか、本番はこれからだしぃ。みんなもありがとねー、うちの遊びに付き合ってくれてぇ」
あいつ? 遊び? なんだろうか。
僕は彼女の教室のちょっと前で立ち止まった。
「別に良いってことよ。だけど、なんか面白いことあったら共有してよね〜?」
「それな!」
クラスの誰かがそういった。
「実際まじであいつちょろいんだよねぇ。最初話しかけられたときはびっくりしたんだけどさ、あいつん家金持ちなこと咄嗟に思い出してさぁ」
「あー確かそうだったよな」
「そうそう。だから仲良くしておこーって思ってさ。そしたらもうびっくりよ。あいつ、私になんでも奢ってくれんの。あいつあたしにほれてるかもねー」
「まじかよ、うらやま」
「あんたには無理よ。だっけあんた中学の頃のいじめの主犯格じゃん。ばれるって」
いじめ、中学、その言葉が僕の頭を通過した。
「まじかー。てかあんたなんでバレてないわけ?」
「あたし親のあれで苗字変わってからさ。あいつの前で喋ったこととかほぼないしー。いっつも下向いてたから顔もロクに見らられてなかったかんねー」
僕は気がついたら、彼女のクラスのドアに手をかけていた。
「それでさー…」
「ねえ、どういうことなの? 今の話」
「は? 今の話ってそりゃあ、あの大まぬけの…ってあれ。なんでここにいんの?」
「なんでって、今はそんなことどうでもいいでしょ…? ねえ、どうして? 僕のことを…騙してたの?」
僕がそういった瞬間、彼女のクラスの人が僕を嘲笑った。
「ウケる、逆に今まで気がついてなかったんだぁ。そうだよあんたが金持ちだって知ってたからさ、だからわざわざお前みたいな気味が悪い怪物に対してあんなに優しくしてやってたの」
僕の心が、さめていく気がした。
「やばっ、全部いっちゃってんじゃーん」
「いいのいいの。そろそろめんどくなってきてたし。次のカモに変えよかなって思ってたとこだしねー」
「ねえ、…ねえ!」
僕が大声を出して話しかけると彼女は僕をうざそうに見た。
「え、まだ居たの? 何? 何の用? てかその髪型ウケるんだけど。何? そんな決めちゃってさ。あ、まさか告白!? 私に? …ウケる、まさかとは思ったけどほんとにあたしに惚れてたんだねー。かわいそ」
その言葉を聞いた瞬間、僕は彼女のクラスを飛び出した。
そしてそのまま衝動のまま、入れ墨を入れにいった。
彼女によって誕生した僕の心が、死んでしまうような気がして。
だから、死ぬ前に、僕の心を僕に留めて置きたくて。
だから僕は、胸に僕の心、「My Heart」を刻んだんだ。
はあ、学校のために早く寝なきゃ。
ないものねだり
私は肌がきれいだ
くびれた腰に細い手足、顎もすっきりしている
住まいの広さに不自由はない
収納が多く、広いシンクが4つある使い勝手のいいキッチン。調理用のシンクが2つと洗い物用のシンクが2つだ。白菜を一玉調理してもストレスのない調理台を気持ちよく使っている
ごはんを食べる部屋には飲み物やデザートを入れる冷蔵庫がある。気分で食卓を選べるよう、椅子のテーブルと掘り炬燵の食卓がある
団欒の部屋もある
みんな寝そべるのが好きだから、ハンモックを設えた。もちろんソファーもある
子ども部屋は設けていないが、趣味の部屋がある
絵画の部屋、図書室兼パソコンルーム、防音室は音楽室、おもちゃの部屋
生活用品をしまう部屋もそれぞれある
衣装部屋、子どもの作品をしまう部屋、日用品を入れる部屋
来客が多いので、玄関にはたくさん靴を置けるようにした
子どもは趣味に打ち込んで活発、友だちが多い
宿題をさっと終わらせて、上手に自由時間を使っている
家の手伝いに積極的で身ぎれいだ
叱ることは滅多にない
旦那は恐縮してしまうくらいに家事をしてくれて、子どもたちとよく遊んでくれる
旦那が絵本を読むときは子どもと一緒に私も聞いている
家族みんなで仲良く暮らせていると思う
私も旦那も仕事が順調で、毎月決まった額を貯金できて、子どもたちの学費の準備くらいは終わっている
自分たちの老後を考えたら、もっと頑張らないとね
って言えるような暮らしをしてみたい!!
あれ、
どこにあるんだっけ
忘れた