シュテュンプケ

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 ごっ、とぶつかる音がして刃先が止まった。

 体の芯まで衝撃がひびく。目の前が真っ白になる。息は荒く、汗がどっと噴きでて手がぬめった。

 一瞬何もかも忘れてしまいそうになる。慌てて自分をひきもどす。

 思考がぱちりと止まってしまったのは痛みだけのせいじゃない。いいや、痛みなんてほとんど感じていない。脳の中で物質が飛び交っていて、わたしの感情はほとんどよろこびに傾いている。

 あなたの頬に血が飛ぶ。青ざめた頬に赤色が映えて、その赤がわたしのものだと思えば嬉しくて、けれどやっぱりそんなもの付いていないほうがあなたは綺麗だ。

 包丁を放り投げて、こちらを見つめて固まってしまったあなたの手を取った。血の気がひいて冷たい指先を、わたしの胸の中へ導く。肋の隙間を通して、やわいところへ。

 早鐘を打つ、という言葉通りにわたしの心臓はすさまじいスピードで脈打っていた。あなたに触れられているから。まだ冷たい気がするけれど、きっとすぐにあたたかくなる。

 ねえ、これでわたしの想いは分かってくれるよね。







3/27/2023, 3:53:14 PM