『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
1つだけ、なんでも手に入れられるなら何が欲しい?
「世界。」
予想外の規模の大きさ。冗談を言っているのか、本気なのかは目を見れば分かるけれど、それにしたって世界なんて。
「1つだけ、とかセコくないか。おれには欲しいものがたくさんある。1つだけじゃ満足できない。」
おまえだけで満足、とは言ってくれないの。
「それはおまえの気持ち?それとも存在?」
……どっちも。
「ふざけんなよ。おまえと過ごすためには生きなきゃならない。一緒に過ごす時間も、金もいる。全然足りない。」
だから世界なの?
「世界だ。おまえだけで満足しろって言われて、はいって言えるような出来た人間じゃないんでね。おれはおまえも、その他も全部欲しい。」
まさに俺様。ジコチュー。子供みたい。
「なんとでも言えよ。おれは諦めねぇから。」
知ってる。
「なら、いい」
にぎられた手のひらが、じんわり熱くなった気がした。
「願いごと一つだけ」
「一つだけ 選んで」
なんて特別で贅沢な響きだろう
選ばれたものたちのこの上ない愛しさよ
1:一つだけ
「去年の3月1日から、1つだけずっと続けてる縛り設定といえば、登場人物約1名の『性別を明確にしない』なんだわ。面倒だけど、まぁまぁ、楽しいぜ」
最初は「こいつを男にするか女にするかまだ決めてない」だったんだがな。1年経って、今はもう意地な。
某所在住物書きは過去作を辿りながらポツリ。
現代ネタの連載風として書き続けてきた人物の、これまで一度もHeもSheも決めていないことを、今更ながら再認識している。
「他に投稿のとき自分で決めてる縛りといえば、『指示語等々を多用しないこと』かなぁ」
物書きは言った。
「『彼』、『彼女』、『アレ』、『それ』。指示語は結構便利だから、多用しちまうのよ。あと『◯◯と言った』、『◯◯と鳴った』の『と』とか。
……まぁ結局頼り過ぎちまって、執筆後に大量に削る作業が残るワケだけど」
――――――
せっかく桜が咲いたのに、東京は今日も曇り空。
明日は雨予報だし、土日も雨か曇りだし、
呟きックスのフォロワーさんの中には、東京を脱出して晴れ空の桜を撮りに行くんだって、今後の予定をポスってる人までいる。
私はといえば、今日も明日も、明後日の午前中も、仕事しごとシゴト。
3月から支店に異動してきて、そこが来客のバチクソ少ないチルな支店で、
私はモンスターカスタマー様からも、おクソ上司様からもフリーな職場で、本店に居た時とほぼ同じような仕事を、ストレスフリーに捌いてる。
1つだけ不満があるとすれば「先輩」だ。
3月にこの支店に異動になるまで、ずっと、数年間仕事を一緒にしてた、藤森っていう先輩だ。
先輩も3月でどこかに異動になって、でもその「どこか」が分からない。
先輩の異動にはアレコレ云々、去年の夏頃から続く一連の面倒があるんだけど、ここでは割愛する。
メタいハナシをすると過去投稿分、3月30日と31日頃のやつを参照すると面倒の一端が垣間見えると思うけど、まぁまぁ、気にしない。
ともかく、長年一緒に仕事してた先輩が行方不明。
これだ。1つだけ不満があるとすれば、これなのだ。
「後輩ちゃん後輩ちゃん。本店の総務課からメール来てるよ。印刷しといたよ」
「ヘイ付烏月さん面倒だから読んで」
「ピロン。俺附子山だよ後輩ちゃん」
「それ言ったら私あなたの後輩じゃないですけど、そこんとこどうなんですかツウキさん」
「本日の自家製おやつ、1つだけ選べるとしたらプチレモンタルトとプチタルトタタン、どっち?」
「レモンタルトください附子山さん」
もうすぐお昼休憩の頃。
私が2月まで居た本店の、同じ階の奥、いわゆるトップ直属ともいえる総務課からメールが届いた。
どうせ「今年もノルマもとい、営業目標達成目指して頑張りましょう」とかでしょ、
と思ったら、
昨日の例の地震と、今日の11時の東京23区震源の小さな揺れに関連付けて、近日中に少し防災訓練と、防災用備蓄の点検を行うって内容だった。
『大きな地震は、いつか必ず来ます』
そのメールの文面にすごく見覚えがあった。
『今回の訓練が、あなたの、あるいは、あなたの同僚やご家族の被災時の手助けになるかもしれません』
テンプレート・ナニソレな文章、小難しい表現を極力取っ払った言葉選び、
なにより、総務課特有の隠しきれないバチクソ小さな「俺等、お前等より偉いんだぜ」が無い。
『ご面倒と思いますが、ぜひ積極的な参加とフィードバックのご協力をお願いします』
それは2月まで一緒に仕事してた先輩が、本店から支店にメールを送るときの文面に、よく似てた。
先輩は総務課に居るのかもしれない。
トップ直属の総務課に。
「ハイ後輩ちゃん、タルトどーぞ」
「……」
「後輩ちゃん、こーはいちゃん?」
「……このメールのコピー貰うね」
「へ?」
先輩の文面によく似た、総務課から来たメール。
私にはそれが、今どこに居るとも知れない先輩の居場所を知るための、ただ1つだけの手がかりに見えた。
「あの、後輩ちゃん、見ましたのハンコ、サイン」
「ハンコならそっから持ってって」
「そーじゃなくて、あのね、それ社内文書……」
桜咲くこの季節に、新しい生活を始める。
親元を離れ、一人暮らしのワンルーム。
荷物の片付けを終えて、夜を迎える。
父親がビールを飲みながら見るナイターの歓声も、
母親が夕食後に食器を洗う水の音も聞こえない。
遠くから、街のどこかを走る救急車のサイレン。
コンビニ弁当をダンボール箱の上に置いて、
昨夜までとのギャップに心が沈んでゆく。
不安と寂しさ。
今はまだ知り合いもいないこの街で、
たった一人で生きてゆく。
遠く離れた故郷で暮らす両親の顔が思い浮かんだ。
自分が心身共に支えられていたことに気付く。
ただひとつだけ、今日という日に手に入れたもの。
どう生きていくかを選べる自由。
選択を誤れば、すべてが自分に返ってくる。
やっと、自分の時間が動き出したような気がする。
夜が深くなるにつれ、不安と寂しさにもうひとつ、
感謝が加わった。
両親に対する感謝、
こんな自分を受け入れてくれる世の中に対する感謝。
冷たい洗礼を食らう可能性もあるけど、
皆と同じスタートラインには立てた。
すべてはこれからの自分次第だ。
明日は仕事初日。
コンビニ弁当のゴミ分別も怠らずに、
今夜のところはダンボールベッドで夜を越えよう。
人生第二幕の扉が開く音を聴きながら、就寝。
一つだけ
昔から言われてた事がある
「ありがとう」と「ごめんなさい」を言えるようになりなさい。
何かあったらすぐ「ごめんなさい」と
何かして貰ったらすぐ「ありがとう」と
よくある定番の質問で、
「もしも、無人島へ行くとして、持って行けるものを1つ選ぶなら何が良いですか?」
というのがある。
ここで重要なのは、その無人島には、本当に自分1人だけなのか?他に誰かが存在するのか?である。
映画やドラマで「無人島もの」はいろいろあるが、誰か他の人が多勢いるパターンがたくさんある。
それは、どれも面白いストーリーになるのだけれど、他に誰かがいる時点でもう、無人島とは言えないと思うから、それは無し、本当に本当の1人暮しを想定して、
さて、1つ選ぶなら何だろう?
私なら、あんがい聖書かも知れないと思っている。私はクリスチャンではないし、ブッタが好きなのだが、聖書は単純に読み物として面白いと思うし、厚みがあるし、想像力を刺激してくれるからだ。いろいろな読み方が出来るから飽きないだろう。
まあ、良く切れるナイフというのも便利そうだし、ライターが1個あればそれも捨て難いのだが。…
自然の豊かな島であれば、何とかサバイバル出来そうな自信はあるのだが。
あの、持ち物を何も捨てない みうらじゅんだったら何を選ぶだろうかと一瞬考えたが、すぐに分かった。
たぶん、ラブドールだろう。いつも隣にはべらせている、等身大の、若い女性の人形だ。
それは20万円くらいする(今はもっと高いかも?)ソフトビニール製の人形で、人形だもの、と言うより、もう、ほぼ人間だものと評して良い代物らしい。
これがあれば(いや、居ればか?)もう、無人島も寂しくない。
いや、冗談でなく。トム・ハンクス主演の映画『キャスト・アゥエイ』は、主人公が、飛行機事故により、たった1人で無人島生活を送る設定だが、
ここで主人公は、何とかサバイバルに成功するけれども、どうにもならないのが人恋しさなのだ。
寂しさのあまり、バレーボールに血で顔を描いて、名前を付けて話しをして、必死に紛らわそうとするのである。
だから、ラブドールはぜんぜん有りの選択肢である。
聖書と、ナイフと、ラブドール……
うーん、
ラブドールだよな、やっぱし。
一つだけの輝く星。遠くに在りし夢の跡。
深く胸に刻み込む、希望の煌めき。
一つだけだけど、輝きは満ち溢れている。
#12
「1つだけ」と聞くと、教科書に載っていた「一輪の花」
を思い出す。初めて読む、戦時中を舞台にした話。今では、「1個ちょうだい」なんて簡単に言えるけれど、時代によってはその1個でさえ贅沢だったりするということを学んだ。みんなあの話は印象的だったのか、一時期はおにぎりを「おじぎり」とみんなで呼んでいた。『一つだけちょうだい。おじぎり、一つだけちょうだい。』話にでてきた女の子の言葉は何故かいつまでも覚えている。
(テーマ:1つだけ/キツネ)
1つだけ
生まれてきて良かったと
思える日は 何日あるだろうか
今でさえ
涙が止まらず 心の弱さと
戦っている
誰もが持つストレスに
強い人も沢山いるのに
どうして自分は
こんなにも弱いのか
叶うなら
1つだけ 願いたい
しなやかな心を
作るだけの強さを 持ちたい
この広い世界において、単体での強さに比肩するもののない生物が、竜である。
人が容易に立ち入れぬ深い樹海を抜け、今まで誰も橋をかけることの出来ていない深く長い断崖の向こう、世の誰もが霊峰と呼ぶひときわ高い山のどこかに、竜とそのつがいの集落があると言われている。
(眉唾ものだ、と思っている者もいるが、三つのキャラバンと四人の優秀な護衛を失い、自らも片足を失いながらも孵る前の竜の卵をその集落から盗み出した富豪がおり、持ち帰って三日の後、竜の怒りによって富豪の住む街は半壊の憂き目に遭ったという歴史からその集落の存在を信ずる者は多いという)
その、存在が御伽噺のような竜の集落の中、小さな小屋の中で、人に化けた一匹の竜と、ひとりの人の子が向かい合っていた。
柔らかな午後の陽射しが簡素なつくりの窓から差し込み、香草茶の湯気を照らしている。優しい、けれど独特の香りを立ち上らせるそれを一口飲んで、竜は少しだけ目を細めた。
「……苦い。時間を間違えた」
無理に飲むなと言う竜の言葉を聞いているのかいないのか、人の子が香草茶を飲む。表情を変えぬその様子を見て、竜はゆるやかに口を開く。
「…で、だ。竜種がどうしてこんな集落を、という話だが。端的に言えば竜種以外のつがいのためだ。我々は肉体も精神も強靭だ。一匹で永きを生きる為に“そうできている”と言う方が正しいだろう。だが、竜種以外の生き物はそうではない。つがいとだけ過ごす永きに耐えうる精神がない」
エルフなぞの長命の種は別だろうが、と竜が続ける。人の子が、その碧眼を瞬かせた。
「気が触れたり、石のように眠るつがいに悩む竜たちに、ある時、人の世の観察が趣味であった竜が提案したそうだ。『竜種以外のつがいを持つもので集落を作ればいい』と」
「…それは、すんなりいった?」
「どの程度をそう言うのかは知らんが。まぁ、家を建てる以外は案外すんなり行ったのではないか?」
言いながら、竜は外を見る。人の子もつられて外に視線を向けた。陽の光の中、きゃあきゃあと嬌声を上げながら、小さな竜と二つ足で駆ける獣の子がじゃれあっている。その向こうでは、人に化けた竜の娘と人の娘が香りの強い花を麻布の上に広げて干している。野良仕事を終えた獣人は木陰に座って駆け回る我が子を眺めていた。
──窓の外には、日常生活が広がっている。何者かがそれを脅かす可能性など誰も考えてない、穏やかな光景だ。
「…そう。きっと、そうなんだろうね」
人の子が、香草茶の入ったカップをそっと机に置く。
「竜は、何でも持ってるね」
今日の天気が晴れであることを告げるのと同じ響きで、人の子が言う。
窓の外を見ていた竜は、人の子を見た後、香草茶を飲み干してからカップを机に置いた。
「何でもは持っていない。我々には、生まれてから永らくの間、与えられぬものがひとつだけある。お前たち、か弱き短命のものはほとんどが母の手を離れられぬうちに与えられるのに、だ」
「…そんなものが、あるの?」
「ある」
人の子の碧眼、感情の見えない目が真っ直ぐに竜を見ていた。竜は、氷のような薄い青でそれを受け止める。口の端に、僅かに笑みを張り付けて。
「名前だ」
「名前?」
そんなものが?と人の子が首を傾げる。同じく名のないお前にはわからないだろうが、と竜の笑みが深くなる。
「名前とは命の輪郭だ。形のない魂に与えられる形、世界に存在を縫いとめる為の楔、そして、命をわかつたったひとりと己を繋ぎ止める鎖。名によって魂や命を縛られる、などというのはよくある話だろう?」
言われて、人の子は己の居た場所を思い出す。そういった例もあったな、と。
「竜種もまた、名を奪われれば魂を縛られる。…この辺りは神の敷いた法なのだろう。名がある以上、逃れられぬ定めだ。よって竜は、竜との間に生まれた我が子に名付けを行わない。故に名前がない」
「不便だね」
「人であればそうだろうな。おまえたちは弱い。形なき魂は歪みやすく傷つきやすい。竜であればこそ取れる暴挙だろうよ」
──何でも持っているはずの竜にも、与えられないものがある。持たざるものがある。
力なく、捨て駒として生き、命だけを本能が繋ぐ無味乾燥の生。力を持ち、誰にも縛られず、世界を悠々と生きる竜とはあまりにも違ういきものである己との意外な共通点を見つけて、人の子は胸の奥の疼きに気付く。けれどそれをどう呼称するかも知らないまま、人の子は再び香草茶に手を伸ばして飲む。
名のない者たちの、午後の一幕である。
【ひとつだけ】 名前のないものたち
…どうぞ
いえいえ どうぞ、召し上がって
あら じゃ、半分こにしましょ
そうね うふふ…
遠慮のかたまりは美味しいわね
…ほんとね
#1つだけ
1つだけ未来をあげよう。この広い世界1度だけ必ず会えるという未来を。だから大丈夫、行ってくる。
1つだけ
願うのならば、1つだけ。
どうかあなたの旅路が、良いものでありますように。
【1つだけ】
「無人島に1つだけ持っていくなら?」
「そー」
定番のやつ。俺は正直、この手のやつは面倒なんだが、こいつに訊かれたら仕方なく答えるしかない。
「ナイフとか、火つけられるのとか定番じゃね?」
「面白くないー」
棒状のお菓子を咥えてふくれっ面になるこいつ。俺に面白味を求めるな。
「オリジナリティが欲しいわけ俺は」
「んなら、お前はどうなんだよ」
こいつの手元から、同じお菓子を無断で奪う。あー、とか聞こえたけど気にしない。
「俺ねえ…」
考え出す。学校のとはいえ、俺の机に座るの止めろ、と言おうとしたら、
「んじゃお前で」
「…はあ?」
「お前いたら楽しそーじゃね?」
「俺は物じゃねーよ。後机に座るな」
わりーわりーって、軽く謝るけど机から退かない。また、お菓子を口に運ぶ。ボリボリ。
(確かに)
「まあ、二人なら楽しいかもな」
「でしょ!」
笑顔に絆されて、そんなのも悪くないかも知れない。
どんなものであれ大切なものに感謝を、その意思1つだけで私は立ち上がることも立ち向かうこともできる。私に光をありがとう、これからもよろしく。
僕の命はもうおしまいだ。
けれど実は1つだけ、助かる方法があるんだ。
……どうして笑うんだ、こっちはこんなに真剣なのに。
さあ、ダーリン。僕にキスをして。
僕の命を助けておくれ。
“1つだけ”
#2『1つだけ』
無人島に1つだけ持って行くなら何にする?
もし1つだけを一生食べるなら何がいい?
欲しいもの1つだけ選んで。
好きなもの1つだけ教えて。
そうやって話のネタとして聞いてくれたことにも
私は真剣に考えてしまい、なかなか答えが出せない。
私は面倒くさいやつなのだ。
でも、相手にはそう思われたくないし
いつまでも待たせてしまう訳にはいかない。
だから私はいつも思い浮かんだことを適当に話す。
1つだけ私の性格を言うなら、
私は嘘つきだ。
1つだけ。数字に変換するのめんどかったぞ。一つだけでいいよね。どうでもいいけど。
最近やる気が出ないな。まぁ最近というかずっとだけど。やっぱり立ち退きの一件が進まないと心穏やかに日々を過ごすことができない。
さっさと話を進めて欲しいのに一向に連絡がこない。二月の始めに交渉を始めたのにもう四月だぞ。なんで二ヶ月もかかんだよ。
文字通り話にならないわ。怒りと不安だけがつのる毎日だ。こっちはさっさと終わらせて引っ越したいのに。
ここまでふざけた対応をされるとこっちも裁判ありありで交渉する覚悟でいたほうがよさそうだ。あー、めんどくさ。
your my sunshine my only sunshine
一つだけ忘れることができるならあなたのいない世界を選ぶ