『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「飛べない翼」
私には、翼もないし、飛ぶ事は出来ない。
ホントは、この場所から飛び立ちたい。
ここは、暗くて、辛くて、寂しくて。
周りを見回しても希望は見えず、変わり映えのない毎日で、いつまでもこんな場所に居たくない。
でも、飛び立てない。翼がない。
もしかしたら、一歩踏み出せば、飛べなくても、せめて跳べるかもしれない。
羽ばたけば、ここからは飛び出せるかもしれない。
でも、その、最初の一歩が踏み出せず、ずっとここに留まっている。
わかってる、ホントはわかってる。
私にないのは翼じゃない。
踏み出す勇気。
そして、踏み出した後に待っている事に対する、覚悟。
だから、きっと翼があっても、それは見せかけの翼で、きっと飛べない。
ここに居れば。誰かが決めたここに居れば。
何かがあったら、人のせいに出来る。
「あの人が、こう言ったから」「あの人の言う通りにしただけだから」って、自分で決めていない事は、人のせいに出来る。
ホントは、自分が決められないから人に任せたのに、決められない自分のせいではなく、決めてくれた人のせいに出来るから。
それは、楽で。
でも、その分自分は成長出来ず、ここから一歩も動けず。
このままでは駄目な事は、自分が一番知っていて。
楽なのに、息苦しくて、淋しくて、つまらなくて。
私には、翼はない。
でも、今日こそは。今度こそは。
飛び立ちたい。羽ばたきたい。
飛び立とう。羽ばたこう。
遠くまで、高くまで行けなくていい。
一歩一歩、進んで行く。進んで、行こう。
飛べない翼から飛べる翼が生まれたのだ。飛べるかどうかは付加価値であって、必要条件ではない。
/お題「飛べない翼」より
僕は手のひらほどの 小さな羽を持って
河川敷のそばの堤防を ゆっくりと歩く
僕は飛べやしない とても小さな羽をひらつかせ
海の見える駅で そっと腰を下ろす
紫陽花が咲く季節から 君は早足で駆けて
「梅雨が明けるのはいつ」と 夏を急かしていたね
思い出がうだるような暑さで
そっとそよ風なんかが揺らいで
僕の羽はそのたび 小さく震えて
君が大人になっていく それが現実なんだね
僕はここで休憩させてね また夏の日に 会おう
入道雲が厚くてさ とても飛べそうにもないんだ
誰もいない川に浮かんだ サンダルを 眺む
アルビノのカラスが居た
彼女の白い片方の羽は
曲がってはいけない方向に
曲がって居た
地面を歩いて
ご飯を探している
お腹を空かせているのだろうか
僕は冷たいご飯粒を
丸めて彼女の近くに置くと
近寄ってきて食べた
それから僕らは
一緒に居るようになった
他のカラスから
守ってやる
僕がそう決めた日だった
飛べない翼
別の目的があるんじゃないかな
鶏、ペンギンあたりが
すぐに浮かぶんだけども
飛ぶって翼だけじゃ出来ないし
飛べないのは空中に居られる長さの話で
飛び降りたり跳ねたりは出来るから
飛べる翼だったとしても
ずっとは空中に居られないよね
差別的に言うとなると
歩けない足とか色々と言えそうだけども
言語を介さない人とか割といるよね
不思議だけど、一般の範囲内だと思います
よく晴れた空。
行き交う人々の声。
漫画みたいな日だ。
そして私はその主人公みたいに
空を―。
飛べたらどんなに幸せだろう。
私は知っている。
あるだけ無駄なんだと。
今日もおもりをつけたまま一日を過ごす。
私には飛べない翼がある。
「飛べない翼」
飛べない翼
翼と羽の違いは何?ときみに聞かれて答えられなかったのは十年も前のことだ。今は羽と羽根の違いだって答えられる。きみのその背にあるものが、翼でも、羽根でもないと、ぼくは今はっきり断言することができる。
ヒト族はドワーフやエルフと同様飛べない人種である。飛べる人種はハーピーだけである。翼を持つ人種もハーピーしか存在しない。飛べない翼が飛べない人種の背に生えてくるまで、飛べない人種は飛べないことを特に気にはしなかった。しかしおのが背に翼があると知った飛べない人種は毎日毎日、その翼で飛ぼうとした。その翼は病によってできた偽物の翼でしかなかったのに。
きみの背にあるものは翼ではない。ぼくが作り上げた最高傑作のそれは翼ではない、羽だ。もろく見えるだろうが丈夫だ。計算上ではきみの体重を持ち上げるはずだ。ぼくの背中にあるつまらない飛べない翼と違って。だから飛んでみてほしい。2階から飛び降りろなんて言わないよ。地上からほんの少し浮き上がってくれたら…
ぼくはそれで天国に飛びあがる思いだろう。
※※※
以下蛇足。ていうか蛇足が本文。
私は飛べない鳥が好きです。いちばん好きなのはもう存在しない鳥ですがモア。巨鳥モア。その大きさを想像するだけでとてもはろばろした気分になれます。
たとえばご近所の花鳥園にいるエミューやご近所のお山で飼ってるダチョウなんかも素敵です。エミュー牧場に連れてったら私の子はエミューの大きさをおっかながって泣きました。ダチョウを飼ってるおうちに連れてったらびっくりして口をばかんと開けて見上げました。
でも、モアは、そのエミューよりもダチョウよりも大きいのです。ダチョウの背後に幽霊のごとく立つ幻のモアがカッコよすぎなのです。
「巨鳥モア」というSF短編もありました。河野典生の作品です。町中に突然現れるモアが恐ろしくもあり、懐かしくもあり、憧れでもあり。筒井康隆は『私説博物誌』の中で河野典生の「巨鳥モア」に触れつつ「モアは、もういない。」と何度も繰り返し書きました。モアはもういませんが、いないという事実さえも大きな意味を持つくらい大きな鳥なのだと思います。
飛べない鳥はドードーなんかも含めだいたいでかいですが、おそらくあまり大きくはなかったであろうスチーフンイワサザイという飛べない鳥を見てみたかったなと思います。一匹の猫によって絶滅させられたという伝説を持つ飛べないスズメ。実際は複数の猫がいたらしいですがそういう問題じゃなくて、飛べないスズメなんて絶対的に可愛いので飼ってみたかった…
飛べない鳥といってもペンギンは飛べない鳥という感じがしません。あのこたちはよちよちと歩きますし飛べませんが、とても自由に泳ぎます。空を飛べないペンギンは水の中を自由に飛ぶのです。
先に名前を出したドードー。あれは飛べない鳥であると同時になにか間抜けな雰囲気がつきまといます。でもドードーは「不思議の国のアリス」に印象的に描かれることによって不動の地位を得ました。ドードーはドードーであるだけで素敵なのです。
なんて書いてると庭でニワトリがコケコッコーと鳴きます。そういえばニワトリも飛べない鳥かもしれません。でもやつらを飼うとわかります。やつらは少し飛ぶのです! せいぜい二階の屋根に飛ぶくらいですが、立派に飛びます。なので私の分類ではニワトリは飛ぶ鳥です。ニワトリと同じ枠でヤマドリやキジも飛ぶと思います。ちょっと飛ぶ。そのちょっとが大きい。だって私たち人間はちょっとも飛べないんですよ。
鳥は飛ぶから鳥だと素朴に言った人もいますけど、飛べない鳥も立派に鳥で、それぞれに赴ける場所をかけてゆくのでしょう。
"飛べない翼"
ここはどこだろう。目の前にはとても大きな川が流れていて向こう岸にはきれいな花が咲き誇っている。確か私は…飛び降りたんだ。ということは、此処は所謂三途の川なのだろう。きっと向こう岸に渡ればいいんだな。よく、周りを見ると他にも何人か人がいて、背中についている翼で向こう岸へと渡っていく。それじゃあ私も、と羽ばたいてみるが体は一ミリたりとも浮かなかった。
あれ?これなにかコツとかあるの?
その後も何度か羽ばたいてみたが飛べそうな気配はない。周りの人はいとも簡単に向こう岸へ渡っていくというのに、なぜ。何度も何度も何度も、繰り返し羽ばたくが全く飛べなかった。
〜〜〜〜〜っ!やっと此処まで来たのに!!やっと終わりだと思ったのに!!此処まで来てなお終わることなど許さないと言うのか。
だんだん羽ばたき続ける力も尽きてくる。ああ、眠くなってきた。今寝たらどうなるのだろう…
___________________________
目を開けると見慣れない天井が見えた。…ああ、病院か。終われなかった。はぁ。もう生きるのも死ぬのも面倒くさい。神様、飛べない翼を授けた貴方を、私はしばらく恨みますね。
飛べない翼
きっと誰もが
ガラスの翼を持っている
それは透明すぎて
誰にも見えないだけ
だいじょうぶ
飛び立てるよ
ほんの少しの勇気で
私が初めて夢の中で空を飛んだ時、
背中には翼が生えていた。
当時小学生だった私の翼は、桃色の立派な翼で、
さらには表面に宝石だとか音符だとか、
そんなものがついていた。
私はその翼を使って、初めて飛んだ。
しかしそれは、地面からたった数センチ浮いただけの
粗末な飛行、もはやただのジャンプだったと言える。
私の翼は重すぎて、ただの飾りとしての機能しか
持ち合わせていなかったのだ。
それから幾度も飛ぶ夢を見た。
翼を腕に添わせて羽ばたいてみたり、
箒、時にはちりとりを使ったりすることもあった。
そうやって、色んな方法を試して辿り着いた答えは、
翼を使わないことだった。
水中のようにふんわりと浮かび、
壁を蹴り空気をかいて、空を舞う。
そうすると、いとも簡単に私の体は浮き上がるのだ。
翼は、飛ぶのには向かなかった。
私たちは空を飛ぶことを想像する時、
つい翼を広げる姿を考えてしまいがちだ。
けれど、それに囚われる必要はなかったのだ。
空を飛びたいなら、好きな方法を探せばいい。
固定観念やルールから外れることは、
必ずしも失敗ではないのだ。
そうは言ったものの、
私は翼で飛ぶことに憧れている。
それに向けて試行錯誤するのも、
また自由なのだろう。
題 飛べない翼
今日もまた曇った瞳で、窓の外を眺める。
見れば外にはきゃらきゃら、と楽しそうに笑い合う声がよく聞こえてくる。
あぁ、羨ましい。耳障りだ。羨ましい。
その明るい声を聞くだけで、あんなに楽しそうな声がとどくだけで、彼の内はどろどろと煮えたぎり、暗くおどろおどろしいモノが渦をまく。
瞳に映る人たちは、みんな己の体を包み込めるほど大きな翼をもっている。
力強く羽ばたいて、空を翔る。いいな。いいな。
みんなに等しく与えられた翼。
それなのに、どうして。どうしてなの。
何故、己の翼はこんなに小さいの。
ろくに体を支えられない頼りない翼。みんなみたいに飛べやしない。
どうして、どうして。
神様はみんなに優しいんだよね、祈れば叶えてくれるんだよね。
ねぇ、神様。どうしてなの。
※違うバージョンの案
生まれつき両足がない、又は動かない子
※愚痴
図書館行きたかった、行けなかった
堕落論借りたかった山田美妙、直木三十五さんの小説借りたかった。
【スーパーヒーロー】
ある日朝起きたら、"あー、今日学校に行きたくない"って思った。
本当に、突然のことだった。
今まで普通に学校行って、勉強もなぁなぁで、授業中はたびたび居眠りして、部活して。
他の人たちに比べたら、全然頑張ってない日常。
なのに。
僕は今日学校を休んだ。
1日休んだら次の日、そのまた次の日。
どんどん伸びていく僕の連休。
いつも畳んで整頓していた布団も、ここ1週間は敷きっぱなし。
起床時間は陽の光を浴びてない影響でみんな仕事や学校に行った後になり、ほとんど動かずじっとしているから就寝時間は余裕で日を越した。
暗闇の中に浮かび上がる液晶の光。
僕は夜が好きになった。
誰にも邪魔されない1人の時間。
みんなの寝息や寝返りを打つ音が静かな家の中では大きなBGMになる。
今起きているのは僕だけ。
世界が静かになったみたいで、昼より断然落ち着く。
夜が本当に大好きだ。
朝ぼんやりと目を覚ますと、みんな起きててバタバタしてる。
寝ぼけているけど、耳は鮮明になっている。
『今日も悠人休みなの?』
『しょうがないじゃない。もう言わないで。ただでさえストレスいっぱいなんだから。』
『いいなぁ、、』
『1日何もせず家でゴロゴロして、、ブタになるよ?』
『あ、もうなってるか。』
『私の育て方が悪いの?!』
聞きたくなくて耳を塞いだ。
毛布にくるまった。次第に体が震えた。
学校休むのって、大罪なんだ。悪いことなんだ。
風邪とか病気じゃない限り、休めない。
『だめ、、休んじゃダメ、、』
頭の中で永遠に反芻するダメという言葉。
じゃあ、もう、、
『死ぬしかない。』
休み始めて2週間。
僕の目に初めて宿ったやる気だった。
みんな家から出て行った。
1番手頃な死に方は飛び降りか首吊りらしい。
僕は飛び降りるために空きビルを検索した。
目深までフードを被った僕はただ死だけを目標に家から出た。
鍵なんてかけてない。
かけても意味ない。
『どうせ、終わりなんだ。』
僕に残された道はこれしかない。
これ以外にない。
今日で死ねなかったら明日も明後日もこの先もずっと光のない日々だ。
日の本には出られない日々だ。
『はぁっ、はぁっ、、』
着いた。空きビルは当然の如く人っ子1人おらず、錆びた外階段が放置年数を物語っていた。
カン、カンと鉄製の階段を登るたびに足音が響く。
いよいよだ。僕は死ぬんだ。死ぬしかないんだ。
『はっ、はっ、はっ、はっ、はっ』
呼吸がみるみる浅くなる。
死にたくない。それはかき消されて、頭の中には死ななきゃいけない。という気持ちが洪水のように流れる。
空きビルから見下ろした街並みから、昔のことが走馬灯のように流れてきた。
"僕は街の平和を守るスーパーヒーローだ!"
"誰かを守るヒーローになりたい!!"
"ヒーローはカッコいいんだ!空をヒューンって飛んで、ドカーンって!"
今思えば、ヒーローになりたいだなんていかにも幼稚園児らしい子供じみた夢だと思う。
でも、あの頃の方が僕は幸せだった。
『飛べるかな。』
そうだ。スーパーヒーローになって空を飛ぼう。
足を一歩、踏み出した。
飛んでる。
空中でスーパーマンが飛ぶように右拳を突き出す。
飛びたかった。
ぐしゃ
「飛べない翼」
鳥なのに飛べない生き物。
祖先からの遺伝子が変換されまくったのだろうか、羽だけ残して。生き物に関しては知識が浅はかだから、なんで羽が残っているのか、何の意味があるのかなどは完全に無知だ。
いらないなら私にちょうだい、と言いたくなる。
私も飛んでみたい。
飛んでどこかに行ってしまいたい。
飛べない翼
ああ、
翼があるのに
この空を飛べないなんて…、
わたしはペンギン、
地べたをヨチヨチ歩く。
空を飛ぶ鳥達が
旅の素晴らしさを
教えてくれるの、
だからわたしは
この空を見上げる
いつか 飛べる日を夢みて…。
ペンギンは飛べないけど、泳ぐことができる。
ダチョウやキジは飛べないけど、走ることができる。
翼があっても飛べない鳥にも、できることがある。
何もできない生き物なんていない。
それぞれの生き物には特技が必ずあるはずなんだ。
もちろん、人間にもね。
飛べない翼
15才、不登校になった
16才、落ちこぼれになった
17才、自殺を失敗した
18才、たまり場に行った
19才、運命に出会った
20才、運命に捨てられた
何をやっても誉められた
天才なんだと思ってた
馬鹿にしていた大人になって
軽蔑される立場になった
大きな翼でこの世のすべて
見下して生きると思ってた
飛べない翼に気づいたけれど
夜中にこっそり練習してる
21才、人生を諦めた
22才、小さな夢を見る
23才、おばあちゃんが亡くなった
24才、もういちど恋をした
25才、平凡を受け入れる
26才、家族遊戯をやってみる
閉じてた翼を自分で切った
必要ないって思ってた
これが幸せなんだと信じ
汚れてみにくいオバサンになる
飛べない翼がムズムズしてる
家族を捨ててもかまわない
飛べない翼を羽ばたいてみる
やっぱりわたしは、自分を生きる
幾つになっても自分を生きる
あなたが応援、それならいいな
飛べない翼は行くだけで、誰にも興味を持たれない。
君のために私は翼をさずけよう
君は前に進もうとしている
けれど君の翼は折れてしまっている
私が君の翼になるよ
何処までも連れて行く
たとえ私の翼が折れたとしても
君が前に進めるのならいくらでも私を使って
もし2人の翼が折れて進めなくなった時
地を這ってでも一緒に前に進もう
お前と一緒なら
飛べない翼でもいい
夫の一言にデレる私
私も夫と一緒なら
飛べない翼でもかまわないよ
一緒に地上で生きてゆこう
空を飛べなくても貴方と一緒なら
幸せだから
———人間ってのはね、天界から何らかの理由で降りてきた天使なんだよ!
なんてことを真剣に話す君を見て、僕は笑った。
本当だもん!と眉間にシワを寄せて怒る君。
でも、僕は話の内容に笑ったんじゃない。
自分では気付いてないだろうし、これからも教えるつもりはないのだけれど、君ってさ、熱が入ると鼻がぴくりと少し動くんだ。
それが僕はとても好きだ。
その無意識に動く鼻が、可愛らしくてとても好きだ。
君の話が本当だったとして、僕は天界から降りてきて良かったと心の底から思う。
だって君が人間だということは、天界に君はいないというだろう?
君がいない天界はさぞかしつまらないだろうね。
———もし神様が目の前に現れたとして、君を天界に戻してやろうと言っても、僕は丁重にお断りするよ。
僕は君の隣で、飛べない翼を持った天使でいたい。
【飛べない翼】