『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
飛べない翼
ペンギンとか鶏とかフラミンゴとかその類の動物が空を飛んでいるところは見たことがないしペンギンに関しては空じゃなくて水中飛んでるし。飛べなくても翼があるってことは飛べなくても翼がある理由があるってことだとおもう(?)翼ないと鳥類にも入れてもらえないしじゃあ何類?みたいになるもんね笑笑翼あるほうが見栄えもいいし。この前TikTokで背中に翼のタトゥー入れてる綺麗な女の人の動画見たけどかっこよかった。私も飛べなくても翼があったらもっといい女になれるかなー、
飛べない翼ということは翼は飛ぶもの、持っているなら飛べることが当たり前、飛べない鳥は失格、ダメなヤツそんな感じなのでしょうか。飛ばなくても生きていくすべがあるとか、飛ぶよりも翼で体を温めるなど違う役割があるとか子供たちを守る為に進化したとか?飛べないと飛ばないでは意思があるかないかと言う大きな違いがある。自分は翼があったかどうか分からないけどちょこちょこ飛ぼうとして来たと思う。飛べるかどうか考える前にいつも飛んでた。飛んでから失敗に気付いたり不時着してケガしたり飛んでもいないのに飛んだ気になってたり。だから振り返って反省はとてつもなく押し寄せるけど、やり残した後悔は無い。今の私を例えるなら、とんでもない翼もどきの人でなしと笑ってやろう。
飛べない翼
「飛べない鳥ってなんで飛べないの?」
「いつも以上にざっくばらんとした質問だな、後輩」
「あ、キーウィも飛べないの? かわいい」
「かわいいの好きだね、姉(あね)さん」
「飛ばなくてもいいから止めたんだよ。でも、ペンギンは泳ぐため、ダチョウは走るため。空飛べなくても奴らにとって必要不可欠なものってのには変わりねーぞ。馬鹿にしないように」
「キーウィは?」
「あいつは完全に羽が退化してるから飛ばない。ないし飛べない」
「外敵がいないから空を飛ぶ必要がなくなったんだって本で読んだ気がする。そのせいで絶滅危惧種になったっても書いてたような……」
「ドードーの二の舞にならないといいな。飛べなくても、姉みたいな奴が守ってくれるからなんとかなるんだろ」
「鳥じゃないけど蚕も飛べないんだよね? それはそうとお蚕様も白くてふわふわでかわいい」
「飛べないからかわいいって思うの?」
「かわいいから飛ばなくたっていいんだろ」
飛べないのか、飛ばないのか。理由はなんであれ、臨機応変っていい言葉と姿勢だよねって思う。空を飛ばなくても大事な役目を果たせるならそれでいいんだよ。
話のオチ? どっかに吹き飛ばされてなくなっちゃったよ。読んでくれた君の肩の力が抜けたなら、どんな小話だって意味あるんじゃない?
(いつもの3人シリーズ)
全て言葉にしてしまうのは野暮だ、と思う
面白みのない人だ、と
たくさんの言葉は飾るためにある
でも私の言葉は他の人からは
めんどくさいらしい
わたしのなかで1番の言葉は。
私だって貴方の様に直球でストレートで
分かりやすく話せたら
と、思わなくもない。
ー飛べない翼
海中で自在に、
飛ぶように泳ぐペンギンの姿を見た。
飛べなくたって良い。
説明書通りに生きなくても良い。
君には君の、使い方があるんだね。
人間のくせに頭が悪い?
non non 物事には色んな面があるのだろう。
このIQはさて、どこでいったい使い道があるんだろう。
神様教えて。
〈飛べない翼〉
I'll write it later.
お題「飛べない翼」
飛べない翼。
飛べない翼で
どこに行こう。
12月まで
逢えないから
せめて
時空でも
飛ぼうか。
ピンク色の
翼で。
お題「飛べない翼」(雑記・途中投稿)
飛べない鳥ならペンギンなりアホウドリなりドードーなりいるんだけど。
ちなみに鶏は、飛ぶ。
近年はタンカー座礁での石油流出事故(で油まみれになる鳥)とか見なくなったなぁ。
今回は絶滅動物の話でも。……あんま思い浮かばないけど。
ドードーが思い浮かんだのは、童話「不思議の国のアリス」のコーカサスレースで出て来るドードーが作者ルイス・キャロルこと本名チャールズ・ラドウィッジ・ドジスンの名前から着想された本人の代理だからに他ならない。
親に「なんかお勧めの本貸して」と雑に頼んだら出てきた「強力伝」という短編集の中に、離島の調査に行った二十名ぐらいの調査団の話が載っている。
調査団で飼っている猫を襲った狼が出て来るんだけど、最後から二行目ぐらいに「三年後に絶滅した」とかってさらっと書かれてて、そこまでニホンオオカミって発想が全く出て来なかったからびっくりした。確かに日本が舞台で野生の狼なんだからそうだよね。
なぜかリョコウバトを思い出した。鳩の一種なんだろうけどそれ以外全く知らない。
ニジマスが見つかった時だかにWikipediaで調べたら「密漁者の間でニジマスがいるという情報が共有されていた」みたいな文章が載ってて笑った記憶。おい密漁者。
絶滅といえばマンモスもなんだけど(一応初期人類の乱獲がトドメを刺したと言われている)
氷漬けマンモスの解体肉を犬にやったら食いついたという話がマンモスを発掘した時の話に載っていて、一度食べてみたいなぁと思っている。いやそもそも象って美味しいのか? は疑問だけど。ありとあらゆる肉は食べてみたい性質。人肉は女性の太腿が美味しいんですってよ。(絶滅とは無縁の生き物)
ニホンカワウソだかが目撃情報ないって言うけど、吉野の山奥とか手入れできていない山を探したら何匹か出て来るんじゃない? 感。
鳥といえば多分飛べるやつなんだけど、企業がバブルの頃に作って維持できなくなって荒れた、長崎辺りにある人工島が天然記念物の鳥(種類は知らない)の繁殖地になっているらしいと昔聞いた。島は一億円で売りに出されているそうな。
天使が堕天すると、その輪と翼は穢れた黒に染まる。
もしくは、輪と翼を失って、死の概念を持つ人間にされる。
そうして、どこかに封印されたり、行く宛てもなくさ迷い続けたり、息絶えたり…悪魔の仲間として寝返ったりするのだとか。
沈められる時はまだ白かった私のも…きっともう、とっくに黒くなっちゃったかな。
けれど、光のほとんど届かないこの場所で、私がそれを確認する術はない。
…確認できたところで、何ができるわけじゃないし。
悪魔を庇って、仲間を見殺しにした、天の裏切り者。
そんな私は罰として、枷を付けられて…深い深い湖の底に沈められた。
堕天したとはいえ天使の身体のままだから、溺死もしないし、餓死もしない。
暗くて、冷たくて、静かで、ひとりぼっち。
ずっとずっと、このまんま。
(「天死の湖」―黒白 入鹿―)
ずっと自由に空を羽ばたいていた。
溢れる希望と、鮮やかな勇気を持って。
私には自由に飛べる羽があった。
規則や一般論に囚われない、自由な羽。
誰にでもあるわけじゃないそれがなんだか私には誇らしかった。
だって、自分だけの特別ってことでしょう?
物心ついたときから「特別」って言葉が好きだった。
自分だけの、他人にない。それは、存在意義を表しているように思えた。
実際は違うのかもしれない。
それでも、私はすべては特別という存在意義に帰す。と、考えていた。
だけど、もし。もし本当に特別なのが自分だけだったら?
それはもちろん消されるに決まっている。
それは、特別でも何でもなくて、異端と処理されてしまうから。
じゃあ、特別が誰かにとって邪魔になるものだったら?
それも消される。だって邪魔になるから。
私の場合は後者だった。
規則にとらわれず、常識を疑う。
そんな人間は規則や常識を作った人間にとって邪魔になるに違いなかった。
邪魔になった私はもはや飛べない。
考えることを奪われ、能動的でなく受動的に生きる。
なんとつらいことだろう。
まだ翼はあるというのに。
その大事な私だけの翼は、壊されてどこにも飛ぶことを許されない飛べない翼となってしまった。
今こうして考えることもいずれは奪われる。
あぁ…ほら、すぐそこまで…
飛べない翼
でも
飛べるときはきっと
自分自身が
変わったときだ。
ここから飛び出したい。何も考えないでどこか遠くに飛んでみたい。日常から少し離れた場所へ行きたい。でも、飛べない。今の日々から逃れられない。かごの中にいる鳥と同じように。飛びたいと思っている人の多くは自分らしく飛ぶことができていないから飛びたいと願うのではないだろうか。ほんの少しだけ飛んでみたい。ほんの少しだけでいいから飛び出してあなたに会いたい。
テーマ【飛べない翼】
【飛べない翼】
私は他の人と違った翼を持って生まれた
そのせいか皆私を好奇の目で私を見る
その視線が嫌で私はいつも閉じこもってばかりだった
怖くて仕方なかった石を投げられるんじゃないか
陰口に押し潰されてしまうかもしれない
そんな事が頭の中をぐちゃぐちゃにしていった
(いっそ、こんな翼などなくなってしまえばいいのに)
私は自ら翼をもいでしまった
羽は紅く ては血で染まってしまった
もうこの翼じゃ空も飛べないかな
それすらとどうでもいいと思ってしまうほど
私は堕ちてしまった
ガシャン
振り返ると人がいた
カゴを落としてしまったようだったので
拾い上げて渡してあげ
「どうして!!なんで...翼は..どうした」
あぁせっかく集めたカゴの中身はまた床に散らばった
「早く治療しないと空を飛べなくな...」
私と目が合った瞬間 何を思ったのか私の頬に手を当て
「答えてくれよ...どうした誰にやられたんだ」
何をこの人は泣いて私を咎めるのだろう
<私は自分の意思で「痛かっただろう...辛かったよな」
ごめんと私を抱きとめた
なんでこの人は私の事をこんなにも想ってくれるのか
泣いてまで私を慰めてくれるの
「気づいてあげられなくてごめんな」
この言葉に私は何も言えなかった
ただ嗚咽が部屋の中に響いている
どちらの声か分からない
その後は私とこの人しか知らない物語だ
ススキ。
小説。
昨日(2024/11/10)のテーマです。
ミナミの声がうるさすぎて、アップルウォッチから音の大きな環境!!! って警告がきた。
なにごとかと思って目を向けると、ミナミが玄関口で震えている。哀れに腰を抜かし、へたりこんでいた。
ミナミがコロの散歩に行こうと玄関に向かったところだった。
「あ、あ、あ」
「ミナミ〜どうした〜?」
「あ、あ、俺……俺……」
ミナミは足元を見下ろして、ふるえている。
コロは飼い主の友だちに寄り添ってくんくん鳴いている。
またか。
ミナミはここ最近おかしい。なんかよく震えている。幻聴が聞こえるんだとか。耳鳴りもするし、寒気もするという。寝不足なのと、就活のストレスでイカレているんだろうと、俺とかカスガは思っている。直近、彼女に振られたことも関係あるのかもしれない。一昨日は、「しらない女が寝ている俺の足首をつかむ」と言っていた。
それで、俺たちがミナミといっしょに泊まることになったのだ。俺と、ここにはいない――今さっきコンビニに行ったカスガと、おなじサークルのアキチカで泊まることになった。カスガの家に。
カスガの犬のコロが俺に駆け寄ってきて、ミナミのほうに促した。
実際、昨夜、ミナミに怪異は起こった。
俺たちもはっきり聞いた。
俺としては、怪異と思えないし、思いたくないんだけど……。
と、いうのも、昨夜俺たちが遭遇したのは、『しらない女が足首をつかんでくる』怪異じゃない。姿も見ていない。足首をつかまれもしなかった。ただ、足音が、コツコツコツと部屋の外でしていた。
昨日は雨だった。だから、雨音だと俺は思っているのだ。
雨の音だよといって主に俺がミナミを励ましていたのに、それを裏切るように連続的なコツコツコツという音は、俺たちのそばまで迫りきて、俺たちの部屋の前で止まった。
緊張が高まりきる前に叫んだのは俺だった。みんな不意打ちで固まっていた。「幽霊はさ! エロい話してたら近寄ってこれねぇんだぜ!? 知ってたか!?!?」と叫び、真夜中の二時に下ネタを連呼した。それが俺的除霊法だった。アップルウォッチに音の大きな環境!!! といわれた。
アップルウォッチからけたたましい着信音が届いたのは、そのときだった。俺の渾身の下ネタがかき消される。
着信は非通知だった。深夜二時にうるせえよ馬鹿。電源を落としても関係なしに鳴り響いてくる。「とにかく寝ろ」とカスガになだめられながら、俺たちはなんとか一夜を耐え抜いた。
もうこりごりだった。寝不足どころじゃない。ストレスでイカレそうだ。
ミナミへの同情心も尽きてきて、俺は、こいつといっしょにいたら俺まで呪われる、と見放したい気分になる。
足音は明け方までつづいた。
あれ、上の階の人の足音っしょ、昨日ダンスパーティーだったんだよ、と俺はミナミとアキチカを励ました。ふたりとも相槌すら打たなかった。そんなわけないって俺だってわかってるけどさ、俺だってキツいのに、そういう顔やめてくれねぇかな。
ふたりがのろのろ着替えているのを横目に、俺はカスガに当たり散らしてた。
音というのは案外、跳ね返ったり、物に吸収されたりして、自分が思っているより変な方向から聞こえてくることがある。昨夜の音もそれだったんだ! 天気が悪くて、ミナミがおびえていたから、過剰に反応してしまったたけで、怪異なんてなかったと、我ながらこじつけに近い説得を繰り返した。
カスガは黙って俺の話を聞いてくれた。俺と自分用にコーヒーを淹れてくれた。
俺の話が終わってから、
「でも、こういうところから怪談がはじまるんだろうな……」
と、いった。
「え?」
「うん?」
「……いや、どういう意味だよ」
「どういう意味って……そうだな」
カスガはコーヒーに口をつけて、離してからいった。
「根拠なんてないだろ? おまえの話。たしかに、音の出処ってのはわかんないよな。やまびことかあるし。音は跳ね返る。空耳もある。でも結局、あの音がそうだったかなんて根拠はないんだ。一見それっぽく説明がついてるけど、根拠がなけりゃ、舞をやったら雨が降ったとかと、おなじレベルだよ。新しい怪談を作ってるだけだ。自分が納得できる真実を捏造してるだけ」
そういって、コーヒーをすすった。カップから口を離して、俺にコーヒーを勧めた。
俺は機嫌が悪くなって、いらない! といった。
「本当にガキだな、ケイは」
「いらないって! おまえが飲めよ」
「ああ。そっか。ブラックじゃ飲めない?」
ちげぇって! と大声を出す前に、被せ気味にアキチカが「俺、出かける」と宣言した。
なにごとかと振り向くと、すでに財布を持ってそこにいる。
「なんかどうでもよくなってきたわ!」
アキチカは、俺がぎゃんぎゃん言っているのを聞いて吹っ切れたらしかった。
「俺もケイみたいに生きるわー」
「なに? 馬鹿にしてる?」
「してない、してない。もういいんだー真実でも真実じゃなくても。俺はケイのいうこと支持するよ。信じたいもん信じる。うん! あれはお化けなんかじゃなかったね! お化けなんて嘘、嘘!」
と、うれしいことをいう。
ミナミは顔色が悪いままだったが、アキチカはカフェオレ飲みて〜といって、元気になってきたようだった。ミナミを奥に残して、コンビニに行くと言い出す。それで家の外にいってしまった。
カスガがため息をついて、スマホと財布を引っつかむ。
「カスガ行くのか?」
「ああ。チカが心配だから。行くよ。ケイ、留守番頼んだぞ」
「了解。俺、爽健美茶」
「急に自己紹介やめてくれる? 俺のコーヒー飲んどけよ、キサキ・爽健美茶・ケイくん。あとさ、ケイ、俺んち最上階だから、俺んちより上の部屋はないよ」
カスガはそう言い残した。
俺はごくんと唾を呑み込んで、カスガを見送った。
雨はすっかり上がって、十一月の遅い日の出にアスファルトが照らされている。
ベランダからカスガたちを見ていた俺に、ミナミがうしろから声をかけてきた。
――ミナミに突き落とされるかと思った。ベランダからどーんって。ミナミが、あんまりに低い声をしていたから。
「コロの散歩行ってくる」
「えっ?」
「コロの散歩」
いや、聞き取れなかったわけじゃないんだけど。
ミナミを外に行かせていいのか迷った。
見ると、ミナミの足元でコロがしっぽを振っている。
そういえば、昨日コロはどうしていたんだろう。自分に夢中で気づかなかったけど、コロも暗闇のどこかでおびえていたかもしれない。
そう思うとかわいそうになって、止めるのを戸惑った。
でも迷ってから、意を決してミナミを止めた。
「やめたほうがいいよ」
「なんで」
「コンビニってすぐだろ。カスガたちはすぐ帰ってくるよ。カスガに行かせればいい、コロはあいつの犬なんだから」
「外に出たい気分なんだ……」
「……やめろって!」
ミナミの肩をつかんだが、ミナミは抜け殻のようにぼーっとしていた。
俺は硬直してしまった。
俺の横をすり抜けて、ミナミは外に出る支度をしはじめた。
ミナミは犬が好きだし、コロも俺たちの中じゃ、カスガの次にミナミが好きだった。行かせてやるのがいいかもしれない。コロも行きたそうだ……昨日は雨で行けなかったから……。
でも、俺ひとりで残るのか?
俺もミナミに着いていく? こんなはた迷惑な奴に着いていかなきゃいけないのか?
ミナミはベランダの景色を見て、この部屋が最上階にあることを思い出したのかもしれない。
お化けなんて本当にいるのか? 本当に?
朝日につつまれていると、すべてが嘘のようなきがしてきた。
ミナミが玄関で叫び声を上げたとき、もう俺はうんざりした気分だった。
コロに鳴かれてそばまで行くと、ミナミは首を出して玄関の外を見ていた。
黒っぽく雨で濡れたコンクリートに、足跡あった。大人の男のサイズで、きちんと両足そろえて、この部屋につま先を向けている。足跡のまわりだけが白く乾いている。まるで濡れた靴でこの場所に立ち尽くし、男の体で傘になった部分だけが濡れずにあるみたいだった。
「やっぱり、やっぱり、俺は呪われてるんだ……! なんで、なんでだよ! あいつか、あいつのせいか。俺が悪かったのか悪かったのか?! あんなの、みんなだれだってしてるだろみんなっ!」
「落ち着け、ミナミ」
ミナミは全身から振り絞るような声をあげ、泣き崩れ落ちてしまった。肩がびくびくと跳ね上がり、背骨がまっすぐ立てられないというように曲がっている。
「ミナミ、聞け」
「ごめん……ごめんケイ……許してくれ」
「ミナミ!」
すがりついてくるミナミの腕をキツクつかんだ。
「ミナミ聞けって! おまえは大丈夫だから。呪われてなんかない。大丈夫だから。大丈夫。だから俺を見ろ! ミナミ!」
ミナミの顔からぽろっと涙がこぼれ落ちるのを見た。
「嘘ばっかり……」
「俺は嘘をつかない」
「嘘だった……上の階なんて。俺を慰めるために言ってんだろ。どうせ。どうせおまえは優しいから……」
「違う」
俺はミナミの耳に手を添えて、上を向かせた。
「よくよく考えてみろよ。上の階がないから、足音は雨の音かなんかだ。あんなに大雨だったのに、はっきり足音が聞こえるなんておかしいんだよ。雨漏りかなんかしてんだよこの家は。アップルウォッチは信用するな、ああいう人柄なんだアップルウォッチは。信用するな。それに、その足跡も、お化けなんかじゃない」
俺が指をさすと、ミナミもそれを振り返った。
「ミナミ、おまえがこれまで見たお化けってやつはどんなだった?」
「……どんな?」
「寝てる間に足首をつかまれたんだろ」
思い出してぶるっとふるえるミナミの肩を撫でさすった。
「こわい顔をしてたよ……すごい目で俺を見ていて、顔が青白いんだ。ひと目で生きていない、ってわかる顔……。でも俺にはこころ当たりがないんだ。本当に。見たことない、あんな女……」
「それだよ!」
「え?」
「見てみろよ」
玄関先にあるのは男の足跡だ。
ミナミは動転して気づかなかったかもしれないが、今回俺たちに起こった怪異のようなものは、脈略ってものがなさすぎる。全部環境に都合がいいんだ。連続的な音がするから足音だとか、雨が降ったから足跡だとか。これまではミナミの部屋に出ていた怪異が、カスガの家に移動した途端中に入って来れなくなるのがピンと来ない。つか、足音なのに足跡が残ってるってなんだ。ここで幽霊は足踏みでもしてたのか? ミナミより先に出たアキチカたちは足跡に気づかなかったのか? ……アキチカは気づかなかった可能性はあるな。でもカスガは気づくだろう。気づいたのになにもいわなかったのか? カスガはこれが怪異の仕業じゃないとわかっていたんじゃないだろうか。
俺はカスガの家の靴箱を開けた。
これは俺が以前カスガの家に来たときに気づいたものだ。ミナミはしらないだろう。
「それ……」
「うん」
「なに」
「防水スプレー」
男の足跡の正体は、これだ。
「それはカスガの靴の跡だよ。ほらぴったり」
防水スプレーといっしょに拝借したカスガの靴を当ててみると、ぴったり当てはまった。……いや、ちょっと足跡のほうが小さいか? 雨が止んだのは数時間前のことだ。今は太陽が照っている。少し乾いたのかもしれなかった。
「ぴったりだろ? ともかく、これが真相だよ。カスカは臭いが嫌だったんだろうね、防水スプレーの。カスカはこの場所に靴を置いてスプレーを使った。それで、まわりの地面が靴の形に防水された。スプレーの当たらなかった靴の真下と、靴から離れたところが雨に濡れて湿って、この足跡が浮きあがった、ってのが真相さ」
俺は早口にしゃべり終えるとミナミを見た。
ミナミはすっかり俺に感激して、ぽっかり開いた口で「すごい……」と声をもらした。
「だから、大丈夫だから」
「……うん」
頭をくしゃくしゃに撫でるとミナミがうつむいて目を擦った。
「ケイは馬鹿だな」
「はっ?」
けしからん発言が聞こえて振り返ると、カスガがうしろに立っていた。
今までの話を聞いていたらしい。
エレベーターの音、聞こえなかったんだけどと思っていると、階段のほうからアキチカの息遣いが聞こえてきた。階段で上がってきたのかこいつら? こいつらのほうが馬鹿じゃね?
アキチカ、筋トレしてムキムキになりたいっていってたもんなーと思って待っていると、アキチカもようやく俺たちのもとにたどり着いた。
「キエエーーーー! 足跡!」
それから初見のミナミとおなじように叫んだ。
「おかわり。間違えた、おかえり」
アップルウォッチが音の大きな環境です!!! といった。
俺の鮮やかな推理を披露すると、アキチカもすぐに納得した。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花、だな」
そう晴れやかな笑顔でいって、俺を満足させた。ふふ。名推理だろ。
「あっ。おい聞いてよ。おまえらの朝飯買ってきたぞ」
「助かるわ。サンキュ〜アキチカ」
「褒めてつかわすぞ、アキチカ」
「ケイにはやらんねぇわ」
「なんで!?」
「俺が作ってもよかったんだけど」
「三人分も作るの大変っしょカスガ! こいつらには菓子パンでも食わせておけばいいよ」
菓子パンでもとはなんだ! とミナミがアキチカに食ってかかる。
ばたばたと部屋に入っていくふたりを見ながら、俺は防水スプレーとカスガの靴を靴箱に直していた。
「ん?」
靴箱を覗き込んだとき、さっきは気づかなかったものに気がついた。
奥の張り紙がある。いや、張り紙じゃない。靴箱の奥の壁には、御札が貼り付けられていた。
俺たちは、なんで俺のでもアキチカのでもなく、カスガの部屋に泊まることになったか――そのことを、俺は今思い出した。カスガが俺んちは安全だからといって、力説していたからだ。
なんで、今までミナミの近くに出現していた怪異が、今回はカスガの家には現れなかったのか――そのことについても、俺は……。
俺のうしろで靴を脱いでいたカスガがいった。
「最上階だろうが、玄関前の廊下に屋根ぐらいついてるだろ。昨日は玄関前に吹き込むくらいの横降りだったか? コンクリをびっちゃり濡らすくらい? 階段でのぼってくるときに、ほかの階を見たよ。ほかの階はこんなに濡れていなかった。……」
カスガは俺を押しのけて、靴箱を開いた。
カスガの家の靴箱は引き戸だ。俺は右側の戸を開いていた。
カスガは左側を開けた。左側は――玄関に近いほうだ。そこを開けると、そこにも御札があった。御札は、血濡れたように赤くなっていた。
カスガがカリカリと爪を立てて剥がす。
「そもそも俺は、外で防水スプレーなんてしてないしな」
馬鹿だなというように、俺の頭を撫でる。
読了ありがとうございました!
【飛べない翼】*154*
飛べない…は、飛びたいけど無理なイメージ
飛ばない…は、強い意志を感じる
飛べない理由…踏み出せない、羽ばたけない
勇気だったり、自分の考えが定まってなかったり、それを
阻む何かがあったり…なのかもしれないね
色んな励ましや応援なんかも力にはなるんだろうけど
最終的に決めるのは自分
飛べない翼は、折ってやれ、そう誰かが言った。
そうしたら、折られそうになって、化け物へと、
変化してしまった。結局誰が悪いのか知らずに、
大暴れになってしまった。何もない土地に、
ただ、眺めてしまっている僕がいるのは何故。
孤独へと続いてしまうのに、恋をしているのは、
僕だけだ。何も異種と交配したいと思うのは、
悪いのか?知らない僕が悪いのか。
"来世でも恋する夢を叶えられませんね。"
もう、貴女には恋が出来ない。
寂しいけど偽善者の英雄に成り下がります。
また、人生の転生時に会いに行きます。
私には翼があった
けれどいつからかそれは飾りみたいに
動かすことも出来なくなった
天使でも人間でも悪魔でもない
私を好きになる存在はいなかった
玩具のようだと思った
壊れた玩具のようだと
泣き方を知らなかったから
哀しみさえ知らなかった
ただ飛べない翼は
私の命を蝕んでいた
この翼を動かせる日はくるのだろうか
光さえない毎日に私は身体を動かすことさえ
やめていた
そんな私を救う存在が現れるのは
もっとずっと後の話
皆誰しも、飛べる翼を持っている。
しかし、誰も飛ぼうとはしない
もし、頭が良かったら
もし、可愛かったら
もし、かっこよかったら
もし、運動できたら
もし、気遣いできたら
もし、容量が良かったら
もし、背が大きかったら
もし、背が小さかったら
もし、もし、もし、もし、もし、もし、そんな理想という名の牢獄に囚われてしまっているだけなのであって、自分自身を疎かにして、飛べる翼を飛べなくしているだけであって、美しい翼は皆持っているのだ。
飛べない翼
無駄に持っている
いつか飛べるようになるまで
鍛錬を欠かさずに
ベッドにゴロゴロしていると、祖母からラインが来た。
何してるの?寝てるって、伝えると。
今日はいい天気よ、散歩して来たらとライン。
行きたくない理由を、ダラダラ伝えると。
一言返ってきた、散歩行くよと!
窓の下から声が、行くよ〜と。
飛行機の距離の祖母が、窓の下に居た。
車椅子の祖母が、鉄の翼に乗ってやって来た!
仕方ないなぁ〜、跳べない翼を畳んで飛べる翼に替えて散歩に行くかぁ〜。