森川俊也

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ずっと自由に空を羽ばたいていた。
溢れる希望と、鮮やかな勇気を持って。
私には自由に飛べる羽があった。
規則や一般論に囚われない、自由な羽。
誰にでもあるわけじゃないそれがなんだか私には誇らしかった。
だって、自分だけの特別ってことでしょう?
物心ついたときから「特別」って言葉が好きだった。
自分だけの、他人にない。それは、存在意義を表しているように思えた。
実際は違うのかもしれない。
それでも、私はすべては特別という存在意義に帰す。と、考えていた。
だけど、もし。もし本当に特別なのが自分だけだったら?
それはもちろん消されるに決まっている。
それは、特別でも何でもなくて、異端と処理されてしまうから。
じゃあ、特別が誰かにとって邪魔になるものだったら?
それも消される。だって邪魔になるから。
私の場合は後者だった。
規則にとらわれず、常識を疑う。
そんな人間は規則や常識を作った人間にとって邪魔になるに違いなかった。
邪魔になった私はもはや飛べない。
考えることを奪われ、能動的でなく受動的に生きる。
なんとつらいことだろう。
まだ翼はあるというのに。
その大事な私だけの翼は、壊されてどこにも飛ぶことを許されない飛べない翼となってしまった。
今こうして考えることもいずれは奪われる。
あぁ…ほら、すぐそこまで…




















11/11/2024, 10:37:22 AM