天使が堕天すると、その輪と翼は穢れた黒に染まる。
もしくは、輪と翼を失って、死の概念を持つ人間にされる。
そうして、どこかに封印されたり、行く宛てもなくさ迷い続けたり、息絶えたり…悪魔の仲間として寝返ったりするのだとか。
沈められる時はまだ白かった私のも…きっともう、とっくに黒くなっちゃったかな。
けれど、光のほとんど届かないこの場所で、私がそれを確認する術はない。
…確認できたところで、何ができるわけじゃないし。
悪魔を庇って、仲間を見殺しにした、天の裏切り者。
そんな私は罰として、枷を付けられて…深い深い湖の底に沈められた。
堕天したとはいえ天使の身体のままだから、溺死もしないし、餓死もしない。
暗くて、冷たくて、静かで、ひとりぼっち。
ずっとずっと、このまんま。
(「天死の湖」―黒白 入鹿―)
11/11/2024, 10:37:40 AM