僕は手のひらほどの 小さな羽を持って
河川敷のそばの堤防を ゆっくりと歩く
僕は飛べやしない とても小さな羽をひらつかせ
海の見える駅で そっと腰を下ろす
紫陽花が咲く季節から 君は早足で駆けて
「梅雨が明けるのはいつ」と 夏を急かしていたね
思い出がうだるような暑さで
そっとそよ風なんかが揺らいで
僕の羽はそのたび 小さく震えて
君が大人になっていく それが現実なんだね
僕はここで休憩させてね また夏の日に 会おう
入道雲が厚くてさ とても飛べそうにもないんだ
誰もいない川に浮かんだ サンダルを 眺む
11/11/2024, 11:04:26 AM