『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#33 風邪気味の命は……、
あの日から、飛べもしない翼になった。
明るくて、おだやかだった翼も傷だらけになった。
ボロボロになって、動くことすら苦しかった。
___飛べない翼
人には翼が生えていた。歳をとるにつれ、その翼は大きくなり、最終的に飛べるようになる。
君はまだまだ翼が雛鳥程の大きさしかなく、飛ぶなんてありえないだろうと思った。
でも君は急に大きい翼を生やした。とても美しいその翼を羽ばたかせ、飛んでいってしまった。
俺は何故か片方の翼しかない。こんな〝飛べない翼〟でもお前に会いに行きたい。また会いたい。
…でもしばらく、俺の翼は片方のままだろう。
飛べない翼
翼が折れた訳でも
小さいだけでもないです
ただ飛ぶ用の翼ではなかったんです。
「生まれから不平等」
飛べない翼
美しい人がいた。白く陶器のような肌に黒い艶やかな長い髪がよく映える満月の日だった。
「月に帰りたいの」
そう言ってはらはらと泣く姿はこちらの胸がぎゅっと痛くなるほどだった。
「翼を置いてきてしまったの」
月に、と見上げる頬には幾筋もの涙の跡があった。
「じゃあ、ぼくのを使っていいよ」
そう言えば、彼女は驚いてこちらを向く。
「でもそれじゃああなたが帰れなくなる」
「いいよ、ぼくここが好きだから。それに君が泣いてるのは見たくないんだ」
だから、いいよ。そう自分の翼を差し出す。彼女は申し訳なさそうに、でもとても嬉しそうに受け取り、月へと帰っていった。
もう飛べなくなってしまった翼を少し悲しい気持ちで見ながら、月夜に彼女のことを想う。
彼女が月に帰った日、その日月から兎が消えた。
その代わりに月には美しい女性の横顔が見えるようになった。
飛べない鳥____
2022/11/11 小説日記
「マジでめんどくさいね」
「何あの態度」
「あいつマジで無理」
「空気読めよ」
悪口。昔からそれの言葉、行為が大嫌いだった。
される側がどれだけ苦しいか私は知っている。
する側がどれだけ傷つけられたか私は知っている。
それなのに人は傷つけられ悪口、愚痴を言う。
吐き出したくて辛くてたまらないから悪口を言う。
それってしょうがないのかな。相手が酷いことをしたから愚痴という盾の裏で悪口を言っているだけで、けしてどちらもいいものじゃない。それでも、ストレスは溜まるもので、私はそれを聞くのが一番嫌だった。される側やする側よりも聞く側の方が私にとって一番辛い。
私のクラスは優しい人が多い方だと思う。いじめなんてないし仲間はずれにしたりはしない。だけど、クラスに一人だけとても陽気で明るい子がいる。
9/4のお題だった「きらめき」にその子について一度小説日記を書いたことがある。
明るいけれど、とてもとてもわがまま。まるで小学生のように堂々と言いたいことを言える子だ。それが彼女の長所。その長所に助けられた人が多くいる。だが、逆に傷ついた人も多くいる。私はそんな彼女に対して不安しかなかった。
「なんか、〇〇(彼女の名前)おかしくない?」
体育の時間、チームが彼女と親友と一緒になった。他にも3人の陽キャ女子がいた。
「うん、ちょっと思った」
チームでリレーを続けているとき彼女はなぜか元気がなく近くにバレーボールがやってきても取ろうとしなかった。
「ご機嫌斜めなのかな…」
「そういうのまじうざい」
チクと少しだけ胸が痛む。親友が悪いわけじゃない。ただ、なんか嫌なんだ。何かが嫌なんだ。
試合が始まり私達は位置についた。親友は隣に、斜め前に彼女がいた。相手のサーブが来ると、このクラスで一番裏表がある女子がボールを上げた。
「ナイス!ナイス!」
「いいよ!いいよー!」
などと手を鳴らす音とともに掛け声がこちらから聞こえる。さすが陽キャグループ。それに、私もハブられないように「おー!すごい!すごい!」と言い手を何回か鳴らした。
しかし、相手のコートに返すもまたこちらへボールが返っていた。それは大きな山なりで優しいボールだった。完全に彼女目掛けて落ちてくるボールに周りが「〇〇ー!」、「〇〇お願い!」と声を掛け合った。
___……え?w
その場にいる全員がそれを心の中で思っただろう。彼女は歩きながら落ちてくるボールに近づき取ろうとしなかった。それは、落ちていないはずのボールを拾おうとせずに落ちたあとのボールを拾いに行くようだった。
その姿に全員が言葉をなくすが「惜しい!惜しい!!」、「〇〇どんまーい!」とすぐに声を掛け合う。さすが陽キャグループ。
試合はボロ負けだった。終わった瞬間、親友がサーブを取ったクラスで一番裏表がある女子に駆け寄り耳元でこういった。
「〇〇やばくない?」
「マジでめんどくさいね」
「何あの態度、」
少し距離があったとは言え、私には聞こえた。彼女は近くにいないかと冷や冷やしたが幸い近くにはいなかった。
彼女はたまにこういうことがある。なにか気に食わないと一方的に怒り空気を乱す。そういう性格だ。部活でもそのせいで大変だった。私も彼女に部員の前で散々悪口を言われたのを覚えている。「イルカってうざくない?」など。それを私や他の部員は静かに聞くだけで空気が最悪だった。
彼女が悪い。わかっている。私だって酷いことをされた。けれど、なんでそれでも彼女が悪いと思えないのだろう。
その後は親友とトイレに行き、彼女の愚痴を散々聞かされた。トイレを通り過ぎないかと心配だったが反対側の階段から行ったようで来る気配はなかった。
「あいつマジで無理」
「あー、ね、」
なんとなく言葉を返す。
「空気読めよ」
「たしかにねー、」
なんとなく返事をする。
彼女の気持ちもわかるし親友の気持ちもわかる。だから、偽善者とよく自分自身に言われるのだ。10分程度悪口、愚痴を聞かされ教室に戻った。すると、彼女の機嫌は直っておりテンションがさっきの何倍も高かった。
少しだけ鼻で笑ってしまいそうになる。
こんな些細なことが積み重なって貴方は嫌われてるってわかってる?
そう言いたくなる。
このままじゃ貴方はどんどん嫌われ続けるんだよ?
そう言いたくなってしまう。
一人でこんなことで悩んでいる自分が馬鹿みたいだ。彼女は知らないんだ。自分が飛べないことに。周りは小学校から一緒で彼女はこういう人と理解があるから合わせてくれる。飛べるのに一緒に歩いてくれる。けれど、それを彼女は当たり前だと思っている。本当はみんな飛べるのに。
そんなふうにまた悩む自分が馬鹿だなと思う。そうやって深く考えるから愚痴を聞かされると辛くなるのだ。
される側もする側も聞く側も
それぞれ苦しさがあり、それぞれ悩みがある。
よく道徳のお話では喧嘩している間の人が仲良くさせたり第三者、聞く側を利用して中和しようとする。けれど、現実ではそんなこと上手くできっこないんだ。
あとがき
ここまで読んでくれた方ありがとうございました。不快に思わせてしまった方、すいません。
よかったら「きらめき」の小説日記も読んでみてください。彼女についてよくわかると思います。
天使病、あなたはそれを知っているであろうか。
その名の通り、突然背中に天使のような白い翼が生え、その翼に希望を吸われてしまい、最終的には自殺に追い込んでしまう病気だ。
そして、私は先日、この病にかかった。
悲しくはなかった。ただ、どうせ翼が生えるなら、死ぬまでに1度だけ空を飛びたいなぁなんて思っていた。私は病気の進行が早く、直ぐに入院となったが、それでも空を飛びたいなぁと思っていた。
飛べないと、飛べるわけが無いと、分かっている翼でも。
楽をしたいけれど 楽ができない まっすぐ歩きたいけれど 紆余曲折で でもそういう人生だったからこそ 今があるんだなぁ まだ通過点 これから先も よろしくね
中学のころ、美術の授業で月を描いた。
私はもともと絵が好きで、
正直周りと比べて出来は良かったと思う。
ある子が、その絵をほしいと言ってくれた。
赤い空に白い月がぽっかりと浮かぶキャンバス。
誰かに絵をプレゼントしたのは、それが最初で最後だ。
数年ののち、彼女が藝大にすすんだと聞いた。
同窓会でちらっと見た彼女は
昔と違い短い髪とラフな服装が印象的だった。
あの日、絵がほしいと言われて、
本当に本当に嬉しかった。
私は何者でもないけど
白い月だけは彼女の翼にのって
遠い空を一緒に渡っていたらいいなと思う。
飛べない翼
いいえ、私は違う
飛べるのに飛ばないだけ
でも、貴方は
飛びたいのに飛べない
どうしてかしら
死にたい私が今日も生きて
生きたい貴方は明日が分からない
世界は残酷ね
『飛べない翼』
硬く重い鉛のように
ボクを囚えて離さない
自由も愛も明日もキミも
何処にも行けない
何処にも行かない
099【飛べない翼】2022.11.11
飛べない翼って、そりゃあ、風切羽を切られた翼だろ?
たしか「シートン動物記」で、つかまえた野生のガンの風切羽を切って、飛べないようにして飼育した話があったはずだ。結局、羽根の生えかわりにあわせて新しい風切が生えてきて、それを失念していた主人公が、うっかり大空に羽ばたかせてしまった、というストーリーだった。ただただ、野生すげー、人間がいくら小賢しく羽根を切っても、飛ぶ力は再生するんだ、と感動したのを覚えている。
「大造じいさんとガン」を読んだのは、「シートン動物記」よりも後だった。野生の再生力を甘くみていた「シートン動物記」の主人公とちがい、果てしない知恵比べの末に捕獲したガンの残雪を野に返す決断を、みずから下した大造じいさんの姿に、この物語、シートンに勝ったな、とおもった。おもったどころか、ほくそ笑んでたな。あらためて国語の教科書で再会したとき、そりゃ、載るだろう、だって魂の高貴さが違うからね、大造じいさんはガンが人間より下位の生物だなんてあなどったことは、一回もないもんね、と私が内心でこっそり自慢してたっけ。
ということで、私の対自然の倫理観の基盤のかなりの部分は、いまだに大造じいさんの高貴な魂がになってる。絶対に、教科書から消さないでくれ、とこの場をかりて訴える。
――自分もそっちに行きたい。
――何故みんな簡単に飛んで行くの?
諦めてからどれくらい経ったのだろうか。
追い越される事にも慣れてきた。
嬉しそうで誇らしげな笑顔。
自分だけが取り残されている。
ふと横を見る。
――ああ、あの子もダメだったんだ。
――仲間だね。
声をかけようと側へ行く。
その子は強い眼差しで歩き始めた。
「待って君、どこへ行くの?」
「あっち側へ行くに決まっているじゃないですか。」
「やめておきな、僕はもう何度も挑戦しているけど無理だったんだ。」
「何度も?」
「そう。みんなと同じようにやっているのに僕はできなかったんだ。だから君も無駄足になるからやめておきな。だって君も僕と同じで――」
「違います。僕にこれは向いていない。だから別の方法で行きます。僕にあるのはこれだけではありませんから。あなたもそうでしょう?」
その子はそう言って進んで行く。
――そうか、これでなくても良かったのか。
浮かび上がる笑顔、軽くなった身体で走り出す。
『飛べない翼』
飛べない翼。
飛べなくったって。
きっとそれはきれいで。
1枚の羽だけでも。
きれいに揃った羽先も。
色だって様々で。
もしかしたら。
いつか飛べるかもしれなくて。
その時は、もっと輝いて見えるんだろう。
見る角度を変えてみれば。
違う世界が見えるもの。
うーむ…悩んでいる。
塩コショウか、甘酢ダレか。
メインディッシュか、酒のアテか。
唐揚げか、串焼きか。
え?何の話かって?
飛べない翼、手羽先のことですが何か?
飛べない鳥、と自称できるようなおこがましさに月をかざす。深い夜に、溶けていく。
「翼なら持っていたんだ、ずっと昔から」
枯れかけた翼を触る、手は美しく細い。
「空も飛べたんだ、きっと昔なら」
弾んた声は小鳥のように高い。
「飛んだことは無かったけど、
そんな気がする」
言い訳を重ねる様に声は声は落ちる。
「けれど、もう遅い気がする」
翼を撫でる手が震える、
傷のない、柔らかな手が。
「羽も枯れて落ちたんだ、どこに行けると?」
重力に負けたその身では、
余りにも空は遠すぎる。
「それに飛ぶにはもう重すぎるから」
重いのは体か、それとも心か。
「飛べたんだよ、きっと昔なら」
言うその言葉だけが軽かった。
#飛べない翼
"飛べない翼"の天使を見たと
彼女が泣いていた。
それは人間に恋をしてしまった
天使なんだって。
#飛べない翼
待ち合わせはいつもの場所。
彼女の家の近くまで迎えに行き、帰りも同じ場所で別れる。
デートコースはその時の気分。
海を見に行ったり、山道を走らせたり。
変わらないのは運転席の僕と助手席の君。
そして、2人の関係も変わらない。
デートは仕事が終わってからだから、いつも夜。
そう言えば、君と会う日はいつも星がキレイだ。
4月生まれの君の首元にはいつもダイヤのネックレス。
わかってる。あいつにもらったネックレスだよね。
僕の車のキーには歳下のあの子から貰ったキーホルダー。
お互いにパートナーからもらったものを身につけて、過ちが起きないようにお互いを戒める。
あの頃と違って、今の僕にはこの車がある。
これさえあれば、君を連れてどこまででも行ける。
あいつの監視からも連れ出せるだろう。
でもそんな勇気がなかった。
どこまでも飛べる翼を持っていても、飛ぶ勇気がなければ意味がない。
いつまで僕は飛べない翼をたたんだまま、うずくまっているのだろうか。
〜飛べない翼〜
飛べない翼
もし、背中に飛べない翼がついていたら、
どう使おうか考えてみる。
はじめに浮かんだのは洗濯物を干す。
飛べないとしても動かせたとしたら風をおこして乾きが良くなるかもしれない。
ただ、長時間洗濯物を背中に下げるのはカッコ悪い。
次に、ちょっと座りたい時に翼をお尻の下に敷くというのはどうだろう。羽根がクッションになるし、服も汚れない。
ただ、翼が長めじゃないといけない。あと翼が黒なら汚れも目立たないが、もし白かったら服の汚れ以上に気になる。
自転車でスーパーに買い物に行った時、うっかり前カゴに乗り切らないくらい買いこんでしまった上に、トイレットペーパーまで買ってしまった時、翼に買い物袋をぶら下げるというのはなかなかいい。ハンドルを握って両手が塞がっていても翼に荷物を下げていれば安全だ。
ただ、荷物を引っ掛けるためのS字フックか何かを翼につけておかなければならない。ちょっとダサい。
ここまで考えたけど、なんだかどれもイマイチだ。
実は本当に使いたいことがひとつある。
この翼で君を抱きしめてみたい。
面と向かって抱きしめる勇気がないボクは、背中を向いたままで君を抱きしめることができる。
飛べないけど動かせて、君を包めるくらい長い翼。
色はできれば白がいい。なければ黒でもいい。
君を抱きしめた時、カランとS字フックが落ちる音がしても、ボクは背中を向けているので君の表情は見えない。
そんな飛べない翼なら、ぼくは今すぐにでも欲しい。
飛べない翼。
大空に羽ばたけ。
あの日の笑顔のように。
信じる。
信じてみせる。
飛べなくても大丈夫。
絶対できるよ。