『風に身をまかせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
風に身をまかせ
公園のベンチに座って、ただぼーっと過ぎ行く景色を眺めていた。
たとえば、遊具で遊んだり、走り回ったりする子どもたちに、仲良さそうに歩く老夫婦。どこかからやって来たシャボン玉が目の前を横切って、ぱちん、と弾ける。
穏やかに流れる時間がひどく優しくて、ゆっくりと息を吸った。
生きる、ということは選択の連続だ、と誰かが言った。だから、そのときそのときで最善の選択をしろ、と。誰かに決めさせるのではなく、自分で決めろ、と。
でも、たまにはいいじゃないか。だって、少し疲れたのだ。決めるのは思っている以上に体力も気力も使う。
だから、今日くらいあのシャボン玉のように風に身をまかせて、過ごしたいんだ。
今日も夢から覚めて
歯磨きをして、朝御飯を食べて
適当に休日を堪能してまた夢に沈む
そういつも通り
なにも変わらない、なにも起こらない
何かに期待しようとも、何かに興奮しようとも
明日は必ず来て僕を連れていく
それは死ぬまで変わらない
何が起ころうと何日過ごそうと
いつかは死が訪れる
科学の進歩でその考えが壊れるまでは
何万年先もそれは変わらない
だから僕は今日も逃げるように
風に身をまかせて窓の外を眺めてる
今日のテーマ
《風に身をまかせ》
分かれ道に差しかかり、わたしは木の枝を立てて手を離す。
突如、強い風が吹いて、枝は右側へぱたりと倒れた。
「よし、じゃあこの道は右にしよう」
「相変わらず行き当たりばったりな決め方だな」
「いいでしょ。目的地は決まってないんだし、風の向くまま気の向くまま」
「己が運命も風まかせってか」
「大丈夫よ、わたしには風の精霊様のありがたーい御加護があるんだから」
そうでしょう、と見上げると、彼――わたしの守護者である風の精霊はやれやれと言うように肩を竦めた。
一緒に旅を続けるうちに、いつのまにやらこんなに人間くさい仕草をするようになってしまったけど、彼は風を司る精霊の中でもかなり上位の存在である。
故あって今は人の姿を取っているが、その実力は疑うべくもない。
そんな頼もしい相棒が側にいて、一体何を畏れることがあるだろう。
「あなたにだから身をまかせてるんだけどな」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、何でもない」
「じゃあ、とっとと先を急ぐぞ。この調子なら日が暮れる前に次の宿場までに着けるだろ」
どうやら地図は頭に入っているらしい。
ということは、やはりさっきの風は彼の仕業ということなのだろう。
そうやって、さりげなく過保護にされるものだから、いつまでたっても他の男に目が向かないのだ。
精霊に恋をしたところで報われるはずなどないと分かっているのに。
少し先を歩く頼もしい背中を見つめながら、わたしはこっそりため息を吐いた。
彼の方こそ、他に目が向かないように、せっせと囲い込んでいるのだということを、わたしはまだ知らない。
わたしの想いも、彼にだからこそ運命を預けて身をまかせているのだというのも、すべて筒抜けだということも。
何処までも、何処までも飛んでいきたい
悲しみのない場所
苦しみのない場所
花が咲き乱れ
穏やかな時間が流れる
そんな場所に風に乗り飛んで行けたら
どんなに幸せだろうか
人は、求めても求めても手に入らないものを
求めてもしまうね。
どうやら、私もそのようだ
指一つ(下らないもの)に気を取られて、肩や背(大事な箇所)を失う人を、これを狼疾の人と言う。
風に身を任せ流れていく
何も考えずふわふわと羽のように
そんな風になれたら
少しは息苦しさがなくなると
あの空を見て思うのだ
風に身をまかせ、あの人の下駄箱に手紙を入れる。『校舎裏に来て』と。
告白の返事はどっちだっていい。伝わってくれたらいいと思って私は告白をする。
勇気って、大切だから、ね?
お題《風に身をまかせて》
明日は明日の風が吹く
何処へゆくか
何処へゆけるか
風に委ねていけばいい
そこにある物語は自分では、きっと創れないものだから
【風に身をまかせ】8
貯めたお金で買った車にまとめた荷物を積む。
思っていたより少なく済んだ。
荷物は、、、当分暮らせそうなお金と着心地いいジャージ、ちょっと破けてる傘。
それと細々したやつ。まあこれだけあれば何とかなると思う。
もう疲れてしまった。
朝早く起きるのも、仕事するのも、興味の欠片もない話をさぞ興味深そうに聞くのも、
目上にしっぽ振って過ごすのも、明日の憂鬱のことを考えながら寝るのも
全部全部疲れてしまった。
だから逃げることにした。
辛い現実から。現実逃避とでも言うのだろうか。
そんなことを考えながら車の運転席に乗り込む。
目的地なんてない旅が今日始まる。
【風に身をまかせ】
彼は言った。
「どれだけ僕たちが離れ離れになろうとも、必ず会えるはずさ」
ありきたりな言葉。
私に気づかれないように恋愛ものの映画でも見たのかしら。
そんな妄想をしてしまう自分が何故だか許せなくて。
それでもなぜだか嬉しいと思ってしまったのは内緒。
「どうしてそんな確信もないこと言えるの?」
そんなこと思ってない。
思ってないけど、そうするしかないの。
しょうがないの。
「だって、僕は君を愛しているから」
どうしてそんな優しい笑顔を見せるの。
私を恨んでるんでしょ?
なのにどうして笑うの?
私は貴方を忘れようとしてるのに。
「貴方に分かるわけない。
そんな空想物語あるわけがないじゃない」
私がそんな心にもないことを言っても彼は察してくれる。
何故なら私たちは愛し合っているから。
彼が言った。
「君と一緒ならなんでもいい。
君に限界が来たのなら、僕は風にでもなって君を見守
るよ。」
だから君は風になったのね。
最後に私を抱いたのはいつだったかしら。
そのせいで感じがいしてしまったのよ。
ほんとにこんな日々が続くと言うことをね。
そういえば、去年の夏彼は私を野原に連れてきたの。
そこで彼は1つの小さな紙ひこうきを折って、近くの崖から海へ向かって投げたわ。
その紙ひこうきは案の定下へ落ちていったの。
それを見た彼は照れくさそうにこっちをチラチラと見ていたわ。
それがなんだか嬉しかったの。
紙ひこうきが落ちていったことではなくて、わざわざ私を野原に連れてきてくれて沢山の想い出を作らせてくれたことが。
貴方はすぐに顔に出ちゃうから、鳥のようなものの背中に乗って人を殺しに行く時もずっと私のそばにいたわよね。
そんな想い出ももう捨てたの。
海に浮かんでいる、とても大きい魚に貴方が突っ込んだ時から。
だから私は貴方を忘れようとした。
でも無理だった。
だって、夢にまで出てきてしまうんだもの。
だから私は諦めたわ。
独りで生きることも、2人で死ぬことも。
じゃあどうすればいいんだろう。
あの野原へ行けばいい。
私は馬鹿だから、貴方が最後にいた場所に行くの。
そこはまるで地獄のような景色だった。
それでもいいの、貴方に会えるのなら。
私は体全体の力を抜いてひたすら走ったわ。
途中で黒い弾が体に当たったりもしたけど、そんなのどうでもよかった。
風に身をまかせる
彼が迎えに来てくれるその時まで。
風に身をまかせ
暗い森林の中を、私は転びそうになりながら進んでいる。慣れない地面、体を動かすのには適していない服装。しかしこれは、致し方ないこと。
度々後ろを確認して、隠れて休む。
あとどのくらいか分からないけど、まだ走ることになりそうだから。
地の知なんて無い。頼れるのは自分の勘と、風。
早く、あの縛られた世界から抜け出し、安心出来る場所へ戻らなくては。
この風に身を任せ、
どこまでも遠くに飛んでいきたい
【風に身をまかせ】
#19
風に身をまかせ
この心にあって
あの心にない
そんな思いの
ひとつひとつに
届くような
やさしいことばを
見つけられたなら
この空にあって
あの空にない
そんな景色の
ひとつひとつに
届くような
やさしい風を
送れたのなら
もっと自然に
笑えるようになって
きっと誰かに
笑ってもらえるよう
風のようになって
身をまかせるような
寄りかかれる
そんな存在でありたい
風のように奏で
誰かにつないで
心へ届ける
あなたへのことば
そこにある思いを
決して見捨てない
あの心にも
この心にも届く
風のようにありたい
軽やかに行こう
大人になると制約は増えるけど、
心は自由でいたい。
私はよく無駄な1日を過ごしてしまう
次こそは意味のある1日にしようと
決心して目標を立てるけど、
現実はそう上手くはいかないと言うように
目標もそう計画的にはいかない
風に身を任せたらどんなに楽なのだろうか
蒲公英は最初地面にしがみついている
でも成長すると、
身を軽くし
空を自由に飛んでいる
あー、私もああなりたい
何も考えず
とんでみたい
ふわふわと
風に身を任せ
風に身をまさせ
好きなように好きなように生きよう
風に?風に?風に?
身をまかせて?
風に身をまさせ 私は今日も生きる
風を信じて…
白く美しい
シラカバのそばで
風に身をまかせ
舞っているよ
黒髪をなびかせながら
「風に身を任せて、どこまでも飛んで行きたい。」
常々、そう思う。いつもいつも自分で考えて、それで失敗して、怒られて。目を閉じれば耳を澄まさなくても叱責が聞こえる日々。そんな日常に私はうんざりだった。
自分が鳥なら、あるいは小さいものなら風になってどこまでも楽に行けたのだろうか。いいなぁ、何も考えずに動けて。いいなぁ、何にも縛られずに生きてて。なんて願っても叶わない理想を、そんな理想への嫉妬を、とうとう君に打ち明けてしまった。君は何も言わずに、少し寂しそうな目をしたまま風に身を巻かれて消えた。私が考え無しに、自分だけが辛いみたいに話してしまったせいなのだろうか。
『どうして』
そんなことを言える資格は、私にはなかった。
「風に身を任せて」
木と風はなかよし
ころころふわふわ
落ち葉が舞って、回って
風の形が見え隠れ
秋
真夜中の吹雪
ひとりじゃないよ
近くにみんないるよと
ヒューヒュー音信号
冬
はじまりとおわり
薫風はなくをくすぐり
目が覚めた
春
大きく広げた腕をするりと抜けて
汗かき
眩しく
大合唱の指揮者
夏
そ。
木と風はなかよし
#風に身をまかせて