『風に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
風に乗って 今年もまた何処からか
誰からかわからない あの手紙が届く
誰かへの 愛を綴った
美しい手紙。
数年前から家に届くようになった
いつの間にかその手紙が楽しみになっていた
毎年 桜の吹雪く頃
手紙が届く
手紙が春を届ける
これが来ると、春だなと思う。
いけないことだとはわかっている
誰かからの誰かへの愛を
自分が奪っているのだから
でも手紙の真っ直ぐな想いが
何の関係もない僕の胸をも打つ
名も顔も知らない彼だけど
手紙の内容
何故か僕の好きな人との共通点が多かった
手紙の主に親近感を覚える
昔 好きだった人がいた
その人と会ったのも春だった
僕はよく手紙を書いていた
あの人にも届かないかな
●ハンドサイン●
ここに一枚の写真がある。
血だらけの異国の兵士が
横たわっていて
微笑みながら弱々しく
ハンドサインをしている写真だ。
この写真は私が
フリーのジャーナリストとして
あちこち世界を飛び回ってきた時に
撮った一枚だ。
約束なのでこの写真を撮った時に
その場に居た人しか知らない場面だ。
この時の事はよく覚えいる。
当時異国の地に降り立った私は、
先の異国同士の争いで
戦場になった町の被害者の人々から
話しを聞いて回っていた。
真実を伝える、
それが我々ジャーナリストの使命なので、
この戦いから生きのびた人々話は、
とても貴重なものなのだ。
あの時も取材をしようと
この町の住民を探し、うろうろと歩いていた。
争いが終わったとはいえ、
異国から来た私は、
そうとう警戒されているので
取材も一苦労だ。
どれくらい歩いたか、
ボロボロの1軒の家屋から
怒号が聞こえてきた。
何事かと恐る恐る家のドアを
ノックしてみたら、怒号は止み
そこの住民が“何だ?”と言わんばかりに
ドアを開けた。
私はあの怒号が何なのか知りたくて
どうか取材をさせて欲しいと
通訳を通して伝えてもらったら
“悪魔がいるけどいいか?”
と返事が来た。
“悪魔”その言葉が一層気になり、
取材の許可をもらい、
私は、部屋の奥に招かれた。
中には、数人の若い男から
ヒゲをたくわえたおじいさんまで
10人以上は居たと思う。
部屋の真ん中には
明らかに、この町の住民ではない、
兵士らしき男が、一人横たわっていた。
彼は血だらけでもう虫の息だった。
ここにいる住民から
そうとう暴行を受けたんだと思われる。
その証拠に、ここにいる人々の顔は、
怒りとも何とも言い難い表情をしていた。
拳が赤い若者も何人もいた。
私は、こんな大勢で何をしているのか?と
通訳を通して聞いてみた。
この部屋にまねいた男は、
『こいつはこの町をめちゃくちゃにして、
大切な家族を奪った悪魔だ』
と言った。
『だから、我々で制裁をくわえているんだ』
目に涙をためながら
興奮気味にそういった男。
その時、私に気づいた兵士が
力を振り絞り、こっちに来てくれ。
みたいなジェスチャーをしたので、
男に許可をもらい、兵士に近づいた。
『おい、逃がしたりするなよ』
そんなニュアンスの言葉を
背中に浴びたが、
通訳を通さなければ、言葉は分からない。
兵士は、助けを請うわけでもなく、
私が首からぶら下げていた
カメラを指さした。
私はシャッターを切った。
今、彼を撮らなければならない、
そう思ったからだ。
シャッター音と共に
謎のハンドサインを
した腕が床に落ちた。
一瞬の事だった。
この時、彼は微笑んだ気がした。
現像してみないと分からないが、
彼は確かに微笑んだ。
何で、こんな酷い目にあっているのに、
彼は微笑んだんだろうか。
写真を撮った後
住民の男にカメラを取り上げられた
『何で悪魔の写真を撮った?
この写真で我々を脅す気か?!』
通訳を通して
『そんな事はしない、ただ、
私の個人的な記録として
撮っただけだ。
だから公表もしない』
と、伝えて貰った。
男はカメラをかかげ、
お金のジェスチャーをしてきた、
いくらか渡してようやく
カメラが戻ってきた。
このカメラには、そこに横たわる
ただの抜け殻になってしまった兵士の、
終わりの瞬間が入っている。
住民も分かっていたんだろう、
この兵士が悪いわけじゃ無い。
悪いのは他の所にある事を。
それから、
私は帰国をして、
あの時撮った写真を現像した。
現像した写真を見ると
確かにあの兵士は微笑んでいた。
そして後に、
あの謎のハンドサインの意味を知る。
“幸運を祈るよ”
兵士は自分の死をすぐ前にして
他者の幸運を祈っていたのだ。
この写真は今も私の中で
もっとも美しい瞬間をおさめた
写真だと思っている。
fin,
#今回のお題は【刹那】でした。
夢の中で
河川敷で会ったあの人は僕の初恋だった
とても綺麗で切なく笑うその人は近くの病院に入院しているらしい…
僕はその人に会いたくて桜の舞う季節にその病院を訪れた
だがもう既に亡くなっていた…僕の初恋は叶わなかった
名前も知らないその人を僕はサクラと呼ぶことにした
それからはサクラに似たような人を好きになるようになった、もう一度会える気がして、会えるわけないのに…
あの日から1年がたって河川敷で桜を眺めていた
風に吹かれて舞う桜は綺麗で思わず写真を撮っていた
写真に映っていたのはあの日のサクラで僕の心残りが無くなった…
この写真をサクラに見せよう!
『もう一度…見せてあげる…待ってて』
僕達は風に舞う季節を出会いと呼ぶ
現実全て取っ払って
風に乗って羽ばたけたなら
どんなに楽で楽しいかな?
今後の人生
本当に風に乗って羽ばたけてしまうぐらい
充実した人生にしたい
僕は小さなキミの手から離れた
行く先はひたすらに遠く、青い
悲しませてしまったらごめんね
消えて空の一部になるまで
キミの笑顔を思い描いた
今日もどこかで風が吹く
~風に乗って~
『風に乗って』4/29
教室の窓から、片思い相手を眺める。
部活中の、あの人は凄くカッコいい
カッコいい、本人に伝えられたらって思うけど
怖くて今日も、出来そうにない。
私の意気地無し、、、
「いつも、カッコいいです。好きですよ」
風に乗って、
この言葉が届かないものだろうか?
『風に乗って』
長い草が風になびいて波のように揺れている草原。かき分けて進むと灯台があった。近寄って見ると張り紙があり、
〖この先、ご自身の分身が数人、共同で暮らしている島がありますので、そこでご自身達と生活できます〗と、書いてあった。
灯台の扉が開いて、中から私に似た人物が一人出て来て、「迎えにに来たよ。一緒に島に行こう」と、言った。「ここは死後の世界なの?」と聞くと、そうだと言った。
ここまでの道のり、誰も迎えに来ないし、道案内もないから分からなかったが、私が死んでも迎えに来る人なんかいるまい、と思っていた。
でも、来てくれた。けど、それも私なのなら、結局誰もいないのと同じことなのだし、相変わらず、一人なのだが、それでいいと思った。
死んだからには、自分と向き合うことになるということか。生きてきた人生も逐一おさらいして、生きる意味を探るのか。
「その必要はない」と、分身は言った。「木や草や花も虫も、小鳥も猫も、蛸や提灯アンコウなんて不思議な生き物だって、ただ生きてそこにいるだけで、意味なんてない。だから、そこにいればよかったんだよ」
お日様の笑顔と
海の匂いと
波の歌声とを
3分の1ずつ混ぜた
特製絵の具で
広い 広い
青空のカンバスに
さらさら きらきら
流れる風と
ほわほわ ふんわり
浮かぶ雲とを
想いをこめて描きます
風に乗ったこの雲は
わたしから
あなたへの
精一杯のメッセージ
あなたの
お部屋の窓から
見えますか
# 風に乗って (123)
昨夜の余韻は風にのり、遠く遠くの砂漠の隅で、夜空を眺めるラクダの背中に舞い降りた。
突然の甘い甘い訪れに、ラクダはそうっと目を閉じた。
昨夜の余韻が風にのり、どこかどこかに消えてった。
窓を開けたその時に、すうっと飛んで消えてった。
春の空を仰いで
浮かぶハレゾラの雲に手をかざす
舞吹く風は全てを巻き込み世界を旅する
まぶたを閉じて…そっと呟く
そこに連れていって一緒に行きたいと
春の空は綺麗で
始まりと終わりを連れていく
旅の路中、連れてきたモノを降ろして
再び空へと舞い上がる風
季節を乗せ 香りを乗せ 想いを乗せ
まぶたを開けばただ佇む影
歩いた跡の静けさと飛ばされた心の手紙
伸ばした手は届かないまま季節はめぐる
テーマ:風に乗って #168
風に乗って
紙飛行機よ、飛べ。
学校の屋上なんてあんまり来ないけど
今日はそういう気分だった。
青く広がる空は
授業をサボった私の心など知らず
眩しすぎるくらいの光を放つ。
白い紙を折って作った
何年ぶりかに作った紙飛行機。
前作ったものよりも
きっとうまくなっている。
紙飛行機を飛ばした。
屋上から。
私の心は風に乗る紙飛行機のように
自由だろうか。
授業をサボって
屋上に行き
紙飛行機を飛ばす。
自由なのだろうか。
私の心も一緒に飛ばして。
もうすぐで地面につく。
紙飛行機は
自由なの?
香る幸を たずさえて
羽毛の使いは扉を叩く
薄荷は身代わり
高く低く踊るように
身軽に浮けば
夕日が流れ
いつかの約束のはじまりへ
風に乗って
涙と共に新しい風が
流れるの
こわいの…不安なの…
でも…
あなたがいるから
あなたがいるから
きっと…
乗り越えられる
こわいの
足がすくむの
うごけないの…
だけど…
あなたが
そっと…
やさしい手を
差し出してくれたの
…
涙が溢れて…
風の音が良く聞こえる
足取りも軽い
このままどこまでも行ける気がする
好きな歌を口遊んで
今日は気分が良い
*風に乗って
瑞々しい香りが、髪を撫でる
葉擦れの音が、耳をくすぐる
全てを届けて
全てをさらう
風は気まぐれ者だから。
好きだった人を忘れられんじゃなくて
その人がいない時間に慣れただけ
日は昇り、日は沈み、あえぎ戻り、また昇る。風は南に向かい北へ巡り、めぐり巡って吹き、風はただ巡りつつ、吹き続ける。
風と言われると昔読んだ旧約聖書コヘレトの言葉のこの部分を思い出す。変わらない繰り返し、同じところを巡り続ける世界が描かれ、冒頭の「空しい」のリフレインに続いて徒労感を感じさせる文章だが、この風の部分だけは、読んでいると自分が風の視点で方々を巡り吹き抜けるような爽快さが一瞬感じられて、それで印象に残ったのかもしれない。同じところをぐるぐる回るのは嫌いじゃない。小さい頃行った田舎の水族館(何年か前になくなってしまった)には、ドーナツ型の水槽があった。年取った大きなサメが、いつみても一定の速度でゆっくりと水槽を回っていた。水族館に行った日の夜はサメのことを考えた、サメは今もぐるぐる回っているんだろうと思いながら眠った。コヘレトの頃から変わらず巡り巡って吹きつづけ、南だか北だか知らないどこかの空を吹いている風のことを想像すると、今でも少しだけ気分が軽くなる。それは作者が意図していたこととは違うかもしれないけど。
(風に乗って)
[風に乗って]
「……元気にしてるかな、お兄さんは」
私がお兄さんの部屋を出てもうすぐ半年。季節はお兄さんと過ごしたあの春から2つ目の季節を迎えてる。秋口の涼しい風が肌に心地良い。
お兄さんと一緒に過ごした一ヶ月はとても楽しかった、それこそ私の人生の中で一番楽しかったって言ってもいいくらいにはお兄さんとの生活は居心地が良かった。最初不安が無かったと言えば嘘になる。初めての家出で、助けてくれたとはいえ見ず知らずの男の人の家に行くだなんて襲われでもしたら、なんて女の子ならそんな考えの一つ二つ考えてしまうものだしね。
でもお兄さんはずっと優しかった。家での理由も聞かずテレビを見せてくれたし一緒に話もしてくれた、ベッドだって一つしかなかったのに譲ってくれた、朝も忙しかったのにご飯まで作ってくれた、帰る前にシャワーも貸してくれた。
優しすぎて逆に胡散臭かったりもしたけど、お兄さんはただ優しいだけだった。
パンッと小気味良い音が満天の下に響く。打たれた頬がじくじくと痛んで熱を持っていく。お兄さんの態度に絆されて帰ってきたことを一瞬で後悔した。このビンタが私を心配した愛情からくるものだったら私だって家出したことを一瞬でも後悔出来たのかな、なんて外で怒鳴り散らす父親を黙って睨むとまた打たれた。娘にDVしたいだけのクズのくせに。
「あ、ははは……。昨日ちゃんと帰ったんだけどね、また出てきちゃった」
殴られた跡を見てからお兄さんは家に帰ろと言わなくなって、私も私でお兄さんに甘える形でダラダラと同居生活を続けてたある深夜。
「魘されてるね、大丈夫かな……っ、お兄さん気が付いた?」
「………、…」
「どうしよう、やっぱり起こしたほうがいいかな」
「……き、だ」
「なに、お兄さん」
「おれも…きみが、…すき、だよ」
「っっ!!」
あの言葉を聞いて潮時だと思った。お兄さんの人生で偶然ほんの一瞬交わっただけの私がお兄さんとこれからも一緒にいていい筈がない。
だからあの日私はお兄さんが仕事に行ってる間に何かあった時用に取っておいた少額を下ろしてお兄さんが買ってくれたものを全部バッグに突っ込んで逃げるように家を出た。勝手に家を出たから怒ってるかな、きっと怒ってるよね。
送るつもりもないくせに書いた手紙を破ると何の偶然か一際強い風が吹いていくつかの便箋の欠片が窓から風に乗って飛んでいく。
いっそこの想いごとお兄さんのところまで届けてくれたらいいのに。
『お兄さん、会いたいよ』
※[刹那(23/04/28)]のアンサーです。刹那テーマの方を読んで頂くと物語の流れが分かり易いと思われます。全容を知りたい方は是非そちらも合わせてお楽しみ頂けると幸いです。
風に乗って飛んでいく紙飛行機
離陸場を見れば、男の子が笑顔でこちらを向いている
飛行機は私の膝の上に着陸した
私へのメッセージだろうか
無防備に私の膝の隙間で傾く紙飛行機
私は彼行きのそれを出発させた
窓枠を越え、それは風に乗って彼のもとへ飛ぶ
青く染まった空はそれどころか全てを受け止めるように笑う
私は病室のベットの上でため息をつく
向かいのベットにいた男の子
今日君は風に乗って空へ舞った
もうじき私もそちらへ行くかな
私はどこまでも飛んでいくそれを眺めた
風に乗って
ん、なんか臭。
仕事の帰り道に1回は思う事