『静寂に包まれた部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
静寂に包まれた部屋の隅で
電気を消して、ただただ縮こまる
息を殺して、貴方が迎えに来るのを待っている
待ってる
でも、知っている
貴方は来ない
理解っている
だから、独り泣き止んだ私は貴方を
心の奥底に閉まって仕舞うのだ。
もう貴方が誰にも害されない様に
貴方を誰も奪わない様に。
出来るだけ早く迎えに来てね。
僅かな呼吸が 耳に届く
窓を叩きつける風の音
雨を吸った木の香り
すーっと差し込む 仄暗い月明かり
今はただ
この空間が 好ましいのだ
/静寂に包まれた部屋
今日も眠れない。
いや、眠らないだけ。
なんとなく、外をぼーっと見ておきたいんだ。
電気を消したら真っ暗な部屋。
布団と机しか無い質素な部屋。
もう何日寝てないかな。
薬を飲んでも寝れない。
あ、今日満月だ。
綺麗だなぁ…
いつか僕もまた、満月のように輝ける日が来るのだろうか。
静寂に包まれた部屋
ぐしゃぐしゃのプリント。
書きなぐられたノート。
ボロボロの枕に、割れた写真立て。
パソコンのキーボードには乾いた涙の痕。
いつだかお気に入りだと言っていたカーペットに落ちた黒は、元々何色だったのだろう。
静寂につつまれた部屋。
大人は、その時まで何も、知らなかった。
ー反転ー
ぐしゃぐしゃの脅迫文。
書きなぐられた懺悔。
ボロボロの手に、割れた爪。
皺の刻まれた頬にはまだ乾かない涙の痕。
色違いで揃えたカーペットを濡らす水分は透明なのに、赤く見えるのは夕日のせいか。
静寂につつまれた部屋。
子供は、その後の事など、知りもしなかった。
『静寂に包まれた部屋』2023.09.29
俺が脚本を書くときは、必ず自室に籠り、音楽もかけないで執筆している。なぜならば、そのほうが自分の世界を展開できて筆が進むからだ。
まだ書き始めて間もない頃は、音楽をかけたり、子どもたちのにぎやかな声を聴きながら作業することもある。
しかし、締め切りが差し迫ってくると、自室から子どもたちを遠ざけたり耳栓をしたり、時にはわざわざホテルをとってそこで執筆している。
どちらかと言えば、俺は無音のなかで執筆するほうがいい。
余計な雑音が入るのが嫌というのもあるし、静かなほうが筆が進むというものある。
だが、前述したとおりに、俺には俺の世界がある。
セリフを書くたびに、脳内ではやつらが喋っている。あてがきがほとんどだから、当然である。
物語を展開させる一方で、セリフを再生する。
外部でなにかしらの音が鳴っていると、それに邪魔をされてしまうので、書きたいものが書けないのだ。
静寂に包まれた部屋は、俺の劇場。
目まぐるしく場面が展開し、セリフが聴こえ、音楽や効果音が鳴っている。
静寂であって静寂でない。
それが、俺の執筆スタイルだ。
【静寂に包まれた部屋】
昨晩もろくに眠れないまま東の空が徐々に白んで、夜が明けてしまった。
何度目かの溜め息を吐き、電気ケトルに水を汲みスイッチを入れる。
―――こんな朝を迎えるのも、もう三日目だ。
半月程前から、恋人と連絡が取れなくなっている。
携帯に掛けてみても留守電で、メッセージを残してもリターンがない。LINEも無視。一昨日の夜からはとうとう繋がらなくなってしまった。
仕事が忙しいのかも知れないという一種の諦めにも似た理解と、別れ話を切り出せず自然消滅でも狙われているのだろうかという不安が今、私の中でごちゃ混ぜになって渦巻いているのだ。
どちらかと言えば普段は彼の方がマメに連絡を取りたがるのに、こんなに音沙汰がないのは初めてだったから。
だからと言って、家族でもない自分が騒いで捜索願なんておかしな話で。
心当たりは毎日探しているのだが、正直共通の友人知人がおらず彼の現況が全くと言っていい程判らない。
心配だが彼も大人だし……そう自分に言い聞かせて、彼からの連絡を待っていた。
だが、そんな強がりもそろそろ限界にきている。
一体、どこで何をしているの?
忙しいなら忙しいでいい。もし他に好きな人でも出来て別れたいのならせめて言って欲しい。
極端な話、無事を確認したいだけなのだ。
コーヒーを淹れる前にひとまず顔を洗おうと、ユニットバスへ向かう。
「―――酷い顔」
独り言が静寂に溶ける。
鏡に映る自分の顔を見て、自嘲気味に頬を歪めた。
肌はボロボロにくすんでいたし、眼の下の隈などはもうメイクで隠せるレベルではない。
溜め息を吐いた時、ふと眼に入った二人分の歯ブラシ。
これだけじゃない。二人分のタオルや着替え、食器。彼が手ぶらで訪ねて来ても、数日は不自由無く生活出来るくらいのものは揃えていた。
どこを見回しても、この部屋には彼の気配がする。
会いたい。声が聞きたい。
彼に出会う前までずっと独りで暮らしてきたはずなのに、今はここに独りで居るのが辛い。この部屋の静寂が怖い。
自分で想像していた以上に、心の中に彼が居るのを自覚してしまって、泣きたくなって困る。
だから用が無くても外で過ごす事が多くなった。極力この部屋に居たくない。
そして今日もまた、何だかんだ理由を付けては出掛ける事になるのだろう。彼の声、匂い、面影を求めて。
静寂に包まれた部屋
相思相愛でした
でも、友達以上の関係にはなれないそうです。
どうすればいいか分からないそうです。
情けないです。大っ嫌いです。
でも、初めてあなたに好きと言われました。
諦められません。そんなこと言わなくていいのに
今日はもう忙しいらしく、返信もないです
静かな部屋で1人です。
ばーか
家族がいなくて静まり返った部屋まるで自分以外の人間がいなくなったような気にさせた。
いつもなら綺麗に見える夕焼けが異様な雰囲気を醸し出していて不気味に思えた。
何故か家よりも外の方が安全な気がした。
ついに自分しかいない部屋に耐えきれなくなり外に飛び出した。
外の蛍光灯の光がいつもより優しく感じた。
2歳の初めてのお留守番。
『静寂に包まれた部屋』。
ここに、あなたがいたならば。
静寂に包まれるのは、落ち着いて良いとは思うけれ
ど、あまりにも静かだとかえって不安になる。
この世で、たった一人になったような。
秋になり、虫の声が聞こえてくる。
少しの音があった方が安心する。
「静寂に包まれた部屋」
薬の脱け殻が手に触れた。
白い月が窓に浮かんでいるけれど、あなたは夜の深さばかりみている。ビー玉をはめ込んだ、その瞳。
縫い糸を切ればそれっぽくなる。
乾いた唇には水をさす。
季節のはずれたミモザの香水。
むせかえるほど、あなたの髪に残っている。
壊れたものを繕うのに
静寂に包まれた部屋がいたく心地いい。
それは、あるような、ないような。
ふと気づくと、そんなことになっている時がある。
別に、意図したわけじゃない。
ただ何となく、本当に何となくだった。
それがそうと理解できる時もあるし、できない時もある。
それがいつ訪れるのかは、解らないけれど。
”静寂に包まれた部屋”は、いつだって曖昧な境界線のようなものだった。
静寂に包まれた部屋
静寂に包まれた部屋
シーーン
無音だ
何か環境音があるわけでもないし
とにかく目立った音がこの部屋からは鳴らなかった
オナラの音はだせないし
時計のチクタクという音すら鳴っていない
テレビはもう電源がついてない
本当に何もかもがダンマリだった
しかし、俺の耳が聞こえなくなったわけじゃない
唯一聴こえるのは自分の鼓動だった。
バクバクと鳴っているのが尚更ヒヤヒヤする
もっとうるさくなる前に鎮める
今は目を瞑り、精神を落ち着かせる。
平常心を保つんだ。
あれから1時間
だいぶ、緊張がほぐれた
心臓の音は落ち着いていた
あとはこのままの体勢で時間を稼ぐだけだ
でも、いつまで経っても進展がない
しかしお腹が痛いな
あっ…そういえば今日、朝食抜いたんだった
お腹に力を入れて我慢…
ぐぅうううう〜
しまった
目を開けると目の前には
顔が裂けた化け物がいた
やはり音で獲物を感知するタイプだ
二人の恋人が静かに部屋で過ごしていた。外は雪が降っていて、部屋の中は静寂に包まれていた。
彼女は彼の腕の中にいて、彼の胸の鼓動を感じながら、彼の体温であたたかく包まれていた。彼女は幸せな気持ちになり、彼に対してますますの愛情を感じていた。
彼は彼女を見つめ、彼女の美しさに心を奪われていた。彼女は目を閉じて、彼の腕の中でほんわかと微笑んでいた。
二人は言葉を交わすことなく、ただ静かに過ごしていた。しかし、その静寂の中にも、二人の愛情が溢れていた。
外はますます雪が降り続けていたが、二人にとっては、この静かな時間が一瞬たりとも終わらないように感じられた。
静寂に包まれた部屋で、二人はただお互いを感じ合っていた。これが、二人の愛の深さなのだろう。
静寂を静寂であると気づくのは、そこに一つの音が生まれてからだ。そう、あなたが扉を叩いてくれなければ、私はこの静寂に気づくことはできなかった。
/お題「静寂に包まれた部屋」より
ことこと,くつくつ,とんとん。料理の音が聞こえる 。
嗚呼この匂いはビーフシチューかな。
そう考えながらリビングへ繋がる扉を
ぎぃーと音を鳴らしながら開いた。
「おかえりなさい」
愛しい人 が ぱたぱた と 足音を鳴らして駆け寄り
にこり と 浮かべた笑顔で 挨拶をした 。
愛しい 。それだけ が 頭に ぷかり と 浮かぶ 。
ぎゅっと 愛しい人を 抱き寄せて 幸せを 噛み締める 声で
「 ただいま 」___
けれども 暖かくない 。
足元には ぺとり と 血溜まり が 。
ごとり 落ちる 愛しい人 。
闇が 近付いて 飲み込もうとする
その先に 居る 妻の存在を 掴もうと 手を伸ばし
「 Don't go! My ___ 」
全ては 偽った 静寂の 音 。
少し開けた窓から、秋の虫たちの演奏が聞こえてくる。
外は暗闇に包まれ、人々は深い眠りについている時間。
そんな時間に、俺は目を覚ましていた。
別に夜型の人間という訳では無い
朝に起き、朝食を食べ、学校に通い、部活をした後に家に帰る。そして寝る それの繰り返しだ
このまま起きていたら、それが崩れてしまう。
そんな事は頭で分かっていたが、活性化した頭が寝る事を許してくれない。
「何か飲もう」
虫たちの演奏よりも小さい独り言を呟き、むくりと体をおこす。
家族を起こさないよう、慎重に歩きながらキッチンまで辿り着き、冷蔵庫の中身を漁る。
「確か、ホットミルクとかが
寝る前に良かったんだよな…」
牛乳を取り出し、カップに注ぐ。
電子レンジにカップを置き、適当に温める。
静かなため息を吐き、近くに置いてある椅子に腰を下ろす。
「俺がホットミルクとか…
あいつらに言ったら笑われるだろうな。」
不意に、いつも一緒に居るやつらの事を思い出す。
部活が同じで、クラスも同じ。
いつの間にか仲良くなって、一緒につるんでいる。
今日は通り雨に降られ、びしょ濡れになりながら帰ってきた。
「あいつらは、俺のことどう思ってるんだろ……」
まるでその言葉に答えるかのように、温め終わった合図が鳴る。
温かくなったミルクを取り出し、リビングへ向かう。
ソファに座り、ホットミルクを少し飲む。
優しい味が、夜風で冷えた体を温める。
「俺は、チャラ男を演じきれてるのか?」
カップを机に置き、独り言を呟く。
いつの間にか、秋の演奏は聞こえなくなっていた。
まるで、自問自答を邪魔しないように、息を潜めているかのようだ。
「俺は…もう…あんな思いは…」
静寂に包まれたからなのか、自身の負の感情が溢れ出す。
昔の嫌な思い出が、フラッシュバックする。
弱虫で、ゴミで、サンドバッグにもなれなくて、虫よりも立場が低いかのように扱われた、あんな日々。
そんな嫌な思い出が、今の自分を作り上げている。
陽キャやチャラ男の真似をし、クラスの人気者に。
「でも…あんなの俺じゃない…でも本当の俺を見せたら…あいつらは、俺と仲良くしてくれないんじゃないか?」
普段心に秘めていた思いが、口から流れ出てくる。
もう嫌われたくない 無視されたくない
否定ばかりされてきた生活を送りたくない
理想と本音が、心の中でぶつかり合う。
いつの間にか、涙を流していた。
その涙をライティングするかのように、月明かりが自身を照らす。
「そういえば…満月だ」
一点の曇りもない空に浮かぶ月を見ながら、呟く。
さっきまでの負の気持ちが、月によって抑えられたような気がした。
「確か、十五夜も今日だった気が…」
日中、授業で聞いた内容を思い出す。
確か、次に十五夜と満月が重なるのは7年後だったはず。
「暫くは、見れないのか。」
別れを惜しむかのように、月を眺める。
心配要らないよ きっと上手くいく
そんな励ましの言葉を言ってくれているかのように、月が優しく照らす。
不確実で、不器用で、だけど優しいその言葉が、自身の不安の穴を埋めていく。
「月に励まされるとか…厨二病かよ」
自身の考えを、自分で馬鹿にする。
「でも…ありがとな」
自身を励ましてくれた事に対するお礼は、静寂の虚空に呑まれていく。
残ったミルクを飲み干し、部屋に向かう。
明日、本当の事を話そう。
そう誓い、ベットに横たわり、目を瞑る。
秋の音楽隊が、応援のエールを贈るかのように、演奏を再開した。
お題『静寂に包まれた部屋』
部屋は倒れた額縁で溢れ返っている。
お気に入りだった本棚は、
触ることもできずに埃被っていた。
おい、準備できてるか?
外から大きな声が聞こえる。
ゆっくりと扉を閉じて、
新しい額縁を懐に入れた。
毎度毎度、捨てきれずに残っている思い出。
記念撮影するって言ってただろ
早くしないと遅れるぞ
手にカメラをもって急かして来る。
いつも、残したくなってしまう、
いつかは伏せる集合写真。
またあの部屋で埃被る小さな額縁。
いつもこうだ。
後悔しかしない無責任な自分のままだ。
それなのに、言ってしまう。
かっこよく撮ってね
大切な記念写真なんだから
また涙を流すんだ。
『静寂に包まれた部屋』
君が隣で寝静まって
君の頬をそっと撫でて
そこで初めて
一人の長い夜が始まる
#静寂に包まれた部屋
73作目
『静寂に包まれた部屋』
彼は たった一人で
何を想っていたのだろう
蒼白く輝く 美しい満月
風にそよぐ野の花たち
この世の美しいものすべて
一度も見ることがないまま
外の世界と一切の関係を断ち
静寂に包まれた
窓さえない この部屋で
最後の時をむかえる
その瞬間まで
なぜ ここで
生きることを選んだのか