『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雫
一度心が壊れた時から、行き場を無くした涙の雫がまだ見えない夜をさまよってる。
苦しくて、今までとは世界が変わってしまった感があって、何処に向えばいいのかさえ未だにわからない。
閉じ込められた建物の扉は既に開いているのに、そこから出ていく勇気さえ持てなくて…。
涙の雫が嵐の大雨となって吐き出せたらいいのに…。
そしたら、扉の外に駆け出していけそうな気がする。
「雫」
葉っぱの上で
歓びはしる
まぁるく
光る
雨の雫
初めまして。
藤咲 璃奈と申します。
宜しくお願いします。
まだルールや書き方などが右左前後が分かっていませんが何卒宜しくお願いします。
雫か。あれでしょ、涙の雫的なやつを期待してるんでしょ。
確かに涙が溜まった状態で勢いよく目を瞑るとポロポロろこぼれるけど、一度でもぬぐっちゃうと顔の油分で弾かれなくなって雫にならない。
だから涙の雫ができている場合は、
・泣きの初期段階、あるいは、
・雫にするためにわざと涙を拭わずにいる見せ涙、
だと考えるべきじゃないかな。
「雫」
葉先から滴る一雫
映るは反転の世界
あぁ、なんて煌めいて透明で
美しい世界だろう
雫っていつも何かにしがみついてるから
きっと何かしたいんだろうなァと
見る度に心の中で応援してしまうけど、
這い上がるかもと期待してた奴らは
決まって落ちてしまうから嫌になるよ。
⚪︎雫
新月の晩、私には餌が与えられる。
「良い子にしてた?」
「…………」
「ああ、轡を外してあげて」
ひと月ぶりに外される口枷。けれどすぐには話してはいけない。
「語りなさい」
「……」
「語りなさい」
「……」
「語りなさい」
「…………おひさしぶりです、あるじさま」
「もうっ、面倒ね!」
今代のあるじさまは随分なお転婆で、千年前の取り決めをことごく「古臭い」「時代遅れ」「面倒」と軽んじている。
「この儀式もどうかと思うのよ。悪趣味」
「あるじさま」
「分かってます。さ、始めましょう」
よく清められた小刀の鋒で、人差し指の腹を裂く。
滴り落ちる、その一雫が私の餌。
跪き、仰ぎ見て、無様に乞い願う姿勢を取る。
憐れみと、蔑みと、少しの加虐心。目は口ほどに物を言うとは、よく出来たことわざだ。
「それじゃあまた、次の新月に」
「ええ、また、あるじさま」
良い子にしていましょう。その一雫のために。
#雫
ぽたぽた落ちる雫
ぽんっと跳ねる雫
たぷんと溜まる雫
ほんの小さな雫が溜まり
ほんの少しだけ恵まれる
今日一日の努力だって
そんな雫のように少しずつ少しずつ
人生の湖を満たしていくのだろう
美しい湖には様々な植物や生き物を宿して
さらに美しさを増すのだろう
人によって景色の違う湖に
今日もぽたりぽたり豊かさをもたらす
あなたの頬を伝ったのは、雨か涙か?
その一滴の雫は心を深く濡らし、消えていった。
大木の支配のもと
雫が落ちる音がする
雫たちは自由に振舞っているようで
その落ちる先はいつもその根元だった
木は黙して
生命の根を深めた
(善良な支配を誰も支配だとは気づかなかった)
#雫
お題《雫》
はらはらと雫が零れ落ちてゆく。
花弁の雫が花溜りを創る。
空によく映える淡いにぎやかな花弁も。
風花となって、次の物語へ移ろいでゆく。
次はどんな夢が見られるのかな。
翠緑色の葉の幻想が瞳の中で、ゆらゆらと揺れたような、そんな気がした。
(昔のお題の『海の底』のつづきになります。一番下にあります。昨日のお題と今日のお題を一緒にしました。)
「海の底でひとり朽ち果ててしまいたかったの」
あの子の隣を歩くのを見たくなかった。周囲が望もうとも、その瞬間だけはどうしても、考えただけで息がつまる。
彼は私のよすがだった。
誰もいない私には勿体ないくらいの最愛の人。彼がいないなら生きられない。彼以外に『何もいらない』ほど依存しているのを幻滅されるのを恐れ、必死に隠した。それがいけなかったのか。
心から愛した人が奪われそうで周囲の熱に声をあげる勇気すらなく逃げ出した。失う恐怖とその先に待ち受ける底無しの孤独は地獄でしかない。
苦しく痛みを伴う思い出に変わる前に、彼の瞳を連想させる海でひとり沈もうと…。
走った勢いのまま海に入ったというのに波に押し返され砂浜の上、海水を吸った服は重く寝転がればあっという間に砂まみれになった。冬の海は足の感覚を奪ったたけで、私の命を奪うことはしなかった。
私を突き動かした激情は彼に抱き締められても収まりはせず、成せなかった悔しさと惨めさ、彼が駆け付けてくれた安心感と複雑に混ざって大きな『雫』を作り頬を濡らした。
夜風と海に冷やされた体には彼の体温が心地よく、砂が着くことも自身の服が濡れるのも構わず一向に腕の力は緩まない。
「あなたが居なくなることが耐えられないの。あの子のところにいかないで」
嗚咽をもらし思った以上に汚い涙声に私自身が驚く。
彼の重みになりたくなくて背伸びをし我が儘を抑えて寛容なふりをしていたのに。今になって初めて感情を昂らせた弱く浅ましい私を、強さに赴きを置く彼にさらした。演じていた理想の強い私が音をたて崩れていく。
「どこにもいくわけないだろ。俺もこの街も君を苦しめたんだね…。戻っても同じことが繰り返されるなら……」
胸がひどく絞め付けられる声は顔を覗くには十分な理由で、海の底を見たことはないけど、きっと今の彼の目がそうなんじゃないかと思う。それは影だと人は言うかも知れないが影じゃない、もっとずっと深く暗い蒼だった。
「2人で消えてしまおうか」
聞き返すよりも早くふわりと体が宙に浮き、横抱きにされて海に向かって歩き始めた。砂を踏みしめるブーツの音が途切れバシャバシャと海面を蹴飛ばす音に変わって落ちないように体を縮めて掴まった。思考が追いつき喜ぶ私がいる。
けど、気付かないはずがない。私にはもういないけど彼の帰りを待つ大切な人たちが遠くの国に、手紙が届く度に話を聞かせてくれる彼の家族がいることを。私が、彼らから奪う訳にはいかない。
「待っ、て、あなたには待ってる人が」
「家族や兄弟なら1人じゃないし支えあえるから大丈夫。乗り越えられるさ」
さざ波が彼の脚を、私の足先を打つ。とても穏やかな海がある。
「君といるって決めたんだよ。街には頭を冷やしてもらうとして、それに紛れよう」
真剣ながら優しい眼差しと彼越しに彼の星座が、一際大きく清かに光る。
咆哮と潮の薫り。
突然荒々しく顔を変えた海が街を飲み込めそうな津波を生み出す。高々と影を作り迫っているのに私の心は凪いでいて彼も同じ心境だったかもしれない。水圧ではぐれないようにきつく腕を回すと彼の顔がぐっと近づく。
互いの瞳は雄弁に愛を語って…唇が重なるのは自然なことだった。
「ずっとそばにいる。海の底でもエスコートは任せてくれ」
にかりと笑ういつもの彼。私にとって最上の言葉は胸にすとんと落ちる。この上ない幸せを噛み締める時間はあまり残されていなくて、私にできる精一杯の笑顔で彼に返す。
舞台の幕のように波が降り、視界いっぱいの青と彼を焼き付けたくて
さいごまで瞳を閉じることはしなかった
大きな津波は街の一部を浸したものの不思議な事に被害はない。街人たちは安堵し、まるで憑き物が落ちたかのように何かに熱中していたことなど忘れて日常に戻っていく。
友人が2人のことを探すが馴染みの店にもよく見かけた大通りにも姿はなかった。街の人に尋ねても津波があった日を境にさっぱり見かけないと言う。安全だと分かるまで海に行く道は閉じられてしまった。
2人の友人の男の方は自由奔放な時があった。もしかしたら駆け出していったあの日、もう1人の友人の手を引いてどこかに旅立って行ったのでは?あの時の街は異様だった。彼は彼女のことを大層気にかけていて、彼女もまたそう。
友人にとって大切なお似合いの2人は別の街にいるかもしれない。次会えるのはいつだろう?再会を願いながら友人は、海の近い街から別の街を目指して行った。
街から近い海岸に陽を反射して鈍く光る物が並んで打ち上げられている。所属を表す装飾品は豪華な作りで階級が高いもの。その横に少し踵のある女性の靴が寄せては返す波にさらされていた。
海水で痛んではいるものの傷ひとつないそれは、友人が探している大切な2人の物だった。
『海の底』
彼と、あの子がお似合いだと、街で噂が広がった。
困っていた街の住人を二人が助けたことがきっかけで、息のあった連携で抱えていた問題を鮮やかに解決へと導いた。住人は言う「お二人は素晴らしいパートナーなんですね!」と。
彼とあの子は趣味があって、家族を大切にして、共通点がたくさんで努力家で…互いに磨きあっている。専門分野が違う私は、それを側で見守って応援しているだけ。
街の権力者を助けたあの日からなんとなく予感はしていた。
彼らは大々的に取り上げられ、評判の悪かった彼も街の英雄のあの子のお陰で改心したのだとか、恋の力で…だとか、お似合い以外にもどんどん尾ひれがついて、周囲は彼とあの子をくっつけようとしている。
手を伸ばせばすぐに掴めるはずなのに、彼を遠い人のように感じ始めて。
「あなたもお似合いだって、そう思うでしょ?」
賛同を求められて限界だった。もう聞いていられない、見ていられない。ここで私は呼吸ができない。
その場に居られなくなって逃げるように海へと駆け出した。
二人が困った顔をしていることに街の住人も海に走っていった彼女も誰も気付いていない。
私の、彼のはずなのに。隣に居たくとも私の居場所ではないらしい。
彼の立場を考えて付き合っていることは隠していた。
あの子と彼は美しい物語に仕立て上げられ街の住人は自分たちで作ったそれに酔いしれている。今さら名乗り出たところで噂に勝てる美談などはない。
あの子はとても良い友人で、周りに流される子ではないと分かっているのに。もしかしたら彼の、こと…。
考えてしまったら現実になりそうで、波なんてお構い無しに衝動のまま。冬の海の冷たさはあっという間に足の感覚を奪った。腰まで浸かる頃には先へ進むことができなくなった。波に少しずつ押されていって、砂浜に逆戻り。 もっと深くまで行ければ、波がさらってくれればよかったのに。
砂浜の上のにずぶ濡れで砂まみれになって寝転がる。
…中途半端だ。
起伏のない土地がここで仇となった。辺りは一面の砂浜。
見上げれば街の灯りではっきりとしなかった星たちがきれいで、滲む視界でより輝いていた。
「本当ならね、
崖でもあれば身を投げ出して
沈んでいく最中に海の織り成すグラデーションを
彼の瞳に似た色を目に、体に、焼き付けて
さいご
『海の底』でひとり朽ち果ててしまいたかったの」
震えた言葉は波のように揺らぎ、海と星空だけに胸の内を明かしたはずだった。
「…俺が『底』まで君を追いかけないとでも?」
息を切らせた彼に骨が悲鳴を上げるくらいきつく抱きしめられるなんて。
入水をする程に強がりな君を追いつめた。とっくに限界を越えていて、砂浜に倒れているような濡れた影を見た時、生きた心地がしなかったがちゃんと生きている。
君に好かれているのか不安であの言葉をすぐに否定しなかった、傷ついていることを知りながら、ああ、愛されているんだと。こんな俺を許してくれだなんて言わないから。
『海の底』に連れ去れたらいいのにって思っていることを君は知らないだろ?
そこに行けば太陽の暖かな光も月の優しい光も届かず、陸に帰ることもできない。俺無しでは生きられなくなる、二人だけの世界。
深いふかい、まっくらやみに閉じこめて君を独り占めにして、どうか俺だけをその目に映して、と。
心の奥底にある『海の底』よりも暗く厄介で重い何かが、顔を出していることも。
雨あがりの空の下
陽光に向かって
5月の朝露
薔薇の葉と内緒話をしていたとある雫が
花咲くように微笑みかけた
虹の光を受け止めて
今日はいいことが
人間さんたちに沢山起こりますように
雫の中には世界が閉じ込められているから
しあわせを願ってやまないでいる
2023/4/22 『雫』
コーヒーの匂いが私の鼻を、
雨音が私の耳を、
白い静けさが私の心を、
包み込む。
青の時計を見つめれば、
黄色の照明を見つめれば
紫の雫を見つめれば、
緑の貴女が雨宿りをしに、
来店しないか妄想してしまう、
そんな放課後カフェテリア。
テーマ:雫 #160
「雫? 学校先に行っちゃうよ?」
「あ、ごめんごめん」
私は天宮雫(あまみやしずく)。
高校最後の学年になる今日、
始業式早々寝坊した。
スタートから困難で大丈夫なのか、
不安になる気持ちもありながら、
双子の妹・快(かい)が待ってくれているので
安心感を持ちつつある。
「全く、始業式早々気を抜きすぎだって」
「ごめんごめん」
玄関で靴を履きつつ快に謝る。
ドアを開けるとリビングの方に向かっていった。
「お母さん、行ってきます!」
「なぁ。もう別れねぇ?」その言葉に私はずっとずっと縛られている。優斗に別れを切り出されたのは三ヶ月前。ずっと潮時かななんて思っていたのかもしれない。でも。でもまだ。それが続いて三ヶ月前。大好きな優斗から連絡があった。『あのさ、初めて2人で行った夏祭りの⚪︎⚪︎神社に来てくれない?大事な話があるんだ』その時ほんとは分かってた。でもそんなわけ無い。違う。絶対にって自分に言い聞かせてていた。でも。「なぁ俺ら別れねぇ?」そう言われたんだ。「うん。そうだね。別れよう」こう言っていた。あーあ
そんな時に『カナカナカナカナ』って聞こえた。あ。これは優斗が昔私の名前がカナだからって真似してた。そして私は優斗を思い出して地面が私の零した雫で濡らした
―雫―
相合い傘
あなたの横顔があまりにも近くて、急に恥ずかしくなってきた。
あなたの話す声を聞きながら傘から落ちる雫を見ていた。
雫
雫って何があるかな
雨の雫
涙の雫
これしか思い付かないや(笑)
ぽたり。
頬に感じたのは空から落ちたものなのか、はたまた自分のものなのか。
溜め込んで、溜め込んで、いっぱいいっぱいになって、それで溢れてきてしまう、粒のでき方は同じなんだろうな。
だからいかにも降りだしそうな天気はあまり好きではない。
雫を見ると、涙みたいだって思う
雨が残していった綺麗な涙