『開けないLINE』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
開けないLINE
ブー。電気を消した部屋に小さな振動と光が、私の隣で存在を主張した。今せっかく気にしないようにブランケットにくるまったのに。もう少し意地を張ってやる。あと少し、いや10分は開かない。
しかしその後にスマホは振動することなく光は溶けていった。その静寂と自分の中の高揚感に負けないように、ダンゴムシみたいに体をキュッと丸める。 この位の誘惑に負けているようじゃ、乙女は弱い。じっと耐えるのだ。
まあ、そんなことが出来たらご飯の後にお菓子を食べてないし、今スマホを開いてない。いや中身を確認するだけ。さすがにそれくらいなら良いでしょ、多分……!
自分の中に存在する謎の優劣で、来た返事だけロック画面で確認する。光の眩しさと返事の中身にビビりながら、ゆっくり細めた目を開けていく。
そこに書いてあったのは、
「……あー、うん」
別に、そこで期待していた訳じゃない。いやほんとに。でもまあ少しくらい、希望を持つくらい良いんじゃないかと思う。誰に責められる訳でもなく言い訳を重ねる。胸にある重さを吐き切りたい。何回体験しても、この重みは慣れるものじゃないな。
枕に顔を埋めて、一人感情に浸る。言い訳は頭をぐるぐると思考して一色に埋めていく。暗い感情ばかりが溜まっていって、そんな事しか考えられない自分に嫌気がさして、また溜まる。いつもの無限ループに入ったら、もう誰も手をつけられない。一人暗い部屋で怪物が生まれる。王子も勇者も居ないから、勝手に死んでいくんだけど。
ある程度時間が経つと、何故か冷静になる。無理っていう感情はあるけど、自分の中の考えというか、理屈が顔を出してくる。そして、それを取っ払うように、また開けないLINEが一件増えてしまったと一瞬思ってスマホの電源を切る。
明日学校なんて知らない。これくらい許して欲しい。あとは頼んだお母様。まあどうせ寝れないけど。
華の女子高生が泥水をすすって生きてます。これが現実。政治家はもっと考えて政治をした方がいい。私たちは若いんだから、優遇すべきだ。例えば、失恋で学校を休んだら、もしくは遅刻しても無しにするとか。
頭の中にいる誰かに話しかけて、責めながら、泣きながら、反省しながら、恨みながら、時間を溶かしていつしか意識は落ちていった。
毎日あなたとLINE
付き合い始めてからずっと
これだけは必ず
結婚した今でも
ずっと
直ぐにでも
即既読
開かないことなんて
絶対に無い
そんなこと
考えたくもない
今日も一日お疲れ様
おやすみなさい
「『あけない』、『ひらけない』。その後のアルファベット4文字はまぁ、ドチャクソ捻くれて読めば、回線・接続・釣り糸・方針・口癖等々の英単語よな」
今回配信分の題目をチラリ見て、某所在住物書きは相変わらず、ガリガリ頭をかいた。
「Line」に多々和訳が存在する。英単語1個を全部大文字表記するのは、一種の強調表現でもある。
よって「開けないLINE」を「ひらけない『その』接続」や「あけない『特定の』回線」と曲解することも、まぁ、まぁ。
問題はそれで実際物語が書けるかどうか。
「うん。俺にはムズいわな」
そもそもアプリを入れてないので「開けない」。いっそこれで書いてやろうか。物書きはまた頭をかく。
――――――
最近最近の都内某所。藤森という雪国出身者が、諸事情により、親友の家に身を寄せ隠れている。
解説し始めれば長い長い、色恋沙汰の小さな騒動と共にドッタバッタで駆け抜けた今週も、とうとう週末。
少しだけ豪華な夕食を、家主の宇曽野とその嫁と、一人娘と、それから居候中の藤森とで囲み、
明日の朝食の仕込みとして、藤森お得意の低糖質低塩分なダイエットメニューの料理教室が始まり終わり、
ようやく、1日の終わりとして、ひと息ついた頃。
「……来た」
ピロン。
リビングでソファーに座り、宇曽野が淹れたコーヒーを飲む藤森のスマホに、
突然、見覚えのあるアカウントから、個人用チャットのダイレクトメッセージが届いた。
『久しぶり。加元です。附子山さんだよね?』
アプリは敢えて開けない。既読マークを付けず、通知画面でのみ到着メッセージの内容を確認している。
「『今の名字』はバレてないのか」
目を細め唇をかたく結ぶ藤森の隣に腰掛けて、一緒に画面を見る宇曽野がポツリ呟いた。
「アカウントID、実名にしなくて良かったな」
『言葉が凶器って、附子山さんが居なくなってから分かったの。SNSで色々言って、附子山さんのこと傷つけてごめんなさい』
『でも、だからって勝手に居なくならないで。一方的に突然消えないで。せめて話をさせて』
『それで叶うなら、もう一度だけ、仲直りさせて』
「なかなおり!仲直りだとさ!」
ピロン、ピロン、ピロン。
立て続けに届いたメッセージに、宇曽野は静かな怒りとも僅かな軽蔑ともとれる笑いで吐き捨てた。
「よく言えたもんだ。それこそSNSで散々言って、『附子山』を傷つけたくせに!」
これこそ「藤森」が親友の家に身を寄せている「諸事情」であり、「色恋沙汰の小さな騒動」であった。
元々旧姓を「附子山」といった藤森。かつて、ダイレクトメッセージの送信元である相手に惚れられて、自分も後から相手を好きになり、
恋したと思ったら、SNSで「あれが地雷」、「ここが解釈違い」、「頭おかしい」と、言いたい放題、書き散らされていたことが発覚。
藤森の心はズタズタに壊された。
改姓して転職して、居住区もスマホの番号もアカウントも全部変えた藤森の職場が、
先日、とうとうバレてしまった。
ゆえに、アパート等の住所まで知られぬよう、宇曽野の提案で彼の自宅に招かれたのである。
執着の強かったらしい、藤森の恋愛相手。今度はメッセージアプリのアカウントを特定したらしい。
「宇曽野。私は、」
不安になったら使ってみて。
事情知ったる職場の後輩から贈られた「お守り」を握りしめ、藤森が何か決意したらしいトーンで言った。
「私は加元さんが、こわい。
でも私のせいで、お前や、あの後輩に何か危害が及ぶのは、もっと、……もっと、嫌だ」
ピロン。藤森のスマホに再度、アプリを開かないために既読のつかぬメッセージが届く。
『それと、先々月、7月18日だったか19日だったかに一緒に居た人、誰?』
藤森はただ息を吐き、目を細めて画面を見ている。
開けないLINE
ピロンッ
シンプルで短い、だけど私を
恐怖と好奇心に陥れるには充分な音だった。
怖い、LINEが怖い。メッセージが怖い、他人が怖い、音が怖い。
LINEを消してしまいたい、でもそんなことしたら折角繋がることが出来たネットの子との繋がりも切れてしまうし、親との連絡手段もなくなってしまう。
ああこれだから私は嫌だ
LINEも好きじゃない
でもそんなのより、たかが通知音の一つや二つごときで怯えて、逃げて、泣いたりする、意気地無しで泣き虫で中途半端な私がもっと嫌い
良い別れだ
これから奪われるはずだった何もかもは
お前だけには奪われないから
本当に、こればっかりは
名残惜しいほどの良い別れだ
ありがとう、ばいばい
既読をつけたら何もかも終わってしまう気がして
わたしは今日も開けない
開けないLINE
アプリなら消してある
開こうとして開けないなら
バグかbanあたり
あとは乗っ取り
とりあえず困ったら本体をオフにする
あとは他の端末で開くくらい
お問い合わせもあるね
困ったらググれば解決策はあるはず
開けないLINEなら
メッセンジャーに送って貰ったらいい
あくまで開きたいならね
重要なら他の方法でも伝えると思う
伝えるってのは一方的には出来ないから
一方通行なら宣言でしかない
つまりは行動である
コミニケーションとは試行錯誤で
繰り返してくれるだけの関係性がある
関係性がないと見てくれさえしない
宣伝や広告のメールなんて
中身も見ないで
何回来てもゴミ箱にいくだけ
無料なら利益の為に
仕方がないかもしれないけれど
必要な情報なら
まずは自分から探すことになる
探せばあるって凄いことなんだよ
色々と助かってます
正しいかはさておいて
ひとまずの方向性にはなる
テーマ:開けないLINE #292
開けないLINE
あなたのLINE
開いたら既読になっちゃうから。
通知がもう来なくなっちゃうのは嫌だから。
あの日、私がこのLINEを開いていたら、
なにか変わっていたんじゃないかって
それを忘れないために。
私のLINEの通知1。
あなたからの最後のLINE。
開けないLINE
「好きです。付き合ってください。」
君がいつしか言っていた。告白されるなら文面がいい。
僕は君のことがずっと好きだった。優しい声色。笑うと子供っぽくなるところも。いつも優しいところ。
そんな数え切れない程の想いを文に乗せて、送信のボタンを押す。
すぐには既読が付かないから、返信が来るまでの時間が、永遠に感じた。
何分?いや何時間?経って、着信音が来た。
僕は読み上げられた手札をとる如く、スマホを開いた。
案の定。君からのLINEだ。
急いでスマホにパスワードを入れるーーが、途中でピタりと手が止まってしまった。
もし、自分が望む結果じゃなかったら、立ち直ることができるのか。僕はもう何年も彼女に好意を寄せている。そんな積み重なった思いが、この一瞬で崩れ去る恐怖。
そんなことを感じていた。
しかし、きっとここで見なければ、結果は分からないし、それに彼女も勇気を出して返信してくれたはずだ。すー、と深呼吸をして目を軽く閉じる。気持ちを落ち着かせると、僕はパスワードをもう一度入れ直した。最後の決定ボタンヲタ押す手が、すごく震えていた。
すると、僕は目を疑うようなものを見た。
なんと、返信が削除されているのだ。
どうしよう。やっぱり僕から告白されるのは嫌だったか。いや、誤字をしただけで、もう一回来る。そんな思考がぐるぐると頭を占める。
さあっと、体が冷えていく気がする。
が。
突然、大きな着信音が耳に通る。かけてきた人は……君だった。
僕は震えを抑えること知らず、すぐに電話した。スマホを片手にとる。
すると、電話口から衝撃のことを言われた。
「公園で、待ってる。」
そう恥じらいのある声でそれだけ言って、電話を切られた。
……これは、期待してもいいか?
僕は、確かあの時「告白されるなら面と向かって」だと言った。しかも、今回の電話で「一人で来て」と言われている。
そしてあのトーン。ごめん。捨てられた子猫のような声で言われると、勘違いしてしまいそうだ。
僕は、服を着こなして、胸を張って外へ出た。
いま、こんないい展開を逃す訳には行かない。
これ以上開けない距離。
1歩近づく関係。
小さな一線、ラインの距離が開けない。
僕は、友達という一線を超えた関係になるために、1歩踏み出した。
緑のアイコンに赤の丸、その中に「1」の表示。すっかり見慣れた画面だ。
いくつものトークを遡って、ようやく辿り着いた彼の名前の右側に「1」。日付は数ヶ月前。スタンプが送信されているというだけの通知。そのスタンプひとつを見る勇気すら私にはなかった。
彼が最後に送ったメッセージはそのただひとつのスタンプだった。それを送った直後に崖から飛び降りたらしく、数日後に変わり果てた姿で発見されたと告げられたのが私。見ない方がいいと言われ、彼の姿は見ていない。遺書すらなかったが、綺麗に揃えられた靴や傍にそっと置かれた鞄から自殺だろうと判断された。最後まで几帳面だったのが彼らしい。
何のスタンプが送られているかも知らない。たまたま、メッセージでやり取りするのが億劫な時期に入っていたせいだ。一度もアプリを開くこともないうちに彼が身を投げたことを知ったのだ。それからずっと、既読もつけていない。心のどこかで、数ヶ月も既読をつけない私を心配するメッセージが送られてくるのを待っている。
『開けないLINE』
LINEの通知音が僕の部屋に鳴り響いた。
「……何だろう、向こうからなんで珍しいな」
だからこそ、開けなかったんだよ。
頑張ってアタックしてOKしてもらった「彼氏権」だというのに。開けばそこにあるのは「別れよう」という四文字な気がして。
それは、宣告にも似ていた。気づいて1日たったそれは、今か今かと既読の時を待っている。
開けないLINE。
開いたが最後、上辺だけのやり取りが精神を削るから、モラトリアム。
もう少し、精神の回復を図りたい。
昨日の続き
お題沿ってないのであしからず
やっぱり微グロ注意⚠️
俺が次に目覚めたのは、意識を失ってから3日ほど後だった。
知らない天井だ、とか言ってみたかったが。
以前お世話になった病院の病室に俺は寝かされているようだ。
他の患者らしき人も数人寝ている。
それから数時間して。
駆けつけてくれた家族から聞き出した話から推測すると、どうやらあの時に落ちてきたものは人だったらしく、身元はまだ明らかになっていないようだ。
まあどんな人が死んだのかは正直言ってあまり興味がないが、あんなにグチャッといったのだからきっと痛みはなく逝っただろう。
そんなことを考えているうちにかなり時間が経っていたらしい。
家族との面会時間が終わり、就寝時間になった。
だが、人は寝なければいけないと言われるとなかなか寝れないようで。
夜中ながらトイレに行きたくなってしまった俺は、廊下に出てトイレに向かった。
まあトイレに行く時に何かあったのか?と言われたら何もなかったが正解なのだが、もう少し聞いていてほしい。
何かあったのはトイレから帰ってきた後。
俺はベットに潜り直してふと、あまりにも静かだと気付いた。
#72【開けないLINE】
開けないLINEはない。
開く。気づいたら開く。
未読の数字が付いているのが
気になって仕方がない。
公式アカウントの読む気がないやつも
気まずい友達から届いたのも
気にせず開く。
返事をするかは、別の話。
学ばずに
同じ事
繰り返して
何かが
少しずつ
変化して
長い時が過ぎた
いつも
見失ってしまう自分を
寄せては返す
波のように
いつの間にか
取り戻す
何も無くしてはいない
不完全と思う
ありのままが
最初から
完全に
完璧だから
もう
何もいらない
そうボヤきながらも
途切れることなく
息をし続けて
思考が
感情を抑え込むのを
俯瞰し
どんな道も
全て過ぎ去る事を
戻る波に見ている
分かっていても
どこか
捨て切れない
淡い期待に
苦笑いして
「不完全な僕」
開けないLINE
一つずつ、増えていく数字が。
たまっていく通知が。
追いつめられているようで、いや、実際追いつめられているんだろう。
見たくなくて、蓋をして、忘れるように努力した。
それなのに、送られてくるメッセージは止まらなかった。
「絶対に、開いてはダメよ」
そう教えてくれた友人は、数日前から行方不明で捜索願いが出されている。
ああ、きっと私は堪えられずに開いてしまうんだろう。そして、後悔する。きっと友人と同じような最後を迎えるんだろう。
私のスマホにはずっと開けないLINEが残っている。
もう一年以上開けないままだ。元彼と別れ話をして、お互い今までありがとうで終わった後に画像が送られてきた。通知欄に残っているのは、画像が送信されましたという文字だけでどんな画像なのかは確認していない。ずっとLINEの通知が一と残っている。
その後、新しい彼氏ができていい加減、元彼をブロックするなり連絡先を消すなりしようかと悩んでいた。だが、最後に残された画像が気になってそれができなかった。
しばらくして、彼氏とお互いのスマホを気兼ねなく見合える関係になった。案の定彼氏に開けないでいるLINEについて訊かれた。
「自分でもうまく説明できないんだよね。もうずっと放置してあるの」
「じゃあ、俺と一緒に見ようよ」
彼氏にとってはただの興味本位でしかなかったのかもしれない。でも、私はすぐに返事ができないぐらいには動揺していた。大丈夫だよと言われて、隣に座る。スマホは彼氏の手に中だ。
「それじゃあいくよ」
そう言われて、小さく頷くと久々に元彼とのトークが開いた。最後に送られてきた画像をタップして、大きく表示した。反射的に口元を押さえつけた。
そこに映されていたのは今まで撮った多くの写真がコラージュされて一枚の画像になっていた。その真ん中に「愛してる。これからも幸せにね」と書かれている。元彼はこんなことできる人じゃないのだ。こんなサプライズのようなことなんてできない。ずっと私の話を聞くばかりで寡黙な人で、自分の意見よりも私の意見を優先してきた。どんな時だって私の選択を尊重してくれた。愛情表現だって滅多になかった。
私はそれが耐えられなかった。自分だけ特別であるかのような。常に自分を卑下しているかのような。そんな態度がずっと嫌だった。対等な関係になれないならと思って、別れたのに、元彼は最後の最後に私を喜ばせようとしてくれたのだ。
なんてことをしたのだろうと、涙が溢れて止まらなかった。今さらどうしようもないことだが、時を戻せるのならあの頃の自分に教えてやりたい。ちゃんと愛されているよって。
「……元彼と連絡とってみたら」
彼氏にそう提案されたが、断った。私たちの関係はこの時で終わったのだ。蒸し返してはならない。
私は今を大切にしていく。元彼にはメッセージを送らず、そのままトーク画面を閉じた。ずっとつけられなかった既読の二文字が、いつか彼の目にも届きますように。
2件の通知
誰かなあ
おかあさんかなあ、
友達かなあ、
彼女かなあ、
彼女からだとしたら、どうしようね
ここ最近の貴方、私のこと冷めてるように感じるの
別れを告げるLINEだったらどうしようかな
そんなことを考えてるとあっという間に一日が過ぎてしまう
でもきりがないから 開いてみることにしたの
そうしたらね
公式LINEからだったよ
ほんと、呆れちゃうね笑
#開けないLINE
夜景が自慢のレストランで君とディナー
「幼稚園の頃は向かい合わせでお弁当食べてたのにね」
素敵でお洒落になったね、と
君はクスクス笑う
右のポケットに隠しているのは
ビスケットではなくてエンゲージリングだ
(ブブブ…ブブブ…)
左のポケットで
スマホが幾度も振動している
恐らくは仕事のLINEだろう
いつまでも子供じゃない
立場的に
開かなきゃならないのはわかっていた
#開けないLINE
【開けないLINE】
あれから何年経っただろうか
開けるのが億劫な貴方のLINE
傷は癒えた筈なのに、
ビビりな私の親指は
貴方の名を前にすると神経が遮断される
思考停止になる。
それと同時に、
いくつもの感情が私の頭を支配する、
とても億劫だ。
あーきっと、
人生で一番愛した人なんだろうな、
高二の私は今日も想う。