『鏡の中の自分』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
鏡を見ると真実が分からなくなる
何が本当で何が偽物なのか
鏡を見ている自分は本物なのか
それとも鏡の中の自分が本物なのか
そんな事を考えていると頭の中がぐるぐると回りだす
そして鏡の中に引きづり込まれちゃうんだって
わたし?わたしは…
君自身だよ?偽物さん
お題『鏡の中の自分』
うむ、鏡の中の自分は今日も美しい。
高い鼻、キレのある目、乾燥のないうるうるの唇、シュッとした輪郭、ふさふさの髪
「なんて完璧なフェイス!!まさにビューティフォー!!!!!」
この顔も全ては世界のためだ。
なんてたってこの顔がなきゃ世界の活気が全て消え失せてしまう。
なんて罪な男、オレ!!
『鏡の中の自分』
鏡の中の自分
鏡の中の自分に
いつもきれいだねと
言っている
わたしとわたしの対話だから
いいことしか言わない
美しいと思えば
美しく見えてくる
自分で自分を認めなくて
誰が認めようか
わたし軸でいい
わたしはいつもきれい
ずっときれい
いつまでもきれい
鏡の中の自分は
美しい世界の人
だってそれは
理想郷に住む人だから…
風のいろ
じっと鏡を見つめる。
私。
私の顔。
鏡の中はどうなっているの?
鏡の中の自分はどうしているのだろう?
鏡の中の自分はいつだって綺麗だった。
だから私は鏡に聞くの。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ」
鏡はいつだって私のほしい言葉をくれたわ。
一番幸せな時間だった。
いつからだろう…
そんな些細な幸せが壊れたのは。
自分の子供を殺したい程憎むようになったのは。
私は殺されて当然だったわ。
あなたにあんな酷いことをしたんだもの。
死ぬ間際、鏡に映った醜い老婆を見て綺麗だった私はもういないのだと知ったわ。
でももうあなたを憎んでなんかいないの。
だって見た目の美しさだけじゃなく心の美しさまで失くした私は私じゃないから。
私はそんな簡単なことすら自分では気付けなかったのよ。
だから、
「ありがとう」
鏡の中の自分
どうぞ
笑わないで
いびつな顔で
現実を押し付けないで
それでも
あなたを愛さずにはいられないのだから
愚かにも
もがいていても
本当はあなたを愛しているのよ
女は鏡の中の自分を抱きしめた
大粒の涙が止まることはなかった
鴉がそれを見て笑うまでは
「鏡の中の自分」
母の面影がある
父の面影がある
切れ長の瞳には
光が宿っている
鏡の前に立つ時
怒ったりしない
泣いたりしない
等身大のボクが
こちらを見てる
生きてきた姿だ
生きていく姿だ
懸命に歩くのだ
『鏡の中の自分』
鏡の中の自分は、憎たらしいあの子と全く同じ姿。
この姿で今日、大好きな彼に、会いに行くんだ。
彼の好みは今の彼女みたいな感じだって聞いたから、私があの子になってやった。
今まで視界にも入れてもらえなかったけど、これならきっと、視界に入れてくれるし、話しかけてもらえるよね!
ああ~っ楽しみ!!!!
【鏡の中の自分】
朝 歯を磨きながら考えた。
ふと鏡の中の自分はどんな世界に住むのだろうと
鏡の前の自分に笑ってみた。
同じように鏡も笑う。
右手を上げれば鏡は左手を上げる。
ふと思う。
もしかすると、眼の前の鏡はなりたいワタシなのかもと。
かつてお花屋さんになりたかった小さな少女は、20代の普通のOLになってしまったけれど、鏡の中の貴女の夢は叶ってくれれば良いなと、そう思った。
「……ってなに言ってんだか」
アホらしい、頭を振って
口をゆすいで身支度をしようと後ろを向くと。
「行ってらっしゃい」
と声が聴こえた。
一瞬、ドキッと心臓が跳ね
まって怖っ心霊現象じゃんと思ったけれど
ワタシは後ろを振り向いて同居人
……もう一人のワタシへ返事を返す。
「行ってきます」
#鏡の中の自分
君に触れたい
触れない
消えたい
誰か綺麗な現実を破壊して
鏡の中に王国があると幼い頃信じていた。
不思議の国のアリス。その中に鏡の国というフレーズがとてつもない印象があったのだ。
同じく童話で誰が一番美しいか鏡に問いただしていたこともあり、鏡の中はよく似た別世界であるとすら捉えていた。
どんなとこだろう。
ここより綺麗なお洋服やアクセサリーがあるかもしれないという期待で毎日鏡を覗いていた。周りの大人はそんな私をおしゃまさんだといって深く気にも止めていない。
ところがある日、祖母のお家に飾ってある大層豪勢な鏡が割れたのだ。
私は火をつけたように泣いた。
その鏡は私の知る限り一番の鏡だったのだ。鏡の国に行けるのはこの鏡しかないとすら信じていた私にとって一大事である。
粉々に割れた硝子の前で泣きじゃくる。大人が危ないからと私を抱き抱えようとお構いなしだった。
そうこうしている間にすっかり片付き壁にはうっすらと日焼けのあとがあるばかり。もう鏡の国には行けないのだと希望を閉ざした。
あれから新しい鏡が来てもまったく見向きもしない。鏡の国は閉ざされ、鏡のなかの私は死んだ。
いま写っているのは別人しか思えない。私によく似た私。
今では脈絡のないお伽話だと言える。それでも当時の私にとっての世界。だからどうしてもここに書き残したくなったの。最後まで読んでくれてありがと。
良い夜を。
『鏡の中の自分』2023.11.03
鏡の中の自分が一番、ありのままの自分のように思える。
寝る前と起きた時の二回しか、ありのままの自分を見ることはないが、その短い時間が好きなのだ。
真っ赤なカラーコンタクトを入れていない、素の自分。日本人には珍しい純粋な黒い瞳。
カラーコンタクトを入れているのは、別にもともとの瞳の色がコンプレックスというわけではない。むしろ、好んですらいる。
なのになぜ、そうしているのかというと、若気の至りというやつだ。二十代の頃、髪を派手な色に染めたときにせっかくだから、瞳の色も変えてやろうと思ったからだ。
瞳の色が赤かったらかっこいいんじゃないか、というそれだけの理由でカラーコンタクトを入れている。
目立つしインパクトがある、ということは自分のような職業のものには大いに役に立つ。しかし、逆にそのイメージがついてしまうので、おいそれと変えることができなくなる。メリットでありデメリットだ。
そういうわけなので、カラーコンタクトを外した自分というのは本当の自分というわけだ。
寝る前と起きた後。鏡の中の自分を見て、まさしく自分だなと確認することで、切り替えができる。
その二回の行為が、自分を自分たらしめる儀式というわけなのだ。
すごく、できるのか。
すごく、怠惰なのか。
はたまた、変わらないのか。
”鏡の中の自分”は、いつだって比べられてばかり。
きっと、言いたいこともあるんだろうな。
でも、自分だからなんとなく想像はできるんだけどね。
鏡の中の自分
#52 鏡の中の自分
――君、僕のこと好きでしょ。
隣に並んだ彼が突如断言した。
手を洗っていた俺は驚いて、元々何も発していなかった口を、さらに固く閉ざした。
水色の正方形が並び、作られた柑橘類の臭いで満たされた学校の男子トイレなどと言うこの空間は、美しすぎる彼にはあまりに不釣り合いだった。
そんな場所で、銀色の蛇口からこぼれ続ける締まりの悪い水道水は、俺の隠せない動揺のようだった。
「ど、……」
「当然だから」
俺が何か言葉を放つ前に被せて言い切った彼は、キッチリと三角の蛇口を締めた。そして、カッターシャツの脇に挟んでいた高級そうなハンカチで手を拭いた。
その間も、彼の視線は鏡の中の己に熱く注がれていた。艶めき整ったその髪型だけじゃない。薄く化粧を施したような、俺たちの年代にはあり得ない肌理の細かさを持った肌も、入念に堪能しているようだった。
「僕なんだ。当然だろ」
今度は、澄み渡り、自信と自己愛に満ちた視線で俺を射抜きながら言う。生粋の一人称“僕”遣いの日本男児が、ここには存在している。クエスチョンマークをただの一度も使用したことのない日本男児が、ここには存在している。
「そうだね……」
「フッ」
俺が完全に陥落した、説得力のある肯定の四文字を落とすと、彼は満足気に鼻で笑った。
そして言った。
「僕はお前を好きじゃない。だけど、心底知ってみたいと思うんだ」
何を? そう俺が問い返す前に、彼は放った。
「死にたくなるくらい自分が嫌いな人間の気分」
その言葉が持つ暴力的なまでの素直さに、俺は今度こそ絶句した。あまりに衝撃的だったが、傷付いたわけではなかった。
やっぱり彼が好きだ、と。無様にそう思うだけだった。
俯きがちで、前髪のチラつく俺の狭い視界の中にも、彼はいつもレッドカーペットを歩く母親想いのハリウッドスターのように颯爽と入り込んできた。
教室に満ちた読みようのない空気も移動教室先の机に並んだ恋愛のポエムも、勉強した形跡の残らない新品のような教科書も誰にも貸したことのない英和辞書も。学校や同級生に纏わる何もかもを見たくない俺が、唯一、見たいと思うもの。見たいという欲求を抑えられないもの。それは、神様の最高傑作である彼だ。
見透かすような目で、見透かされていたのだと知る。だけど、それでも彼は理解できない。死にたくなるくらい自分が嫌いな人間の“気分”。気持ちじゃなくて、気分。
誰もいなくなった空間に、水音はまだ響いている。
俺はそういう“気分”になって、梁に縄をかけるように、風呂上がりの薄暗い洗面台でしか行わない儀式を、白昼の男子トイレで決行した。
恐る恐る、顔を上げる。
震える指先で、前髪を払う。
鏡の中の自分を見つめる……。
フッと、悲鳴の代わりに、荒いため息が吐きこぼれた。
ニキビで埋め尽くされた顔には、線で書いたような釣り上がった目が二つある。
盛り上がった頬骨と、げっそりと尖った顎。
そこに張り付く乾いた厚い唇。
それを見た瞬間に心と脳を支配する、この“気分”――。
俺は慌てて、掻き毟るように前髪を戻した。
目に水の膜が張って、呼吸が浅くなった。
嫌な高鳴りを見せる心臓を抑えながら、俺も知りたいと思う。狂気に囚われそうになるくらい自分が好きな人間の気分を。
俺は吐き気を覚えて、男子トイレの個室に駆け戻った。
鳴り響くチャイムの音を聞きながら、意味もなく、激しく頷きたくなる。
そう。俺だって見透かしているんだ、彼のことを。
彼は、鏡の中の自分しか愛せない。
それは殺したくなる程羨ましい、理解のできない悲しみなんだろう。
鏡の中の自分
至る所に存在する鏡
その存在は咎めでもある
私が彼女を見つめれば、彼女も私を見つめ返す
彼女は無言で問うてくる
「君は今、幸せかい?」
「君は皆に、好かれているかい?」
「君は賢いかい?」
「君は必要かい?」
苦虫を噛み潰したような表情
長く垂れる髪の毛
全てを見透かす其の瞳
私も又、濁った瞳で問いただす
「お前は、誰だい?」
鏡の中の自分
ー鏡に映った姿は反転した姿。
成績優秀、容姿端麗、いつも明るく、クラスの人気者。
鏡の中の自分がこちらの世界に出てきたら、私はそんなふうになれるだろうか?
はたまた、逆に私が代わりに鏡の中に入ってしまうのだろうか?
こちらの自分とあちらの自分。どちらも自分なのに。
ーどうしても、本当の自分が暗くて、嫌になる。
無理矢理作った、仮面のような笑顔は、
鏡の中で反転して、まるで本当に私が、
楽しそうに、嬉しそうに、微笑んでいるように見えた。
鏡の中の私は、何にだってなれる、スーパーヒーロー、お姫様、悪役、お医者さんだって。でも、それはこの場所でも同じだ。私はここに出てくる私を創れる。時には悲劇のヒロインに、はたまた正義のヒーローに。
鏡の中のの自分は時々私に語りかける。「お前は何にもなれないんだな」と。
言い返す言葉もなく、下を向く。あの頃に憧れてたものにはもう遠い。
いや、そうして諦めただけだろうか。近いことに気づけてないままだろうか。
鏡の中の自分に一矢報いたい。明日はなにかチャレンジをしてみよう。
きっとなにか変わるはずだ。
2023/11/03「鏡の中の自分」
鏡の中の自分
鏡の中に正直者の私がいる。
そのままの顔色で
そのままの表情で
あまりにそのまま過ぎて
ブサイクで好きになれない。
なのに娘は、たまにたまに
私を可愛いと言う。
そのままの私を大好きと言う。
あなたのなかにわたしが映る。わたしのなかにもおそらくあなたはあなたを見出している。そのなかの互いにまた私たちを映し出す。その瞬間を繰り返していく。知らないことがまだこんなにもある。その幸を赦せ。
鏡とは何か…。鏡とは自分を写す。自分の顔、姿、欲望の全てを映し出す。醜い者は醜く映り、美しい者は美しく映る。自身が醜いと思えば、より醜く映る。美しいと思えば、美しく映る。鏡はどんなものよりも、自分をあるがままに…どんな姿にも映し出す。たとえ、鏡が曇っていようとも、綺麗であろうとも…。どんな人、物をあるがままに鏡は映し出す。 猫