『通り雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「キレイな青空が広がってるし、雨は降らないよね」
そう思い、傘を持たずに出かけたら、あっという間に空が暗くなり、雨が降り出した。
「通り雨かな」
と思って急いだけど、近くのお店に入る前に、ザーザー降りになる。
「あらら」
傘、持っておけば良かったな。と思いながら、
通り道にある、アパートの駐輪場に駆け込んだ。
「勝手にお邪魔させてもらってるし、早く止むといいなあ」
持っていたハンドタオルで体を拭きながら空を見上げるけど、まだ雨の勢いは変わらない。
「焦ってもどうにもならないし、誰か来たら事情を説明すればいいか」
自分ではどうすることもできないし、とりあえずスマホを取り出し、雨の情報を調べることにした。
「あと10分くらいか」
情報によると、あと10分ほどで雨が通り過ぎるらしい。
「これがマンガの世界なら、ステキな人が声をかけてくれたりするのになあ」
なんて考えながら空を見ていると、段々雨が弱くなってくる。
「良かった。情報通りだ」
小雨になったところで駐輪場を後にする。
「すぐに止んで良かった。ちょっと濡れちゃったけど…雨も悪くないか」
雨がくれた、空に大きく架かる虹のプレゼントに、思わず微笑んだのだった。
パラパラと雨が降っている。傘を差そうかどうしようか、悩むくらいの強さで、向こうの空は明るい。
典型的な通り雨だ。
「通り雨なんて、久しぶりに見た……」
とある家の軒先をちょっくら雨宿りをしつつ、感慨深げに呟いた。
例えば、夏の「朝の涼しい内に~」という言葉が死語になりつつあるように。
夏が暑すぎて、短くなる秋が消えつつあるように。
近年はゲリラ豪雨ばっかりで、通り雨とか天気雨なんて、久しぶりに見たような気がする。
唐突な不運というより、懐かしさの光景を暫し堪能した
通り雨、私が一番に思い付くのは天気が薄暗く気分が沈んでいる時に降ってくるそんなイメージがある。そんな気分が沈んでる時に降る通り雨でもその雨音でそのどんよりした気分が落ち着く時がある。
【通り雨】
通り雨は
彼との時間を
増やしてくれた。
通り雨
ちょうどよく降ってちょうどよく止む。
そんな雨を降らせるにはそれなりの技術がいる。
視界をちょうどよく奪い、聴覚をちょうどよく奪う。
多くても少なくてもいけない。
ドラマティックを作るのは塩梅である。
よく見えないけど、泣いているのかしら
え、よく聞こえなかった、なんて言ったの
だからこそ目を凝らし耳を澄ませる。
そんな雨を降らせる仕事をしています。
階段を駆け上って
脛をぶつけた
慌てて閉めた窓には
前回の雨の跡
雨の匂いが立ちのぼる
季節が流れてゆく
「通り雨」
通り雨は孤独
木々を潤すにも もの足りず
池を満たすにも もの足りず
湖をかき混ぜる力もなし
川の流れを速める力もなし
恨めしげな野菜たち
悲しげな果物たち
それらを眼下にかすめ
すぐに渇いてしまう
所詮は 己の泪
通り雨は孤独
「通り雨」
このまま何も無く終わらせたくない。完全に冷めてる訳じゃないからせめてなにか連絡は欲しい。次に進めないのはずっと思ってるからなのかな
通り雨
ねぇ聞いて
今日ね晴れてるのに雨が降ったの
お母さん
あれはなに?
私、初めて見た!!
ニコリと少女は笑う
その少女に母親は優しく笑いかけ
あれはね、神様の涙だよ
母親はそう答える
少女は小さく首を傾げ
神様も泣いちゃうの?
と問う
そうよ
神も喜び、泣く時があるの
母親はニコリと笑い
少女は
そうなんだね
と答える
空にはとても美しい虹が浮かんでいた。
神も、涙し笑うことがあると言うことを
あなたにもわかっていて欲しい
雨には種類があるけど気持ちにも種類があるよね
だから、通り雨みたいに気持ちが一瞬で晴れればな
通り雨
止まない雨はなんたらと聞くが私はそうとは思えない
雨は鬱陶しく思う時もあれども愛おしく想う時もあろう、所感によれば慰めにもなる。私が病めば雨は気まぐれにすぅっと私を浄化してくれる、いい気心地だと
・5『通り雨』
イチョウの葉の上で寝転んでいると
少年に声をかけられた
「何してるの?」
「幽霊に声なんてかけちゃいけないよ」
少年にはやはり見えてるらしい
「もうすぐ雨降るよ!」
そうは言ってもここから離れられないのだ。
少年はうちに一緒に帰ろうと申し出てくれた。
でもなあ……まんまと(憑いて)行っていいんだろうか?
雨が降ってきた。
【続く】
「通り雨」
急に暗い雲がやってきて、雷も鳴ったりするけれど。
大丈夫。いつか止むと知っているから。
【通り雨】
やっば!傘持ってない、と思った時には時既に遅し。雨にやられてずぶ濡れだ。折り畳み傘って言う程雨を防げない上に風に弱くてポッキリいくから困り者である。コンビニでビニール傘でも買えばいいと思うがここはド田舎。通学路にコンビニなんてない。熱いシャワー浴びたいと荷物確認しなきゃなという気持ちでげんなりしながら走って帰る。カッパでも持ち歩こうかな。
自分のことを嫌いに思う瞬間がとてつもなく嫌い。
私は私を好きでいたい。
私しか私を守れないから。
絶対に私だけは私の味方でいるんだ。
僕はこの道をわたった途端、湿った空気から天から一つ一つの小さい粒が降ってきた空は少し暗く心がスッキリしない感じがした。一つ一つの粒が少しずつ強くなってきた。
全身に叩きつけるような雨
抵抗も出来ずに一身に受ける
襤褸の体ではどうすることもできず、
思考回路はショート寸前である。
片眸の視界では、何も見えず
バチリと体のケーブルから火花が散る。
警鐘が頭の中に響くも、
四肢のパーツがもがれた今、
何も成せずに燃えてゆくのだ。
通り雨が降ったらいいなと思う。
小説やドラマでは、通り雨が何かを運んでくるから。
小さな雨粒が地面にあたって、はねて、足をしめらせて。
鼻の奥にじんわり広がる雨の匂い。
あの人が同じ軒下で雨宿りしてくれたらな。
隣を見たら
はずんだ呼吸で揺れる肩
癖っ毛の襟足に落ちていく雨粒
濡れてはりついたティーシャツ
触れたい 触れたい
予期しない雨粒が
一つ一つあの人を伝って
まつ毛越しの空を
通り雨を思いながら、いつも
私も雨粒になってしまえたら
空から落ちて、あの人のそこらじゅうを伝って
地面に落ちて消えられたらな。
この通り雨を口実にして、
あなたと同じ傘に入りたい。
【通り雨】
通
り
雨
に濡れる
テラス席
(通り雨)