通り雨が降ったらいいなと思う。
小説やドラマでは、通り雨が何かを運んでくるから。
小さな雨粒が地面にあたって、はねて、足をしめらせて。
鼻の奥にじんわり広がる雨の匂い。
あの人が同じ軒下で雨宿りしてくれたらな。
隣を見たら
はずんだ呼吸で揺れる肩
癖っ毛の襟足に落ちていく雨粒
濡れてはりついたティーシャツ
触れたい 触れたい
予期しない雨粒が
一つ一つあの人を伝って
まつ毛越しの空を
通り雨を思いながら、いつも
私も雨粒になってしまえたら
空から落ちて、あの人のそこらじゅうを伝って
地面に落ちて消えられたらな。
9/28/2024, 7:39:43 AM