『通り雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「家、来る?」
もうすぐ止みそうな気配だけど、その言葉が私たちの関係を変えたと思う。
宇多田ヒカルさんの『真夏の通り雨』という曲を
ご存知でしょうか
憂いとか哀愁とかノスタルジックとか、
そんな言葉では簡単に表すことが出来ないような
不思議な世界観の曲
後半部分、『雨』の単語を用いて
歌詞と曲が何度もリフレインされますが
その様が降り止まない雨を体現しているように感じます
過去に受けた心傷や悲しみ、失くしたもの
それらはいつになったら癒えるのか
時をやり過ごしている自分を
まるで、通り雨をやり過ごすかのように暗喩している
本当は通り雨が上がるのと同じように
痛みも癒えてくれないだろうか
そんな切なる願いも重ねているのかもしれない
雨の中、傘をさしているとまるで
世界が自分の周りだけ断絶されるよう
自分の痛みに向き合わざるを得ず
柔らかく耳を塞がれているような、そんな気分になる曲です
通り雨
最近、不思議なアプリを手に入れた。
偏頭痛がキツい時があって、友人に話すと天気予報アプリを
入れるといいと勧められ入れることにした。
有名な会社の天気予報アプリじゃなく、
聞いた事のない会社名。
気にはなったが、偏頭痛に関係している低気圧が来ることを
通知してくれると書いていたのでそこを信頼した。
結果的には大成功だった。低気圧が来る30分前に
教えてくれるので事前に薬を飲めばやり過ごせれるし、
どれほどの強さかも教えてくれる。
それに雨が降ったり晴れたりの予報もかなりの的中率で
驚いている。
今日も帰り道このアプリに頼りながら帰る予定だ。
最寄り駅までのルートを調べていると、
天気予報アプリから通知が来た。
"数秒後、通り雨に注意してください"
通り雨...?
そう思った矢先、右斜め前から雨が迫ってきた。
雨がまるで生きているかのように斜め前から
まっすぐ通過して行った。
駅を通過するように通って行った雨の後を眺めながら
呆気に囚われていた。
スマホには"通り雨が通り過ぎ去りました。"
と通知が来ていた。
語り部シルヴァ
どん底
通り雨のような天気の日には、傘を差したくない。
雨を全力で受け止めて、どん底に落ちてしまいたい。
どん底に落ちて、大声で叫びたい。大声で泣き叫びたい。
雨の音なんか聴こえないくらいに。
そしたら、光が差す。
一気にジメジメとした光が私に降り注ぐ。
ジメジメしていても私の心はなぜかスッキリする。
どん底に落ちて光が差したら、上がっていくしかない。
これがこのどん底のような世界からの開放法。
通り雨
暗くなってきた空を見上げて僕は思わず顔を顰めた。毎朝にこやかに話す気象予報士の当ては外れ、ぱらぱらと雨が降ってきた。傘を忘れた僕は早く帰路に着こうと早足になる。
こんなことばっかりだ。
今日は散々な日だった。行きの電車を1本逃し運動不足の体を引きずって走る羽目になった。出さなければいけない課題を忘れみんなの前で恥をかいた。模試の結果も思ったものでは無い。
進路希望の紙も僕だけ空っぽだ。みんな将来的への不安を吐いていても漠然と方向性は決まっている。なんならまだ高校2年生だと言うのに就きたい業種まで決まってる奴もいる。
脳内の嫌な感情を振り払うように、僕はさらに足を早めた。雨足も強まっていた。
僕だけ、何も、変わらない。
みんな、みんな、大人になりたくないなんて言ってるのにどんどん進んでいっている。ああ、嫌だ。未来のことなんて考えたくない。僕はまだ、大人になれない。やりたいことも見つからない。また、嫌な感情が、黒い雲のように膨らんでいく。何となく、今の空と似ている気がした。
いつも笑みを堪えている担任はトレードマークの困り眉をさらに八の字に歪めて言った。
「今が大事な時期なの。今決めておかないと将来苦労してしまうわよ?」
うるさい。うんざりだ。もう置いてかれたくない。
息が荒くなる。何も考えたくなくて、全力で走った。
数十メートル走って、すぐに息が上がって走れなくなった。情けなくて涙が出そうだった。
ふと空を見上げた。雨が上がっていた。通り雨だったようだ。気象予報士の晴れやかな笑顔が浮かぶ。
空までも変わってしまう。
僕だけ、何も、変わらない。
雨は止んで青空が覗いている。露を堪えた花々がきらりと光った。
カーブミラーに写った僕の姿は濡れたまま。
一瞬で変わった景色に、僕は全く追いつけないのだ。
突発的に降る雨ほどワクワクするものはない。
これは自分が今までの人生で、外にいる時に急に降られるという経験をしていないからだろう。
屋根を叩く音。屋根を弾く音。
ああ、今日は天気が悪いのかななんて誰かに話しかける。「それほどじゃないよ」と返される。
そんな些細なやり取りが心地良い。
雨なんて、嫌い
君とあの子がおんなじ傘に入って笑い合うのが、
目に入ってしまうから
「いいなぁ。」
君が、好きだった
無邪気な笑顔が好きだった
明るい笑い声が好きだった
…私も、相合い傘して笑い合ってみたかった
それはもう、叶わない夢
あの子と君は、両思いで
かわいいかわいいカップルだ
私が間に挟まるなんて、できない
通り雨が降る
しとしと、と
少ししたら止んで、彼と彼女は笑うのだ
「急に降ってびっくりしたね。」
って
通り雨だろうが、
なんだろうが、
ずぶ濡れになったわい
文句をいちいち言うな
天気予報見て
お出かけになられたら?
大人なんだから
#旅行中の通り雨
おおかた電車に乗っていたり
建物内にいるときに降った
私のこと避けてない?って思うくらい
極端なものだからクスリと笑ってしまった
せっかく持ってきた折り畳み傘は
陽射しを遮るために使った
天気予報は雨だし
確かに降ったのだけど
雨雲に好かれてないみたい
通り雨に焦ってベランダ出る私「晴れたらすぐに乾く」とあなた
さっと泣き
すぐ泣き止みたい
通り雨
/お題「通り雨」より
さっきまで晴れていたのに
いきなり強い雨が降ってきた
仕方なく雨に降られながらバスを待つことにした
いきなり雨が降らなくなったと思ったら
彼が傘をさしてくれていた
「だいじょぶ?さむくない?俺のでよければタオルかすよ?」
頬が赤く染まった気がした
〘 通り雨〙
通り雨
行きたいと思っていたカフェがあった
会社の近くだから
休日に来るのはめんどうで
平日は早く帰りたくて
なかなか行く機会がなかったけど
雨宿りするという目的ができたから
行くことができた
たまには雨も悪くない
葉が、砂が、家々が一斉に染まる
項垂れ、固まり、ただ穿たれる
学校のチャイムも救急車のサイレンも
その役から解き放たれる
わたしは
元の色に戻りゆく街へ
ひたすらに歩き続ける
通り雨
また来たようだ。空には灰色が広がり、 雨を降らしている。
また、ビニール傘で私達のからだを、濡れないようにして。
あの眩しい青が帰ってくるのを、当たり前のように私達が待っている。
52 通り雨
きっと
通り雨だけど
傘を持ってる
今がチャンス
今だ
今が
君に話しかける
チャンスだ
通り雨
今日の部活は外周のランニング。まだまだ残暑が厳しいなかのそれは結構キツくて、不評なメニューランキングTOP3に入る。…だったのだが。
HR最中に雲行きが怪しくなりとうとう雨粒が窓を叩き出した。っよしっ。
普段なら鬱陶しい雨も今日は歓迎してやろう。
雨のため外に出るわけにもいかずとりあえず人の少ない廊下で柔軟。
「ラッキーだったなー」
「お前ら俺の日頃の行いに感謝しろよ」
「なんでお前なんだよ。俺だろ」
「違う違う。俺が雨男なんだって」
口々に勝手なことを言いつつ柔軟に勤しんでいると。ふと廊下に陽が射す。
「…あ?」
一斉に窓辺に張り付き外を見ると。いつの間にか青空がのぞいている。あー、葉っぱの雫がキラキラ、きれいだわー。
「おー、お前ら。雨上がったからランキングなー。よかったな、通り雨で」
無情に響く顧問の声に項垂れる。
「ったく、誰の日頃の行いがいいって?」
「それよりも、自称雨男、外出た瞬間また雨になったらぶっ飛ばすぞ」
「八つ当たり反対ー」
やはり口々に勝手なことを言いながら外へ飛び出す。雨上がりのこもる熱気の中、見上げた空には。
「虹だー!」
「久々に見たわー」
「やっぱ俺ら日頃の行いいいわー」
通り雨後のご褒美にテンション高く駆け出す。
※通り雨
友人に聞いた不思議な体験を書こう
通り雨の境目に立てたことがあるそうだ
前方、晴れ
後方、どしゃ降り
記念撮影しようとしたら境目が消えたらしく
証拠がないことを残念がっていた
アルゼンチンの巨大積乱雲を思い出したよね
雨が降ったりやんだりでやんなっちゃう
そんな時、君が
傘に入れてくれたらいいのにな
シャラシャラシャラシャラ肩を濡らして
髪の先からも雫が滴る通り雨
今日に限って折りたたみ傘も忘れてきちゃったなぁ
まぁいいか
周囲の空気を洗い清めるみたいに
私も一緒に洗い流されてくれないかな
少しずつ少しずつ心を蝕む
いつの間にか澱のように溜まったあれやこれも
✼•┈┈通り雨┈┈•✼