『逆光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題「逆光」
私には妹がいる。成績優秀で、朗らかで、笑顔の似合う、誰からも愛される女の子。
天は二物を与えずとは聞くけれど、私に与えられるものは全て妹に誤配送されたのではないかと思うくらいに、彼女は多くを持つ人だった。
誰もが彼女を好きになる。
私と友達になってくれた人も、彼女を知った途端に私から離れていく。
私の周りのものは全て、彼女の周りに集まっていく。
「お姉ちゃん、わたしね、お姉ちゃんみたいにぬいぐるみ作ってみたの。お姉ちゃんには敵わないけど」
はにかみながら私にぬいぐるみを見せる彼女。
私が作ったものより整っていて可愛らしいそれは、私への誕生日プレゼントだった。
その日から私はぬいぐるみを作らなくなった。
「お姉ちゃん、今度の土曜日、ちえちゃんの誕生日パーティーやるんだって。私も誘ってくれるなんて、ちえちゃん優しいね」
嬉しそうに、私の友達の話をする彼女。
その子の誕生日パーティーをやるなんて聞いてないし、そもそもその子と最後に会話したのは妹を紹介したときだったはずだ。
その日から私はちえちゃんを友達だと思わなくなった。
「お姉ちゃん、わたしね、彼氏ができたの」
可愛らしい顔を赤く染めて報告する彼女。
その彼氏が数日前に「さきちゃんと付き合うために仲良くしてただけだから」と私を振ったことを、彼女は知らない。
優しくしてもらえて、この人は私を見てくれるんだと、舞い上がっていた私を彼が撃ち落としたことを、彼女は知らない。
光源に近いものほど、影にしか見えないものだ。
どんなに太陽が好きなひまわりでも、同じカメラのフィルターに収まれば真っ黒になってしまうように。
太陽からは愛情を注がれているとしても。
私も彼女を好きな人間のひとりだ。
光源の近くにある物体としか私を認識できない人たちの気持ちはよくわかる。
逆の立場ならきっと私も私を気に留めないだろう。
どんなに私がみんなを思っても、どんなに彼女からキラキラした瞳を向けられても、影は影でしかないのだ。
こんな人生、きっと、私が彼女の眼差しを振り切れるまではずっと続くのだろう。
逆光で真っ黒なひまわりであり続けるのだろう。
おわり。
『逆光』
ありのままの自分で生きるなんて無理
すべてが思惑通りに進展する訳ない
努力しても報われない
悪魔のように
顔の見えないアイツが
耳元でささやく
逆光の中で深紅の唇が不適に笑い
暗闇へと私を追い詰める
人生は短く儚い
夢や希望にすがるなんてやめにして
そろそろ人生の引き際ってやつを…
顔の見えないアイツの
深紅の唇だけが鮮やかに
命のタイムリミットを知らせる
逆光の中 最後に見えたのは
大きな鎌を私に向けて振り下ろす
アイツの姿と高らかな笑い声…
光が強くなればなるほど、影も強くなる。
強すぎる光は、その中ににある影も色濃く炙り出してしまう。
光と闇は、表裏一体、どちらも強すぎず弱すぎず丁度いいくらいがよい。
逆光
写真を撮るときに
確認したつもりでも
暗くなってしまう時がある
それが人物だと
残念感があるけど
動物や建物なら
シルエットが綺麗に
映るのかもしれない
みんなは「逆行」した私しかみてない
だから本当の私は知りやしないの
でも私も頑張ってるのよ
【逆光】
記憶はいつも
あなたの輪郭だけ
海を背にして写る
表情のない写真のよう
幸せだった
全ての曖昧を携えて
暮れゆく陽の残り
世界は溶け合おうとして
あなたに跪いていた
幸せだったのだ
一本の地平線
なだらかな雲
風景は拡散していく
私はあなたを織り交ぜ
記憶と言う微かを知る
今にも壊れてしまいそうな
あの瞬間はいつも逆光
逆光に一秒ずつ呑まれてゆく
暫く上も下も分からなかった
光粒に包まれる
あたたかな微睡
ー逆光ー
昨日からこのアプリを始めたぼくからするとえ?!2文字?!と思ってしまう。
逆光。
それはかっこいい響きを持っているが、同時に自分の『影』を映すもののような気がして、少し怖い。
逆光に立ち向かうが有名な言葉な気がする。
難しい…明日は2文以上トピックについて書くのが目標!
逆光
太陽の光が、私を照らしている。
窓に反射した太陽が、逆光で眩しい。
夕日を背に、雄大な空に突き刺さるようにして黒く切り取られている時計塔の姿は美しい。
私は、この景色を写真に収めるべく、街の小高い丘にやってきた。
老体には少々堪える登り坂を登った先の、見晴らしの良い景色に疲れは吹っ飛んでしまう。
心地よい風に吹かれながら、丘の中央まで来ると、カメラの焦点を時計塔に絞ってシャッターを切った。
逆光を受けて、まるで巨大な時計の針のように見える時計塔が、また一つ、私の手で切り取られた。
妻には、真っ黒な時計塔ばかり撮って何が楽しいの、と呆れられてしまったのだけれど、この街一番の景色は何度撮っても良いものだと、私は思っている。
日によって時計塔の光の加減や雲の位置などがどれも違って見え、全て美しい。
これが私の趣味であり、晴れた日の日課だ。
逆光
どんな過去も…
味方につけて
表裏一体
悪く見えても…
反対からみれば
よく見えるの
何でも…
逆光目線で…
逆光
写真が取れない まじ逆光
そう思う時、イラついた(ꐦ°᷄罒°᷅)
美味しいお菓子。可愛い友達。
取れねぇ!
そういかつく彩乃の話。
作・彩乃
{\__/} ✿
( • - •) ✿ ヨロシク
/つ⊂\✿
『逆光』
先程はとんでもなく眩しかった。なんせ頭の真上に見えた陽が、見たこともないくらい強く眩く光っていたんだから。今は君の後ろにある。
今思えばおかしな話だった。今は真冬だ。太陽が頭上に来ることなんてない。ああ、変わってしまった。やってしまったんだな人間は。この地球は神が創ったらしいのに、創り物が自我をもってそれを壊そうものなら、せめて自分で壊させてくれというであろう。あの光の玉は神が降らせたものだった。
君は何も言わなかった。悟ったような私を見てから、食べかけのおにぎりをカバンにしまった。コンビニの裏口に忍び入り、ゴミ箱からくすねたおにぎりだった。丸2日ぶりの米はうまかった。
しかし君は、これは太陽ではない、と。そう聞いて妙に納得がいったのは不思議だった。
眩い光は天罰の象徴らしい。あんなに星のように美しくても、神に背負わされた使命は懲罰だった。あと一寸、この眩い光の玉が地球に降りれば、この世は終わる。私の意識はそこで途切れている。あれから何年経っただろう。今、私の新鮮な灰白質の裏で、君が微笑んでいるのを見ている。狂いそうだ。
「逆光」
僕は写真を撮るのが下手くそで
いつもきみの写真を撮るけど、
逆光できみが映らなくなってしまうんだ。
それでもきみは笑顔で˹おしゃれだね ˼って
言ってくれるから、
きみの写真をたくさん撮ってしまう。
―逆光―
彼女は、
人の道を踏み外していた私を
救ってくれた
私に正気を取り戻させ、
荒れ狂っていた頃の面影も無くしてみせた
云わば私の恩人だ
酔狂人だった私に手を差し伸べた彼女の姿は
今でも脳に焼き付いている
太陽を背に、私と目線を合わせた彼女は
美しいとしか言い表せなくて
当時の私には眩しすぎた陽の光を遮り
逆光に背中を照らされて微笑む姿は、
とても神秘的で
私の目には、女神のように映っていた
みんなすごいよね。
前向きにひたむきに働いて、テキパキ動いて仕事を捌いて、笑って談笑して余裕があって。
私はダメだ。
疲れ果ててサクサク動けなくて、ついていけなくて、数も上がらないし、頭も回らないし。
逆流の川を歩いてるよう。
疲れてて効率が悪い。わかってるけど、休めない。いつまで経っても進まない。
向いてない。
真っ暗。
私だけ逆光の中。
ここに未来はあるのかな。
ずっと考えてる。
別の道を。
光を浴びれる場所を。
心から休める場所を。
私に必要なものはもうわかってる。
みつかるといいな、新たな世界。
『逆光』
『逆光』
幸せだと思ってる人は勝手にそう思っているだけ
不幸だと思ってる人も勝手にそう思っているだけ
見方を変えれば幸せにも不幸にもなれる
自分から見て不幸な人に話しかけた
「あなたは不幸な人ですね」
その人が笑いながら応えた
「あなたには負けますけどね」
…………黙らっしゃい
2023/1/24
荘厳な雰囲気に飲み込まれ背中に冷たい汗が一筋つたった。
(眩しすぎてよく見えない。)
神か仏か、眩い後光で輪郭こそはっきりしているが服やら表情やらは全く見えなかった。
(見えないのが正解なのか?)
特に偶像崇拝を禁止している宗教などは神様の顔を描くのもいけないことなのだし…
(神様は見えない)
(神様を見るべきでは)
(神様の姿形を定義してはいけないし)
(神様の姿形を定着させてはいけない)
ならばこの後光で見えないというのは当然の帰結なのだろう。
高校生を生きるとある夏の日に、私は特殊な病を患い
見るもの全てが逆光になった。
切り絵のようなモノクロの世界、他人も親も分別つかず。
水とコーヒー間違えて。米派だったのにパン派になった。
そんな異常が日常となり、死なず生きてすごす日々。
顔は両親、友人忘れたけれど、声で分かるよ間違えない。
美味しい料理、写真映え。彩り見えない私は舌で、丁寧に味を転がすの。
新しいもの見えなくなっても、いつだって犬は私の顔を舐める。
その涎で顔をベタベタにする。