夕日を背に、雄大な空に突き刺さるようにして黒く切り取られている時計塔の姿は美しい。
私は、この景色を写真に収めるべく、街の小高い丘にやってきた。
老体には少々堪える登り坂を登った先の、見晴らしの良い景色に疲れは吹っ飛んでしまう。
心地よい風に吹かれながら、丘の中央まで来ると、カメラの焦点を時計塔に絞ってシャッターを切った。
逆光を受けて、まるで巨大な時計の針のように見える時計塔が、また一つ、私の手で切り取られた。
妻には、真っ黒な時計塔ばかり撮って何が楽しいの、と呆れられてしまったのだけれど、この街一番の景色は何度撮っても良いものだと、私は思っている。
日によって時計塔の光の加減や雲の位置などがどれも違って見え、全て美しい。
これが私の趣味であり、晴れた日の日課だ。
1/24/2023, 11:45:56 AM