『逆さま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【逆さま】
私は逆さまになるのが怖い
落ちたら痛いよ
落ちたら怖いよ
そんなことを言ってまた私は地に足をつける
どんどん飛び立つみんなの背中は大きく見える
落ちても痛くないの?
落ちても怖くないの?
地から足を離すことを恐れる私
飛び立てる羽があるのに飛ばないなんて 私は哀れだ
「どうかしました? ちらちら見て」
冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出した殿山くんが振り向く。
「あ、ううんっ何でもない」
私は手にしていた雑誌を広げて読むふり。彼の視線を感じたが、文字を追ってそれを避ける。
殿山くんは首をわずかに傾げてボトルの封を切った。湯上り、Tシャツにスウェットというラフな格好にまだ慣れない。
自分の部屋の中に「彼氏」としているという事実にも。
「佐久さん、好きです。上司としてではなく、一人の女性として好意を持っています」
そんなストレートな愛の告白を、30を超えてから8つも年下の男の子にされるとは思ってもいなかった。
まっすぐに迫ってくる彼を見た時、とっさに頭に思い浮かんだのは「しまった」だった。
職場恋愛。直属の部下にこんな言葉を言わせるなんて、私の指導に隙があったのかと。だいいち同じ職場での恋愛には懲りている。うまくいっても気はそぞろで仕事は手がつかなくなるし、うまくいかなくなったらもちろん気まずいからだ。
なのに、そんな私の心の内を見透かしたように、殿山くんはふっと片笑んだ。
「やば、って顔してる。しまった、って」
「……」
「それは俺が部下だからですか。それとも8つも年下だからですか。それともどっちもですか」
「そ、それは」
怯む私を壁際に追い詰めて、殿山くんは言った。
「あなたが過去に誰とお付き合いして、どんな経験値を得たのかは俺には関係ないです。俺は俺です。お試しでいいです。一週間まず付き合ってくれませんか」
ずい、と迫られると顔の前が彼の胸だ。背が高い。
「ちょ、ちょっと殿山くん」
近い近い近い。心臓の音、聴こえちゃう。
手で必死に押しとどめる私に、彼は告げた。「万一ダメになっても気まずい雰囲気出さないって誓いますから。ね?」
「~~~」
営業はまずこまめに通うこと。笑顔。そして粘り。私の教えを忠実に守って殿山くんは仕事で頭角を現していた。
そのスキルを、こんな風に使うのって、反則だよ……。
--とは言いながらあれよあれよとお試し期間はすぎ、いまもこんな風に互いのアパートを行き来するお付き合いを続けている。
部屋着で寛ぐ彼を見て思う。若いなあと。立っているだけで、目を引く。身体つきがシュっとしていて、確かな存在感がある。これが、二十代……。
ふと、そこで彼と目が合った。まずい。また、見惚れて……。
「佐久さん……いえ、多恵子さん」
殿山くんは、私の下の名を呼んだ。はいっ、と思わず背がしゃんとなる。
彼は私が顔半分覆うようにして読んでいた(ふりの)雑誌を取り上げて、こう言った。
「さっきから気になっていたんですけど。この雑誌、逆さまです」
#逆さま
「紅茶の香り7」
まっ逆さま、といえば欲望に堕ちるんだろうなと思う。
しかも、炎のように、欲望に堕ちる。
逆さま
絶賛体調不良中です。
知らんがなと思われた方、そのお気持ち正解です。
大丈夫?と思われた方、そのお気持ちありがたいです。
さっさとくたばれと思われた方、どうせなら一緒にくたばりましょ,
ミュートされている方、無音の知らんとこで蠢いてます。
ということで、後日書きましょとなりました。
今倒れると孤独な旅立ちで事故物件になってしまうので、ここは仕事場に行ってから倒れようかと思っています。
仕事場が事故物件……大丈夫。
目の前お寺でお墓もあるので、きっとかすかに読経が聞こえて供養になるでしょう。
化けてでないことをお誓して終わりたいと思います。
その前に
お腹すいた
私は物語が大好きだった
憧れの最後を見届ける少女の物語や
戦うことを決意した青年の物語など
どれもどうしようもなく悲しいけれど
それでも希望を抱き前を向く
彼らの人生の一欠片に何度も心を打たれた
私も彼らのように、強く在れたら
ずっと、そんな思いを抱いてきたけれど
もし私の人生がひとつの物語なら
きっとタイトルすらないのだろう
言い訳ばかりで、全てから逃げ出した少女は
暗く深い絶望に
真っ逆さまに落ちてしまう
そんな結末が相応しいのだ
逆さま
今まで抱えていた固定概念や、
真実だと思い込んでいたことが、
全く別の考え方によって気付かされた時、
ひどく安堵して、救われる。
おおよそのことは
厳しい一面も確かであるが、
またその実、世の中で言われることの
逆の位置に「生き方」が存在していることも、
また確かなのではないか。
そうでなかったとしても、
そうだと信じて生きていきたいし、
これだけは確信を持っている。
⚠流血描写がございます。苦手な方はフィールドバックをおすすめ致します。
【お題:逆さ】
今日も私は、てるてる坊主を逆さに吊るす。
『雨の日の夜には人を去らう死神さんが出るんだって』
いつの日にか流れ始めた噂。普通なら有り得ないと言いたいところだが、こと、この大陸レークスロワでは、真実になってしまう。
この世界は剣と魔法の世界。私には日本という国で暮らしていた記憶はあるし、流行りの異世界転生ってやつで、ではこの世界を前世で知っていたかといえば、否。
転生に気付いたのは、私がまだ五歳の時だ。その頃丁度
、物騒な噂が出た。
それが冒頭の噂。そして私はこの噂が真実だと思える体験がある。
レークスロワ中心街、ユークドシティに私は住んでいる。
幼い頃は好奇心旺盛で、親の目を盗んで走り出してはよく迷子になっていた。
あの日もそうだった。ただの冒険のつもりで入った裏路地。
妙に甘い匂いがするなって思っていた。けれど、どこかでお菓子でも作っているんだろうと、気にも止めなかった。
走って歩いて、裏路地の奥で、じゃりっと何かを踏んだ。
恐る恐る下を見ると、そこには白い砂糖……いや、ざらめが撒かれていた。
ざらめに導かれるように、上の方へ目線を動かすと、段々とざらめが、赤く染まっていく。
私の恐怖心と呼応するように、ぽつりぽつりと雨が降り出していて。
『 雨の日には人を去らう死神さんが出るんだって』
まるで嘲笑うかのように、赤い色は雨に流されて。
叫んだ私は、そのまま気絶して、起きたら前世の記憶を思い出していた。
あの日から私は毎日てるてる坊主を逆さに吊るしている。
この世界には魔法があるからかな、てるてる坊主なんて概念がないから、私の行動は家族にも不思議がられている。
今日も私はてるてる坊主を逆さに吊るす。
嫌な記憶を雨が流してくれますようにって、願いを込めて。
ーあとがきー
お題が「逆さ」ということで、私が書いてます小説を別視点で書いたものです。
一応転生者とか魔法とか単語は出ますが、全く関係ありません!
なんとなく、この子ファンタジー世界とは別の世界から来てそうな性格してるなぁって思い、転生者となりました。
短編なので、色々分からない場所ばかりでしょうが、暖かい目でご覧いただけましたらと思います。
それでは、またどこかでお会い致しましょう。
エルルカ
逆さま
今日のお題あまりにも書くことなさすぎてどうしようかと思ってたけどふと思い出したことがある。お札についてだ。
よく知らないけどなんか財布に入れるお札は逆さまにするとなんか、いいらしいな。よく知らないけど。
うろ覚えだけど逆さまにするとお金が出ていかないとか金運がどうとかそういう話だったと思う。だからあえて逆さまにして財布に入れる人がいるらしい。
その話を聞いて俺もそうしようと思ったことがあったけどお札を逆さまに入れるってなんか気持ち悪いんだよな。生理的に無理ってやつだ。
例えば本棚に本が逆さまに入れてあったら気持ち悪いし直したくなる。それと同じで俺は財布にお札を逆さまに入れるのは無理だった。
そりゃやろうと思えばできるしやってればそのうち慣れるんだろうけどそこまでしてやる必要ないしな。所詮迷信とか験担ぎみたいなもんだし。
逆さま
この前、手袋を逆さまに読んでと言われた。
ろくぶて?
その後六回殴られた
やられたわ(笑)
❦
「愛してる」
言葉は空気に触れた途端に実体を持たずに消えていく。
だからいくらでも吐くことができる。
自分を守る盾としてこれほど有用なものは無い。
心とは裏腹、所詮口先だけの約束事なぞ無いに等しい。
目の前の人物がホッとしたように口元を綻ばせても、こちらの腹の中までは読ませない。
股のぞきしただけなのに足攣った
ストレッチ サボるとすぐ硬くなる
#逆さま
逆さまな世界の風に恋う。
塀にのぼって風を感じる。
歌を歌う。爽やかな風が体全体に巡る。気持ちいい。
さあ空気を吸え。一生に一度のこの舞台。忘れない。逆さまな世界に音を響かせろ。風を起こして、空気を変えろ。
逆さまな世界の風に恋う。
塀にのぼって風を感じる。
歌を歌う。爽やかな風が体全体に巡る。気持ちいい。
逆さまの地球。
独り善がりが酷くて見てられない。
前に聞いてみた。
誰のためにしているの?
「彼の為に」
それは自分の為だと分かりきっているのに、
それでも否定を選ぶの
非難の嵐に会わないといいわね。
逆さま 難しいですね 私の 家で 私が経済的 担ってます でも 口のききかた 態度は もう一人の方が 威張っています それが 逆さまですよね~
「ねえねえ『さかさまぼこ』って知ってる?」
「さかさまぼこ? 何それ?」
「逆さまの鉾」
「ああ、読んで字のごとくだった。それだけじゃわかんねぇよ。どんな形してるの?」
「あの、ちょうど『笹かま』と同じような形で」
「じゃあ笹かまぼこじゃねぇか」
「で、逆さまになってるの」
「なに? 笹かまで形が逆さまってあんまり変わらないけどな、尖ってる部分が、上か下か…」
「あ、形じゃなくて『さ』と『か』の位置が」
「あ名前の話? どおりで似てるなと思った…今の説明だと『かささまぼこ』の可能性もあるよ」
「そのユーモアは笑えないな」
「誰が言ってんだよ、そもそもさっき形の話してただろ」
「で、食べるとこれが全然おいしくない」
「あ、味も逆さまだからおいしくないんだ」
「日本一おいしくない」
「あ、笹かまぼこが日本一おいしい食べ物だと思ってる人の感想だ」
「で、笹かまでいう尖った部分が鉄製の刃になっていて、それに長い棒が付いてるんだけど」
「冗談でも武器の鉾を口に入れて味わうなよ。良い子がマネしたらどう責任取るつもりだ」
「持ち手の方に刃が付いてるから『逆さま鉾』っていうんだ」
「本当に読んで字のごとくだったな。そんなもの危なくて使えないだろ」
「だから『逆さま鉾』っていうのは『順序を逆さまにすると、上手くいかなかったり、命を危険に晒すことにもなる』っていう意味のことわざなんだ」
「新しいことわざ作るな! もういいよ」
逆さま
私たちは普段、逆さまで日常を過ごしていない。
見慣れない逆さまの日常はどういうものなのだろうか。
木も逆さまに見え、青空は床に見えるのだろうか。
私はそんなことを考えていた。
そんな時ふと、このアプリを開くと
--逆さま--
というお題があった。偶然とはこんなにもすぐに
巡り会うものなのか。
世の中とは誰にも予想のできないものだ。
ビー玉のように逆さまに映る鏡があるなら
自分の気づかなかった魅力が見つかるのだろうか。
私にはコンプレックスしか思い浮かばない。
でも、もし逆さまの自分見ることで
自分だけの『素敵』を発見できたら
きっとそれは内面から生まれた余裕なのだろう。
それが、形となって鏡に現れる。
鏡は見知らぬ自分を写す夢のようなアイテム。
逆さま
まさに今の私。
タイムリーな、タイトル。
「逆さま(創作)」
青い空が広がる春の暖かい日、私は玄関先で不貞腐れていた。
「本当に行かなくていいの?」
「行かない」
家族で動物園に行くことになっていたのだが、ちょっとしたことがきっかけで行く気になれず服にも着替えないで抵抗していた。
それに、自分を置いて行くはずがないと思っていた事も大きかったけど、この日は本当に私を置いて動物園に行ってしまった。
この日を境に私の心にモヤがかかり、思っていることと反対のことを言うようになった。
「全然可愛くない」
「やりたくないから勝手にやれば?」
「ウザイんですけど」
もう、自分の心と反対の言葉が、泉のように溢れ出す。自分でもどうすることも出来なかった。
次第に友達も離れていき、私はひとりぼっち。どこにも行く場所なんてなかった。
大きな殻に少しずつ少しずつ自分から入って行って、誰の声も聞こえない。自分の心の声が洞窟の中で響いている感覚が長い間続いた。
「いつまで、そうしているつもり?」
年の離れた高校2年の姉が、うずくまる私に向かって言った。
「小学6年から中2まで、不貞腐れて…なっがっ!」
「うるさっ」
「物事なんて見方次第で変わるんだよ」
あなたみたいに楽天的にはいかないのよ。出来たら今頃こんなひねくれた気持ちになっていない。
私はいつまでこのままなのだろう…
人生がつまらない。楽しくない。私には未来があるんだろうか。自分の殻の中に、不安というモヤが増えた気がした。
「勝手にしな。たださぁ、あんたの味方は近くにいること忘れないでよ」
私の肩をぽんと軽く叩いて、姉は出ていった。叩かれた肩がほんのり、あたたかい…気がする…。
「ふぅ…」
私の言っていることが逆さだとしたら、やっぱり心のどこかでは【変わりたい】と思っている自分もいるのだろうか…。
本心とは裏腹に
何故か気の無い素振りをして
突き放してしまう
素直になろうと思っても
貴方の前に立つと
どうしても憎まれ口を叩いてしまう
天の邪鬼な私
そんな自分が好きになれない
貴方と気兼ねなく
やりとり出来るのはいいけれど
もっと普通に話したいのに
どうして気持ちとは
逆の言葉になってしまうの?
鏡合わせの私が現れるのか
それとも何かに邪魔されているのか
どっちにしても
私の気持ちとは逆の行動をとってしまう
そんな自分が嫌で仕方がない
「逆さま」