「ねえねえ『さかさまぼこ』って知ってる?」
「さかさまぼこ? 何それ?」
「逆さまの鉾」
「ああ、読んで字のごとくだった。それだけじゃわかんねぇよ。どんな形してるの?」
「あの、ちょうど『笹かま』と同じような形で」
「じゃあ笹かまぼこじゃねぇか」
「で、逆さまになってるの」
「なに? 笹かまで形が逆さまってあんまり変わらないけどな、尖ってる部分が、上か下か…」
「あ、形じゃなくて『さ』と『か』の位置が」
「あ名前の話? どおりで似てるなと思った…今の説明だと『かささまぼこ』の可能性もあるよ」
「そのユーモアは笑えないな」
「誰が言ってんだよ、そもそもさっき形の話してただろ」
「で、食べるとこれが全然おいしくない」
「あ、味も逆さまだからおいしくないんだ」
「日本一おいしくない」
「あ、笹かまぼこが日本一おいしい食べ物だと思ってる人の感想だ」
「で、笹かまでいう尖った部分が鉄製の刃になっていて、それに長い棒が付いてるんだけど」
「冗談でも武器の鉾を口に入れて味わうなよ。良い子がマネしたらどう責任取るつもりだ」
「持ち手の方に刃が付いてるから『逆さま鉾』っていうんだ」
「本当に読んで字のごとくだったな。そんなもの危なくて使えないだろ」
「だから『逆さま鉾』っていうのは『順序を逆さまにすると、上手くいかなかったり、命を危険に晒すことにもなる』っていう意味のことわざなんだ」
「新しいことわざ作るな! もういいよ」
12/7/2024, 12:23:58 AM