⚠流血描写がございます。苦手な方はフィールドバックをおすすめ致します。
【お題:逆さ】
今日も私は、てるてる坊主を逆さに吊るす。
『雨の日の夜には人を去らう死神さんが出るんだって』
いつの日にか流れ始めた噂。普通なら有り得ないと言いたいところだが、こと、この大陸レークスロワでは、真実になってしまう。
この世界は剣と魔法の世界。私には日本という国で暮らしていた記憶はあるし、流行りの異世界転生ってやつで、ではこの世界を前世で知っていたかといえば、否。
転生に気付いたのは、私がまだ五歳の時だ。その頃丁度
、物騒な噂が出た。
それが冒頭の噂。そして私はこの噂が真実だと思える体験がある。
レークスロワ中心街、ユークドシティに私は住んでいる。
幼い頃は好奇心旺盛で、親の目を盗んで走り出してはよく迷子になっていた。
あの日もそうだった。ただの冒険のつもりで入った裏路地。
妙に甘い匂いがするなって思っていた。けれど、どこかでお菓子でも作っているんだろうと、気にも止めなかった。
走って歩いて、裏路地の奥で、じゃりっと何かを踏んだ。
恐る恐る下を見ると、そこには白い砂糖……いや、ざらめが撒かれていた。
ざらめに導かれるように、上の方へ目線を動かすと、段々とざらめが、赤く染まっていく。
私の恐怖心と呼応するように、ぽつりぽつりと雨が降り出していて。
『 雨の日には人を去らう死神さんが出るんだって』
まるで嘲笑うかのように、赤い色は雨に流されて。
叫んだ私は、そのまま気絶して、起きたら前世の記憶を思い出していた。
あの日から私は毎日てるてる坊主を逆さに吊るしている。
この世界には魔法があるからかな、てるてる坊主なんて概念がないから、私の行動は家族にも不思議がられている。
今日も私はてるてる坊主を逆さに吊るす。
嫌な記憶を雨が流してくれますようにって、願いを込めて。
ーあとがきー
お題が「逆さ」ということで、私が書いてます小説を別視点で書いたものです。
一応転生者とか魔法とか単語は出ますが、全く関係ありません!
なんとなく、この子ファンタジー世界とは別の世界から来てそうな性格してるなぁって思い、転生者となりました。
短編なので、色々分からない場所ばかりでしょうが、暖かい目でご覧いただけましたらと思います。
それでは、またどこかでお会い致しましょう。
エルルカ
12/7/2024, 1:11:31 AM