『逆さま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
本心とは裏腹に
何故か気の無い素振りをして
突き放してしまう
素直になろうと思っても
貴方の前に立つと
どうしても憎まれ口を叩いてしまう
天の邪鬼な私
そんな自分が好きになれない
貴方と気兼ねなく
やりとり出来るのはいいけれど
もっと普通に話したいのに
どうして気持ちとは
逆の言葉になってしまうの?
鏡合わせの私が現れるのか
それとも何かに邪魔されているのか
どっちにしても
私の気持ちとは逆の行動をとってしまう
そんな自分が嫌で仕方がない
「逆さま」
目に見える世界がぜんぶ逆さまで、
頭に血が上り、なんだか眩暈がしている。地面との距離感が掴めない、ふわふわする、この感覚はいつぶりだろうか?
間もなくナマケモノみたいに伸ばしていた腕が痛くなって、鉄棒を離す。
小学生の頃、逆上がりができなくて不貞腐れていた私は,練習を放棄して、1人でこの遊びをよくやっていた。
反転した世界には、クラスメイトの笑いはしゃぐ声が宇宙人の声みたいに観えた。みんなそこにいるのに、私だけしかいない世界のようだった。こんな気分に浸れるのは、世界でただ一人私だけだと思って,なんだか誇らしくなった。それで、可能ならその逆さまの世界に行ってみたかった。
そんなことを回想した、そんなのは、実際は私だけの感情ではなく、ありふれた年相応の感情だったけど。
全く意味のなかった行為だった。
そんな無駄なことしてないで、大人しく逆上がりの練習を続けていれば、体育の授業でもっといい成績がとれて、自信もついたのにな。
今だって全く意味のない行為をしている。
そんな無駄なことしてないで、 …
そう頭の中でつぶやきかけて、途中で嫌になってやめた。
この世に生きる者はみんな、砂時計を持っている。それは、神々やご先祖から私たちがあとどれくらい生きていられるかわかるように生を受ける瞬間に授かったものだ。当たり前だが、それは毎日減っていく。すべて使い終わったときに私たちはもうこの世にいない。そんななか、1回だけでいいから砂時計を逆さまにしたい。欲深いと思うけど、両親や同僚と過ごしたい。それに、2回目の人生なら今は苦手な人のことも少しは好きになれるかもしれない。どうせなら、周りの人のことを愛せる状態で亡くなりたい。それが、砂時計が逆さまになって2回目の人生を送ってからでもいい。まぁ、それは他力本願で現世においてあの上司から好かれる努力をしろよって自分にいいたい。
逆さまな人生というワードがパッと思いつく。
良い時があって悪い時へ落ちていくイメージだ。
多くの自己啓発は、そこから頑張れというのだろう。
果たして大多数の人間がそれが刺さるだろうか。
対極から対極へそれも人生。
逆さま
逆方向に回る時計を初めて見た時
何が自分をそうさせたのかわからないけど
シンプルに怖いと思った
いつもと違うというのは
私にとって怖いこと
緊張もするし
不安にもなる
ただその違いって
少しずつだと気づけなかったりする
そのほんの少しが重なって
気づいた時にはもう全然違うものになっていたりする
変わっているのか
気づけているのか
気づくべきものなのか
判断できる自分でありたいと思う
さかさま
「……お嬢、何それ」
「おまじないですわ」
「箒を逆さにして雑巾をかけるのが…?」
「今『お客様』がいらっしゃっているのですけれど。なかなかおかえりいただけなくてですね、困っているのです」
「はぁ…?いえば?帰れって」
「できるならそうしています」
「笹本さんや石蕗さんは?対応してくれねぇの?」
「石蕗は所用で外出、笹本はアレルギーで近寄れません…」
「……なるほど?」
「談話室にいらっしゃいますわ。尾上君はあのお客様、対応できます?できたら穏やかに退出いただきたいのですわよ」
「りょ〜かい〜」
「あと遠目にしか確認できてないので断言できませんが首輪が見えましたので迷子かと。笹本に聞けば確実ですが、3丁目の駒田さん宅の子かもしれません」
「ん」
談話室、奥の一等陽当たりがよく柔らかなクッションの上で、『お客様』は気持ちよさそうに伸びをしている。
遠目に確認したと言っていた首輪は綺麗な赤、迷子札には話の通りの住所と名前。ずいぶん人慣れした様子で、俺が近づいても逃げる気配がない。体を覆う体毛はつやつやしている。完全室内飼いぼいな。とりあえずだっこさせて貰う。
おお、治り方がうまい。だっこされプロ猫様。
「お客様、確保〜」
「尾上君…お見事…」
「で、何丁目の何さん?届けりゃいいのか」
「先ほどお電話したのでもうそろそろいらっしゃるかと…」
「……飼い主さんここまで連れてくればよかったんじゃねぇの」
「一般の方は1人じゃここまで来れませんし、その間お客様が無事な保証もありません。ので来れて玄関までですわね」
「その言い方だとなんかあんのこの家仕掛け的な…人は入れないけど猫は入れるみたいな…」
「尾上君は聞かない方が平和なやつです」
「……つまり聞くと実害がでるやつ…?」
「聞くことで知らなかった頃には戻れなくなるタイプですわね」
「よし聞かない知らない知りたくない」
「お利口ですね尾上君、猫さんもお利口ですね…」
「……だっこする?めちゃ慣れてるしいけると思うぜ」
「怖いので結構です」
「苦手?」
「まぁ」
「嫌い?」
「いいえ」
「抱っこする?」
「怖いので結構です」
「……わからん!」
「はは、世の中色々な感性があるのですよ」
「そういうもんかねぇ…」
それこそ逆立ちしたってわからない。
ごじつかひつ
逆さま
クラスの中で僕だけが逆上がりができない。何度か挑戦してみたが、上まで上がることができなかった。
昨日、帰りの会で先生が来週に逆上がりのテストをすると言っていた。合格する自信がない僕は、お父さんに練習に付き合って欲しいとお願いした。
何度も地面を蹴るが、クルッと回ることができずにいた。お父さんに背中をちょっとだけ押してもらうとできるのに自分たけだはできない。でも、僕も1人で逆上がりができるようになって、クラスのみんなが見ている逆さまの世界を見てみたい。
それから毎日、公園の鉄棒で逆上がりの練習をした。お父さんが言うには、足を強くけること。友達のタケル君のアドバイスは、強く鉄棒を引くこと。どっちもやっているのにできない。手にまめができて痛いしもう辞めようかな。
「頑張れ。だいぶ蹴るタイミングと引き手のタイミングが合ってきたぞ。いい感じだぞ。」
お父さんの言うように、時々、体がフワリと浮くことがある。あと少しなのかもしれない。もう少し頑張ってみよう。
いち、にい、さん。
足を強く蹴って、手で鉄棒を思いっきり引っ張って体を浮かせれば、クルンと体が回り逆さまの世界が見えた。
「やったー。できたぞ。」
1人で見る逆さまの世界キラキラしているように見えた。テストも頑張ろう。
僕は失敗作
あなたの思い通りにはならない
完璧に彼の真似をしても
また僕は逆さまに落ちる。
何が違う?
もう対象も居ないのに
なぜあなたは彼を求める。
今日で僕は何体目?
─────『逆さま』
#逆さま
誰かを憎んだり
自分が愚かで消えたくなった時
心の中にあるレンズで
自分を見返して見るの
自分が見えない自分の世界
誰かが見てる知らないワタシ
逆さまにして世界を見渡せば
違う未来が見えるかも
忘れたい過去(きのう)も
明日の自分の為に
見えない自分を知るのは怖い
でもそんな自分も愛したいから
つんのめって逆さまに落っこちた後。
頭上に広がる蒼の中で、
鰯の群れは優雅に泳いでいた。
横を見れば、沢山のガラスのその奥に
私を見つめる人の姿が見える。
通過列車のような速度で、断続的に見える目。
数十メートルの水槽の中に投げ入れられた鰯。
群れから逸れた鰯。可哀想な鰯。
昼放課は餌やりの時間。
空の鰯の群れにもなれず、
冷たいコンクリートに食べられる迄。
「逆さま」 白米おこめ
蝙蝠傘が欄干に吊ってある。
混乱した。
どういうことだ。
あいにく、答えてくれる家の主は居なさそうだ。
なぜか待ち合わせに全く来ない友人の家の扉が、不用心に開いていたなら、相場は、欄干に吊られているのは首なのではないだろうか。
だが、蝙蝠傘だ。
室内の、真ん中の欄干に吊り下がっている。
真っ黒の、しかも中途半端に骨が曲がっているせいで、遠目に見たら、本物の蝙蝠にさえ見える。
なんなのだろうか。
現代前衛アートだともいうのだろうか。
しかし、作者はいない。家中に響く声で呼ばわったのに。
蝙蝠傘だけがそこにある。
逆さまに、欄干からこちらを見ている。
日が開け放たれた窓から差している。
蝙蝠傘のくっきりと黒い影が、床板の上に投げ出されている。
蝙蝠傘は、不安定な持ち手に体を預けて、欄干からぷらぷらと揺れている。
…確かに、友人はここのところ、様子がおかしかった。
沈み気味で、いつも何か考え込んでいて、何を話しても上の空だった。
だから、心配していたのだ。
今日の待ち合わせも、友人の様子を測るために呼び出したようなものだった。
しかし、30分経っても、やってこなかった。
だからここまで、それなりの覚悟を決めてやってきたのだ。
右手に携帯を握りしめて。
ところが、いざ入ってみると蝙蝠傘がぽつんと逆さまに揺れていた。
友人はおらず、家はとっくにもぬけのから。そういえば家具さえも見当たらない。
一体どういうことなのだろうか。
廊下に出てみる。靴が廊下に並んでいる。
玄関に向かう。玄関には、食器や洋服が、ずらりと置かれている。
逆さまだ。
ものが内外逆さまに置かれている。
尚も意味が分からない。
漠然とした、不安のような恐怖のような、訳のわからない感情が胸に迫ってくる。
逆さまとはこんなに異様で、恐怖を呼ぶものだったか?
一刻もこの家から出たい気持ちを押さえつけて、友人の行き先の手がかりを探す。
こんな突飛なことをして、何を考えているのだろう。
まさか、家の中に隠れているんじゃないだろうな…。
そういえば、収納や押し入れの中はチェックしていないのだ。
友人を探して、歩き出す。
コツッ…後ろで靴の音がする。
振り返ろうとした、意思と行動の狭間で、急に視界が暗転する。
意識が…遠のいていく…
どういうことだ……あの逆さまは、…何の意味が……
蝙蝠傘が逆さまに揺れている。
思考が、ブラックアウトした。
「逆さま」
逆さまに落ちていく
逆さまに墜ちていく
人の掌の上で踊らされて逆さまになる
頭が上なのか下なのか
足元が上なのか下なのか
何処で人生デザインを逆さまにしてしまったのか
何処で人生設計を逆さまにしてしまったのか
わからない
わからない
もし、あなたが何かを逆さまにしたいのなら、何を逆さまにしたいのかね。
性別かね。ホットケーキの生地かね。貧民国かね。世界そのものかね。それとも、不幸だらけの人生かね。
何を逆さまにするかはあなた次第だ。あるいはそれは誰かの手に委ねられているのか。
そうだとしても、諦めるべきではない。逆さまにしたいのなら、逆転させたいのなら、できるものからやっていけば良い。
できないものを逆さまにすることはできない。必要なのは見極めること。見極めなければ逆転することはできない。徒労に終わるのだ。
この世には逆転することで成功を掴めた者と、不幸を招いた者がいる。
逆さまにしようとして失敗するのは、相手を変えようとしたこと。相手を変えるより、自分のこと。自分のことを逆さまにしようと努力すれば何らかの形で報われるだろう。
正しい世界というのはどういう世界なのか。あなたにとっての正しい世界と私にとっての正しい世界。それは両立しうるものだろうか。
捕らえることが正しい世界と抜け出すことが正しい世界。相反するものが両立できるだろうか。
自分だけの世界というのは、コインのようなもの。幸せの表と不幸の裏。何度もコイントスをしなくてはならない。何がコイントスに当たるかは人それぞれ異なるものである。
さて、冷めゆくぬるま湯は逆転できるのか。傍観者としては見物であるがねーー。
ーー冷めゆくぬるま湯。それはブラックよりも濃いブラックに墜ちていった企業のこと。
熱意を失い、冷めた鉄を鍛えることはできるだろうか。新たな熱もやがては冷めゆくばかり。
傍観者はただ見るだけ。何も力も知恵も与えることは無いのだからーー。
目を開けたらいつもと違う景色
きょろきょろと周りを見渡して
上下「逆さま」になっていると気づいた幼い布団の中
私は注目されるのが好きだ
でも注目されたことは今まで一度もなかった
勉強でも平均以下
運動でも平均以下
何も取り柄のない私に
どうしたらみんなが注目してくれるのか
足りない頭をフル回転させた甲斐があった
これが私の望んでいた景色
私が世界の大スターにでもなったような気分
今日が今までで1番良い日
もしかしたらテレビにも出ちゃうかも?
逆さまに落ちていく私を見て
みんながスマホを取りだす
『逆さま』
ねえ、いくら振っても
なにも出てこない
ほんとにからっぽなんだよ
となりのへやでがなりたてるよっぱらいの唄声さえ入りこんでしまう部屋からは
ものがすこしずつ消えている
ぼくはいまでは無性に理由をさがしていて
写真なんかを、始めてみようとおもっている
いらない、いらないと言い続けてきて
しまいに風景を切り取れたら
それは要らなさの極致なんだというような
あるいは記憶だけが残るような
予感がしてるんだ
ぼくはもうほんとに
からっぽなんだ
カメラをかおうかな
外に出たい
#逆さま
自分が幼少の頃から憧れていた職業がいつの間にか目指すのをやめ、体の維持を怠りふくよかになっていく…
理想と現実が気が付いたら真逆の状態、
「逆さま」になっていた
フライパンを温めて。濡れた布巾で温度を下げて。
生地を広げてまた火にかけて。ぷつぷつと表面に穴があいたら、様子をみながらひっくり返して焼き目をつけて。
ホットケーキの出来上がり。
ホットケーキって嫌いって言いづらい。
幸せな思い出と一緒に好きだって人が多いから。
パンケーキは本末転倒。
山盛りのクリームと果物を食べるためにパンケーキを踏み台にしてない?
逆さまにひっくり返せたなら
幸せな方にまぎれこめるのかな
って
作る時逆さまにひっくり返す工程のある
シフォンケーキがあったわ
大好きだし、自分十分幸せだったわ
「逆さま」
君と僕が逆さまだったなら
私と君が逆さまだったなら
あの時結ばれていたのかな?
『逆さま』
ほら‥地図 逆さまだよ
いっしょに行こっか