目に見える世界がぜんぶ逆さまで、
頭に血が上り、なんだか眩暈がしている。地面との距離感が掴めない、ふわふわする、この感覚はいつぶりだろうか?
間もなくナマケモノみたいに伸ばしていた腕が痛くなって、鉄棒を離す。
小学生の頃、逆上がりができなくて不貞腐れていた私は,練習を放棄して、1人でこの遊びをよくやっていた。
反転した世界には、クラスメイトの笑いはしゃぐ声が宇宙人の声みたいに観えた。みんなそこにいるのに、私だけしかいない世界のようだった。こんな気分に浸れるのは、世界でただ一人私だけだと思って,なんだか誇らしくなった。それで、可能ならその逆さまの世界に行ってみたかった。
そんなことを回想した、そんなのは、実際は私だけの感情ではなく、ありふれた年相応の感情だったけど。
全く意味のなかった行為だった。
そんな無駄なことしてないで、大人しく逆上がりの練習を続けていれば、体育の授業でもっといい成績がとれて、自信もついたのにな。
今だって全く意味のない行為をしている。
そんな無駄なことしてないで、 …
そう頭の中でつぶやきかけて、途中で嫌になってやめた。
12/6/2024, 11:30:56 PM