『踊りませんか?』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
真っ青な空の下。授業中の屋上という箱庭に、今日は僕以外の客人が訪れた。
「サボりか?」
「あなたこそ」
綺麗な長い黒髪をなびかせた客人は、僕の隣にスンと座る。真面目そうな面して僕と同類なのだろうか。
「先生が心配していたぞ。2-3橋本 尚クン?」
ギクリ。肩がはねる。
なんで僕の名前を知っているんだ。同クラスでもないし、そんなに有名人でも無いのに。
「ははは。人間関係を友好に進めるためさ。全学年のクラスと名前を覚えるくらいわけない。
そんなことより、サボりをする時は事前に誰かにいいたまえ。君の担任が心配していたぞ」
すごい事をさらりと言い流し、僕の目先に(正確に言えば僕のメガネの先だが)指を突きつける。
ほんとに何者なんだこの人。
「そういうあなたはどうしてここへ?」
「あぁ。3組にサボり魔がいると聞いてな。気になって付いてきた」
「なんですかその理由……」
「それに」
隣でひょいと彼女が立ち上がる。
「サボりも悪くないな。気分がいい!」
挙句にはふんふんと鼻歌を歌いながらそこらでくるくると回る。彼女の影がゆらめく。強い日差しで一瞬彼女が消えたように思えて、慌てて数回瞬きした。
「君が毎回屋上に来る理由が分かった気がする!」
踊りながらそう言って、彼女は笑う。
理由?理由か……ただ、僕には退屈だったんだ。閉鎖的な空間で受ける授業が。あの気だるくて生ぬるくて苦痛とも言える時間から解放されたかった。
そんな僕の漠然とした理由を言えば、彼女はまた笑うだろうか。
「何をぼーっとしているのだ?」
彼女が踊りをやめて、こちらに手を差し出す。
「一緒に踊ろうじゃあないか」
僕は別に屋上に踊りに来たわけではないが……ニヤリと笑う彼女を前に、断るのは野暮だろう。
僕は「喜んで」と恭しく頭を下げ彼女の手を取り、青空の下のステージへと上がった。
踊りませんか?
嬉しいことがあったのですか?
盛り上がることがあったのですか?
できることが増えたのですか?
やりたいことができたのですか?
嫌なことがあったのですか?
悲しいことがあったのですか?
息苦しさを感じたのですか?
寂しさに押しつぶされそうですか?
その全てを体の中から踊らせてみませんか?
気持ちの良い動きで踊りませんか?
降り止まぬ空模様から
雨音が響いたら…
RAIN DANCEが聴こえてきた…
雨のバイパスから…
アスファルトに打ち付ける
心模様のざわめきが
画面上の警笛が
跳ね返しながら乱れ跳ぶ…
待って…
違うよ!
1人に躍らないで…
その自由なときめきは…
違うから…
もし私があなたの世界に居たら
あなたは私を誘ってくれますか?
そして私だけに笑顔を
見せてくれますか?
繋いだ手をずっと離さないで
踊ってくれますか?
【⠀踊りませんか? 】
自分を見失わず
客観視も忘れずに
良い悪いではなく
正しい間違いではなく
相対的な結果を見据え生きる
信者というものはなんと愚かか
まぁ、本人が楽しければいいんだろうが
私はごめんだ
なんて斜に構えてるあなたも
一度回れば止まらないものです
一度だけでいいので
一緒に踊りませんか?
20231004【踊りませんか?】
涙が出る。
疲れてしまった。
いつもはすぐに流せることでも、頭からこびりついて離れない日。
そんな日は夜更かしをして、何も考えずに。
手を取って、夢の中で踊り明かしたい。
誰でもいいから、私と踊ってくれませんか?
【No.7 #踊りませんか?】
僕は決めていた。今日こそは絶対に声をかけるんだ。
外ではすでに後夜祭が始まっていて、生徒達の楽しそうな声が聞こえてくる。僕は急いで教室を出た。走るな危険と書かれた張り紙を横目に全速力で廊下を走り、階段を下って昇降口に出る。自分の下駄箱から靴を出して履き替えると、上履きを片付けるのも忘れて校庭に急いだ。
校庭の真ん中には小さなステージがあり、それを囲むように生徒達がいる。各々が友達や恋人と一緒に笑い合ったり、二日間の思い出を振り返ったりしている。ステージの上に立った生徒が合図をすると、吹奏楽部の演奏が始まり、生徒達が手を取り合って踊り始めた。
ーーやばい。彼女はどこだ?
僕は楽しそうな生徒達の間を縫って彼女を探す。
「いた…」
彼女は校庭の中心から少し離れた場所で、みんなが踊っているのをみつめていた。鼓動が速くなる。秋の風は涼しいのに、額から汗がつうと頬を伝う。立ち止まり、深呼吸をしてからゆっくりと彼女の方へ向かった。
「あの!」
「あれ、どうしたの?踊らないの?」
「ーー僕と、踊りませんか」
言った、言ってしまった!もう後には引けない。差し出した手を彼女が取ってくれるのを祈るしかない。恐る恐る彼女を見つめると視線がぶつかった。
「うん、踊ろう」
彼女は笑いながら僕の手に自分の手を重ねてくれた。その笑顔が嬉しそうに見えたのは、僕の思い上がりだろうか。
吹奏楽部の演奏が、秋の夕暮れの中に僕の鼓動の音を隠してくれた。
踊りませんか?
踊り…たいねえ。
ダンスが中学校で必修になったのは
2012年だそうだ。小学校では 表現運動 と
名前こそ違えど、
今の子たちは9年もダンスを習う。
私が小学生だったのははるか以前なので
とても踊れない。
やっぱり若い頃にかじっておいた 何か は、年取ってから、
効く。
お嬢さん、踊りませんか?
喜んで!
このワンピースなら、ちょっとしたパーティにも着て行けますよ
と同じで、
(踊るような)ちょっとしたパーティなんて
ありゃしないけど、
そんなワンピースもないけど、
憧れるねえ。
はあ、踊りたい。
踊りませんか?
一緒に踊りませんか?と言われても、踊れない。
完璧に踊らないといけないのではないか?と不安がある。
相手に身を任せれば良いと言うが、それはそれで申し訳ない気持ちと難しい気持ちがある。
踊れる人が羨ましい。心からそう思う――
#踊りませんか?
月が綺麗ですね
と同じくらい
踊りませんか?と言うタイミングは難しい
何度も自分に矢が刺さっても
ずっと馬鹿なふりをして
傷つかないようにしていたけれど
その傷はやがて膿んで跡になり
そこからどんどん腐ってゆく
その痛みに耐えられなくなってきて
どうしようもなく辛い
わたしにもそんな時が訪れる
その時にどうすべきなのか
爆発して本音を漏らそうものなら
また誰かを傷付ける
そしてわたしは完全なる悪となる
静かに目を閉じ
そっと心に蓋をして
何も言わない言ってはダメ
完全に閉ざそう
そうすれば誰も傷つかない
腐りゆくわたし
それでいい
踊りませんか?
どこか遠くの世界で
君が眠ってる 夜空のしたで
目まぐるしく動く 町の片隅
あぁ あなたが夢で 私を待ってる
ダンスホールのピアノ
シャンペンのタワー
ガラスのパンプスをはいて
深夜2時の都会のネオン
ライトをバックに 踊りませんか?
あぁ シャワーが音たてる
冷たい空気と混ざる 部屋の空気に
明日も私と夢の中で 踊りませんか?
踊りませんか?
いつもはきらびやかなホールはどこか妖艶な空気を漂わせて、舞踏会に来た者たちを歓迎する。
目元に仮面を着けて行われるその舞踏会は、いつもとは違う刺激に誘惑され、魅了される。
「踊りませんか?」
そう声をかけてきたあなたに誘われる形で、一曲だけ踊った。内緒話をするように囁かれた言葉は魅力的だが、お生憎様、こちらはあなたのことを知っている。
仮面に隠されているから、気づかないとでも思ったのか。本当に、愚かな人。
ぽそり、と彼の婚約者の名前を呟けば、明らかに動揺して慌て出す。
誘う相手を間違えたわね、と優雅に微笑み、その場を後にした。もちろん、彼の婚約者にはうっかりと口を滑らした体で、このことを話しておいた。
「 踊りませんか? 」No.31
プリンセスの物語で王子様がプリンセスに「一緒に踊りませんか?」と誘う絵本を小さいときに読んだ。私も王子様と一緒に踊りたいと思っていた。
大人になってふと小さい時の記憶が頭に思い浮かんだ。王子様は私の前には現れてくれなかったなと少し寂しさを感じた。
#105【踊りませんか?】
踊りませんか?と聞いて
ピーン!と思い出したのが
「夢の中へ」の歌詞だった。
あまり深く考えてはいけないタイプの
歌詞だとわかってはいるけれど
どうにも気になるストーリー。
きっと私だけではないはず。
とても素敵な曲で、ふふっふ~♪したくなる
キャッチーなメロディーだけど
歌詞がどうしても気になる。
探し物は何なのか、と尋ね
見つけにくい物なのか、と確認し
あちこち探しても見つからないのに
まだ探すのか、と問いただした挙げ句
「それより僕と踊りませんか?」と
すっとんぴょんな事を言い出し
夢の中へ行ってみたくない?と言い出す…
こわいねぇ…涙
何が怖いかって「それより」と言う接続よ!
「それより」って
「そんなことより」って事ですよねぇ…?
いや、こっちは探してんねん!
そんなことって何やねん。
踊ってる場合ちゃうし
てか、何で踊らなあかんのよぉ!!
…
何踊るつもりだったんだろ。
蓄積した人生の頬に
柔らかな風が吹き抜けた
きっと
いつだって踊れるんだね
✳︎踊りませんか?✳︎
「僕と一緒に踊りませんか?」
「なにそれ、何いきなり…」
最初の感想はこれだった。
「さあ、早く!」
そう言って、僕の答えは全く聞かずに、彼は僕の手を取って踊り出した。
「はっ?!ちょっと?!僕、まだ何も言ってないんだけど?!」
「いいから!僕に合わせて!」
なんて自由人。
僕は困惑しながらも、彼の動きに合わせて、なんとなく踊ってみる。
「うん、思った通り上手だ。」
「なにそれ、ただ合わせてるだけなんだけど。」
「あははっ!つれないな~」
まあ、たまには悪くないかもだけど。
「もう1杯くださぁい」
「ダメですよ、そんなに酔ってしまっては」
酒を飲みたいと駄々をこね始めた彼女は、酔いが完全に回っているのにもかかわらず、お酒を飲む手は止まらなかった。いつもに増して緊張感がなく無防備な姿を見せるあなたに他の男にも酔ったら同じ態度をとるのか、と少し嫌な気持ちになる。
口を開けば、今お付き合いしている男の話ばかり。これが不満だとか、このように言ってきて腹が立った、などである。
私なら嫌な思いなんかさせないのに。そう言いたくなる私がなんだか薄っぺらい人間のように思われて、吐露しそうになる口を噤む。その話を聞きながらにこやかにいつも通りの私を演じた。
あんな男なんて捨てて、今宵、私で上書きしませんか。
辛かったこと、苦しかったこと全て、私との記憶で塗り替えましょう。
肩をとんとんと軽く叩き、眠りにつきそうだった彼女は振り向く。
私は左手を胸に当て、軽く頭を下げながら彼女の目の前に右手を差し伸べた。今夜、あなたが忘れられるほど楽しいひとときを過ごすために。
『踊りませんか?』
授業
緊張を通り越して
順番が来る
声を掛けずとも始まる儀式
でも、キッカケが欲しい僕は言う
※踊りませんか?
"踊りませんか?"
「フ〜ンフンフンフ〜ン…♪」
スマホからいつもの曲をループで流しながら、雑務を片していく。こうやって曲を聞きながら作業するのも、実は好きだったりする。無音の中での作業も好きだけど、曲を聞きながらやるのも良い。心做しか早く終わる気がするから、早く終わらせたい時は曲を流しながら作業をする。
いつも流してる曲は歌詞の無い曲だしアップテンポだから、良い感じに集中できる。壮大な曲調で曲名も壮大だから、不釣り合いなんだけど。
「これで…、っし。いっちょ上がり」
そうこうしている内に雑務を終わらせる。やっぱりこの曲を聞きながらやると、早く片付く。さて、この後はどうすっかなぁ…。
「……」
曲が終わる。そして数秒後には再び始まる。
椅子から立ち上がり部屋の中央に立つと、左足を前に、重ねるように右足を左足の後ろに。つま先は左足が右に、右足が左に向くように置くと、一歩分の間を開ける── 一言でいうと4番ポジション──。腕で円を作り、手の側面を股関節の前に持っていって構える── 一言でいうとアン・バー──と曲に合わせて踊る。完全に真似っこだからめちゃくちゃ。それと室内だから、クルリと一回転とか、ちょいちょいポーズを取るぐらい。だけど、楽しむのならこの位がいいのかもしれない。勿論プロにはとても見せられない踊りだけど、楽しい。曲と自分の体が一体となる感覚は悪くない。
曲が終わると、デスクの上のスマホを弄って曲の再生を止める。
「はっ……。…さ、準備」
スマホをポケットに仕舞い、受け入れの準備を始めようと、部屋を出た。