『距離』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
テーマ:距離 #19
ドク、ドク、ドク……
うるさいぞ…私の心臓。
私はキュッと体を縮める。
「どうした? 寒い?」
そう聞くのはクラスメイトの男の子。
「あ、いや……そうじゃなくって…でふ」
噛んだ…。噛んでしまった。私は耳が暑くなるのに気が付き急いで隠す。
「大丈夫?」
「大、丈夫」
私は身をさらに縮める。
どうしたんだろう私。寒いはずなのに暑い。
それになんか…見られない…。
こんなのおかしい。私、熱でもあるのかな…。
「本当に?」
私の顔を覗き込んだその子と目が合う。
あまりの距離の近さに驚き、後退ろうとする。
「痛っ!」
後ろにある壁に、頭を思いっきりぶつける。
「プッ」
その時、その子の吹き出す声が聞こえた。
「やっぱ、かわいいなぁ…」
その言葉にわかりやすく動揺してしまう私。
「やっぱ無理。可愛すぎ」
「え…?」
私が顔をあげるとすぐ近くにその子の顔。
距離近っ…。私がそう思って目を瞑る。
「このまま、連れて帰りたい」
私は気がつくと、その子の腕の中に収まっていた。
ドク、ドク、ドク……
どんどん上がっていく心拍数。
絶対バレている距離感。
これは恋なのかもしれない。
距離があると
なんだか寂しく感じる
今は人との距離が
以前よりも遠くなっている
近付き過ぎることに
気をつかってしまう
何も考えずに普通に
コミュニケーションを
取れるような世の中に
早く戻れるといいな
親友とは、幼稚園からの付き合いだった。
苗字が同じだったから、周りからは双子みたいだなんて言われてたっけ。
けど中学生になった時から私たちは友達になったよね。
最初は私と同じくらいのレベルだったのにさ、なんか知らない間に完璧人間になっちゃって。
もう手の届かない人になったよね。
あなたとの距離を言葉で表すなら、天と地だと思う。
私が親友だったこと、きっと覚えてすらいないよね。
ごめんね。
懊悩
どうやら、あたしはモノの距離を測るのがものすごく下手みたいだ。
例えば、仲良くなりたい相手に話しかけると、少し後ずさりされるし、逆に話しかけられると、緊張して距離をとってしまう。それから、あたしの手にある小さな星を、あの星にぶつけよう、とすると決まってビューンと変な方向に飛んでいくし、逆に、飛んできた星を打ち返そうとすると、9割はスカッと逃してしまう。なんでだろう。ほんと、嫌になっちゃう。
手頃な星が落ちていたから、半ばヤケクソになってテキトーに投げる。今回はべつに、どこに飛んでいっても、あたしには関係ない。ルンルンと歌ってやる。
悩みが溜まったりした時は、テキトーに歌うのがイチバンだと思っている。声に出すと意外と楽になるもんだ。
……さっき投げた星、どこに行ったかな。
投げた方を見てみる。すると、なんと、あの投げた星より幾分か大きい星に、どうっと衝突していた。2つの星は爆発したのか、真っ赤だ。キラキラ炎が渦巻いている。
──────それから、途方もなく長い時が過ぎました。
その星に住み着いた生物によって、ぶつかった星のうち大きいほうは「地球」と、小さいほうは「月」と名付けられました。
12月1日『距離』
一人で歩くには
長く感じるこの道も。
友達と歩けば
楽しくてあっという間。
彼と歩けば
一瞬しにて終わる。
……どれも同じ距離なのにね。
『距離』
[距離]
君は僕に好意を持っていない
これだけ距離が近いのに…
でもそれは物理的な距離が近いだけ
「心の距離」は全く近くないみたい
本当に大事なのはそこなのに…
《距離》
君と私との距離
物理的な距離はそんなにないかな
心の距離はとっても広い
そして月日が流れる度に広がっていく
もう君からの連絡も来なくなりました
距離
自分の周りの人のことを考える。
一人一人、関わり方が違う。
そういう距離を保たないと自分を保てない。
ハリネズミってね、
針があるじゃん?
針、当たったら痛いじゃん?
だから、お互い離れて過ごすんだってさ。
ずっと前からソーシャルディスタンスしていたんだね。
家族とも、親友とも、恋人とも、離れて自分たちの針で傷つけないように。
人間もさ、距離近いんだよ。
ズカズカと、こちらの心の中にまで土足で入ってくる奴いるじゃん?
もう少し離れてもよくないか?
こっちが一人でいること、淋しい奴なんて決めつけんなって。こちとら、好きで一人でるんだって。
以前、君が言っていた言葉。
ハリネズミ飼っているときいて、見てみたいと言ったら、まさかのその日、見に来てみるか?
確かにハリネズミに興味はあったけれど、本当は君のことに興味があったのだ。協調性がないわけでもなく、面倒見も良いのに、気がつくと一人でいる。
僕は協調性がないわけではないのに、協調性がないと言われたり、もっと話そうねと、小学生の頃から言われたり…。
だから、一人でいる君に興味がわいた。
今日の君は朝からずっと一人でいる。
話しかけてくる友達、先輩、教師にもどこか上の空。
君の目が、赤い。
知っている。
飼っているハリネズミが昨日亡くなったのだ。
ハリネズミは距離をとる。
人間も距離とったっていい。
土足で心にまで入るな。
だけど、今日は距離を近づけても良いだろうか?
上手く話せない。慰められないかもしれないけど。
近くにいっても良いだろうか?
君のこと、
傷つけたりしないから。
お題 距離
「行かないで」
駅のホームに虚しく響く声。
悲しそうな顔をして、手を振る貴方。
次はいつ会えるのか、そう思いながら涙と嗚咽を零す。
行ってしまった電車に、諦め手を振る。
また会う時も、この心の距離は変わらないだろう。
私は貴方のことが好きで、貴方もきっと私が好き。
距離
『距離』
距離がある。
距離があるな。
君と私には距離がある。
隣にいるのにいつだって君は僕より先にいるようだ。
事実距離がある。
君は僕より早く大人になるし、
僕がいなくても平気らしい。
僕だってまぁ、君がいなくても死にはしないけど。
距離がある。
埋まらない距離が埋まらない。
埋めたいわけでもないけれど、一人ぼっちは嫌だから。
君に隣にいて欲しいんだ。
あんまり遠くへ行かないで。
私がここにいる内に君は先へ行ってしまう。
停滞していたいのに。変わらない方が楽なのに。
子どものままが幸せなのに。それは私だけなんだ。
一緒に居てはくれないの。
距離は広がるばかりなの。
仕方がないから私は自分で自分を慰める。
置いていかれることよりも、
変わることの方が苦痛だから。
お題「距離」
君に手を伸ばしても、届かない。
彼女の周りには、いつも人が散る。
僕達は何万kmの距離が離れている星のようなものだ。
見てるだけでも満足してしまう存在。
「ふふっ、面白いね。」
図書委員の僕の元に訪れた彼女は、星についての本を持っていた。
星が好きだと思った僕はペラペラと色々話してしまった。
普段は暗いくせに、空の事だけは流暢に語る僕を見て彼女が笑う。
その時、初めて太陽に照らされる月の気持ちが分かった。
「何で星の本を借りようと思ったの?」
突然、静かになった図書室。
僕と彼女のたった二人だけの図書室。
彼女の顔を見れば、頬が紅く染まっていた。
そ、それはね?なんて言葉が詰まってしまっている。
「貴方が好きって聞いたから…見てみようと思って。」
「そ、そっか…。」
彼女は僕のことが好きなのかもしれない。
そんな期待をしてしまい、気まずくなって言葉が詰まる。
僕は、オススメの本を貸すことしか出来ないのだった。
彼女から告白されるまで、あと…。
あなたとの間にできた不自然な距離。
他の誰かがその距離を埋めてしまわないか心配でたまらない。
だからあなたの耳に囁いた。
「この前はごめんなさい。」
#53 余命がわかっている私が、彼のおかげで末筆していたかのような私の人生が再び動き始めた。絶望していた自分が少し立ち上がることができた。
毎日、彼と病院で会うようになって、心の距離がどんどん縮まっていったと思う。
残りの時間が少ないことを、分かりながらも過ごす時間はすごく貴重で、幸せで長く感じたいけど、短い。そう思えた。
___距離
「距離」
距離というものは近い、遠いしかない。
近ければ寂しくない。話すことが出来る。
遠ければ少し寂しい。話せない。
でも近いといいことばかりでは無い。
近いと、一人の時間がなくなる。
近いと、仲良くなりすぎて、喧嘩をしてしまうかもしれない。
近いと、他の人ばかり考えてしまうかもしれない。
でも遠いと嫌なことばかりでは無い。
遠いと、一人の時間ができる。
遠いと、その人のことを考える。
遠いと、喧嘩してる友達と、もしかしたら、仲直りしたくなるかもしれない。
これは人間の場合。
物でも同じ。虫でも同じ。空気でも同じ。
みんなみんな、色んな距離。
距離というものはむずかしい。
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きみとぼくに住んでる場所の距離があったって
きみを想う気持ちは変わらないよ。
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Theme:距離
距離
あなたとわたしとの…
距離
近いようで…
遠いの
もどかしい気持ち
…
ほんの少しだけ…
心の距離が近づけたら…
なんて…
思っちゃいけないよね
ごめんね…
106【距離】2022.12.01
手紙や伝書鳩の時代からインターネットの時代へ、人類は距離の影響を脱して時間差なくコミュニケーションをとれるようになったが、まだ星々との対話には大きな時間差をともなっている。
いまだに星々の「現在」とは、会話できずにいるのだ。
北見辰一朗は天体望遠鏡のアイピースから目を離しながら、ほっ、と白い息をついた。観測に夢中になるうちに、体の末端が冷え切っていた。まずはポッケのカイロで両手を温める。強張りが解除されたら、つぎは水筒。まだ器用さの十分に回復せぬ手で蓋をはずし、沸かしたてのように熱いコーヒーを注ぐと、白い湯気が勃然と立ち上がるのが夜目にもはっきりと見えた。それを唇に近づけ、ゆっくり啜り、飲み込む。
これら一連の動作を、星明りのもと、自分がリアルタイムで視認しながら行っている、ということが、北見にはとてつもない奇跡のようにおもえた。
一転、目を冬の夜空にやる。昔、昔、昔、昔、昔、昔、昔、昔、昔……想像を絶するほどの昔の姿を見せる何百、何千、何億光年の彼方の存在ばかりが無数に、そこには散らばっていた。
手を見る。リアルタイム。星を見る。想像を絶する昔。コーヒーを見る。リアルタイム。また星を見る。想像を絶する昔。湯気を見る。リアルタイム。やはり星を見る。想像を絶する昔。
いつになったら遠い星々の今を知ることができるのか。それはかなわぬ夢なのか。
北見は飲み差しの水筒の蓋を手にしたまま、また望遠鏡をのぞきこんだ。
今、望遠鏡のレンズを通して北見の目に映る恒星のうちのいくつかは、今のこの現時点において、まちがいなくすでに姿を消してしまっている。これら、シャワーのように密度高く降り注ぐ光点のなかに、いわば、死者からの手紙、とでもいうべき煌めきがいくつか紛れこんでいる。しかし、いましも北見の目玉のなかに飛び込み、北見の網膜の上で美しく像を結んでいる光の粒が死者からのものなのかどうか、今の北見には知るすべはない。それはなん世代にもわたって天体の観測をつづけ、記録をとりつづけて、やっと明らかにできるようなものなのだ。
ていうかさ。そのころにはすでに人類がいなくなってしまっている可能性だってあるんだよな。と、北見は微苦笑し、完全に冷えきる前にコーヒーを飲み干した。
そうなのだ。それが天体との文通の流儀というものなのだ。人間ごときが四の五の抜かしてどうこうできるものではそもそもない。ただ、今、見えているものを受け止める。滅びの時がいつになろうが、おそらく人類には、それしかできない。
まるで片思いのようだ、と手探りで北見は水筒の蓋をきっちりと締めた。一方通行でもいい。もう姿が消えてしまっていてもいい。ひとつでも多くの星の姿を捉えたい。北見の口からまた、白い息がこぼれた。あのすばるに、オレの姿が届くころには、オレはもう死んでいる。それでもいい。と。
とにかく北見はただ、ひたすらに星を見ていたいだけなのである。我が身の寿命が尽きるまでそうさせてほしい。北見が星にむかって願っていることは、純粋無垢に、ただそれだけであった。
距離が近い。
僕のノートを見つめる君。
心臓の鼓動を聞かれていないか不安、
『距離』
めっちゃ距離が近いはずなのに
少し距離を感じるのはなんでだろう