狼星

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テーマ:距離 #19

ドク、ドク、ドク……
うるさいぞ…私の心臓。
私はキュッと体を縮める。
「どうした? 寒い?」
そう聞くのはクラスメイトの男の子。
「あ、いや……そうじゃなくって…でふ」
噛んだ…。噛んでしまった。私は耳が暑くなるのに気が付き急いで隠す。
「大丈夫?」
「大、丈夫」
私は身をさらに縮める。
どうしたんだろう私。寒いはずなのに暑い。
それになんか…見られない…。
こんなのおかしい。私、熱でもあるのかな…。
「本当に?」
私の顔を覗き込んだその子と目が合う。
あまりの距離の近さに驚き、後退ろうとする。
「痛っ!」
後ろにある壁に、頭を思いっきりぶつける。
「プッ」
その時、その子の吹き出す声が聞こえた。
「やっぱ、かわいいなぁ…」
その言葉にわかりやすく動揺してしまう私。
「やっぱ無理。可愛すぎ」
「え…?」
私が顔をあげるとすぐ近くにその子の顔。
距離近っ…。私がそう思って目を瞑る。
「このまま、連れて帰りたい」
私は気がつくと、その子の腕の中に収まっていた。
ドク、ドク、ドク……
どんどん上がっていく心拍数。
絶対バレている距離感。

これは恋なのかもしれない。

12/1/2022, 11:40:10 AM