とうか

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懊悩

どうやら、あたしはモノの距離を測るのがものすごく下手みたいだ。
例えば、仲良くなりたい相手に話しかけると、少し後ずさりされるし、逆に話しかけられると、緊張して距離をとってしまう。それから、あたしの手にある小さな星を、あの星にぶつけよう、とすると決まってビューンと変な方向に飛んでいくし、逆に、飛んできた星を打ち返そうとすると、9割はスカッと逃してしまう。なんでだろう。ほんと、嫌になっちゃう。
手頃な星が落ちていたから、半ばヤケクソになってテキトーに投げる。今回はべつに、どこに飛んでいっても、あたしには関係ない。ルンルンと歌ってやる。
悩みが溜まったりした時は、テキトーに歌うのがイチバンだと思っている。声に出すと意外と楽になるもんだ。
……さっき投げた星、どこに行ったかな。
投げた方を見てみる。すると、なんと、あの投げた星より幾分か大きい星に、どうっと衝突していた。2つの星は爆発したのか、真っ赤だ。キラキラ炎が渦巻いている。

──────それから、途方もなく長い時が過ぎました。
その星に住み着いた生物によって、ぶつかった星のうち大きいほうは「地球」と、小さいほうは「月」と名付けられました。



12月1日『距離』

12/1/2022, 11:37:21 AM