『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
めぐり逢いたいいつか貴方と
波間から顔を覗かせて
あの細い白皙の指が私に伸びるのを
掬い上げられるその日を夢見てる
✼•┈┈貝殻┈┈•✼
一時期貝殻を集めて加工するのにハマっていた
たくさん集めてもうまく加工出来るのは
ほんの少し
汚れが落ちなかったり
かけていたり
加工の途中で割れたり
フリマ等で販売しているハンドメイド作家は本当にすごい
一つ一つ丁寧に心を込めて作っている
きっと労力や制作費も想像以上のものだろう
ハンドメイド作家になることは出来ないが
手作りを誰かにプレゼントするときは
もっと心を込めて、相手の顔を思い浮かべながら作りたい
#貝殻
私は、海が嫌いだ。
海には溢れりほどの水がある。
綺麗すぎるほど。
浜辺の砂は海の水程では無いが沢山ある。
よく見ると一つ一つ形が違う。
海と空は色が似すぎていて境目が分からない
空が夕日になると海も真似してオレンジになる。
この広い広い海には生物がいる。
集まると幻想的だ。
海の貝殻を耳に当てる君は背景にある海がかすれてしまうほど美しい。
私は、海が嫌いだった。
※貝殻
積み上げた貝塚から、ひとつ貝殻を手に取る。
この貝殻の内側は、不思議に輝く層があった。
若い衆に見せると、浮き足立つほどの美しい層。
悲しきはそれを活用する頭がないことだ。
きっと貧しい漁村に恵を与えてくれるだろうに。
いつか、叶うだろうか。
たまに出る、真珠のような、美しきものを。
未来へ。
※主治医は「〜ですな」で喋ってくれます笑
私はとても助けられているんだぜ!驚きでもないな!
〚貝殻〛
ある一つの貝殻。
そこには、君の眼だけが映っていた。
貝殻はまるで。
前の出来事を呼び起こすように。
小さな出来事から大きな出来事まで。
全て、観れた。
君の想い出と君がされた大変なこと。
そういや、最近は海に行ってないなあ。貝殻拾い、昔はよくやっていたんだけど。砂場にも貝殻があったから、近くの公園にも行って……
貝殻なんてものに、もう何年も触れていない。あの公園にも、引っ越してからは行っていない。結局、貝殻だって僕にとっては思い出にしかならない。ここらへんでは凄くデカい公園と、砂浜が近くにある。観光客だって来るような。幸い、環境にも恵まれている訳だし、高校に入ったら、寄ってみるのも、アリかも。
夏も終わったし、貝殻拾いは来年に持ち越し。ただ、連日、真夏日なので、まだ熱中症に気をつけて2学期も、頑張ろう。
貝殻
海の音を閉じ込めた鉱物。
海の匂いが染み付いた殻。
貝殻を見つけた
きらきらして小さくて御伽噺に出てくるような貝殻を
それを空に翳して写真を撮った
この一葉で喜ぶ私は
多分小さな幸せを見つけるのが得意だ
貝殻から何も思い浮かばない。
子供の頃に貝殻を見つけるとテンション上がったっけかな。
「貝殻」
校庭の砂に混じる小さな貝殻は、どこからきたんだろう
海の音は
聞こえないけれど
あの日の風景は
よみがえる
………貝殻
貝殻
砂浜で
きらきら
光る
貝殻
拾う
いつか価値ある
貝殻
拾いたい
なな🐶
2024年9月5日2070
「貝殻」とかけまして
「某海賊の航海士がうるさい」と解きます。
その心は「波の音/ナミの音」が聞こえます。
貝殻
家の片付けをしていたら貝殻が出てきた。
昔、海で拾った物だ。
耳に当てると波の音が聞こえる。
正確には波の音ではないらしいが、それでも拾った時の事を思い出す。
私にとっては大切な思い出だ。
海には長らく行っていないが、今度の休みに行ってみようか。
「貝殻」
君が、海に行ったらしい。そう聞いたのはいつだったか。
海はどんなところなのだろう。青くて、広くて、綺麗で。
誰かから、どれだけきいても、不思議と想像ができなかった。
ただ、そんな話を聞いて、ぼんやりと、いつもと変わらない景色を眺めていた。
僕は、家から出たことがない。小さい頃からだ。
出た記憶は、ほとんどない。
病院に行ったことがない。学校に行ったことさえ。
近所の人の名前も、顔も知らないし、会ったこともない。
僕は、足に障害がある。歩けない。走れない。学校にも行ったことがない。どこかに、行けたことが、ない。
見たことのあるのは、会ったことがあるのは君と、家族だけ。そんな生活を、何年も、何十年も過ごしてきた。
とうの昔に慣れてしまっていた。
最近聞いた話だ。君が海に行ったと。
海は画像で見たことがある。青くて、広くて、キラキラとしていて。
それでも、空とは全く別の綺麗さ。不思議さ。そんなものがその画像から伝わってくるようだった。
どんな感じなんだろうか。海は本当に青いのか? 砂浜は暑いのか? 広いのか? 水平線なんてものも、見えるのか?
僕も、行きたい。そんなことが一瞬頭によぎる。けれどそれは、学校にも行けない僕には、無理なことで。どうあがいても一人で行けない僕には、無謀な考えで。
窓の外を見る。何もない景色を、雨が濡らしていく。日もない、月もない。ただ、暗い空だった。
数日後、君が家にやって来た。海に行ったよと話すつもりなのだろう。顔はいつもより自信自慢に満ち溢れて見えた。
『貝殻を拾ったんだ』
君は開口一番に、そういった。
「海に行ったんだ」「最近、どこに行ったと思う?」そんな言葉よりも、先に。
そのあと、海に行ったんだよね、と呟くようにして付け足した。
貝殻は綺麗だった。色々な種類の貝殻を拾ってきたらしく、全てが違う色、違う形だった。僕には見たことのないものばかりで。
君はわざとらしく、一つの貝殻を手に乗せ、僕に差し出した。どう? と聞くように。
白色の貝殻だった。平べったくて、小さめな。
『綺麗だよ』ため息を吐きながら、そう誉める。すると、君はふて腐れたようにして僕を見つめた。
なんだろうか。分からなかった。
しばらくの間、無音の押し問答が続いたが、静かに君は笑った。
『これ、耳に当ててみて』
そう言って、きみは物を耳に当てるジェスチャーをした。
不思議に思った。だが、恐るおそる君の手に手を伸ばし、貝殻を取る。
そして、耳に静かに当てた。
君は、面白おかしそうに、笑っていた。
海の、音がした。聞いたことも、見たこともないけれど、瞬間それが海の音だと分かった。
スー、ザザザ。スー、ザザザ。繰り返されるような音がどうして鳴るのか、なんてそんなことはどうでも良かった。
そこには、海が広がっていた。
静かに太陽に照りつけられ、それを跳ね返す海。
白く泡立ち、波がその泡を砂浜に打ち付ける。
そんな情景。そんな景色。ここにはないはずなのに、はっきり、くっきり認識できた。
『どう? その貝殻』
不意に声がした。その声が波紋のように広がり、見えていた風景はさざ波のように消えていった。
不思議と欲は湧かなかった。
素晴らしかった。
こんな貝殻でも、僕が知らないことを教えてくれるなんて。
こんな綺麗なものがあるなんて。
窓の外を見つめる。相変わらずの雨だ。
変わらない景色。変わらない毎日。
一つ。変えてみたかった。
でも。それよりも。
海が、見たかった。経験したかった。
たとえ、入れなくても。歩けなくても。
『君と、海に行きたい』
微かに、潮の匂いがした。
「日本死神洞窟、水生生物課へようこそ!」
テーマパーク並みの明るい出迎えを受け、思わず苦笑してしまった。「こちらへどうぞ!」と、にこやかに案内され、砂浜の先にあるエレベーターのようなカゴに乗り込む。スルスルと音もなく下へ降りて行く。
この課の死神がつけている面は鬼だ。カゴの中から辺りを見回すと、複数の死神がいて、それぞれが赤鬼、青鬼、緑鬼などの様々な色の鬼の面をしている。
さっきまで居た動物園水族館課では死神が1人だったのに対し、この課には大勢の死神がいることに驚いた。だが、更なる驚きはこの洞窟が途方もない広さであるということだ。端が全く見えない。
動物園水族館課の洞窟は広かったが端は見えた。だがこの課の洞窟は、左右どちらに顔を向けても端が見えない。呆気に取られていると「ああ、ここかなり広いですよね。死神の数も多いですし」と、こちらの様子に気付いた死神が言う。「その名の通り海、川、湖などのありとあらゆる水の生き物の蝋燭がここにあります。なので、規模がかなり大きいんですよ」なるほど、と返事をしながら様々な生き物の形をした蝋燭を、スルスルと下り続けるカゴの中から見送る。
ウミガメ、サメ、マンボウ、クジラ。多種多様な海の生き物の蝋燭が見えた。そうか、ここは海か。川や湖はまた別なのかな?そう独りごちると「そうですね。繋がってはいますが、淡水の生き物はここにはいません」と死神が答えてくれた。
不意にカゴが停まった。「ここは海部、深海エリア。この下もまだまだずっと続いていますが、まだ行かれますか?」どんな生き物がいるのか見てみたい気もしたが、ずっと続く膨大な数の小さいキラキラした物で、目眩がし始めたことを伝えると「ああ、プランクトンの蝋燭ですよ。これで具合が悪くなる人、珍しくないです」と笑いながら言われた。「では上に戻りましょう」
上るカゴの中から、下を覗き込む。深い。蝋燭の光が果てしなく続いているため暗くはないが、とにかく深く、やはり底は見えない。「そちらには "深淵を覗くものは…" なんて言葉があるそうですね」と、背後から死神に言われ、背筋が寒くなるのを覚え覗くのをやめた。振り返ると死神がこちらをじっと見ていた。鬼の面の向こうの表情はどうだったのだろう。
上に戻ると「お疲れ様でした!またのお越しをお待ちしてます!」と、またテーマパークさながらに見送られ、短く礼を言うと砂浜を歩き始めた。
ふと足元をみると、ちいさな貝殻が現れ、またすぐに消えていった。
―――死神洞窟ツアー [水生生物課篇]
#63【きらめき】【貝殻】
貝殻
どこへ行くかも分からずに、制服を着たまま最寄り駅を過ぎて約30分。
友達は何をするのだろうか。そんな疑問をふと感じながら、窓の外をすっと眺めた。
ガタン、ゴトンと電車に揺られながら、私はふと隣にいる友達の顔を見た。
きっかけは、この子に相談をしたことからだった。
あの日も、今日みたいにうだるような暑さだった。
昔から私はネガティブで、いつもクラスでは1人だった。唯一友達と呼べるのは、中学校の頃から仲良くしている子だった。
人間関係がそんなにうまくいかない。たったそれだけの事だけど、毎日そんなのだから。
苦しくて、首を絞められているようだ。
――いっその事、本当に首を絞めてしまおうか。
日に日に増えていく手首の傷も、その子に見せて、もう終わりにしようと思った。
が、その子は、なにか言いたそうに眉をぐっと潜めて「どっか遠くに行こう」とだけ言われた。
そして、今に至る。
やがて、終点のアナウンスが流れる。電車がキーッと音を立て、体が反対方向に重たくなる。
扉が開くと、友達が「行こう」と私に目線を促した。
私も、頷いて、ゆっくり立ち上がって外へ出た。
小さな木造の駅を抜けると、独特の潮の匂いがしてくる。
確か、この町は海水浴で有名な所だ。
「ねえ」
「ん?」
私は先を歩く友達に声をかけた。
「どこ行くの?」
「海だよ」
それだけ言うと友達は、こちらに向けていた視線を前へもどし、歩くのを始めた。
やがて、小石が沢山ある地面へ変わり、ずっと前を向くと、大きな水平線が広がっていた。
夕陽が沈んでいくのが海にうつるのが、とても綺麗で。私はしばらく目を離せなかった。
しかし、友達は先へ先へと歩いていく。
私は、小石に足がもつれそうになるのを抑えて、後へついて行った。
砂浜にたどり着く。友達はすっとしゃがみ始めた。
何をしているのだろう。と見ていると。
指先で小さなものを拾い上げた。
「見て、貝」
友達はしゃがんだまま、笑って私に貝を見せた。
子供みたいだな、と思って私もつられて笑う。
やがて、友達はその貝を手に取り、他の場所も探し始めた。
「貝殻ってさ、」
「うん」
「もう、死んじゃってるんだよね」
突然何を言い出すか、友達は拾いながらそう呟く。
「そうだね」
「うん。でも、こんなに綺麗」
友達は、小さな貝一つ一つを私に見せてきた。
それは、白や黒、ペールオレンジなどの色があったが、お世辞にも綺麗とは言えなかった。
いえなかった、のに。
子供の頃、これってすごく綺麗に見えた。海に来た時は、必ず沢山持って帰って、家の前に飾っていた。
そんな事を、ふと思い出した。
「死んじゃっているのに、こんなに綺麗なんだよ」
「そうだね」
私は、懐かしいあの想いが胸の中を駆け巡り、どく、どくと心臓が脈打つのをより感じた。
この貝も、あの思い出と結び付いていると考えると、顔が綻ぶ気がした。
「私ね、貝殻好きなんだ。」
「そうなんだ」
「もう動かないのに、こんなに綺麗に海に散らばっているなんて」
私もしゃがんで貝を探し始める。この辺は、小さいのしかないか。目を凝らしよく探す。
「だから、私も貝殻みたいな人生を送りたい」
え、と私は友達の方を見る。
友達は、気にせず貝を探し続ける。
「死んだ時、『綺麗』って思われたい。そんな人生を送りたいな」
私は、海を見た。
この水平線の向こうには、大きな世界が広がっている。
私達なんて、ちっぽけな存在。
今ここで死んでも、誰もが通り過ぎてしまうだろう。
でも、
この世界のどこかで、死んだ時、「綺麗」と言われるのなら。
「……もう少し、貝探す」
「うん」
今は、まだ死ぬ時じゃない。
私は、もう一度砂浜に目線を移して、小さな貝を拾い集めた。
さっき見た時より、手のひらに乗った、水が少し混じった貝たちは、生き生きとして、綺麗に見えた。
貝殻
仕事が休みの日が友達と合う日は決まって、みんな集まりバーベキューをするそれが俺たちのルールだ。
今日はいつも肉ばかりだと飽きるからと言って海鮮物を堪能したが、これがうまい。
4人で食うには多いと思っていた魚も貝も、スーパーで買い集めたものではあるが炭で焼くとどれも格別で、あっという間に無くなってしまった。
酒も入り腹も膨れたころ、常に意見が対立する佐藤と田中が楽しそうに談笑をしているのを見て、ふとしたいたずら心が俺の胸を満たし始める。
「なぁ、貝殻ってさ燃えるゴミ?燃えないゴミ?」
先程まで談笑していた二人もそれを眺めていた佐々木も一様に悩み出す。
そして俺の思惑通り意見が割れた。
佐藤は燃えるゴミで田中は燃えないゴミと主張し出し、案の定揉め出した。愉快である。
そして俺と佐々木はどちらでも良い。と言う意見に収まった。ぶっちゃけどうでも良いことだし。
だが、実は俺は俺だけは答えを知っている。
自分たちの住むこの自治体では貝殻は燃えるゴミとして出す事になっている事を。
それを知った上で2人を煽って意見を対立させる事が俺にとって最高のデザートになるのだ。そうこう考えているうちにも貝殻ゴミで揉めてる2人の心は加熱されていっているようだ。
「佐藤、お前はいっつもそうだなそもそも貝なんて燃える訳ないんだから燃やせないゴミだろ?」
まぁそうだな田中お前は間違っているけどその通りだ、貝殻なんて燃えそうにもない。
「田中ぁお前は固いなぁもっと柔らかく生きようや魚の骨は生ゴミだこれだって燃えないと思うぜ?でも燃えるゴミだ。だったら貝殻も燃えるゴミで良いんじゃないか?そうだろ!」
市役所の人間もそう思って燃えるゴミにしたんだろうなぁ。
「俺は魚の骨も全部洗って燃えないゴミに出してるぞ!生ゴミだって分別するべきだろ!」
きっちりかっちり分別するのは良いことだがやりすぎじゃないかな?田中よ。
「潔癖すぎないか?おまえん家ぃそれになんだ!バーベキューするって言うのに白い服なんて着てきやがって、汚れが目立つようなの着てくるなよな!」
田中は綺麗好きな上に上品だからなぁ。お前みたいにダラダラこぼして食べるような事はしないぞ。
論点ずれてるし。
「家は関係ないし服もこの際関係無いだろ!お前こそ俺のとなりでボロボロこぼしたりして正直言って不愉快だったぞ!汚したらどう弁償させようか考えていたところだったがな!」
関係ないっていって蒸し返すのはどうなんだろうなぁ。
その高そうな服を弁償する金は佐藤にはないよ金遣い荒いし。あー楽し。
「このヤロウあったま来たぜ。」
「こっちは最初から頭に来てるが言わなかっただけだ。」
そして互いに今にも掴みかかりそうな勢いになったいく。
うひひひひ。キタキタこっから腹ごなしの乱闘だぁ。俺は田中が勝つ方に1000賭けるねひひひ。
そして俺はゆるりと、黙り込んでいた佐々木を見た。もちろん楽しみを共有するためだ。ヤツも同種の人間だからどちらかに「賭け」たに違いないのだ!だが、いない。
しまった!ヤツめまた手を差し込む気だな!そうはさせまいと動くが遅かった。
2人とも待った!と声が響く。もちろん佐々木だ。
佐々木は息を切らせながら右手に持ったビニール袋からケーキを取り出す。
やられた!この下らない事で暴れる2匹の猛獣達は大の甘党であり、ことケーキに関しては愛すら抱いてるであろう。さらに食後である!
それは鎮静剤の如く良く効き猛獣達は先程までの勢いは消え去り、笑顔を携えてケーキを食べる。
完全に俺の賭けはおじゃんだたまったもんじゃない。
「2人ともこれを見てくれ。」
佐々木の手にはこの街の燃えるゴミ袋がある。
「この袋には生ゴミのイラストがあるが、そこに貝殻が描かれている。つまり、貝殻は燃えるゴミだ!」
おぉー。すっかり苛立ちが消え去った2匹の飼い犬達は特に興味も無さそうにケーキを食っている。
くそ、やられた。
ヤツは俺と一緒にゲームをするプレイヤーだと思っていたが、まさかこのような愚行に出るとは。
まさに法の番人を気取ったクソヤロウと言えなくもない。
おれは気分が一気に白けていった。
そうしていると佐々木が歩み寄ってきた。
「よっ!大変だったな!」
ふん貴様がいなければもっと楽しかったんだがな!
少しふてくされながらも、俺はまぁな。と答える。
その顔が面白かったのかは分からないが、佐々木はニヤリと話し出した。
「どうやら賭けは俺の勝ちのようだからこのレシートは置いていくぜ?」
くそっ!ハメられた!
ヤツは初めから俺がゲームを持ちかける事に賭けていやがったんだ!
俺は2人のケンカが始まった瞬間からどちらに賭けをするか悩んでいたが、その間に水を差してケンカを終わらせれば佐々木の勝ちと言う事か!
もし、佐々木が帰ってくる前にどちらかが決着を着けていれば俺は佐々木に勝てたというのに。
だが決着など一瞬で着くものであるし、佐々木にとってはかなり分が悪い賭けのはずだ。
そうか、やはりそうだったのか!ヤツは法の番人でも気取り屋でもましてや、クソヤロウでもない。
生粋のプレイヤーだったのだ!
そして俺は手元のレシートをみる。
税込2000円丁度。
俺の賭け額まで読み、分が悪い戦いでも倍付けで回収する手際の良さ。完敗だ。
俺は敗者として佐々木が持ってきた燃えるゴミ袋に貝殻を詰め込みながらニヤリと笑う。
さて、次は何を賭けようか?
面白い相手に俺は胸がどこまでも踊った。
思い描いてたすべてが思い通りじゃなくても
良い思い出だった
って今なら言えるよ
呆れたり嫌いになったり好きになったり
全部薄まって行く 夏 残りのサイダー
勇気を出しても 殻を破っても
振り向かないこともあるし
さらっと忘れられるほど簡単なことじゃないけど
前の自分より少しだけ
成長できた気がするから
ありがとう
貝が死んだ。
2つの貝殻ができた。
2つの貝殻は別れた。
離れ離れになった。
会うことなんて無い、できない。
だって海にはこんなにも貝殻があるから。
同じ種類の貝殻が沢山あるから。
そうして片方の貝殻は傷が増えていった。
汚れて、欠けて、最後に潰れた。
彼は死ぬ前に私に言った。
『こっちに来るのは遅い方がいい。』と。
『向こうで会えたら、いいね。』とも言った。
会えるわけないのに。
貝殻みたいに死んだら、別れて、離れ離れになる。
会える可能性なんて無い。
確証だってないのに。
それでも私は、君を探すだろう。
だって今、君のいない世界の価値が、意味が、
分からない自分が居るのだから。
お題 〚貝殻〛