『誰もがみんな』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
誰もがみんなあなたのように高潔に生きられるわけじゃないんだ。
そう悲しげな顔をして呟いた青年を見て女は涙を流した。どうして?とただ問うばかりで、綺麗な白い御手を空に差し伸べるだけで。
なぁ、それが俺らには出来ないことなんだって貴女はきっと死んでも理解できないんだろうな。
【誰もがみんな】
生きているだけで、人というものは学習をするらしい。呼吸の仕方、話し方、歩き方、意思疎通……。他の人が感覚で覚えていくことを、僕は理解していかなくてはならなかった。
何をするにも考えてしまう。これは普通なのだろうか、これは他の人とは違うのだろうか、これは……。
「大丈夫?」
息が浅くなっていた所、心配した声が降ってきた。心隠したかった部分を覗かれてしまい、心臓が早くなるのを感じながら走り出した。顔も名前も知らない、これから知り合うこともなかったであろう人なのに、自分の汚い部分を見られて恥ずかしかった。
走り続けて辿り着いた川沿いを歩き、橋の影に隠れると一息ついた。
「はぁっ、はぁっ、はぁ〜……」
無数に転がる石の上に座ったため、お尻に鈍い痛みが響く。流れそうになる涙をこらえるように強く目を閉じ、深呼吸してから目を開いた。何度かそれを繰り返せば段々と落ち着いていき、気分を変えようと川を覗き込んだ。
川の中では、優雅に鯉が泳いでいた。赤や白といった観賞用の鯉ではなく、自然を生きる暗い色の鯉。目を細めて行く先を眺めていたが、ふとイケないことをしている気分になって目を逸らした。
人に見られるのが嫌だ。なにか間違っていたときに指摘されるのも、指摘されないまま惨めな思いをするのも嫌だから。評価を、値踏みをされているような気がして落ち着かなくなるから。
なのに今の僕はどうだ。鯉に対して評価し、価値を決めつけた。価値をつけるのは、自分より下のやつを見つけて自分を安心させるためだ。結局、下には下がいると知らなければ誰も頑張れないのだ。
誰もがみんな、知らぬうちに人や自分を選別し、評価して価値を決め、それを売り込んでいるのだ。それが例え欠点だとしても、見る人によっては最高のスパイスだ。
さて、なにもできない僕はみんなと同じようになれるのだろうか。
誰もがみんな(オリジナル)(異世界ファンタジー)
私はふと顔をあげた。
目に入るのは、岩や土壁ばかり。
(外の世界には何があるんだろう)
誰もが皆、そんな夢想にはつきあってくれない。
私はこんな時、いつもひとりだった。
ここは魔石を採掘する巨大洞窟である。
溶岩が流れる危険な場所で、我々は足枷をつけられ、坑夫として働いていた。
武装したヒト族に使役されている。
要は奴隷だ。
私含めて、使われる側の多くは半獣だった。
ヒトとは言語が違うため、意思の疎通もままならない。待遇改善を訴えても、反抗的だと鞭打ち投獄されるばかり。
大人は皆、期待したり夢を持つ事を諦めてしまった。
けれど、私は違う。
皆に安心安全な生活をさせてやりたい。
そしていつか、外の世界にも行ってみたい。
外がどんなところか知らないけれど、今よりはマシであろうと、何かあるたび、ぼんやりと夢想していた。
現実逃避ともいう。
と、そこへ、今日は珍しく声がかかった。
《こんにちは》
《こんにち…》
挨拶を返そうとして、私は驚愕のあまり口をあんぐり開けてしまった。
岩の上からひょっこり上半身をのぞかせてこちらを見ていたのが、同族ではなくヒト族だったからだ。
(まさか、ヒト族が我々の言葉を話したのか?)
今までに会ったどのヒト族も、我々に言語があるなどと思ってもいないようだった。あるいは全く興味がなかったか。なのに。
《くち、あいてる》
彼はにっこり笑って、そう言った。
私は慌てて口を閉じた。
《ことば、わかる?》
《なんで…》
《きみと、はなし、したい》
《私と?》
《きみ、なかま、だいじ。これから、よく、したい。わたしも、よく、したい。おなじ。はなし、する、もっと、よくなる》
我々を使役する側のヒト族が何を言っているのか。
意味がわからなかった。
《あんたは何者なんだ。言葉は誰から教わった》
《私、ヒト。30にちまえ、きた。しごと。言葉、みて、きいた。教わった、ない》
言葉を間違えて使っていないとするならば、30日前に仕事でここに着任して独学で言語を学んだと。
(天才か!?!)
私は警戒度MAXで彼に対峙した。
言葉が理解できるなら、ただの唸り声としか認識していない他のヒト族と違い、暴言や罵りなど、もろもろバレているという事である。
彼は岩の上からよちよちと危なっかしく降りてくる。
顔の綺麗な、ひ弱そうな青年だった。
他のヒト族のように武装していない。
《……鞭も持っていないのか》
あまりにも無防備で、逆に心配になってしまった。
彼は悲しげな表情を浮かべ、私にそっと触れてきた。
先ほど仲間を庇って鞭打たれた傷に。
《ごめん、きみ、わるくない。私、なおす、まほう、ない。ごめん》
治癒魔法がないと言うことは、他の魔法が使えるのだろう。それで武装が不要なのかと合点した。
不快な手をはたき落とし、睨みつける。
《何が目的だ》
《…さっきいった》
《具体的に》
そう言うと、彼はうーんと唸った。上方に視線をやり、言葉を探し探し発言する。
《具体的……。ぼうりょく、ない、きけん、ない、まなび、する、そと、いく》
《外?!》
私は思わず食いつく勢いで問うていた。
そうだ。ヒト族は外の世界を知っているではないか。彼らに聞くという手があった。
しかし言うなれば敵である。
考えた事もなかった。
《教えてくれるのか?!外の世界を》
興奮して尋ねると、彼は深刻な顔で静かに頷いた。
《外いく、むずかしい、でも、教える、できる》
私は、己の世界が大きく広がっていくのを感じた。
それは、希望。
会話ができる。意思疎通ができる。情報を得ることができる。要望を伝えることができる。
もしかしたら、話し合う事もできるかもしれない。
それは、なんて未来。
彼が信用に足るヒト族かはまだわからない。
けれど、何にせよ損にはならないのではないか。
そんな気がした。
私は右手を差し出し、握手を求めた。
上官に対して無礼な振る舞いであったが、彼にとっては嬉しい出来事であったらしい。満面の笑みを浮かべて、私の手を取った。
「あっ、痛っ」
《あっ!はたいてすまなかった》
私のはたいた手が、赤く腫れ上がっていた。
ヒト族はこれだからひ弱で困る。
《うちに来ないか。汚い家だが手当くらいできる》
彼は笑顔で頷いた。
これが、深く友誼を結ぶ友であり恩人でもあるヒト族との、初めての出会いだった。
誰もがみんな+花束
誰もがみんな、幸せだとは限らない。そう痛感したのは大学生になって叔父が経営する花屋でバイトし始めてからのこと。「花屋に寄る」って行為は、どっちかと言うと多くのお客さんにとっては非日常的な出来事で、記念日やら卒業やら誕生日やら「おめでとう」と言われるイベントと結びついていることが多い。だから楽しそうに笑顔でお花を選びにくる方は多いし、そんな晴々とした顔を見て幸せな気持ちをお裾分けしてもらうことも少なくはない。花は日々を彩り、大切な日には寄り添ってくれる。ただ、そんなに良いものばかりという訳ではない。
FAXで送られてきた注文書の指示通りに白の花を選び取り、あまり華美にならないようにそっと包む。うん、自分にしては上出来。ただ、この慎ましくも綺麗な花束を贈られた本人は見ることができないと思うと胸が痛む。どうか、安らかにと願いつつ、完成させたことを叔父に伝えて作業場を整えて売り場に戻る。
「いらっしゃいませ。」
5限終わりだろうか、パソコンが入っていそうなずっしりとしたリュックを背負った常連の川崎さんがやってきた。おそらく同い年で、自分と服の趣味が似ている、仲良くなりたい人。そりゃお給料を貰っているから仕事として接客はするが、プライベートでも仲良くなりたいとなればそれは話が別だろう。だから攻め方が分からない。相手は人見知りらしく、あまり踏み込めないような空気はある。ただ穴が空いてしまうと感じるほどに視線は感じるし、嫌われてるわけではないと信じたいのだが。
「今日は、えっと、花束を作ってほしくて…予算はこのくらいで…色も形もおまかせでお願いできますか。」
拙くても一生懸命に話をしようとしてくれる姿勢にほっとしながら相槌を打つ。いつ渡すかなど希望を聞いてから、この花はいかがでしょうか、こういう風にしても綺麗ですよと説明をする。大まかな方向性を決め終えて花束作成に移る。花束を作る時は大抵作り終える時間を伝えてまたその時間に来てもらうという方式をとることが多いが、今日は川崎さん以外にお客さんもいないし、何より川崎さんはいつも他の花を見たりして時間を潰していることが多い。まぁ、一応聞くけど。
「今日もいつも通りここで待たれますか?」
「はい。あの、今日は作るところ見ててもいいですか?」
「…もちろん、いいですけど。」
ただのバイトだし、知識もそこまでないから花を扱うのを見られるとなると多少は緊張する。いつもより丁寧に、でも迅速に。あぁ、でもこの時間も悪くはないな。川崎さんの大きな目がぱちぱちと瞬きをしながら綺麗な花々を捉える。そういえば、この人は何のためにこの花屋に来ているのだろうか。花がもともと好きだったという訳ではないみたいだし、日常的に植物を育てているような人でもこんなに高頻度では訪れてこない。冷やかしというわけでも、雑談をしたいわけでもないらしい。でも、別になんでもいい。この人がここを訪れて、生きていて、会えて、自分が勝手に元気を貰えるなら、なんでも。しゅるりとリボンを結び最後に全体を少し整える。
「いかがでしょうか。」
「…すごい。ありがとうございます。とても綺麗です。」
花が綻んだように川崎さんの綺麗な顔に笑みが表れて安堵する。少しの沈黙の後、川崎さんはぽつりぽつりと言葉を選びながら話し出した。
「あ、あの…今日実は、自分の誕生日で。えっと、せっかくなら自分も綺麗な花束手元にあったらなって思って…すみません、気持ち悪いですよね…」
そういえば、誰に渡すかと用途を聞けば自分と同姓の同い年に渡すとぼかしていたのを思い出した。自分の花束を綺麗と褒めてくれたのを見て素直に嬉しいなと思う。
「いえ、そんなことないですよ。自分の花束で喜んでくれるのはすごく嬉しいです。川崎さん、いつもありがとうございます。」
良くも悪くもいつもの格好で、誕生日当日でも関係なく通学して、少しの疲労を見せながらもこの店に来てくれて。目を見ておめでとうございますと言って、ありがとうございますと言われて、喜んでくれて。これ以上の幸せは無いだろう。誰もがみんな、何かを抱えて人生を全うしている中で、花があることで少しだけでも心穏やかになれたら。美しいものを見て美しいと感じられることに幸せを見出せたらいいな。そして。
「お代はいいので。これを、自分から贈らせてくれませんか。お誕生日おめでとうございます。」
目の前の人が生まれてきてくれたことに感謝して、誰かを愛するという先祖代々から続く人々の営みに気づくことができたなら、自分はとても幸せかもしれない。この幸せを忘れないうちに、あなたが綺麗と言ってくれたこの花束を同じように愛でたいのです、と伝えよう。
誰もがみんな
幸せになりたいって思ってる
ただそれだけ
傾向はあれど、皆違う形を成しています。
わたしは、そのひとつひとつを愛したいのです。
わたしは、そのひとつひとつを愛しているのです!
誰もがみんな
隣の芝生は青く見えがちだ
私はどうしても時たま人を羨ましく思う
私には無いようなキラキラしたものを
他の人の中に見てしまうと
どうしようもなく妬ましく思ってしまう
そして嫉妬している自分が
これまたどうしようもなく嫌いだったりする
この堂々巡りは、困ったものだ
でも、きっと
キラキラした人の人生にも
辛かったことや苦しかったことがある
人は本当の弱みを曝け出せるのは
ほんの一握りの心を許した存在のみ
赤の他人の目にはどうしようもなく輝いて見えても、
実際はそうではないことも多いのだと思う
私自身家族以外に弱みを見せたくないし、
友達や同僚の前ではポジティブで
どこまでも幸せいっぱいであるかのように強がってしまう
それゆえに人から悩みなんて無いように思われる
きっとそんなものなのだろう
誰もがみんな
嫉妬や憎しみを心に秘めている
しかし、
誰もがみんな
それぞれの苦しみや苦悩を乗り越えている
そう思うと他人の芝生の青さにも、
その人の努力を見ることができる
最近の私は、嫉妬を憧れに変えるために、
そのように考えるように努めている
誰もが皆んなやってる
人は皆んなやってる
朝起きたら必ず
誕生日も
お昼ご飯の後も必ず
デートの前も
始業式の帰りも
子供を学校へ送り出す時も
通信簿があった頃も
暴走族がコンビニに居ても
高速で駐禁を切られた日も
転職して初の給料日も
扁桃腺が腫れた夜も
誰かが泣いた時も
君が笑った日も
皆んなやってる
自分をしてる…
君が…
自分らしく生きてるから…
だから…
僕は…
………
僕が僕であるために
勝ち続けなきゃならない
正しいものは何なのか
それがこの胸にわかるまで
僕は街の風に飲まれて
人に心許しながら
この冷たい街の風に歌い続けてる
……
僕が僕であるために
尾崎豊
抱えている本音だって、表では偽ることも多い。
一喜一憂して誰かを好きになったり嫌いになったりする。
誰だって思うことはそれぞれ違う。
じゃあ、君と私の想いが通じ合えた
こんな運命的な奇跡に感謝しなきゃね。
「誰もがみんな」
曇り空から雪が落ちてきて、体を濡らした。
雪で傘なんて差したことないけど、
みんなそうするから真似して傘を差してみた。
どんどん積まれる雪が重くて、なんだか、
心まで重くなってどこにも吐き出せないみたい。
冷たさを凌いだのに寒さが酷くなるようだった。
交差点ですれ違う人が傘を閉じたから
また真似して傘を閉じてみた。
雪が降ってた。
白い雪が降る中を凍える人たちが肩を上げて歩いている。
私も凍えて肩を上げている。
私たち同じ世界に生きていた。
突然雪と一緒に納得感が降ってきて、
私はやっとこの世界で呼吸を始められたような気がした。
誰もがみんなここを生きていた。
雪を踏み潰した下から覗くコンクリートの黒
今だけは生きた証がこんなにも確か。
誰もがみんな
【誰もがみんな】
孤独で孤高
側からは見えない不安と共生している
故に同じ物を抱えた仲間でもある
誰もがみんな、心の中に閉まっている物語がある。
それは、蓋を開けて社会に晒すことのできない物語。
私にもある。
誰にも打ち明けられない心の闇。
誰にも治す事のできない心の病み。
私にはある。
誰にも知られたくない思いのカケラ
誰にも理解をされない思いのナミダ
それは、自分を傷つけて封じ込めて粉々にした過去。
思い出して、傷つけて、自分の中の理性を保っている。
お題『誰もがみんな』
「誰もがみんな」
「誰もがみんな、幸せに笑って過ごせる平和な世界にしたい」
そう言って君は旅立った。君の命と引き換えに、人々を苦しめていた諸悪の根源は消え去り、平和が訪れるはずだった。
それなのに、なぜ、まだ争い続けるのだろうか。どうして笑い声ではなく悲鳴ばかり聞こえるのだろう。
誰もがみんな、平和を望んでいると思っていた。でもそれは、君と私だけだったのかな。
君が微笑むためなら
僕はとても不器用で
朝日にその日のゆくえを占う
僕はひとりぼっちで
夕日にその日の過ちを嘆くんだ
ドアを開けたら見渡す限りの未来
だけど、そこに君がいないと撃沈する
君が微笑めば
春がやってきて、粉雪は溶けてしまう
君が微笑めば
虹のような心が、僕の怒りを鎮めるんだ
だから君が微笑むために
僕は坂道で自転車を漕ぐ
そして君が微笑むために
僕は鉄棒で逆上がりをしてみせるよ
ハーモニカを奏でるよ
君が微笑むように
誰もがみんな
平和や幸せを願っているのに
なぜ未だに叶わないのだろうか?
『誰もがみんな』
誰もがみんな心のどこかに
言えない言葉を隠し持っている
その言葉を見つけられる人が
いるとするならそれはきっと
心の底から愛する人
そして愛してくれる人
「誰もがみんな」
誰もがみんな 苦しんでいる
悲しいことも 辛いことも 死にたいと泣く夜も経験している
みんな1人
どれだけ友達がいようと 愛する人がいようと 愛されようと
結局ひとはみんな1人
助けてくれる人はいないよ
守ってくれる人はいないよ
誰もがみんな泣いている
誰もがみんな笑っている
君はみんなの中の1人
どうしようもなく1人
誰もがみんな 君の中のひとり
自分自身を好きになろうと努力する
愛を求めたり、与えたりする
どこかで壁にぶつかる
立ち直ろうと頑張る
そう生きていけるようになりたいと思う
簡単な事じゃないけどね¨̮
誰もがみんな
"誰もがみんな生きている
生きているから笑うんだ"
この歌が頭に流れてくるあたり、
僕は今幸せなのかもしれない。
誰もがみんな
「LIFE is not Fair.」そう感じて生きてきた。きっとこれからもあらゆるところで思い知らされる。情けねェがどうして自分ばかりと思うこともある。
人様の地雷を踏み抜きながら