『言葉はいらない、ただ・・・』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ぽんぽん、と頭を撫でれば縋るように私の肩へ顔を埋めてくる。遠慮がちに私の服を握っていた手は徐々に背中へ回されていく。
周りの人が見たら、きっと君が責められてしまうだろうけれど、私は君が全部悪いなんて思えない。ゆっくり頭を撫でて、優しく背中を叩いて。
「……ひっ……ぅ……甘やかさないで……っ……」
君はそう泣きながら縋りつく。体は正直、なんて言い方はちょっと悪いけれどほんとにその通りだ。甘やかしてるつもり無いんだけどな。自分もさ、悪いところあったからお互い様でしょ。
「…………ごめ、ん、なさい……」
ずっと謝り続けないでよ。大丈夫、まだやり直せる。だって2人とも生きてるから。
謝罪は充分貰ったよ、ありがとう。今はただ、もーちょっとだけ私を頼って欲しい……なんてわがままかな。
『言葉はいらない、ただ・・・』
言葉はいらない、ただ…
自分を最優先に考えて下さい。
あなたが幸せなら、私も幸せです。
【言葉はいらない、ただ…】
少しずつ薄れていく記憶
最後の想いをこの葉に託し
流してしまおう
さらさらと
伝えるはずだったすべての言葉を
ただ、忘れたい
言葉はいらない
「ねぇ、」
彼女は虚ろな目をして僕を見た。その表情は消えてしまいそうなぐらい儚く、寂しそうだ。
「なに」
僕は彼女の目を見て次の言葉を待った。
「貴方からの『好き』なんて言葉はもう求めたりしないから、」
「うん」
「ただ、その・・・」
「うん」
「貴方にちゃんと抱きしめて欲しかった、」
彼女は泣いていた。
ああ、僕はどこで間違えてしまったのだろう。
彼女は僕に背を向け、遠くへと消えていった。
<言葉はいらない、ただ・・・>
「言葉はいらない、ただ・・・」とかけまして
「淫夢を見た」と解きます。
その心は「無声/夢精」です。
そこにいて
同じ景色を見ていて
………言葉はいらない、ただ・・・
言葉はいらない、ただ•••
おやつだけは
取っておいてほしい(涙)!
分け前を守っておくれ〜
(大人になれないコトナより)
「言葉はいらない、ただ…」
あなたの温もりを感じる権利をください。
言葉は入らないただ
認めて欲しい
わたしの存在を
ここにいるよ
いつも いたんだよ
なのに
空気のように
まるで見えてないかにように
もっと
価値のある人と
楽しそうに おしゃべり
存在している私は
どうすればの!
悲しすぎて
泣けてくる
何か話さなくても、彼の求めているものは分かっている。今日の夜ご飯はハンバーグがいい、仕事が遅くなるから一緒にご飯はたべれない、たまにはかまって欲しい、...まあ、挙げだしたらキリがないが。彼は無愛想な分、ちょっとした表情や仕草ですぐ分かるのだ。初めて出会った時から不思議と、彼の恋人になるために生まれてきたんだろうなってくらい誇れる力だ。
とは言ったものの、今日の彼はどこかおかしい。どこか落ち着きがないし、顔も少し赤くなっている。何か謝りたいことがあるのか?いや、そうだったら手を後ろに隠している理由が分からない。ということは、手に何か持っているのか...?プレゼント...にしては小さいように見えるし、今まで貰ったものはマグカップを例にしてもサイズが大きかった。
-あれ?もしかしてこれはアレなのでは?
私は、思いついた話題をだそうとたが、あえて口を閉じる。だって、彼が最初に言い出さないと雰囲気が台無しになるじゃないか。
[言葉はいらない、ただ・・・]
先日姉が自殺した。
朝起こると何時も自分より早く起きている姉がリビングに居なかった。珍しく寝坊でもしているのかと思って、朝食を食べた。食べ終わってもなかなか起きてこないので、流石にもう起きなければ学校に間に合わないと思って姉の部屋へと行った。ノックをしても返事がない、もう学校に行ったのかとも思ったが、なんだか嫌な予感がした。抽象的すぎるかもしれないが、なんというか頭の中に半透明のどす黒い何かがおおっているかのような感覚がした。「入るよ」と言って中に入った瞬間、嘔吐してしまった。中では姉が首を吊って自殺していた。姉を見て吐くとは、と自己嫌悪に襲われた。後に大人たちから仕方がないことだと言われたが、それでも両親のいない中で明るく、家族の温もりというのを感じさせてくれた姉を見て吐いた自分がどうしても許せなかった。そういう事も姉はわかっていたのだろう、僕には一切弱みを見せたことがなかった。それが姉の重圧になっていたのでは無いかと今になっては思う。机の上に置かれていた遺書にはただ一言『ごめんね。』と書かれていた。
後の調査で姉は学校でいじめられていたことが分かった。
言葉はいらない、ただ何かしらサインを出してくれれば、SOSを出してくれれば何か助けてあげれたかも知れないのにという気持ちと、知って僕に何ができるんだという気持ちで板挟みになっている僕はどう生きれば良いのだろう。
どうすれば良かったのだろう。
何時も傍で寄り添える関係でありたい。けれど、距離をとらないと心がつらくなることもあるよね?ただ欲しいのは無償の愛なんかじゃなくて、距離感をうまくとることだよね。一緒に生活できるくらいの距離感で。そっと呟く好きだよ、と。
「言葉はいらない、ただ」
何も言わなくていいから。
言葉にしなくてもいいからさ。
私が生きててもいいって教えて。
「言葉はいらない、ただ……ただ、儂はこの塔を完成たいんじゃ!」
儂の叫び声に周りにいた仲間の作業員どもは、ただぽかんっとしていた。
まるで儂の言葉の意味が理解できなかったように。
いや実際のところ、理解できなかったのだろう。
つい先ほど、神が地に降り立ち人間から言葉を取り上げていったから。
天罰なのだろう。
王族が不興をかったのか。
民から信心が失われていたのか。
それとも、天にも届くほどの塔を作ろうとしたからか。
何が悪かったのか確かめようもないが、いずれにしろ人間は神を怒らせてしまった。
それでも儂はこの塔を完成させたかった。
雲を突き抜け、天高くそびえる塔をこの地に。
幸いなことにいま傍にいるのは長い年月、苦楽を共に過ごしてきた仲間たちだ。
言葉が通じなかったとしても、儂の心意気は通じる。そう信じていた。
しかし彼らは儂の言葉に応えるわけでもなく、鳥のような牛のような馬のような獅子のような、様々な生き物の鳴き声のような言葉を発しながら、この場から、そしてこの地から去っていった。
儂はただ、取り残された未完の塔が朽ちていく姿を見守る事しかできなかった。
何日も、何ヵ月も、何年も。
やがて塔に途中まで積み上げられていた柱や壁も風化しはじめ、塔は崩れ大地へと帰りこの世から姿を消した。
後に『バベルの塔』と呼ばれる塔であった丘のふもとで、儂はいまだに天を衝く塔を夢想して過ごしている。
// 言葉はいらない、ただ・・・
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―――無言句
#57【言葉はいらない、だだ…】
言葉はいらない、ただ...
「ただいま〜」
両手に抱えたそこそこの荷物を玄関に置いて久しぶりの実家へと足を踏み入れる。色んなサイズの靴が散らばっているのに懐かしさを感じながら、その中に自分の靴も仲間入りさせる。昔であれば夏休みだとはしゃいで夏を過ごしていたが社会に出てからは連休というのも中々遠い存在で、ようやくまとまった休みが取れたのは八月もそろそろ終わる頃だった。
「にぃに!」
とん、とぶつかる軽い衝動に振り向いて、出迎えた年の離れた妹にハグを返した。
「帰ってきたよ〜、元気にしてた?」
「げんきだよ!にいに、ね、いつまでいるの?」
「四日くらいかなぁ。あれ、身長のびた?」
「のびたよ!にぃにものびた?」
「にぃにはもうのびないかなぁ」
きゃらきゃらまとわりつく妹をいなしながらのんびりと話をする。玄関の荷物を一緒に片付けていた両親は妹に捕まっている自分を微笑ましそうに見守っていた。その顔を見て、実家に帰ってきたという実感が湧き上がって肩から力が抜けていくのを感じた。あるべき場所に帰ってきたような安心感は次第に疲れを自覚させるものとなり、ぐうと小さく腹が空腹を訴えた。
「ねぇ〜、今日のご飯なに?」
「あんたの好きなやつだよ」
「えぇ、好きなの多すぎてどれかわからんて」
持ってきたものを整理しながら話に花を咲かせていれば時間が過ぎるのはあっという間で。気がついた時には夕飯時になっていた。食卓には本当に好きなメニューばかりで、自炊すらサボり始めた自分には久しぶりの真っ当な食べ物というのも合わさって空腹感は最高潮に至った。
「いただきます!!っうまぁ〜」
「あんた、ほんとうに昔から美味しそうに食べるよね」
「だって美味しそうのは事実だし」
「まぁ、口にあったならよかったよ」
「んふふ」
他愛のない話をしながら食事は進む。あれも、これも、テーブルの上にあるのは本当に自分の好物ばかりだった。中には凝り性な両親が突き詰めていった結果、仕込みに一日かかるようになってしまった料理もしれっと紛れ込んでいて、自分のために用意された色々が、何も言わずともここが自分の居場所であることを示していて、目頭が熱くなるのをそっと笑って誤魔化した。
言葉は、いらない。
……ただ、オレはあいつの一生がほしい。
オレがどこまで走っていっても、オレの後ろを必ず守ってくれるから。
オレがどんなに遠くからでも、あいつのもとへ帰れるろうそくの熱を、あいつだけがもっているから。
オレはあいつの一生がほしい。
オレはあいつのすべてがほしい。
オレはあいつがほしい。
言葉はいらない、ただ抱きしめてほしいと開いた腕のなかへ、考える間もなく飛び込んだ。
言葉はいらない、ただ…
言葉はいらない。ただ…
ぎゅっと抱きしめて欲しい?いいや、やって良いのは人による。
生きてて良いって認めて欲しい?いいや、たいていの他人は、人の生死は漠然と生が当然だと思っている。
美しい景色に見惚れていたい?いいや、感動は一瞬で、すぐに失われてしまう。
考えると言葉が溢れてきてしまう。
そうだ。この頭の中で鳴っている言葉がいらない。
言葉はいらない
ただ
僕の亡骸に涙を
[残夏]