『視線の先には』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
視線の先には
私が望んでるものはなくて
あなたの望んでるものが映ってる
自分の良いと思ったものほど
手に入らなくて。
もう誰かのもので。
自分の見た視線の先にはその人の残像を見ている。
その人の見ている世界に入ることすら許されない。
婚活コーディネーターのアドバイスでどれだけ男受けを狙った服装を着たところで。
動きにくいふわふわのスカートを履いたところで。
当人は似合っているとは思ってない上、むしろ苦手。
骨格ストレート。顔はフレッシュ。
目は雌雄眼なので片目が奥二重
顔立ちが貧相で幼いのに、フォーマルな格好が似合うってどうしろっていうんです?先生?
極端にいえば、推しの子のぴえヨンみたいってこと?
顔と体のバランスが変ってこと?
そもそも「男ウケ」「モテ」とかは誰調べなの?
本の通りやってもね、似合わせるのと似合うじゃ違う
作り込む自分が嫌いだし。
そんなこじらせた奴でも夢は見る、残像しか見えないけどね。
ナチュラルメイクと動きやすい服が好きな人が自分の視線の先に見えるように、恋愛修行の旅は続く
顔を上げると 斜め向かいの席の君と目が合った
目を逸らされるかと思いきや
じっとこちらを見ながら 目で何かを訴えている…
何だ?と思った瞬間に
ポカリと頭を叩かれた
背後にいた先生が 丸めた教科書で僕の頭を叩いたのだ
田中、 授業中に落書きとは良い度胸だなぁ
……やってしまった
彼女の横顔を書くことに夢中になっていたから
全く気が付かなかった…しかも絵も見られた…よな…
田中、あとで職員室に来い、色々話すことがあるようだな
含みのある声色でニヤリと僕の顔を見ると
人差し指で眼鏡を直し 教壇に戻って行った
あーーー吉と出るか凶と出るか
とりあえずあの教師のことだ
根掘り葉掘り聞かれるのは覚悟して
ヤケクソだ ついでに相談もしてやるぞ
この恋が少しでも進展しますように
イルカを見ていたはずだった。目線の先には誰かの手。
それを必死に掴んでぼくは引き上げられた。
小学生だった頃に家族と行った水族館。
イルカショー用のプールにぼくは頭から落ちた。
ショーの後半。子どもたちとイルカが触れ合うコーナー。
ぼくは横一列の端に押しやられてなかなか触れずにいた。
どうしても触りたい。端から中央にいるイルカの方へ
前のめりに腕を伸ばすとその勢いで体が地上から消えた。
冷たさを感じたその直後に目の前に手が見えたので
反射的に掴むと一瞬の内に係員の人に助けられた。
イルカとの共演時間は約5秒。ずぶ濡れの少年が一人。
無事を確認された後で親からコテンパンに叱られた。
だけど咄嗟に手を掴んだことだけは褒められていた。
それがなんとなく嬉しかったことを強く憶えている。
ここまで記憶を辿りながら書き出していってみたけれど
ひとつ重大な事実を見逃していたことに今気が付いた。
結局ぼく、お金を払っておじさんにしか触れていない。
視界が霞んで見えないよ
君のいう愛は複数人に向けられた
軽くて薄い愛だったの?
視線の先には、
大きな雲があった。
とても綺麗だった。
視線の先には
あなたがいて
意識してからはなかなか顔を見られない
『視線の先には』
転校生としてやってきた彼女はちょっと変わり者ではあったけれど打ち解けてすぐに仲良くなれた。そのうちにクラスのあるひとりの男子を目で追いかけていることに気づいてお昼休みの屋上でそれとなく尋ねてみる。
「最近気になる人いるの?」
「えっ、うん。まぁわかるか〜」
「いつもよく見てるもんね」
菓子パンを頬張りながらえへへと笑う彼女はこう続ける。
「あの子、私のお父さんなんだよね」
「は、なん、えぇ?」
手に持った紙パックのミルクティーを呆然と握る私に彼女は転校してくる前は未来にいたことや、お父さんだという人はすでに故人となっていて、過去に影響を与えないという制約のついた期間限定のツアーでここに来ているということを説明してくれた。
「……つまり未来から来たと」
「そう」
「お父さんに会いたくて?」
「そうなの」
「ちなみに今何才?」
「17才」
手に持ったミルクティーをストローで吸う。ずいぶんとぬるく感じるいつもの味がこれは現実だよと教えてくれている。
「失礼なこと言うかもだけど言っていい?」
「とりあえず聞いたげる」
「私も同い年だけど、わざわざ昔に来てまでお父さんに会いに来るって、お父さん好きすぎじゃない?」
「それ未来のみんなからも言われた〜」
転校してきて仲良くなってからも変わり者だなと思っていたけど、未来でもそういう扱いの人のようだ。ちなみに小さい頃はお父さんと結婚したかったとのこと。
とはいえ、私はお父さんを亡くしたことはまだないし、今よりもっと若い時分にそんな経験をしたらこんな行動に出ることもあるのかもしれない。
午後からの授業でも彼女は未来のお父さんを見つめていて、そんな彼女を私も気になって見つめている。期間限定のツアーと言っていたけれど、居なくなるときはいつの間にか消えてしまうのだろうか。私と仲良くなったこともお互い忘れてしまうのだろうか。いろんなことを考えながら、彼女の横顔ばかりを見つめていた。
いつでも大好きなあなたがいて、あなたの先には私がいて。
嗚呼、お願い。私が目を閉じるまでずっとそばに居て。
今日は一段と暑いから息子は家の中で涼んでる。
娘はお友達が誘いに来たから遊びに行ってしまった。
「こんな暑いのに大丈夫かな」
「暑いのに帰ってこない」
普段は喧嘩ばかりで仲が悪いけど、なんだかんだ言って妹が心配で気になるのは兄だからなのかな。
妹を思いやれる子に育っていて良かった。
お題:視線の先には
【視線の先には】
いつも気がつくと人の羨ましいと感じるところをじっと見てしまう。
次に気がつくときは鏡を見たい
大きなガラスの壁の向こうは35℃を超える猛暑。
私は冷房の効いたオフィスで座り、ぼんやり外を眺めていた。
つい先程まで青かった空がグレーの雲で埋め尽くされると、大きな雨粒が落ちてきた。
毎日ここから見る景色は1つとして同じことがなく、天気も人も動物も…全て違うドラマが映し出される。
高校1年生のソラは幼なじみのウミに誘われVRゲームを始めた
視線の先にはあなたがいます
私はあなたのことをチラチラ見てしまうから
周りをよく見るあなたと目が合って
恥ずかしくなって
思わず顔をそらしちゃう
多分、誤魔化しきれてない私のことを
あなたはどう思ってるんだろう
嫌われてないといいな…
好きバレもしたくないな…
カーテンの隙間から垣間見える陽の光が、一本の線となって入り込むだけの薄暗い部屋。
狭い通路の奥へと続く、本棚の部屋があった。
もう長い事使われてはいない閉め切ったその部屋には、誰に言われるでもなく子供ながらに其処には立ち入ってはいけない気がしていた。
"父の書斎"となっていたその部屋は、長きに渡り埃を被った得体の知れないモノ達がひっそりと息を潜め、その部屋の主を待っているような気がしてならない。
その主人とは、最初は父だと思っていた。
何度か入ろうとは試みてはいたが、昔入ろうとして母に『入ってはいけない』と固く口止めされていた。
何故母が、そう言ったのかわからなかった。
きっと父の部屋だからという意味だと、その頃は純粋ながらそれ以上の疑いもしなかった。
その後、その部屋を見るたびに気にかけていたものの、母の厳しい目が浮かぶ度、入ろうと言う意思は欠け、その部屋自体無いものとして過ごしていた。
それから数日経った日のことだ。
心を痛める要因は何だったのかは忘れたが、悔しさと悲痛な感情があったのだと、思う。
泣いて、泣いた卑屈さを、自らに宥めたその安堵から、どうやら深く眠ってしまったらしい。
目を覚まして辺りを見回すと、薄暗い自分の部屋にいるのだと意識が戻る。
自分の部屋のドアが開いていた。きっと感情のそのままに開けっ放しにしてしまったのだろう。
泣き腫らした目を凝らし、そのまま狭い通路の奥へと何気に目を向けた時、ふいに何かを感じた。
あの部屋だ…。
恐怖が混じる興味が沸々と湧き上がる。ふいに立ち上がると、引き寄せられるままに奥の部屋の廊下へと足を踏み出していた。
忍ばせた足先に、陰る廊下の冷たさが妙に生々しかった。
母の目を盗み、何度かは入ろうとして思い留まった場所。まだ一度も踏み入れたこともない道の境域だった。
(…大丈夫。)
胸を少し締め付けるような重い気を無理に押し込めて、自分に何度も言い聞かせる。
近づいてわかったことだが、奥の部屋のドアが少し空いているのに気づいた。
母が閉め忘れたのだろうか…?
自分が見るときはいつも閉められたままだったが、なぜ今日になって空いていたのか。
少し開いたそれをそっ、と押して目に映ったそれは
何かとてつもない威圧感を抱いた。
もう何十年もの間、そこに息を潜めまるでその中で生きているかのような奇妙な恐怖を。
自分がこの場に居合わせてしまったことに恐怖した。
そのときやっと母が入ってはいけない、と言っていたことがわかった。
幾つも山積みされた書籍と、そっと寄り添うようにして置かれた額縁の中に、こちらに嗤いかけているかのような奇妙な男の絵が描かれていて、口と首からは血が垂れていた。
描かれたのは作った色ではない、恐らく時が経ち少し錆びた赤黒さを感じた。
…本当の血で描いたような色だ。…何故か理解していた。
乱雑に置かれた壺が行手を阻み、それ以上は奥へと進めなかったが、進むこともしなかった。
自分の何かが、警告していた。
自分の今まで見てきた世界とは、また別の空間で繋がっていたことと、すぐ近くにそれは存在していたことの恐怖が一気に襲って、暫くその場から動けなかった。
…からん。
ふいに音がして、背筋が凍る。
重い音と共に花瓶が足元に転がって来たのを見て、
ようやく我に返る事が出来た。
慌ててその場を、後にする。
廊下に出た筈なのに、走っても自分の部屋まで辿り着けない。自分の部屋までそんなに距離はない筈なのだ。
ふと気づけば、片手に刀を握っている。
あの部屋から逃げる時に勝手に持ち出してしまったのだろうか………?
慌ててはいたが、自分が物を持ったという記憶はなかったのだが…。
声を掛けられ振り向くと、
首から顔まで白粉で塗り、乱れ髪にやつれ顔の女が立っている。気持ち悪いくらいにやにやとお歯黒を見せながら嗤っていた。
「逃げ道はないよ。」
嗤った口から見える黒い歯に、一瞬ぎょっとして怯んだが、無性と言われた事に沸々と怒りが込み上げ、片手に持った刀で斬り殺してやろうと刀を振り上げると、少し女は身を縮めさせながらも、ひっひっひっ、と薄気味悪い声で笑った。
その振り上げた腕に一筋、冷たいものが垂れてくる。
怪訝そうにわたしは、それを見る。
その先には今しがた見たことのある色が垂れていた。
あの部屋で見た、奇妙な男が描かれた額縁に塗られた色だった。
しかしわたしはそれを見ても焦燥するどころか、心は無の境地にあった。腕に垂れる一筋の冷たさは、もう生温かく感じていた。
…ひどく懐かしく思う。
これをよく知っている。
この錆びついた赤黒い色を。
この刀で、わたしが殺したのだから。
お題: 視線の先には
大学生になって、生まれて初めて好きな人ができた。
メイクをして、着飾って彼に振り向いてもらおうと努力した。
彼のためなら、死ぬこともどんなことだってできる。
でも、彼の視線の先にはいつも貴女がいた。
ヨチヨチ歩きしながらアスファルトの上を歩いていた君は急にしゃがみこんで、地面をじーっと眺め始めた。何をそんなに夢中で見ているのかとのぞき込むと、熱い視線のその先にあるのは排水溝だった。
ただ水が流れているだけの排水溝。
行くよって手を引こうとするも、やだーーと全力で拒否。そんなに楽しいのかな。おばちゃんには良さは分からないや。
それから何分が経過しただろうか。ようやく飽きた君は急に立ち上がって、今度は抱っこをせがんできた。この猛暑に抱っこですか。はいはい、おばちゃんに拒否権はありませんよね。
絶対に降りませんからと、汗だくになりながらも私の首にしっかりつかまる君。
トボトボと歩き出すと、フェンスの向こうから電車の音が聞こえてくる。君はくるっと振り返り、うれしそうに近づいてくる電車を見つめる。足を止めて電車が通り過ぎるのを待つと、今度は反対の電車が。やれやれ。
一人なら8分ぐらいの道も、君と一緒だと20分ぐらいになるね。ま、楽しさは100倍だからいっか。
友達と楽しそうに話している貴方
共通の趣味で語り合う、そんな貴方の顔はまるで子供のようで可愛らしい
熱くなりすぎて周りの人がびっくりしてるよ、少しは落ち着きなさい
ペットの犬とじゃれあう姿
公園で一緒に走ったり、フリスビーやボールで遊ぶ様子はとても微笑ましい
ペットは飼い主に似る、だったかしら
貴方に似て、とても良い仔ね
難しそうな顔をしてパソコンと向き合う顔
上司の指示、同期のミス、頼まれるのに弱いのね
自宅でも資料とにらめっこ、無茶をしないか心配だわ
飲み会で絡んでくる上司に辟易した表情
付き合い程度でしか飲まない貴方に無理をさせる
仕事の件といい、人事に伝えた方が良いんじゃない?
何事にも一生懸命で真っ直ぐに生きている貴方
そんな貴方を見守り続けられることが何より幸せ
強いて不満足をあげるとしたら、私のことに一度も気付いてくれないこと
私の視線の先には貴方しかいないのに、貴方は此方を全く見ない
貴方の視線の先には、いつも私ではない誰かばかり
でも良いの
見守り続けられる、それだけで良いの
だから
知らない女と手を繋ぐ貴方
知らない女と楽しそうに食事する貴方
知らない女と帰り道にキスする貴方
知らない女とベッドで乱れる貴方
なんで、そんなもの見せるの
私が見守っているんだから
そんな女は要らないでしょう?
嗚呼、気持ち悪い、手が触れて、口付けあって、肌に触れて触れ合って、あの女が彼に触れて、彼が女の、指で触れて、汚い、濡れて、彼がいれて、キスして、腰を振って
汚い汚い汚い汚い汚い汚い
腰を振って、キスして、キスされて、ぐちゃぐちゃ音がする、女の声が響く、ギシギシ、激しく
やめて
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち良さそう苦しそう汚い音が音が気持ち良いの?パンパン名前を呼ぶな気持ち悪いどうしてキスして嬌声触れて切なげに下品なアンアンもっと汚い汚い汚い気持ち良さそう気持ち悪い抱いて触れてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてイクやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
女の汚い所から、彼が抜き取ると何かが零れてきた
満足そうにキスする二人
「もう一回しよ」
女を見る、けだものの顔、見たことない顔
ずっとずっと見守り続けた男の知らない顔
見たことない顔をした彼の、見つめ、いない、女、汚い女
私の、私、どうして、また繋がって、腰振って、ぐちゃぐちゃ、汚い、ギシギシ、気持ち悪い、アンアン、どうして、イク、満たされない、嬉しそうな顔、けだものの顔、見てよ、見つけて、私を、どうして、子作り、いない私
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと見守って見ていたずっと私は貴方は貴方貴方貴方どうして
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ぷちん、と何かが切れる音
目の前が真っ赤になる、歪む視界に映るのは
汚い女と絡み合う汚い貴方
もういいや
こっそり チラチラ それなのに
急に振り向いたりするから
視線と視線が ごっつんこ
となりを歩く君が、何かを見つめている。
そこにあるのはいつもと変わらない風景。
「きれいな夕日だ」と君が言う。
君の目には世界がどんな風に見えているんだろう。
いつもと同じ景色が、君との思い出に彩られた。