『裏返し』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「君の事が大切だよ」
「大事な友達だよ」
「いつもよく頑張ってるね」
裏返す。
『…って、言っておけば満足でしょ?』
『失敗ばかりするから尻拭い大変なんだよね。マジやめて欲しい』
『私の方が頑張ってるけど、他人に頑張ってるって言ってあげられる私、優しいなぁ』
裏返す。
「君の事が大切だよ」
「大事な友達だよ」
「いつもよく頑張ってるね」
嫌だ。もう嫌だ。
裏返す力が身に付き過ぎて、人の言葉全てに裏を感じる。
そうでないかもしれない言葉にも、裏を感じて、涙を流す。
「如何したの?」
「話なら聞くよ」
「自分の中でストレス溜め込み過ぎないでね」
裏返す。
『何で良い歳して泣いてるの?』
『どうせくだらない話だろうけど』
『お前の構ってに付き合ってるこっちの方がストレス溜まるんだけどねえ』
聞こえる。聞こえるんだ。怖い。怖い。
この裏返す力は、きっと生涯付き合わなきゃいけない力で。だから私は、一生恐怖に怯えて生きていかなきゃいけなくて。
嗚呼、なんて残酷な世界なんだろう。
世界に絶望していたある日、クラスメイトの男子が、放課後の、2人しかいない教室で、私を呼び止めた。
「俺と付き合ってください!」
裏返す。
『言っちゃった…!告白しちゃった…!!』
好き、って言葉、信用出来ないの。それでも良い?そう言うと、彼は優しく微笑んで、どうしてそれで萎えると思ったの?って返した。
……好き、なんて。
裏返す、なんてしず、縋ってみようと思った。
彼が差し出した手を掴むと、彼は嬉しそうに笑った。
数十年後。
「見て。懐かしいね、結婚式の写真だよ」
裏返す。
『やっぱり、好きだなぁ。可愛いなぁ』
裏返す。
「私もね、好きだよ」
裏返しの愛情ってあるよね。
ほんとは愛してるのに…
裏返しはうっかりした印象があります。
服を裏返しで着るみたいな。
好きの裏返しで好きな人をいじめる、とは昔から言ったものだ。
子供が好きな子にちょっかいをかけるための小技みたいなもの。
だが大人になるにつれ、あれはいいものでは無かったのだろうと思った。
軽めのものから重めのものまで、子供は加減がまだ分かっていない部分が多い中で好きな子と話したいからとか、意識してもらいたいといったものでちょっかいをかける。
しかし今になれば好きな人には裏返しで思いを伝えるより、全面に出して好きが丸見えくらいの方が良いのでは? と考えてしまった。
「本当はね。」
この先の言葉が言えなかった。君に出会うまでは。
「明日の放課後、駅前のカフェ行こうよ。」
友達が、私の机の前まで来て言う。私は笑顔で答える。
「いいよ。めっちゃ楽しみ。」
本当は行きたくない。面倒くさいし、時間の無駄だし。それでも私は、自分の本心を裏返す。だってここで反対したら、あとがもっと面倒になるって知ってるから。私は、言葉を飲み込むのだ。
私は放課後、明日の憂鬱を忘れるために屋上に向かった。一人になりたかったから。しかし、屋上には先客が居た。その先客は、私のクラスの異端児の男子。ズバズバと正直に言う彼が、少し苦手だった。引き返そうとすると、彼がこちらを見て言った。
「君って、気持ち悪いよね。」
突然の罵倒に、思わず手が出そうになった。しかし、私はその気持ちを抑え込んだ。
「ごめんね。気分悪くしちゃってた?」
笑顔で言う私を見て、彼は嫌そうな顔をした。
「何で、嘘つくの?」
やっぱり気づいてたのか。私は嘘を吐くのも面倒なので、正直に答えた。
「面倒くさいからだよ。でも君には分からないよね。」
「うん。全然分からない。嘘つくのが面倒くない?」
「分からなくて良いよ。私は君を分かりたくないから。」
彼は少し笑った。
「君はさ、そっちの方が良いよ。」
「あっそ。君が良くても私は良くないの。」
「君は、何をそんなに怯えてるの?」
訂正しよう。私は彼が嫌いだ。全てを見透かす彼の態度が嫌いだ。彼に見られたら、私の本心を知られそうで怖い。
「僕が思うに君は、一人になるのが怖いんじゃない?」
ほら。答えられた。知られた。本当に彼が嫌いだ。
「そうだよ。私の本心を知られて嫌われたくないんだ。」
「僕が居るよ。僕だけは君を嫌わない。」
あぁ、辞めてよ。泣いてしまうだろう。彼の言葉は嘘でないと知っているから。彼だけは味方で居てくれると分かっているから。彼が嫌いなんて嘘だ。本当は彼の正直さが羨ましかっただけだ。心の中では、彼に憧れていたんだ。
あの日から、私は彼と放課後を過ごすようになった。その時間は、どの時間よりも楽しかった。きっと私は、彼が好きだ。それでも、私の言葉は嘘だらけで汚れてしまっているから。まだ心の中に置いておく。いつか言葉を裏返さずに、好きの二文字を言えるだろうか。
洋服は裏返すと汚い。
人間も同じ。
どれだけ加工を重ねても声をつくって
良い子を演じても結局どれも私じゃない。
裏を見られてしまえば価値は下がる。
綺麗になりたい、綺麗になりたい鏡の前で
何時間も自分を見つめる。
本当の私を隠すために。
これは、私を想っているからなんだ。
愛しているから、こうしてくれるんだ。
ジンジンと痛む頬を抑え、精一杯の笑顔を作る。
私の為にありがとう、不出来な彼女でごめんなさい
もっともっと、貴方に相応しい彼女になります。
これは愛情の裏返し。決して暴力では無いの。
だって、私は彼に愛されている、はずだから。
裏返し
俺達はカップルだ。彼女は美咲ちゃん。みーちゃんって呼んでる。付き合い始めてもう一年。恋人らしいことが全くできていない。俺が引っ込み思案なせいだ。
だが、今日はみーちゃんの誕生日!おっと、焦って服が裏返しだったようだ。まだ来てなくてよかった。直せる。今、なんと、みーちゃん家に行って、ケーキとプレゼントを用意している。クローゼットに隠れて待とう。ああ、まだ来ないのかな?
お、遅い。おかしい。普段ならもう家で勉強を始める時間のはずなのに。
なんで?あぁ、家族と出かけているのかな?誕生日だもんね!
、、、ハッ!寝てた。今何時だ、、、?
って、9時ぃ!!??あ、ベッドにみーちゃんが居る。寝てる姿も可愛いなぁ。って、いけないいけない。
クローゼットを開けようと手を伸ばした。
私達はカップル。彼氏は将生。まーくんって呼んでるの!付き合い始めてまだちょっとだけど、、。うふふ。こういうの初めてだから緊張するなぁ。
私の誕生日。きっとサプライズを用意してくれる。まーくんはそういう人だから。逆サプライズしちゃお!
まーくん家。開きっぱなしのノート、ボロボロのサッカーボール、裏返して脱ぎ捨てられた靴下。まーくんらしいや。あれ、スマホがない。忘れてきちゃったのかな?まあいいか。『まーくん大好き!』そう書かれたケーキを持ってベッドの下に隠れた。ちゃんと事前にお母さんに許可も取ってある!
あ、あれ?おかしいな?
まだかな?まだかな?
私の誕生日、忘れてないよね、、?
今何時だろう?
もう七時?!仕方ない、寝ようかな。ああ、期待を裏切られた気分。私の誕生日に限って家に帰ってこないなんて。浮気かな。忘れられてるのかな。ああ、辛い。
ガタッ。
「な、なに?!」
「サプラーイズ!!誕生日おめでとう!!!」
「キャッーーー!!!アンタ誰!?」
「ん?みーちゃんの彼氏の金岡 "奏斗" だよ?」
「し、知らない、、。勝手に入ってこないで!どうやって家に!?」
「みーちゃんの為につくちゃった。合鍵。笑」
「、、、あれ、みーちゃん顔変わった?メイク落としたみーちゃんも可愛いよ笑
声も違うような、、?」
僕は将生。彼女ができた。嬉しいんだけど、、。彼女の誕生日が近い。何を買っていったらいいんだろう?妹に聞いてみよう。
「なあ、"美咲"ー。」
「んー、なあに?」
「今度さー、僕の彼女が誕生日なんだよね。」
「うんうん。え、いつ?」
「ちょうど1週間後。」
「えー笑私の誕生日と一緒じゃーん笑」
「あ、ホントだw」
「あー、アタシも彼氏欲しー笑」
「できるよいつか笑」
「いつかっていつよ?」
「いつかはいつかだよ。てか、誕生日何買ったらいいんだろう?」
「あー、女はみんな、〇〇とか喜ぶよ。」
「へー。他には?」
「他にはね、、、。」
誕生日だ!彼女の為にケーキもプレゼントも用意したぞ!よし!
「今日は美咲の誕生日だし、出かけるぞー!」
「えっ」
「今日、将生の彼女の誕生日なんだよ。将生だけ置いて行ってあげて。」
「知らん!家族サービスだ!ついてこい!」
父はいつもこうだ。無理矢理いいことをしたと通そうとしてくる。こうなったら、誰も止められない。
仕方ないので、ラインを打つ。見てくれるよな。あー、明日、一日遅れたこと、フォローしないと。
めんどくさい。許さん父。
補足。裏返しの意味。
1、物の裏を返して表にすること。
2、反対の立場、逆の視点から見ること。
裏返し
途中です!
あらすじを聞いただけで、くっっそほど観たくて観たくてたまらない、と大興奮するような、わくわくが止まらない設定。
大きな困難に対して、どんなに苦しかろうと
成長したい一心で、真剣に、一生懸命に向き合い、立ち向かい方を見つけたら、
死ぬ気で努力しまくって突破口を掴み取る主人公。
そんな神漫画を読むたびに、心の底から思う。
あぁ、私も、あんな良い漫画を作りたい、と。
テンプレすぎる悩み、テンプレすぎる展開。
そんな漫画を読み終わった後、すっきりはする。
けれど、神漫画を読み終わった時のように、
こんな漫画を作りたい、とはまるで思わない。
ぺらっぺらの薄っぺらい綺麗事のセリフばかり
並べた、短すぎる、完成度低すぎる、
"一応作った"感増しましの感動シーン。
そういう漫画を読んだときもそう。
イマイチな漫画を見るたびに、こう思う。
私だったら、もっと良い漫画を作れるかもしれない、と。
どちらにせよ、どんな漫画を読んだにせよ、
いつも思っている。
あぁ、私、漫画作りたいな、と。
普段は、漫画は読むものであって、
作るものじゃないよねー、と澄ました顔でいる。
けれど、漫画を読むたびに、漫画を作りたいという思いがくっきりと浮かび上がってくる。
あたしの世界が狭まってゆく
ついに一直線上の世界が出来ました。
眠っていたい、何も感じず
深い深い眠りの中にいたい。
夜
ひとり眠りについて
朝
目覚めないまま
死ねればいいと思う。
あたしの世界は窮屈だ。
他でも無いあたしがそうしたのだけれど
他人のせいにした方が
すこし
楽そうだ。
思い残し
今日は、彼と別れてちょうど5年になった。哀しみと苦しみが交じる四季を過ごしたせいか彼のことも少し薄れていた。「今何してるのかな?」そんなことを考えながら海の近い桜並木の下を一人自転車に跨がって愛犬と走る。ここを通る度に、あの楽しかった4年間の記憶がじわじわと蘇る。
私の名前は、近江瑠衣現在独身6年目に突入した。今は、幼い頃からの憧れを叶えて小学校の教諭をしている。忙しいがものすごく充実している。あの日の後悔を胸にしまって、彼の事を待っている。私の待っている人、それは今をときめくHani&haniの蓮こと阿部蓮君だ。彼との出会いは、運命のようだった。彼がデビューする前からもっと言ってしまえば、事務所に入ったときから知っている。そんな彼と、ある日会ったのだ。私が、学校から帰ってきた時、まだ中学生くらいだった彼が、私の隣に引っ越してきたのだ。私は最初物凄く驚いた。彼が引っ越してきた次の日から一緒に登校するようになった。毎回のように海の近くを通って、でも彼にも仕事があるので 一人の時の方が多かった様な気がする。あの時はまだ、こんな未来が来るなんて想像していなかった。
「裏返し」
人の裏まで知りたいとは思わない。
仮に、その人の表面しか知らなかったとしても
私が好きなのは、その表面だから。
裏返したら、別人かもしれない。
浅い付き合いと思われるかもしれないけど、これでいい。
自分が楽だから。
逆に自分の裏面は知って貰いたい。
そんな気持ちだと、裏面も意味無くなってくるかも。
表から透けて見えてそうで、だんだん裏表の区別なんか
つかなくなってくる。
人生はいつも良い事と悪い事の裏返し。そんな人生は嫌だと思うでも良い事ばかりではちょっと物足りないのかな?でも悪い事の繰り返しの私は良い事ばかりの方がいいなと思ってしまいます。
彼の腰まである長い緋色の髪の毛は今日も1本に括られ、戦闘時には彼の激しい活躍に合わせて忙しなく揺れている。
上半身だけを見れば女性そのものな容姿をしている「彼」、よしのりは驚異の体力と筋力を持ち、全長およそ120cmほどの大きな鋼鉄製のバールを武器に妖怪も悪魔もゴーストさえも物理で倒してしまう、物理特化の異能力の持ち主で…そして、身体の一部と精神は男性なのである。
そんな「特異」が服を着て歩いているような存在である彼は僕の相棒で、そして僕は彼を狙撃で援護しつつも彼に熱視線を送る日々を過ごしている。
「うぉーい、アルちゃーん!終わったぞー!」
「お疲れ様です!敵やトラップもなさそうですね」
彼が目視できる範囲全ての敵を殲滅し終えてこちらに声をかけたので、僕はスナイパーライフルのスコープから目を外し、双眼鏡で周囲に敵の存在や不自然な地面の盛り上がり、物陰に潜むものが無いことを確認してから彼に安全を伝える。
これがいつものルーティンだ。
「あ、そーだ!さっき巻き込んじまったイノシシここで捌いて持ってくからお前ちょっと目ぇ閉じててくれ!」
「またですか!?一昨日もアナコンダを回収して蒲焼きにしてましたよね!?まだあの肉残ってるんですけど!!」
「バッカお前、捌いてすぐ食った方がいい肉と熟成した方が美味い肉ってもんがあんだよ!猪肉は綺麗に処理してから二、三日熟成させてぇんだよな〜」
「理屈は分かりますけどもう保管できるスペースそんなに無いですって!!」
「んなもん何か適当にでっけぇコンテナでも拾って牽引して行けばいいだろ〜?」
「軽トラでトレーラーのコンテナを牽引できる訳ないでしょう!?貴方さては世界トップクラスの馬鹿なんですね!?」
「アルちゃん?流石にそれはおじさんもちょっと傷付いちゃうぞー?第一、お前運転免許ほぼ全種取ってたよな?」
「ええ、まぁ重機、戦車、船舶、2種、小型二輪は概ね習得してますが…」
「んじゃあ、さっき寄った廃墟群の近くに転がってたトレーラー貰ってくかぁ」
「は…はぁ!?!??何言ってんですか!?大体、廃墟群に乗り捨てられてるって事は使えるかも分からないでしょう!?」
「だーいじょーぶだって!おじさんを信じなさい!」
「そんな奇跡信じろって方が無理ですよ!!ほんと何考えてるんですか貴方って人は…!!」
もう…次から次へと、よくもまぁこれほど奇想天外な発想ができるなと感心しそうにさえなる。
これもまた、いつもの「ルーティン」の1つと言っても過言ではないかもしれない。
この人の食欲とそれに関する知識は素晴らしいが、それ以外はとてつもなく雑で無茶が過ぎるので、それに付き合わされる僕は毎回こうして彼に驚き、暴言に近い説教を試みるものの、彼の方が一枚上手なようで、いつもこうして更なるクレイジー発言を被せられて最終的には言葉も出なくなってしまう。
本当に、この人には敵わない。
いつでも破天荒で、目の前の敵も問題も勢いと思い付きとパワーで粉砕してしまう…嵐というより、もはや自然災害(カラミティ)のような人だ。
きっと、目の前で豪快に笑っているこの人には誰も敵わないだろう。
けれど、僕は知っている。
彼が時折、1人になると静かに物思いに耽っている事を。
全ての感情を噛み殺しているような、それでいて何もかもを持たざる者のような…
内側を読むことができない複雑な表情で、静かに、虚空を見つめている彼は、ある日突然消えてしまうのではないかと僕を不安にさせる。
彼の笑顔は、破天荒で天真爛漫な振る舞いは、彼の人には言えない何らかの凝縮された感情の裏返しなのではないかと。
或いは、彼の内側を蝕む虚ろな感覚であるか…。
そんな事を考えてひとりで悶々としていたら、背中越しに彼の声が聞こえた。
「全部下処理して熟成させようと思ったけど、やっぱ今夜ちょっとだけ猪肉使って石狩鍋でもしようかな?」
……前言撤回。
やっぱりこの人がそんなアンニュイな素顔を持っている訳がなかった。
人の気も知らないで、なんて呑気な人なんだ…
とりあえず僕はいつもの様にこう返した。
「鍋ならキノコも要りますよね?」
あなたのことを思って
は
私の思いどおりに動いて
相手を信じれない私の姿
本当の感情はどこにある
真実はいつも闇の中
裏返し
あ 便利になった
い 本当に
あ いつでも話せる
い 本当そう
あ もしもし…
い …
あ もしもしー
い きっと出かけてるんだよ
『裏返し』
私は人の動作や表情、些細な言葉の一つ一つの
裏返しの気持ちをすごく考えてしまう
考えなければすごく楽に生きられるだろうに
どうしても本心を探ろうとしてしまう
自分で自分を追い込むのはやめたいのにな
新しい服を着てみた
友達から「裏表逆じゃない?」って言われた
前後ろも逆だった。
ある人から貰った手紙。
別に、そんなに仲が良かった訳じゃないけど、
文通を始めた。
今どきスマホがあるのに、
なんで文通しようと思ったんだろうと、
お互いよく分からないまま、
3年ほど経った。
今日の手紙はなんだかおかしい。
いつもより文章が短いし、
書きなぐりのようにも見える
ぐちゃぐちゃな字。
どういう訳か、
なんとなく裏返してみた。
「しにたい。」
と、
一言だけ書かれていた。
びっくりして、
すぐその人に手紙を書こうと思った。
お願い生きて。なんて無責任な言葉は、
絶対に使いたくなかった。
できるだけ
いつも通りの文章で、
できるだけ
暖かい言葉を使って、
最後に私が大好きな漫画の
ある一言を書いた。
"Good Midnight!"
なんだか少し洒落てしまった。
でも今のあの人には
丁度いい。
生きてる間に届けばいいなと
少し曇った空を見上げた。
『は、はあ?! アイツのことなんか好きな訳ないし! む、むしろ嫌いっていうか……』
きっと、どこかでは見慣れたもの。
『味のしないガム』とでも言われそうな程に存在するもの。
『ほんと、ドジでバカで……どうしようもないわね』
彼女はいつも、僕に当たりが強い。他の人間には笑顔で接するというのに、幼馴染の僕と接する時だけはその顔を顰め、眉の形を変えて、怒りの言葉のようなものを発する。
けれど、それは不快じゃない。
『ねえ。────。』
『好きです』
好意の裏返しから来るものだと、分かっているから。