『裏返し』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【裏返し】
「飲み会に行ってくるね」言わなくてもいい報告。
わざわざ言う理由は、君の反応を見たいから。
少しぐらい心配してくれたら、と期待している。
いろいろ尋ねられるのは面倒だから嫌だけど。
「そっか、行ってらっしゃい」君の反応は薄い。
まるで気にしていないかのように、穏やかに笑っている。
行ってもいいの、って聞くのはおかしい気がして。
「帰り遅くなったらごめんね」口にしたのは余計な言葉。
サークル内の飲み会とはいえ、メンバーは女友達だけ。
彼氏のいる子が「止められちゃったよ」と笑う。
女の子だけだって言ったら安心してたけどね、だって。
君は男の子がいるかもわからないのに送り出したんだよ。
いいなぁ、なんて心から羨みながらお酒をごくり。
「どうだったの?」と私にも彼氏の話題の矛先が向く。
「私は全然。なんなら快く、行ってらっしゃいって」
今日は飲んでやる、と自棄になる私に友達は笑っていた。
「大丈夫そう?」「ダメだね、よく飲んでたから」
そんな友人たちの会話が聞こえて目を開ける。
「お、起きた」知らぬ間に眠っていたらしい。
「自分で帰れる? 無理そうなら送っていくけど」
「帰る」と言ったのに、呂律が回っていなかったらしい。
一人で帰らせるのは心配だ、と友達が私の手を引く。
「一人で帰れる」「何言ってんの、危ないからダメ」
家に着いたら、出てきた君は泥酔した私に驚いていた。
謝罪と感謝を友達に述べて、君は私を中に連れていく。
「なんで心配してくれないの」酔った勢いで言葉が出た。
じっと目を見つめると、君は「忘れないでよ」と笑う。
「もし男がいても浮気しないでしょ、だからいいの」
物事の裏側を見なさい
知らぬが仏と言わんばかり
目を背け舌を出した
物事の多面性を知る前に
生き方の多様性を知りなさい
人々の複雑性を知りなさい
裏返し
「俺の投稿スタイルなら簡単なお題だと思ったんよ」
それがまさか、16時までかかるとはな。某所在住物書きはため息をつき、スマホを見つめた。
「『裏返し』だ。俺は前半の『ここ』で300字程度の無難な話題入れて、『――――――』の下に長々連載風の小話書いてるからさ。これを単純に、裏返しにすりゃ良いと思ったわけよ。
つまり前半でバチクソ短い小話書いて、後半で長々『ここ』で書いてるような話題1000字程度」
試した結果が酷かったワケ。
物書きは再度息を吐いた。
「300字程度の短い小話は普通に読めるが、後半で長々校長のスピーチレベルのハナシされるとか、何の拷問だよっていう」
――――――
最近最近の都内某所、某アパートでのおはなしです。
人間嫌いと寂しがり屋を併発した捻くれ者が、家具最低限の寂しい部屋に、ぼっちで住んでおりまして、
そこには何故か、リアリティーガン無視の子狐が、時に二足歩行で、時にしっかり人間に化けて、1週間に1〜2回、不思議なお餅を売りに来るのでした。
ファーストコンタクトは3月3日のひな祭り。
1個たったの200円。主食から主菜、低糖質、甘味までなんでもござれのラインナップ。おまけに食べると少しだけ、心の毒を抜いてくれる、現代人の懐にも精神衛生にも優しいお餅なのです。
今日もコンコン子狐が、防犯意識強化の叫ばれる昨今、唯一扉を開けてくれる捻くれ者の、子狐にとってのお得意様の部屋にやって来ます。
右手に透かしホオズキの明かりを、左手に葛のツルで編んだカゴを持ち、
ドアを開けて、狐を部屋の中に招き、お餅を売って買ってそれでおしまい、
だった、筈なのですが。
「お花さん、こんばんは」
鼻の良い子狐、捻くれ者がその毒性ゆえに隠していた花の底面給水鉢を、くんくん見つけ出し、引っ張り出して、コンコン、おしゃべりを始めたのでした。
「お花さん、なんていう名前ですか」
それはそろそろ見頃を終える、捻くれ者の故郷の花。
毒にも薬にもなる、白いキンポウゲ科の花でした。
「子狐、こぎつね」
「おとくいさんとは、長いの? そっか。お花さん、ずっとずっと、おとくいさんと一緒に居るんだねぇ」
「何をしてる、花が喋るのか」
「たまに、お部屋が暑くなる?光が無くなってから?きっと深夜エアコン切ってるんだよ。『暑いからエアコンつけて』って、伝えてあげる」
「エアコン?」
「そろそろ窮屈?根っこ?うん分かった。伝える」
「おい、まさか本当に、」
「おとくいさん、昔々初恋のニンゲンの毒にやられて、一晩だけお花さんを抱えて泣いたことがある?」
「待て、何が望みだ、取り引きしようこれ以上私の黒歴史暴露するのやめてくれ頼む」
「『自称人間嫌い』は優しさの裏返しで、『自称捻くれ者』も実は真面目の裏返し?」
「こ ぎ つ ね」
コンコンコン、コンコンコン。
今回のお題が「裏返し」なばっかりに、藤森の部屋ではその後10分程度、捻くれ者の「捻くれ者」である由縁と、その裏返しの大暴露大会が、続いたとか、いくらかの賄賂で穏便に収まったとか。
不思議な子狐と捻くれ者による、「裏返し」をお題にした苦し紛れのおはなしでした。
おしまい、おしまい。
うちのベランダにも、とうとう今年初の蝉の亡骸。
何故に我が家のベランダを選ぶ。
緑の芝生は目と鼻の先だろうに。
ここから放って自然に還ってもらおうと裏返しの骸に近づく。
ジジジジジーーー!!
うわわわわーーー!!
バタバタと散々に暴れ回って飛び去って行った。
無事に土のある所まで辿り着くことを祈ろう。合掌。
え、「蝉ファイナル」って言うの?あれ…
さよなら
分かっていたことだろう?
何がって…君が裏切る側の人間で私が裏切られる側の人間ってことさ。さあ、だから早くこの手を離すといい。
裏返し
嫌い嫌い大嫌いお前と付き合いたいとか言うやつ絶対居ないわホント大嫌い
そんな言葉をずっと言って来た彼が転校することになった。転校する日、私は、呼び出され、メモを渡された。聞き返すまもなく走り去る彼。開けたメモに書いてあったのはただ一言
「鏡文字」
最初は何を言っているか分からなかった。でもやっとわかった。今まで言ってきた言葉は全部反対の意味だったと。
好き好き大好き君と付き合いたい人は絶対いるよ本当に大好き
~裏返し~
愛情の裏返し?
普通に両面とも愛情であってほしいよ
【裏返し】
きらいよ きらい だいっきらい
あなたになんか あいたくない
こえも ことばも しぐさも すべて
あなたのものなら ほしくない
書かれていたのは 鏡文字
ひねくれ者の ラブレター
すきです すきです だいすきです
あなたにあいたくてたまらない
こえも ことばも しぐさも すべて
あなたのものがいとおしい
私は○○さんが嫌いだ。在り来りなお世辞や綺麗事ばかりでまるで作り物を見ているみたい。あの笑顔の面の裏側に何が隠れているのかと思うとゾッとする。
そんな誰でも思うような苦手意識を持ちながら学校に通っていた時に先生から呼び出しをくらった。提出物もちゃんと出しているしまわりからの信頼度にも最善を尽くし注意している。陰口もあまりまわりとの交流が深くなくてある程度仲がいい子に限定もしている。先生に「どうされましたか?」と声をかける。
「前に出した作文で入賞を取ったぞ。おめでとさん!」
一瞬そんなことで昼休み終了残りわずかで呼び出したのか...と不服に思ってしまったが、「ありがとうございます!!」と笑顔を顔に貼り付けた。
「お前って欠点とかあんまりないよな」
「漫画とかの優等生キャラっつうか。作り物みたいだな!」
「え...あ...」
褒め言葉なのだろう。一見褒め言葉に見えるそれは私の中で1番刺さる言葉だった。他人のお面の裏側を気にしすぎて自分の面を裏返して確認するのを忘れていた。言葉の鈍器で叩いてきた相手に私は
「そんなことないですよ笑!」
と在り来りな言葉を渡した。
太陽が霞むくらいの笑顔をする君
皆が君を慕い、尊いと言う
しかし私は知っている
君の笑顔の中には蔑みが混じっていることを
#裏返し
裏返し
「愛情の裏返しとか言うけど、いや普通に表面の愛情くださいって思うんだよね。」
「あはは。それはそう。」
恥ずかしいとか言ってはいられない。この人は僕の愛を信じてくれているのだから。
表の裏
裏の裏
あれ?裏の裏は表?
どっちにしろ どっちも私なの
裏返して見えたのは、僕が知る価値観の真反対の世界だった
これは私が育った村で伝わる言い伝えの話だ。
その言い伝えは多分どこにでもある陳腐なモノで、幼少期はともかく思春期を迎える頃には年寄りの世迷い言だと思っていた。高校生になる頃にはその言い伝えを聞かされることが、子供扱いされているようで妙に癪だった。けどその旨を伝えても、お婆ちゃんは悲しそうな顔をするだけでやめてはくれなかった。老人の信心深さが煩わしくて、私はその言い伝えにある種の反感を抱いていた。
その言い伝えとはこれだ。
新月夜の御稲荷さんに行ってはいけない。体を裏返しにされてしまうから。
御稲荷さんは、私の村にある土着の神社だ。寒村にあるものだから鳥居の丹塗りは所々剥げていたし、ともかく寂れた有り様であった。
信仰の薄い世代であった私はとうとうその言い伝えを信じなかった。そもそも、時間帯に限らず御稲荷さんにお参りすることなんてないのだから。
だが、私はその考えを覆される事になる。
ある夏祭りの日、私は御稲荷さんに携帯の忘れ物をしたことに気づいた。灯りのない夜の村を歩きたくはなかったがせっかく遠出して買った携帯が、雨でも降って潰れてしまっては不愉快だ。私は親に黙って深夜の御稲荷さんへと向かった。
闇に包まれたあぜ道からは、ウシガエルの鳴き声ばかりが聞こえてくる。やっぱり怖かったが歩いてみれば御稲荷さんはすぐそこだった。そこで違和感に気づいた。
少し離れた所から見た御稲荷さんはぼんやりと明るかった。どうやら提灯をまだ灯しているらしい。私は夜に刺した灯りに安堵して、虫けらのように妖しい光へと誘われた。近づくと、境内へ向かう階段に一人の男性がいた。まだ人がいる事にも驚いたが、よく見るとその人に見覚えがない。こんな狭い村に知らない人など居ない。この人は他所からの人だ。何をしに来たのだろうと思ったのも束の間。
私は今でもその光景を覚えている。
まるで靴下を裏返すように、つま先からメリメリと人間が裏返っていく様子を。血しぶきがびちゃびちゃと舞って、鳥居よりも紅い色が辺り一面に広がった。
そこからの事を私は覚えていない。気がつくと家の布団で目を覚ました。アレは夢だったのか。覚えているのはあの日は新月だったという事ばかり……。
愛情の裏返しとしていじめてしまうという現象は、小学生で卒業しておくべきことだと思う
私は高校生にもなっても、つまらないことでたびたび喧嘩をする二人を見てそう思う
この二人は小学生のときからずっと変わらず、いじめっ子といじめられっ子の関係
そして二人を取り持つのが私の役割だ
毎度毎度似たようなやり取りを繰り返し、相談されるの繰り返しはとっくに飽きが来ている
もっとスマートな、月9みたいな運命的な恋はできないのだろうか
そうしたら見ている側としても楽しくなるのに
でもうらやましくなることもある
きっとこの二人は、ずっと喧嘩しながらも隣に居続けるのだろう
でも私は?
三人という中途半端な数は、いつかは均等に均さなくてはならない
私は早く二人がくっついて、このやり取りが終わればいいと思う反面、ずっとこのままでいられればいいのにと思っている
「裏返し」
アブラゼミの裏返し~…キモい♪
伊勢エビの裏返し~…キモい♪
シャコの裏返し~…キモい♪
母がよく歌ってくれた子守歌を口ずさんだ
すると背後から男がこう言った
「やれやれ、どうやら本物の味をご存知ないようだ、だから軽はずみにキモいとか言える、明日またここに来い、本物の味を教えてやる」
山岡と名乗った男はそれだけ言って消えた
そして何故か今日ここに来てしまった
あんな男の言うことを信じて…私、バカみたい
ゆっくりとした時間が流れる…
高くどこまでも青い空、険しくも美しい稜線…子供の頃から変わらないこの山の景色が大好きだ
ここは山……伊勢エビは海、シャコも海…アブラゼミは……まさか?
そう思った瞬間、背後から口に何かを入れられた
うぐぐっ!まさか?まさか!?
「大粒のアブラゼミを甘辛く煮た一品だ、これを口にしてまだ気持ち悪いなんて言えるか?言えないだろう?そしてお次はサッと塩を振っただけの臭みが癖になるアブラゼミの…」
あの日から故郷には帰っていない
大学生のとき、心理学の講義で「リフレーミング」という概念を知った。
リフレーミングとは「否定的な状況や考え方を肯定的なものに変える手法や視点」ということらしい。
要は、否定的なものの見方や考え方を裏返して、肯定的に表現するということか。
でも、言葉を裏返してみたところで、現実にある事象自体は何も変わらない。
肯定的に表現された言葉を信じられなければ、それはただの言い換えにすぎない。
僕は自分に向けられる褒め言葉が怖い。
一番古いきっかけは、小学校の教師をやっている叔父さんの言葉だ。
「1クラスにそんなに人数がいると、通知表付けるのも大変だね。特は小学校では褒めることが大切だって聞いたけど」
すると叔父さんは笑って答えた。
「どんなことだって言い方次第で長所になるんだよ。例えば『落ち着きがない』は『好奇心旺盛』、『内気』は『落ち着いている』みたいにな」
それを聞いた僕は、突然足元が崩れるような感覚がした。
言い方次第では何でも褒められるのならば、
「本当は長所だと思っていないけど、とりあえず褒めておこう」
ということもできるのではないか。
僕は「真面目で勉強家」と周囲から言われていた。
それは嘲りの言葉だったのではないかと恐怖した。
裏を返せば「面白味がなくて社交性がない」と言われていたのではないのか。
それからは、他人の言葉の裏を深読みするようになってしまった。
社会人になった今でも同じだ。
どうか、誰も僕に注目しないで放っておいてほしい。
裏側ばかり探してしまう癖が治るまでは。
題名 絶望
僕は、絶望という言葉が好きだ。絶望するのが好きなんじゃなくて言葉が好き。
僕は「絶望があるから希望がある」と思う。
みんな変だと言うが僕は変じゃない。
最初から希望は絶対にない。
「それ、裏返しだよ。」
何気ない1言。
私の着ていた服が裏返しなのかなと、一瞬焦る。
休みの日でも服のチェックは欠かさない私の服はもちろん乱れてなどいない。
「どこが裏返しなのよ!」
「いやいや、服じゃなくて。」
と苦笑しながら答える。
少し間が空いてから「君って、美味しいもの食べる時少し怖い表情してるなってさ。」
私は美味しいものを食べる時表情が固くなるクセがある。親にも指摘されたことがあるけど治らない。私的には美味しいものを真剣に味わっているということで納得している。
最近はその指摘をされる事も少なくなっていたので私は語気を強めて「何よ!文句あるの!?」と答えた。
「また、裏返し?顔赤いよ。」
『裏返し』
ちょうど、「裏返しの像」を探していたので、タイムリーです。
本で見た、内側と外側が裏返しになった女性の像を探していたのですが、どの本で見たのか覚えておらず、家中の本を手当たりしだいにチェックしたのですが、見つからず諦めたところです。
外面(そとづら)の良い人が内面(うちづら)が悪かったり、内面(うちづら)の良い人が外面(そとづら)が悪かったり、裏返しの顔を持つ人、たまにいますよね。
たぶん心理学の本で「裏返しの像」を見たように思うのですが、記憶違いか、夢だったのか、モヤモヤした謎のまま諦めました。