大学生のとき、心理学の講義で「リフレーミング」という概念を知った。
リフレーミングとは「否定的な状況や考え方を肯定的なものに変える手法や視点」ということらしい。
要は、否定的なものの見方や考え方を裏返して、肯定的に表現するということか。
でも、言葉を裏返してみたところで、現実にある事象自体は何も変わらない。
肯定的に表現された言葉を信じられなければ、それはただの言い換えにすぎない。
僕は自分に向けられる褒め言葉が怖い。
一番古いきっかけは、小学校の教師をやっている叔父さんの言葉だ。
「1クラスにそんなに人数がいると、通知表付けるのも大変だね。特は小学校では褒めることが大切だって聞いたけど」
すると叔父さんは笑って答えた。
「どんなことだって言い方次第で長所になるんだよ。例えば『落ち着きがない』は『好奇心旺盛』、『内気』は『落ち着いている』みたいにな」
それを聞いた僕は、突然足元が崩れるような感覚がした。
言い方次第では何でも褒められるのならば、
「本当は長所だと思っていないけど、とりあえず褒めておこう」
ということもできるのではないか。
僕は「真面目で勉強家」と周囲から言われていた。
それは嘲りの言葉だったのではないかと恐怖した。
裏を返せば「面白味がなくて社交性がない」と言われていたのではないのか。
それからは、他人の言葉の裏を深読みするようになってしまった。
社会人になった今でも同じだ。
どうか、誰も僕に注目しないで放っておいてほしい。
裏側ばかり探してしまう癖が治るまでは。
8/23/2023, 4:25:50 AM