『裏返し』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ごめんね。こうなるとはさすがに思ってなかった」
突然の少女の謝罪の言葉に、少女の友は困惑に目を瞬かせた。
「え、と。どういう意味?」
「いろいろ。巻き込んだ事。守れなかった事。逃げられた事」
指折り数えて挙げられていくいくつかに、さらに困惑した表情が浮かぶ。そのほとんどが、身に覚えのないものだ。僅かに覚えのある事でも、逆に心当たりが多すぎてどれを指しているのかは分からない。
そんな友人の表情を見て、少女はごめんねと繰り返した。
「ここに来て最初に『ころも様』を一緒にしたいって言った事覚えてる?ほら、従兄弟の自転車の話のやつ」
少女の言葉に頷いて肯定を示す。僅かに眉根を寄せ嫌そうにするのは、自転車の状態やその後に訪れた事故現場である坂へと赴いたからなのか。その内心は少女には察する事は出来ない。
「やらないって言われるとは思っていたし、あたしもやるつもりはなかった。ただ少しだけでも揺さぶりをかけられたらなって思ってたんだよ」
「揺さぶり?」
「そ。クラスで『ころも様』をやった子たちに巻き込まれた後からずっと付き纏ってる変なやつに」
彼女の背後を指させば、驚きに息を呑む音が聞こえた。気づかれてはいないと思っていたのだろう。普通に接しているだけでは、分からないものだ。だが親友として常に側にいる少女には、その違和感を最初から感じていた。
「あたしはそういうのはまったく分からないからさ。従兄弟の事故をダシにしてのお泊まり会で、それがどういうものか分かればって思って。んで、もしもヤなものだったら、ここに置いていっちゃおって考えてた」
「え、何それ。初耳」
「だって言ったら警戒されちゃうだろうし、ここにも来なかったでしょ?」
確かに、と納得する友人に少女は笑いかけ。しかしその表情は次の瞬間には苦々しいものへと変化する。
「でも失敗した。逃げられるなんて…様子見なんてするんじゃなかった。ごめん」
「大、丈夫、だよ?逃げたとかじゃないから。うん」
歯切れの悪い様子に、少女の表情は険しいものになる。どうやら嘘は言っていないようではあるが、すべてを語っているわけでもないようだ。
「それよりも、ここに置いていくってどういう事?ここは一体何?」
話を逸らされた、とは思うが、彼女の疑問はもっともである。何一つ話さずに、騙すような形で連れて来たのだから知りたいと思うのは当然の事だろう。
正しくは分からないから話せないけれど、と前置きして、少女は語る。
「ここはね。説明出来ないなにかが至る所にいるんだよ。人を隠す屋敷。体が裏返る店。存在を奪われる神社。化かされ惑う坂道。魂が入れ替わる奥座敷…挙げれば切りがない」
非日常が常であり、逆に日常的なものを探す方が難しいくらいだ。
「場所が悪いのか。本家…あたしのママの実家なんだけどね。そこが大昔に何かやらかしたのか。とにかく変なものがどこにでもいるような場所。だから今更変なのが増えた所で変わらないかなって思ってたんだ」
「そんな犬猫じゃないんだから…出来るわけがないよ」
呆れを滲ませて嘆息する友人に、少女は小さく笑みを浮かべた。
この場所を知っても怯える様子がない事に、密かに安堵する。嫌われてしまうかもとは一応覚悟をしていたが、どうやら一番の最悪は避けられたらしい。
「計画ではこの裏の日に置いていくつもりだったんだけどね」
「裏の日?」
「今同じ日を繰り返しているでしょ?同じ日が続いて段々といろんなものが裏返っていくから、裏の日。本家の敷地内であれば、影響は少ないけど」
窓を見る。カーテンで見えない外は、おそらく悲惨な光景が広がっているのだろう。
捻じれた道路。縦に裂け幹が剥き出しの木。外に開いた家。醜悪な見目の肉の塊。地を這い呻く亡者。
裏返るのは形あるものだけではない。人の精神にも影響を与え、今まで隠してきた内を暴きたてる。
視線を友人へと戻す。目を伏せ何かに耐えるように唇を噛む彼女は、普段とは違いとても弱々しい。屋敷にいれど、幾分かは裏返りの影響を受けてしまう。きっとこれが本当の彼女なのだと思うと胸が痛んだ。
「いなくなる前にあれに何か言われた?」
「…繰り返す日の中で、戻るまではおとなしくしてろって」
ぽつりと呟かれる言葉に、なるほどと頷く。ということはあれは近い内に戻ってくるという事だ。繰り返し続けて閉じるこの地に、入り込めるほどの強さを持つという意味でもある。
想像していたよりもやっかいな相手に、内心で舌打ちした。
「一応聞くけど、あれの言う事を聞いておとなしくしている?それとも裏の日から抜け出して帰る?」
「出れるの?」
「そりゃあ毎年来ているからね。まあ何もしなくても本家の人たちが戻してくれるから、あまり使う事がないけど」
選択に迷う友人に、手を差し伸べる。
「詳しくは知らないし、無理矢理聞き出す事もしないけど。目的があるんでしょ?ここを出ても一日しか経ってないけどさ。あれの言う事を聞いて、やりたい事は出来るの?」
迷う眼が揺れる。涙の薄い膜が張られていくのを見て、この子の本当は強がる泣き虫なんだ、と学校では知る事が出来ないはずの本質を垣間見て、少しだけ後悔した。
「でも神様が」
「あれは関係ない。あたしは零《れい》に…あたしの親友に聞いているの!」
びくりと肩を震わせる、まるで幼い子供のような友人を少女は強い眼差しで射抜く。差し出していた手で彼女の左手を掴んで引いた。
「えっ。ちょっ、と」
「行くよ。ほらぐずぐずしない」
友人の手を掴んだまま、少女は部屋を出て歩き出す。掴んだ左手が控えめに引かれたが、気にしている余裕はなかった。
猪突猛進。勇往邁進。成長し、幾分か落ち着いてきたとはいえ、本質はそう変わりはしない。
繰り返しの日々を抜け出して、それから何をするのか。明日《さき》の事は何も考えず、ただ今日《いま》を抜け出すためにひたすら突き進んだ。
20240823 『裏返し』
美容院でファッション雑誌をパラパラしてたら
【2024年版】夏のファッション最新トレンド!
押さえておきたい着こなしはズバリ「裏返し」
あえて裏返して着ることで抜け感を演出して
ちょっと隙があるオトナ女子を目指そう。
とかいう記事が目についた。
そんなわけあるかと思ってたら担当の美容師さんのシャツが裏返しだった。
日が経つにつれてシャツやらブラウスを裏返しにしてる女子を見かける頻度が高くなってる気がする…
わ、わたしも明日から裏返し、してみよう、かな???
-お題『裏返し』130
「裏返し」
「ほら、⬜︎⬜︎、そろそろ寝る時間だよ。遊ぶのをやめてお片付けしようね?」
「んー。やっ!」
「どうしたのさ?急にわがままになって。」
「ボク、もっとあしょぶー!」
兄はほっぺたをぷくぷくさせてまだ遊ぼうとする。
「はぁ、全く……。」
仕方がないので端っこのおもちゃから片付けるか。
「まだあしょぶのー!」
「もう寝る時間だって言っただろう?!」
「やだー!」
「⬛︎⬛︎ちゃん、なんでおこるのー!ボク、おこるのやだなの!」
「キミが怒られるようなことをするからだよ!」
「むー!⬛︎⬛︎ちゃん、きらい!」
そっぽを向いていじける兄の小さな背中が見える。
……こうなったらどうにもならないな。
兄があっちを向いているうちに片付けようか。
さてさて、まずはこっちの積み木を───「?!!!」
足の裏に言葉にできないほどの痛みが!!!
ボクはその場でのたうち回っ───痛すぎる!!!
「ぃぃ……!!!」
「んー?……⬛︎⬛︎ちゃん?」
「⬛︎⬛︎ちゃん!どちたのっ?!ねー!」
「……だ、大丈夫……。」「ねー?ねー!!」
「⬛︎⬛︎ちゃ!!」「……夜だから大声出さないの!」
ボクの話も聞かずに扉を叩き始める。ちょっと!やめてってば!
「ねー!⬛︎⬛︎ちゃんたすけてあげてー!!」
兄の声を聞いてこの部屋の管理人くんが入ってきた。
「どうされましたか?」
「⬛︎⬛︎ちゃん、たいへんなのー!」
「いや、ほんとにだいじょぶだからさ……。」
セリフだけを見ていたら悲しいシーンでしかない。
……あ、そうだ。ちょっと遊んじゃおう。
「⬜︎⬜︎、ごめんね。ボクはもう……ダメかもしれない。」
「⬛︎⬛︎ちゃん?⬛︎⬛︎ちゃん!!ねー、ねぇ!」
「……。」
「⬛︎⬛︎ちゃん、さっきはごめんね。ボクね、ボクね、⬛︎⬛︎ちゃんねっ。」「嫌いだよね……?」「んーん!」「本当は?」「だいすき」「即答……うーん我がきょうだいながらかわいいな」
「うおー!急に元気になってしまった!!!もう大丈夫だよ!!!だって……。」「だって?」「コレ踏んだだけだから」
「これ?」
そう言って兄が拾い上げたのは、小さなおもちゃのブロックだった。そう、踏んだらめちゃくちゃ痛い、あのブロックである。
「……わかった?こうならないように、ちゃんとおもちゃはお片付けしようね?」「うん!」「忠告は愛情の裏返しさ!ボクがキミを嫌いになることなんかないから、安心してね!」「ん!」
「あぁ、管理人くん!お騒がせしてすまなかった!一応見ていただきたいのだが……ボクの足の裏に、穴とか開いていないよね?」「はい、問題なしです。」「それならいい。」
「皆さん、そろそろ消灯ですので、お片付けを終えてから就寝なさってください。」
「ありがとう!それじゃあおやすみ!」「ばばーい!」
……今日も今日とて大変だった!まだ寝かしつけが終わっていないからもう少し夜は続きそうだが、ひとまず落ち着いたからよかったよ。
「⬛︎⬛︎ちゃん、おやすみ。」
「⬜︎⬜︎、おやすみ。」
そういやさっき足元を見て気づいたが、ボクの靴下も裏返しだったよ。あれで一日中過ごしていたのか……。もう明日から靴下を履かずに過ごそうかな……?
「前回までのあらすじ」────────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!
そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!
……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!
それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、お覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。
もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。
どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。
そうそう、整備士くんや捜査官くんの助けもあって、きょうだいは何とか助かったよ。
712兆年もの間ずっと一人ぼっちで、何もかも忘れてしまって、その間に大事な人を亡くした彼は、ただただ泣いていた。ずっと寂しかったよね。今まで助けられなくて、本当にすまなかった。
事情聴取は無事に済んだ!その上、ボクのスペアがきょうだいを苦しめた連中を根こそぎ捕まえてくれたからそれはそれは気分がいい!
だが、実際に罪を犯した以上、きょうだいは裁判の時まで拘留されなければならない!なぜかボクも一緒だが!!
……タダで囚人の気分を味わえるなんてお得だねえ……。
牢獄の中とはいえ、随分久しぶりにふたりの時間を過ごせた。小さな兄が安心して眠る姿を見て、今までずっと研究を、仕事を続けてきて本当によかったと心から思ったよ。
きょうだいのカウンセリングの付き添いがてら、久しぶりにニンゲンくんと話をしたんだ。いつも通り話がしたかったけれど、そんなことはできなかった。
ボクの心は、ボクの気持ちは紛れもない本物だと信じて欲しかったけれど、受け入れてはもらえなかった。
機械のボクはもう、キミに信じてもらえないみたいだ。
でもまあ!!!きょうだいもボクも元気に牢獄暮らしが送れているうえ、旧型管理士の彼女も調子がよさそうだから、当面はよしとしようか!!!
多分ニンゲンくんの事情聴取も終わっている頃だろう。あとは何度か取り調べを繰り返して、いつか来る裁判の時を待つだけだね。
……というかこの「あらすじ」、長すぎるね!!!何がどう荒い筋だと言うんだい???……また作り直さなければ!!!
ふえぇ全然時間が取れないようぅ……。゚(゚´ω`゚)゚。
あとどこに書くのがいいのかもわからないよぅ……(´•̥ω•̥`)
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「あ、あの…」
私は鞄の持ち手を握りしめながら、彼に尋ねた。
心臓が、ヤバイ。
喉から飛び出すのではないかと思うほどに、ドキドキしている。
掌に汗が滲んできて、私はどこに視線を向けたらよいのかパニックになり始めていた。
「んー?」
対照的に、彼は涼しげな顔でスマホを触りながら私の髪を左手ですいていた。
「か、髪…どうして…」
震える声でうつ向き気味に言うと、彼は顔を上げて私の顔をまじまじと見た。
「え、気持ちいいから。あんたの髪、指からサラサラ~って流れてさ、この感触は癖になるわ」
ニヤリと笑う顔に、特大の拍動が私を襲った。
「あ」
彼はふと何か思い至ったようで、左手の動きを止めた。
「もしかして嫌だった?」
神妙な顔でまた覗き込んでくる。
もうこれ以上私の心臓を苛めないでっ
私はぎこちなく首を振って、言った。
「い、嫌とか、じゃ、なくて、、あの」
そこで、彼のきれいな顔に見入ってしまう。
それはわずか3秒くらいだったと思うけれど、彼はますます神妙な顔つきになってしまった。
「もしかして…」
も、もしかして?
私の気持ちがダダ洩れに―
「俺、あんたのこと困らせてる?」
「え、あっ、ちが...」
「正直に言ってよ」
もう、心臓よ、平常運転で頼む
「ち、違いますよ」
平常心平常心
「ただ…この髪をきれいって言われたり、さ、触られたりしたことって、なくって、」
ほぉら、だんだん落ち着いて…
「んじゃあ、俺が初めてなわけね!燈ちゃんの美髪、こうやって可愛がってんの」
ん?え?可愛い?
誰が?何が?
私はいろいろ限界過ぎて、ちょうど停車した駅で電車を駆け降りた。
目の前で浜里燈が駆け降りて行ってしまう姿を呆気にとられて見ていた武聡一郎は、所在無さげな左手を見て、赤くなっていた。
「…んだよ…」
無防備に触らせてくれるからてっきり…
「男慣れしてないのな…」
そこがまたいいんだけど
「たーけちゃんっ」
聡一郎は後ろを振り返ると、苦虫を噛み潰したような顔をした。
「丸星…お前、…いってぇっ!」
体格のいい川嶌丸星のデコピンをまともに額で受け止めた聡一郎は、思わず悲鳴をあげてしゃがみこんだ。
「たけちゃん、誰が巷で下の名前で呼んでいいって言った?」
丸星は自分の名前が嫌いなのだ。
小学生の頃は『丸干し』と言われて、同級生数人に全裸にさせられそうになったこともあった。
聡一郎はたまたまそんな場面に出くわし、たまたま素行不良だと教務主任にしぼられに担任と職員室へ向かうところだったので、当時たまたま華奢だった半べその丸星の腕を掴むと、
「先生っ、アイツら頼むわっ」
と言い残し、一目散に廊下を逆方向へ駆けていったのだった。
その日から今日まで…
「何すんだよ、悪友」
聡一郎は額を掌で覆いながら、丸星を睨み返した。
「親友の間違いだろ?」
努めて柔和な笑顔で返した後、丸星はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「あの子、たけちゃんの彼女?」
「え、何?お前ずっと見てたの?」
聡一郎が顔をしかめる
丸星は信じられないと首を振り、
「親友を覗き魔みたいに」
「いや、どちらかというとストーカーじゃね?」
丸星は軽く咳払いをすると、聡一郎の耳元へ口を寄せた
「あんな純な子、今時珍しいよ~」
「うるせーよ」
「ただね」
「何だよ」
「溺愛モードはちょっと早すぎると思う」
「ばっ…」
聡一郎は顔を真っ赤にすると、勢いよく立ち上がった
「ま、俺みたいに裏返しでからかうタイプよりはマシだろうけどね」
丸星がケタケタと笑うと、聡一郎は憮然とした顔で悪友を見てため息をついた。
#裏返し
愛情の
裏返しは
無関心。
夫との今後に
無関心な日々は
来るのだろうか。
今は
どちらかと言えば
分かってくれない!
伝わらない!
ことで
イライラしてしまう。
それが
積もりに積もったら
―――無関心に
なるのかな?
#裏返し
「コール」
「...レイズ!」
「コール...。」
ここで勝てなきゃ負ける。いや、負けなんてあり得ない。レイズしたんだ。
カードを死角で裏返し、袖口に忍ばせ別のカードを出す。さあ勝負の時間だ。
「フォーカード...!」
お嬢さんには申し訳ないけど、ここで大儲けして
「ロイヤルストレートフラッシュ。あはは、お兄さん油断したね。駄目じゃない。」
盤面が裏返った。何故?バレていないはずだろ...!?
「お兄さん、これは運の世界。イカサマも良いけれど、それは一番じゃない。」
全てがひっくり返った。
2024/08/23 #裏返し
「裏返し」
小学生の頃,好きな女の子に素っ気無い態度を取っていた。
好きな相手なら好意を示せば良いし,その方が相手にも好かれる可
能性が高まる。
それは子どもでも分かる事だが,「頭」では分かっていても,
「心」は分からない。それが人間の性(さが)である。
非合理的で,不条理で,時にひどく醜くさえある。
しかし,それこそが生成AIには無い人間性そのものである。
当時は羞恥心にかられて逃げ出したくなる裏腹な気持ちさえも,
今は笑顔で受け止められるだけの心の余裕がある。
シャツが裏返っている事に気付かないまま
一日を過ごすと次の日には幸運が訪れる。
迷信の類だが、この話が私は好きだった。
実際には袖を通した後や出る直前に気付き
いまだに達成出来たことは一度もない。
気が付き、着替え直す度に
鈍感であれたらと心の底で思う。
もう少し色んな事に愚鈍であれたら
人と対話する時に背を走る嫌な感触も
自分の言葉に含まれる保全的な選択も
気にもとめずに生きられるのかな。
おまじないは、まだ成功しない。
ー 裏返し ー
《裏返し》
「おや、私のブローチは焦がれるあまり貴女に染まってしまいましたか」
そう囁くあいつの目は細められてはいるものの、随分と乾いている。
知っている。
嫌いだろう、憎んでいるだろう。
女性という生き物が苦手だろう。
「あら? とうとう見境がなくなってしまったのかしら。私まで口説こうとするなんて流石ね」
わかっている。
振り払う手が熱くなっているのも。
頬だって、少し赤いだろうけど。
「まぁなんて素敵な口説き文句なんでしょう。貴方の言葉一つで不快になれたわ」
「これはこれは手厳しい……相変わらず俺が嫌いだな、アニー」
「ええ。だから気安く呼ばないで頂戴、ルクシオン侯爵?」
嘘だ。
いつもその声で名前を呼ばれると、心臓が煩くなる。
嬉しくて、それだけで満たされる。
「はいはい……それではアンジェラ嬢、壁で佇む貴女に是非ダンスの誘いを受けて頂きたいのですが」
「あらなんて優しいのかしらね。わざわざ私が今壁の花になっていると教えて下さるなんて」
「おっと、失礼。麗しき茨姫、宜しければ一曲踊って頂けますか?」
「……ええまぁ」
侯爵からの誘いを、子爵令嬢が断れる筈もない。
周りからは、彼からはそう映っただろう。
それでいい。
そうでなくては、彼の傍にはいられない。
「では、参りましょうか」
「えぇ、素敵にエスコートして下さいね」
「アニー、君はダンスが得意だと記憶しているんだが」
「あらご存知ですか。……何度言えばいいのかわかりませんが、二度と愛称で呼ばないで下さるかしら。エドワード」
「これは失敬……本当に君は俺が嫌いだな」
そんなわけが、ないだろう。
「……大嫌いよ。エドワード」
大好きに決まってるでしょう、エドワード。
【裏返し】
ちょっと息抜きに緩く雑く一言
夏にTシャツ裏返しにせず脱ぐのできない
でも今日裏返しならずにすぽっと脱げた
ちょっとにこにこになった
裏返し
きみは今日も僕を罵倒する。
馬鹿だとかうざいだとか
きみのためになれなかった僕を責め立てる。
時には感情的になって
僕に叫ぶように怒鳴るきみ。
僕のこと嫌いなの、?
そう思わざるを得ない時もあるぐらいだ。
でもね、
僕は知っている。
きみは僕をとっても愛しているよね。
きみの言動は愛情の裏返し。
そうだよね?
僕ときみはきっと赤い糸で結ばれている。
僕ときみは愛し合っている。
それでいい。
それだけでいいんだ。
それだけで僕は幸せ。
だいすきだよ。
愛情と憎悪は表裏一体でありながら究極の同位体。しかし、愛憎の対になるのは無関心。
魔女にとって、彼らは確かに仲間だった。色欲に溺れ、怠惰な生活を送る彼らを諌めたが、彼らの罪を全て押し付けられてしまった。騎士が彼女を救い出したが、壊れた心は戻らない。
助けを乞う言葉も、下される判決も、魔女はぼんやりと聞いていた。 彼らの転落やその末路はどうだっていい。自分を大事にしてくれる騎士がいるのだから。
裏返し
・裏返し
最近の悩み。
"シャツ、反対ですよ"
たったこれだけの言葉が言えなくてモヤモヤしちゃったし、いざ勇気を出して声をかけようと思った時に丁度本人が気づいたみたいだしで、意気地無い自分にもっとモヤモヤした。
第三者のささやかなミスを本人に直接伝えるのってどうしてこうも難しいのだろう。
「ただいまー」
誰も出迎えてくれる者などいないというのに、俺は今日も玄関を開けてそう言った。
今日の仕事も疲れた……さっさと風呂にでも入ろう。
給湯器のスイッチを入れ、エコバッグをテーブルに置く。冷たい水を飲んで一息ついたら、脱いだスーツをハンガーに掛ける。そうこうしているうちに、給湯器が風呂の用意が完了したことを告げるので、ワイシャツを裏返しになるように脱ぐ。こうして裏表に脱いでおけば、洗濯する際に裏返さなくて済む。畳んで洗濯ネットに入れればすぐに洗える。一人暮らしで培った生活の知恵だ。
風呂に入りながら、ふと子どもの頃のことを思い出す。あの頃はTシャツを脱ぐ時、洗ってすぐ着られるように、って思ってTシャツが裏返らないように脱いでたっけ。実際、次に着る時にそのまま着られて便利だったな……。
などと考えていて、ようやく気付く。もしかして、母さんは俺が脱いだTシャツを裏返して洗って、畳む時にまた裏返していたのだろうか……? だとしたら、二度手間だ。今の今まで全く気にしてなかったな。何も言わずそんな作業を影でしてくれていた母さんに、俺は心の中で感謝を伝えた。
風呂を上がったらお待ちかね! の弁当タイム! なんだが、今日は気が乗らないや。入浴中、俺のことを一番に考えていてくれた人の顔を思い出したからだろうか。……たまには自炊、しようかな。
エコバッグの中のコンビニ弁当を冷蔵庫の中にしまうと、俺はスーパーへと向かった。子どもの頃、俺が一番好きだった、オムライスの材料を買いに……。
このコインが表だったら今日は気が済むまでゆっくりする……!!
その思いのままコインを投げた。
結果は裏。
「はぁ〜……」
大きなため息を付く。
まあ仕方ない、仕事するか。
そこに、電話がかかってきた。
古い友達のものだった。ずっと通話してたらいつの間にか時間が過ぎていく。
「〜〜うん、じゃーね」
通話が終わり携帯を見ると、30分間電話をしていたらしい。結構長電話だった。
もう仕事する気力も無くなってしまった。
いいや、やっぱゆっくりしよ。
そう思ってコインを自分で裏返して表にした。
まるで今表が出たように。
裏返し
今日、俺は非常に不本意ながら妻にどうしても必要だからと買い物メモを渡されて遅くまでやっているスーパーへ来ている。
普段は、ちょっとパートをしてるだけで疲れたとかわがままばかり。
最近は、女と見られないし。どうしようもない女だがパートしかできないダメ人間なので見捨てないでやっている。
まぁ、俺も遅くまで残業しているし残業という名で少し会社の同期と呑んだり
浮気では無いけど女と遊んだりもしてるし、許している。黙って夕飯を作って家事をまともにやるならいいだろう。
「残業の後買い物とか、ふざけてるな。」帰ったら妻にキツく言ってやらなきゃいけない。
名刺くらいメモ用紙には、主に食品が書いてあるのだがそれも、レトルトのご飯やカレー、缶詰…冷凍のパスタなど、手抜き用ばかりだ。
「ふざけたやつだ」
イライラしながらカゴにメモのものを突っ込む。
さっさと会計を済ますと、イライラしながら車で自宅へ帰った。
「おい、買い物してきたぞ、寝てるのか?」
家に着くと電気もついてない。
乱暴にリビングへ、行って電気をつける。そこにはテーブルの上に、1枚の紙とペンがあった。
「なんだこれは」
「離婚届」
妻の名前は記入してあった。驚いて手にしていたくしゃくしゃのメモを落としてしまった。
メモを見て気がついた。
メモの裏返しには「買ったものはあなた用です」と書いてあった。
蜜香(こんな話ですみません、素敵じゃない話になってしまいました)
364の切り札
クイーン クラブ ダイヤ スペード
よく見ると顔の向きバラバラなんだね
ゲームで使われるのに社会階級が見え隠れ
しているなんて興味深いな
ダイヤの9が一番自分に合っているかもしれない
手の中で表に返し裏返し 結婚線に必死な君は
裏返し靴下を干す僕だから 恋愛なんて 恋愛なんて
脳ミソを裏返しにして洗いたい 死にたい夜の濃密さごと
「裏返し」
裏返し
最近私は自分の短所で悩んでいる。
できないことが多く、周りと比べて落ち込む日々が続き、どうにも心が浄化されない。
そんな時に私を救った、人生のあり方を教えてくれた
道徳の授業で扱われた話。
バレーボールで活躍を見せた竹下選手。
身長が小さく、不利な状況で挑んだ試合では高く飛躍する竹下選手の姿があった。
竹下選手は語る。
「お腹がすいたらご飯を食べるように欠点があるなら活かせる方法を探す」「できるまでやる」
私はこの言葉に綺麗事を言うわけでもなく、好きだなと思った。
短所があるからだめなんだと落ち込んでしまえば竹下選手のように認められ、そして評価される
そんな人生は送れないんだとつくづく思う。
そして友達が一言「ポジティブに考えよう」
例えば、飽き性は好奇心旺盛。心配性はリスクを考えて行動出来る素敵な人だ。
どんな短所にだって裏返せばそれは長所になる
自分自身にも、想う相手にも使っていきたい。
朝目が覚めて、暗がりで慌ててTシャツに着替えると
後ろ前は分かるんだが、たまに裏返しに着ていることがある。
何でそんなことが起こるのかよく分からない。
寝てる間に小人が来て、わざわざ
Tシャツをひっくり返していくのか?
暇な小人もいたもんだ。
まあウチの中だから前後ろだろうが裏返しだろうが
縫い目が出てようがタグが飛び出してようが
いっかな結構だけどね。
(裏返し)