『蝶よ花よ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『美しい…!
なんという美しさだ!』……
そう言われたのは何十年も前…
誰も振り向かない……
枯れてしまった今、誇りを胸に突き進む
『蝶よ、花よ』
「蝶よ花よ」
蝶よ花よ、なぜあなたたちそんなにも美しいのか。
私も蝶のように空に自由に飛んで行きたい。自由はとても良いもの。
花は誰よりも美しい。その美しさを手に入れられればきっと世界で一番美しくなる。
今回は駄目かも知れない…………あぁ~!!!
蝶よ花よと育てた娘は。
本当に花のように愛らしく、美しく育ってくれた。
いつかは蝶のように、自ら選んだ場所へと舞って行ってしまうのだろうけれども。
まだもう少しだけここに留まって。
春のような心地に浸らせてくれないかなと、そんなことを望んでしまう。
【蝶よ花よ】
いつかの話。
生まれながらにして、片目が金色の瞳をした女の子がいた。
その子は『珍しい』という、たった一言の理由で蝶よ花よと大切に育てられてきた。
だが、成長するにつれて、瞳は金から黒へと変わる。
その瞬間から、人々は途端に彼女へ興味を示さなくなった。
『普通の人間と変わらないから』って。
〜蝶よ花よ〜
【蝶よ花よ】
窓辺に頬杖をついて、雨の打ち付ける外を眺めながら。君は不機嫌そうに吐き捨てた。
「蝶よ花よって言うけどさ、そもそも人間ってそんなに蝶のことも花のことも大切にしてなくない?」
せっかくの外出の予定を、大雨のせいでご両親から却下されたことがよほど腹に据えかねているらしい。
「結局は自分の手元に置いて、自慢の道具にしたいだけでしょ。可愛がってるんだなんて正当化するの、やめれば良いのに」
そうは言っても、幼い頃は体の弱かった君を案じるご両親の気持ちも、わからなくはない。曖昧に笑って誤魔化しつつ紅茶の用意を進めていれば、君はわざとらしく唇を尖らせた。
「ちょっと、あの人たちの味方するつもり?」
「そういうわけじゃないよ。まあご当主様と奥方様の行動が、支配欲だけのものだとも思わないけど」
五割の支配欲と五割の心配。たぶん実情はそんなところだろう。むう、と頬を膨らませた君の前に、ストレートのアッサムを。君が一番好きな銘柄の紅茶だ。
「まあ、蝶も花も君には似合わないよね」
好奇心旺盛で活発で、誇り高く潔い。ご当主様たちの望むお人形のような娘とは程遠いだろうけれど、領主の娘としての貫禄は十分だ。少なくとも僕の知る村の人たちは皆、彼女のことを好意的に受け入れている。
「じゃあなんなら似合うと思うの?」
君の口角が楽しそうに持ち上がっていた。だから僕は、軽く君の背中を叩く。使用人としては本来許されない振る舞い。だけど君が対等でありたいと強く望むから、君と二人きりの時だけは僕はこうして気安く君に接する。
「蝶よりは鳥だし、花よりは大樹じゃない?」
鳥のように自由な発想で、大樹のようにそこにあるだけで人々を安心させる――支配階級としての君に、期待を寄せる人間は少なくない。もちろん僕も含めて。
きっと普通のお嬢様にとっては不服極まりないだろう評価に、けれど君はそれはもう明るく不敵に笑った。
「あははっ。良いね、最高!」
そんな君だから僕も、たとえ何に変えたって君を守りたいって思うんだ。なんて、こんなことを言えば「君まで蝶よ花よ扱いしないでよ」って怒るのがわかっているから、絶対に口に出すつもりはないけれど。
きれいじゃなくたって いい
美しくなくたって いい
みんなと一緒でなくたったて いい
ただ、力強くあれ
蝶よ花よ
蝶は空を飛んでいる
花はきれいな色をつけた
飛ぶことも
色をつけることもできない
それでも感じる事ができる
君がいる
清々しい朝いつもより早く起きたら
小説の題材を考えている。
自宅で書くのが普段は、日課だけれど
煮詰まると外に出て散歩している。
最近は、テレビでも終戦記念日に広島で原爆投下の日に首相が来て祈りを捧げ黙祷する。
戦争を知らない世代の方もヒロシマに行って欲しい。
この間のヒロシマサミット首相会議でもウクライナの大統領が来ていましたが、
人種違う人も思う存分話し合うと良い
戦争は、良くないこと隣の国では、戦争をおこそうとしている。
日常の生活ですらできない人がいる
悲しいことです。
私達皆で祈りを求めている
世界人類が平安でありますように
2023.8.6
おはち
花よ
美しく咲け
春には桜を
夏には向日葵を
秋には秋桜を
冬には水仙を
季節を美しく飾っておくれ
蝶よ
優雅に舞え
誰にも負けない優雅な舞いで
美しく咲く花を
より美しい絵にしておくれ
蝶よ花よ
「僕はね、気付いてしまったんだな」
場末の居酒屋に男が二人、そこそこ身綺麗な出で立ちで並び座っていた。時計の針はとうに0時を通り越している。
二人は旧知のなかであり、大人になっても時折連絡を取り合って飲み明かすことがあった。今回の会合も、彼からの呼び掛けから開催されたものだったが最近は二人とも多忙であり、中々都合をつけることが出来なかったため、久しぶりの開催であった。そういう訳で、酒もそこそこに話に花を咲かせていたがお互い酒にそこまで強くもないため、それなりには酔いがまわっていた。そんななかにぼそりと呟かれたそれは、どこか剣呑な雰囲気を漂わせており、男はそれとなく居住まいを正した。
「どうしたんだ、そんな深刻そうに。」
酒が入れば次第に気が緩む。飲み交わす相手が親しい中であれば尚のこと。そうすると口は自然と悩みを零し、飲み会が相談会となることはよくある流れであった。男は慣れたように話の続きを促す。普段であれば流暢に言葉を紡ぐ口は、今回は何かを躊躇うようにもごつかせていた。
「僕らの仲じゃないか、今更何を言われたって突き放しなんかしないさ、なぁ」
しばらく躊躇った後、ようやくゆるゆると話しだした。
「僕は妻のことをとても大事に思っている。僕には勿体ないぐらいの人だ。だからできる限り幸せにする義務があって、僕はそれを全うしてきたつもりだ。」
「君たち夫婦のことはよく知っているよ、君がどれほどあの子を大切にしてるかも。何だい、彼女と喧嘩でもしたのか」
「いや、いや。彼女とはなにも。」
「これは、僕自身の問題なんだ。」
そこから彼の口はせき止めるものがなくなったようにとめどなく言葉を吐き続けた。彼は彼なりに、妻のことを大切に扱ってきたが、それと同じように妻からも愛されている自覚があった。穏やかな愛に浸った生活は幸福で、夢のようであったと。けれど、妻のお腹に子供が出来てからある考えが頭をよぎるようになったという。それは彼の学生時代の記憶に起因している。自分たちの学生時代はインターネットが主流になり始めた頃で、思春期特有の万能感や特別感に飢えた衝動のまま、中身のないハリボテな言葉たちを我がもののように振り回した。そのなかでもよく使っていたのが親ガチャという言葉だった。成績がのびないのも、欲しいものが買えないのも、容姿がいまいち冴えないのも全て生まれのせいにした。そうすれば、自分に非がないと思い込めたから。欲しいものが手に入らないのを自分の力不足ではなく、誰かのせいにできたから。けれども彼は気付いてしまった。大人になった自分たちが、今度はそれを言われる側になることを。大切にしたい誰かに同じだけとはいえなくても、想いを返されない悲しみを知ってしまった。
「嫁の腹はどんどん膨れていく。僕は、本当に親になれるのだろうか。その子にとって、いい親に」
ぽつりぽつりと視線を揺らしながら呟く姿に、男は何も言えなかった。最近彼が多忙にしている理由が仕事だけでなく、妻をサポートするために色々と手を回していたからだというのを思い出しながら、男の脳裏には昔の自分たちの様々な言動がぐるぐると渦を巻いていた。
「生まれなければよかったなんて、言わせたくないし、言われたくないんだ」
とうとう彼の口もそれ以降開くことはなく、二人は重い沈黙に閉ざされてしまった。
夜の街の喧騒が、幕を隔てたように響いていた。
どこまでも僕を飛ばしておくれ。僕を巻き込んで、イカロスのように太陽に向かってくれたら。
あの綺麗な羽を持つマドンナは多分イカロスよりもはるかに小さい。ただ、内に秘めた野望は同じくらい大きいのだろう。
美しい蝶よ。この地平にひっついて枯れる運命の私を、どうか連れていっておくれ。この哀れな花弁を。
〈蝶よ花よ〉2023/8.9
No.16
彼女はまさに僕が憧れた"名家のお嬢様"だった。
さらさら揺れるブロンドの髪、ほんの少しだけタレ目がちのパウダーブルーの瞳、白く透き通るような肌。
顔にはいつも笑みを浮かべていた。
対して僕は微かに紫かかった黒髪に彼女からワントーン程落ちた色の碧眼。
顔にはいつも貼り付けられた笑みが浮かんでいる。
僕より彼女の方がよっぽどうちの家にふさわしい、生まれる場所が逆だったように思えた。
「無題」
あなたが離れて約半年
私の愛は眠れぬ夜を連れてくるほど黒ずんでいき、
いつでもあなたの顔と声と2度と戻らぬ愛を欲する
怪物となりました。
あなたのLINEの幸せそうなプロフィール画像も
私の心を癒す一部であり、私を縫い付けて
離れられない呪縛になりました。
言葉では「あなたが幸せなら」など
綺麗事を並べ続けますが私はあなたのように綺麗な心を持ち合わせていないのでとても息苦しくて、
この苦しさをあなたに共有させようとする障害です。
どうかまだあなたの幸せを願う綺麗な私のままで
あなたを見送りたい。
そしてあなたがまだ好きでいてくれた私の姿で
目の前から消え去りたい。
5人目にして初めての女の子。しかも年の離れた末っ子。
両親も4人の兄たちも、それはそれはもう大喜び。
蝶よ花よと可愛がられた女の子は、その立場に甘んじること無く教養を積み、才色兼備の素晴らしい女性へと成長した。
当然、世の男性陣がそんな彼女をみすみす放っておくわけもなく、いついかなる時にも引く手数多だった。
しかし、そこにいつだって立ちはだかったのは父親と4人の兄たちだった。 "娘にはもっと相応しい男がいる" と恋文を破り捨て、 "妹に手を出す輩は許さん" と逢瀬に来た者を追い返た。彼女に言い寄る男たちを悪い虫と言わんばかりの酷い態度で追い払い続けたのだ。
母だけは、娘の行く末を案じてくれていたが、それも父や兄たちの耳には届かなかった。いつしか、言い寄ってくる男は誰もいなくなってしまった。
両親も兄たちも鬼籍に入ってしまった今、私は本当に一人になってしまった。父も兄も、これで満足なのだろうか。あの頃、父や兄たちをきちんと説得出来ていたら、未来は変わっていたかもしれない。最近はこうして、詮ないことばかりを考えてしまう。
家の前を若人たちが "ここのお婆さん、ずっと独り身でご近所付き合いもほとんど無いんだって" と言いながら通り過ぎて行く。
「そうさね。箱入りなものでね。」と独りごちた。
―――箱入り婆
#36【蝶よ花よ】
ああ、可愛いあの子。
長い手足。
珠のような瞳。
絹織物のような肌。
どれもこれもが美しい。
わたしが手塩にかけて作った罠に、かかった子。
誰にも渡したくない。
そう、誰かに渡してしまうくらいなら。
誰かのもとへ飛び立ってしまうくらいなら――。
「わたしが食べてしまいましょう」
/『蝶よ花よ』8/8
彼の密なんて吸わせない。
彼女はとても静かで、しとやかで綺麗な人だった。
そんな彼女と仲の良いわたしは、彼女が褒められると自分のことのように嬉しく、鼻が高かった。
勉強もでき、みなの和を乱さず、一歩引いているまさに“淑女”。
彼女は、周囲から月のような人だと言われていた。
けれど、わたしはどうしても周囲のその反応にだけは肯くことが出来なかった。
なぜなら、わたしには彼女が太陽のように感じられていたからだ。
わたしが誰かと話している時。特に男子と話している時。
そういった時は、だいたい彼女が他の誰かといる時なのだが、そうしてわたしが他の誰かと――彼女以外といる時。彼女は見てくるのだ。
じぃっと。彼女が話しているその人の影からじぃっとわたしを見つめてくるのだ。
それはもうじりじりと真夏の太陽のように。
木陰の隙間から涼むことを許さない陽光のように。
その瞳に射抜かれるとわたしは、ジュッとやけどをしたような気になる。
(誰が月下美人だ)
そして密かに恨むのだ。彼女を静かな月のようだと言った人を。
嘘だ。彼女は月の仮面をかぶった獰猛な太陽そのものだ。
/8/6『太陽』
そんな彼女を嫌いになれない“わたし”も、星にはなれない。
蝶よ花よ
と
育てられていたなら
生意気で
高慢ちきな
人間になっていたかも
と
思ったりする
こんな私の事だから
でも
せめて
望まれて
生まれていたなら
少しは
自分
愛せていたのかな
って
時々
思うのよ
「蝶よ花よ」
花を待たせない蝶でありなさい
蝶を惹きつける花でありなさい
蝶よ花よ、今日も美しく
すべては綺麗だと思わないか?
人の顔以外こんなに綺麗なんだ
もっと綺麗な物を見るべきだ
蝶よ花よ夢を
なぜ見なくなった
見た方が幸せじゃないか
綺麗な物はこんなに広がっているのに
目に見える幸せを知っているじゃないか君は
蝶よ花よと愛でられているうちに、あなたを好きだと言えばよかった
そうすれば、きっと断れなかったでしょう?
『蝶よ花よ』
綺麗ね
本当に綺麗
儚い
本当に儚い
ずっとそこにいられるわけじゃない
ずっと同じ蝶でも
ずっと同じ花でもない
綺麗で儚い