花畑』の作文集

Open App

花畑』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

9/17/2023, 11:28:03 PM

【花畑】

 色とりどりの花々が、まばゆい太陽の光を受けて無数に咲き乱れる。その真ん中でそっと、祈るように膝を折った人の後ろ姿へと僕は声をかけた。
「陛下、そろそろお時間です」
 ようやく他国からの侵略を退けたばかりの今のこの国にとって、復興会議は何よりの優先事項だ。遅刻など決してさせるわけにはいかない。
「……ああ、わかっている」
 そよそよと吹く風が可憐な花々を揺らす。静かに振り返ったその方は、いつものようにうっすらと微笑んでいた。その瞳の奥底へと、孤独と悲哀を封じ込めて。
 咲き誇る花々の一つ一つには、この方の手で名前がつけられている。王のためにと戦場に赴き、そうして死んでいった者たちの名が。
 この花畑は、棺そのもの。国を導き民を守る立場にありながら救うことのできなかった命の数を、ほんの少し時間ができるたびに僕たちはこの場所で再確認する。
 清らかな花の形をした罪の証を、これ以上増やすことのないように。彼らの犠牲に見合うだけの未来を、せめて実現するために。陛下はまだ玉座に腰掛け続け、僕はその傍らに第一の側近として立ち続けている。
 真っ直ぐに背筋を伸ばして会議場へと向かう陛下の半歩後ろに付き従い、僕は美しき花畑に背を向けた。

9/17/2023, 11:24:54 PM

「ねぇ、あなたは覚えてる?

小さい頃あの花畑で

たくさんの動物達が集まっていたこと」

「忘れないよ。

あの日は沢山遊んだあとのことだったよね。」

気温が暖かくて風が涼しくて

過ごしやすかったあの日。

私たちは沢山遊んだ後だったから

疲れてしまって

綺麗な花畑の開けたところに

大の字で寝っ転がって

いつの間にか寝てしまった。

少しした後に目を覚ますと

近くに動物が居たんだよね。

うさぎ、りす、小鳥

まるで絵本の世界に入ったみたいだったね

いつかあの花畑に行ったら

また見れるかな?





─────『花畑』

9/17/2023, 11:05:33 PM

花畑…写真で見てもすごいですね。
  綺麗で華やかで圧巻。
  隣の市に、つつじで有名な公園があり、
  GWには、たくさんの人が訪れます。
  しばらく行っていないけれど、
  花が咲き乱れる様には、息をのみます。

                   「花畑」

9/17/2023, 10:58:53 PM

「花畑」
まっしろなワンピース、
カラフルな花が沢山並んでいる花畑。
一枚の写真には1人の白いワンピースを来た女の人
が色とりどりの花に囲まれてたっている。
この人は誰なんだろう、家の倉庫で見つけた
一枚の写真この人を探すため大切にもっている。

9/17/2023, 10:47:33 PM

花畑に何の種を蒔こうか
それとも苗を買ってこようか
花もいいけど野菜もいいな
毎日お世話して
たくさん花が咲き実をつけたら
みんなにも観てもらおう
想像するだけでワクワクする

9/17/2023, 10:43:28 PM

蓮華の畑の蓮華を摘み取って花冠にしてくれた従兄。
あの頃は、私も従兄も幼く、ドロンコになって遊んでいた。
そん時に、ふとしてくれた行為。
ビックリしたけれど、嬉しかった。

#花の畑#
ソフィア

9/17/2023, 10:37:09 PM

「こっちおいでよ〜!」

彼女は花畑ではしゃいでいる。

もっとこの時間続けばいいのに…。


#花畑
#30

9/17/2023, 10:27:26 PM

「花畑」

まるで真っ赤に燃え盛る火の海のようだ

佇む私に

手まねく誰かを覚えている

黒い揚羽蝶がまとわりつく

私を待ちわびていたのだろうか

曼珠沙華が艶かしく咲き誇っている

9/17/2023, 10:13:22 PM

私が生きた世界は
色とりどりの花が咲く素敵な世界

だけどそれを維持するのはすごく大変だった
一面に咲く花々は一瞬で力尽き
永遠なんてないことを私に教えてくれた

私の花ももう少しの命
また新しい花が咲くように
「私の生涯よ、ありがとう」

9/17/2023, 10:12:55 PM

花畑にやさしく降る雨は、
はなを飾って帰っていく。
花畑にはげしく降る雨は、
命ごとうばい去っていく。
あなたはどちらだろうか。

9/17/2023, 9:22:01 PM

溥儀の庭にあくびの ほ ほ と消えてから解けた午後の蛇のぬけがら

9/17/2023, 9:21:02 PM

たおやかに風に揺れる
       身を任せて遊ぶように
       強い風でもしっかりと
       根を張って生きている
       それぞれに美しく咲き
       それぞれに散ってゆく    
       あるがままでいいのだ
       そのままで美しいのだ
         

             『花畑』

9/17/2023, 9:18:17 PM

20230918【花畑】読了時間 約5分

※注意※黒幻想創作短編。



 「おい、何している」

 相手への気遣いのない声が掛けられる。声を掛けられた相手は、柔和な顔で振り向いた。

 「あぁ、中尉。ご機嫌よう」

 何を、暢気に。舌打ちを押し殺して、中尉と呼ばれた青年は愛想のない声音で、自分より背が高くやや装飾めいた軍服の男を睨(ねめ)付ける。

 「さっさと、自分の配置へ戻って頂けませんかね? もうすぐ、出発だ」

 敬うつもりはないが、敬語は使わねばならない相手に対して、青年の語彙に統一性はない。

 「敬語は必要ないと言ってるのに」

 そう言って、男は柔らかく微笑む。よく手入れされた金色の髪が、秋の木漏れ日に輝く。

 「ほら、見て。季節の花がとても綺麗だ。なんて花だろう。中尉は知っているかい?」
 「知らねぇし、興味もない」

 苦笑する男に、青年は苛立ちを覚える。こいつ、自分が今から戦争の最前線に送られると分かっているのか。

 「出発が近いなら、戻らなければ」

 赤い大輪を咲かせた花々を、愛おしそうに見回す。その光景を目の奥に刻み付ける様に、しっかりと瞼を閉じる。もう二度と戻ることはないと、男にはよく分かっていた。

 「一服するから、先に行け。すぐ、追います」

 返事を待たずに、巻煙草を咥える。

 「煙草って、おいしい? 僕には、あまり健康には良くない様に思えるけど」
 「早く行け、、、行って、ください」
 「うん、また後でね」

 優雅に外套を翻し、男は背を向けてゆったりと歩き出す。男自身も花のような香りを残して去った。

 いちいち、態とらしい。青年は、今度こそ遠慮なく舌打ちした。火をつけようとして、ひしゃげている煙草に気が付く。思わず、力んだ指で曲げてしまっていた。

 「くそっ」
 「いつ会っても、機嫌が悪い奴だな」

 煙草をしごいて直していると、あきれたと言いたげな義兄が現れた。

 「もうすぐ、出発だぞ」
 「わかっている。暢気な王子様を急かしていたんだよ」

 あぁと、義兄は訳知り顔で頷く。

 「なんだって、俺が世話係なんか」
 「歳が近いからだろ。王子様は、お友達をご所望だ」
 「誰がなるか、そんなもん」

 やなこった、と煙を共に吐き捨てる。いつも以上に不機嫌な義弟を後目に、煙草を取り出し火を付けた。

 「それで、王子様はここで何をしていたんだ?」
 「お花が綺麗なんだとさ。下らん」

 くっと顎で示す先に、赤い花が群生している。近く寄ると、多少乱れているものの人の手で管理されているらしいことが見て取れた。周囲の村民が、手遊びにでもしているのだろうか。

 窄まった花弁が密集しているのを見て、記憶を辿る。

 「確か、ダリア、だったかな」
 「あんたが、花に詳しいとは微塵も知らなかった」

 ひとりで得心している義兄を皮肉った。

 「君の姉さんに、いつも花を贈るからね。どうだ、愛妻家だろう。もっと羨ましいがってもいいよ」
 「羨ましくねぇよ」

 短くなった煙草を一気に吸い尽くすと、吸い殻を剥き出しの岩に擦り付けた。

 「どいつもこいつも、頭ん中はお花畑か。付き合ってられん」

 聞き慣れた義弟の舌打ちに、紫煙で返す。

 「案外、王子様も分かってるのかもね。自分の行く末を」
 「ただの、実績稼ぎだろ。下手すりゃ死ぬっていうのに、暢気なもんだ」
 「さて、それはどうかな?」

 不機嫌に怪訝を加えた眉間に、いっそう皺が寄った。吸い殻を岩で擦り消すと、足元の麻袋を指差した。

 「これって」
 「あの、くそ王子。自分の荷物も碌に管理できねぇのか」

 最早、この行軍中に義弟の機嫌が良くなることは無さそうだった。


――――――
――――――


 「殿下、やっぱり戻ってあいつら殺しましょう」
 「気軽に、物騒なことを言うものじゃないよ」

 男の後ろには、童顔に似合わない据えた目をした青年が従っていた。荷物を取りにいちど戻ったが、耳の良い従者を引き留める方を優先した。

 「頭の中がお花畑なのは、あいつらの方だ」

 従者の言葉に、ふっと笑みが零れる。それでも良い、今はまだ。

 「僕はね、本当に花畑を作ろうと思っているよ」
 「そんなに、花が好きでしたっけ?」
 「好きになったよ、ついさっきね」

 王位継承順位などというものに従う気は無かった。彼らは王位継承権を持った者を、死地に送って一人消したつもりだろう。巧妙に隠しているつもりなのか、あからさまなのか判断に迷うところだった。

 「あの赤い花を植えよう。きっと、鮮やかに咲くだろう」

 栄養は、多い方が良い。例えば、血肉が豊富で強欲に塗れた、獣に似たものが。

 「荷物は、良かったのですか?」
 「あとで、中尉が持ってきてくれるよ」
 「俺は、あの人キライです」
 「思いの外、お前と相性が良いかもしれないよ」
 「絶対に、有り得ません」

 従者は、あぁ気色悪いと己の腕を擦った。似た者同士と言ったら、どうなるか。

 「友達が欲しいのは、本当だしね。仲良くなれたら良いんだけど」
 「無理でしょう、向こうもそう思っているはずです」
 「それは、残念だね」

 まぁそれなら仕方ない。ただ、決め付けるのはもう少し先にしておこう。友人になるかならないか、その時に改めて聞けば良い。

 行軍開始の合図が、空高く鳴り響く。


 この数ヶ月後、第四王子の消息は歴史書から一度消えた。

 二年後、彼の名は「叛逆」の言葉と共に再び歴史書に現れる。



「裏切りの、花を」END

Thank U 4 reading!

9/17/2023, 9:15:17 PM

笑った顔、怒った顔、拗ねた顔。
悲しい顔、遠くを見つめる横顔。
いろんな表情をみせるきみは、色とりどりに眩しく咲く。

ひだまりのように。
曇り空のように。

どんな時もぼくを惹き付けて。

そのたびにぼくは、大切の意味を知るんだ。


「花畑」

9/17/2023, 9:09:57 PM

「私、あの子みたいになりたいの。」

床一面に広がる花弁の絨毯に身をうずめ、小鳥のさえずりのような声で、貴方は囁く。

「どうしてさ。」

そう問えば、

「だって、あの子はお花なの。
いつもキラキラ、皆を笑顔にする。

でもね、私知ってる。
お花はずっと咲いてはいられない。
種を残して、枯れなきゃならない。
そうすれば、もうあの色の鮮やかさは戻ってこないの。

それだけ聴くと、一見哀しく思うでしょ。
でもね、ちがうの。
彼女は地の奥底に、深い深い根を持っていた。
地上からは見えないところに、
しっかり、びっしり、はっきり。

みずみずしい茎と葉と、艶やかな蕾を持ち上げた根は、誰の目にも見えなかった。
美しい花など根がなければ咲いてすら居ないのに、
誰も感謝をしなかった。
努力と忍耐を、隠し通して朽ち果てた。
ああ、なんて美しいの、って思わず声を上げたくなる。そんな生き様。」

そう応えた貴方は笑顔だった。花開くような可憐な笑み、だが、彩やかな頬には雫が伝っていた。
降らされた一滴の雨は花びらを濡らし、木漏れ日から注ぐ日の光を反射して煌めく。
夕暮れに虹を見た様な気分だった。

貴方がごろん、と寝返りをひとつ。
返事をするように花々がゆらり揺れる。

心地よい小春日和の風が肌を撫ぜる。

花の蜜の甘さが鼻をくすぐる。

そよ風に運ばれてきたのは、旅する綿毛に、陽だまりのぬくもり、そして、小さな小さな、貴方の声。

9/17/2023, 8:28:35 PM

君と並んで 
  コスモスの花畑を眺めた
  遠い日
 

  風にそよぐ花々に
  心奪われ
  夢中でシャッターを切る
  君の姿を

  こっそりと撮った写真に

  その時の
  満ち足りた幸せが
  写っている



  叶うことなら
  もう一度

  コスモスの花畑で
  君と
  あの笑顔の時間を


 


           # 花畑 (280)

9/17/2023, 8:10:30 PM

絨毯のように敷き詰められた彩鮮やかなの花達。
今日も今日とて受粉のお手伝い。「美味しい蜜を今日もありがとう。」そういって、モンシロチョウの私は今日もお手伝いの御礼に蜜を貰う。助け合いって素晴らしい。もともとは一輪しか咲いていなかった花が種を飛ばして、こんなにも沢山の綺麗な花を咲かせ、こんなにも美味しい甘い蜜を分けてくれる。願わくばこの平和がずっと続きますように。

9/17/2023, 7:26:55 PM

幸せの結末を
信じて
求めて

さながら
映画の主人公

でも


嘘なんかじゃなかった

遊びなんかじゃなかった





誰かが傷ついたって
仕方ないのよ
運命の人なの
誰にも引き裂けないの


プレゼントありがとう
一生大事にするわ
今度はどこに行こう
二人ならどこへでも


今日は
貴方の好きなもの
作って待ってるわ
早く帰ってね


貴方の夢を見たの
嬉しくて嬉しくて
目覚めてからも
幸せだった




どうしたの
最近うわの空
何でも言って
力になるから


昨日は寒かった
忙しいのね
私は大丈夫
仕方ないもの




ねぇ

いつになったら別れて
私の元へ来てくれるの
いつになったら
一緒になってくれるの


バレてしまったの
仕方ないじゃないの
二人でどこか遠くへ
二人なら大丈夫
そうでしょう



どうして連絡くれないの
日曜日は何してたの
ずっと待ってたのよ
ずっと待ってるのに





同じ季節が
何度も訪れては過ぎ
頭の中のお花畑は
いつしかセピア色






どうして
どうしてよ

言ったじゃない
誓ったじゃない


愛してるって
お前だけだって
一緒になろうって
二人で暮らそうって

一生離さないって








一つだけ
お願いがあるの



生まれ変わったら

また


私を探して





「花畑」

9/17/2023, 7:07:52 PM

花畑
いちめんの
コスモス

私の大好きな花 色が好き 風に揺れる様が好き

今でも鮮明に覚えてる 風景
圧倒されるほどの 様々なピンクのコスモス畑に
まだ3歳だった息子の笑顔
あれから 早15年も経つんだ…

また一緒に行きたいな

ちょうどコスモスが咲く今の時期
また みんなでね

9/17/2023, 6:54:13 PM

10歳の時、リハビリとは別に理学療法室に通っていた。

そこは水彩や油彩、木彫りや機織りに革細工、他にもただただビー玉を箸で掴んで移すだけの道具などがぎっしりと、でも整然と配置された、病院の中とは思えない部屋だった。
そこは楽しげではあるけれども、身も心も健康な人が集まる場所とは全く違う、静かで独特な雰囲気の空間だった。
担当の美人の先生に許可さえ貰えば、時間内は好きなことをして構わなかった。

廊下の突き当たりにあってエレベーターからは遠いので、目が見えて歩ける人のほとんどは、非常階段からその部屋に出入りしていた。
非常階段は真っ白で、歩くとポテポテ変な足音がした。
踊り場の明かり取りの大きな窓からは、看護学生の寮が二つ並んでるのが見えた。
今でも似たような建物が二つ並んでいるのを見ると、理学療法室の匂いを思い出す。

年末が近い冬のある日、私は小さな革の小銭入れを作ることにした。
壁際に造られたカウンター式の机には、工場で右腕を大怪我したトミナガさん、松葉杖でリーゼントのお兄さん、そして私の三人が並んで座り、革に下絵を描いていた。
トミナガさん「sakuちゃんは何して遊ぶのが好きなん?」
静かな部屋に、雷みたいなトミナガさんの地声が響きわたる。
私「マンガ読んだり、ピアノ弾いたり、 お花摘んだりかな…」
お兄さん「えーかわいい!どこでお花摘んでんの?」
私「家の近くに一つだけ畑があるの。春になったら菜の花が咲いて全部黄色になるの」
兄「そりゃいいね!治ったらお兄ちゃんとそこ行こー」
ト「sakuちゃん変な人に付いてったらダメよ。おっちゃんも一緒に行ったげるからな」
兄「片腕の大男が一緒にお花摘みなんて余計怪しっすよ、アハハ!」
…とか何とか、作業をしながら三人でいろんな話をダラダラ喋って楽しかった。
そんな日々が続いていた。

そのうち手術が決まり、何となく一緒に使い始めようと思ってた小銭入れの完成は、私だけが遅れることになった。
手術中急な出血が起こってしまい、保存血が合わない私は、母からの輸血では量が足りず、学校に行っていた兄を父が呼びに行って輸血してもらい、何とか事なきを得た。
それまでに10回以上も手術を重ねて、麻酔が効きにくくなっていた私は、兄の血を待つ間に足された強い麻酔のため、意識がちゃんと戻るのに数日かかった。

やっと目が覚めた時、開口一番母にこう言ったそうだ。
「お花畑で遊んだよ。踊ってた。いい匂いアカサタナハマラヤワ…」
知らせに駆けつけた看護師さんはうろたえる母に「心配しなくて大丈夫。強い麻酔のせいだから、否定せずハイハイって聞いてあげて」と言ったそう。

その後水を取りに外へ出た母は、廊下でトミナガさんとお兄さんに会ったので、今やっと意識が戻りましたと話したという。
手術の後、なかなか目が覚めないと聞いて心配した二人は、遠い整形外科の病棟から、毎日様子を見に来てくれたそうだ。
「あの子、お花畑で踊ってたんですって。」と母が言うと、お兄さんが「花畑ですか!」と叫ぶようにして、その場にしゃがみ込んでしまったそうだ。
廊下にいると邪魔になるので、とりあえず談話室に連れて行くことになった。
後のトミナガさんの話によると、その途中いろんな女の人が集まってきて、みんなでお兄さんの話を聞いてあげたらしかった。
「いや〜あん時の談話室はちょっとしたハーレムでしたよ!」
ニヤニヤ笑いながら話すトミナガさんの声を思い出す。
私はいつもニコニコ笑ってたリーゼントのお兄さんが泣いてる姿なんて、全く想像もつかなかった。

「「あんな小さい子が何十回も手術だなんてひどいよ。俺みたいなのが代わりに受ければいいんだ。それさえできないなんて何のために生きてんだ」って言って泣いてたの。」
談話室から戻ってきた隣の子のママさんが言うと、
「見た目は恐いけど、純粋で優しい子なのね。よく見たらものすごいハンサムよね。」
カーテン越しに母がそんなことを言っていたのを私はウトウトしながら聞いていた。

後になって知ったのだが、彼は舞台で踊るダンサーだったそうだ。
やっと仕事が軌道に乗り始めた矢先、足に大怪我を負ってしまい、再起を掛けたが難しく、結局は父親が迎えに来て東京のアパートを引き払ったということだった。

桜が咲き始めた頃、お兄さんが退院することになった。
漁師のお父さんと二人で病室に挨拶に来てくれた。
看護師さんや患者さんたち、とりわけ女の人がたくさん集まって来て名残りを惜しんでいた。
みんな口々に、立派な後継ぎができて良かったですね、偉いわがんばって人生はこれからよ的なことを言って励ましていた。
お兄さんもスッキリしたような顔で笑っていた。リーゼントはサラサラの髪になっていた。松葉杖はもう無くなっていたけど、足は引きずったままだった。
私は話しかけたかったけど、どうにも恥ずかしくて黙ってた。

あれ夢だったのかな。
ホントにお兄さんと遊んだよね?
だって起きたら菜の花の匂いしたもの。
お兄さん、踊ってた。
ものすごく上手だったよ。
大人の人が踊るとこ、初めて間近で見た。
お日様が照らす中、手も足も真っ直ぐ伸びて信じられないくらい体が軽くて柔らかくて、まるで水が流れてるみたいだった。
すっごく綺麗だった。
小銭入れ作ってる時とは全然違う人だった。
sakuちゃん早く起きなよ、俺と約束したじゃん。起きて一緒にここで遊ぶんだろ?ねえ早く目を覚ましなよ!
って、身体の言葉で一生懸命伝えてたよね。
私、ちゃんと分かったよ。

あの時恥ずかしいだなんて思ってないで、言えばよかった。
ずいぶん時間経ったけど、今からでも伝えよう。伝えなくては。

お兄さん、あの時祈ってくれてありがとう。私、元気に暮らしてるよ。
目を覚まして、いつかあの菜の花畑で遊ぼうね!

Next